夕呼の拳銃が突きつけられる!
凶弾いまにも放たれんとす!
真由はこのままBAD ENDを迎えるしかないのか……?
ダダダダダダダダ! ズザァ!
私の前にいきなり巨大な獣!?
「やめてください! 夕呼先生!」
私をかばうように前に出た白銀の騎士……じゃなくて白銀君!?
もう起きれるの!?
「白銀……無事なの?」
「はい、俺は大丈夫です。それよりそれ、降ろしてください。」
夕呼さんは自分の銃を見るとハッとして構え直しました。
「ダメよ!何をやったかは分からないけどその娘は確実に何かをやったわ。その娘は危険よ!」
「真由はそんな奴じゃない!
こいつは……真由はいきなりこの世界へ飛ばされ何をしたらいいかも分からない俺を助けてくれたんだ!真由がいなけりゃ俺はどっかで野垂れ死んでた!」
いえ、私がいなくても訓練兵になっていましたよ。わざわざあなたを助ける形にしたのは主人公に恩を売っていろいろ役に立ってもらおうというド汚いドブネズミ色の政治的下心です。
……何で私は目の前のカッコイイ熱血主人公に比べて下っ端陰謀大好き小悪党なんでしょう。
それにしても歴戦のBETA殺しの白銀君ってこんなに凄かったんですか。
ただ私の前に立っているだけなのに気迫だけで拳銃を構えている夕呼さんがビビってます。体も戦闘的にガッチリし、一時間前のガキ臭さは微塵もありません。
「クッ、ピアティフ。沙霧を閉じ込めておきなさい。処分は後で決めるわ。」
そう言って夕呼さんは足音荒く待機室から出て行きました。
夕呼さんが威圧負けした!?
白銀君カッコイイ!
私もヒーローに助けられるヒロインにレベルアップですね!
ガチャ! ドヤドヤ!
そして医療班と共に二〇七訓練小隊の皆さんも入ってきました。
「白銀!社!無事!?……て誰?」
「あれ、知らない衛士の人がいる。でも訓練兵の装備?……ってタケル!?」
「武!?そなたどうしたのだ!まるで歴戦の武者だぞ。
いったい何をすればこの短時間でそのような風格が出せるのだ!」
「は……はわわ。武さん凄い!」
「白銀強化計画、まさか本当だったとは。ちびっ娘おそるべし。」
「ええ?俺そんなに変わったか?ただ装置が事故起こしただけだぞ。……ってありゃ?BETAと戦ったことがあるような気がする。」
白銀君があんなに変わったのに普通に会話している二〇七訓練小隊の皆さんはすごいですね。あと慧さん、核心ついてます。
ピアティフさんが私の前に来ました。
「沙霧さん、来なさい。副司令の命令であなたを拘束します。」
「……はい、ピアティフさん。ご迷惑をおかけします。あ、でもちょっと待って下さい。」
私は白銀君に駆け寄り、ツインテールからUSBメモリを取り出し渡します。
「白銀君、博士にこれを渡して『今回のことはコレでご勘弁ください。』と伝えて下さい。」
「……わかった。必ず渡して伝える。」
そういって白銀君がUSBメモリ受け取ると、ピアティフさんが割り込みました。。
「そうはいかないわ。白銀訓練兵、それを渡しなさい。あからさまに怪しすぎるわ。」
「失礼な!これは博士が見たら飛び上がって喜んで『マユ、アイラヴユー!』と叫ぶこと間違いなしのシロモノですよ!」
「ちびっ娘はウソっぽい言い方した時は本当にウソ。信じたら騙される。」
慧さん話に入ってこないで下さい。
「真由はそんな奴じゃない!俺が自分で夕呼先生に渡します!」
ピアティフさんも慧さんも白銀君の迫力にタジタジです。
いや~気持ちいい!
「……いいわ。沙霧さんを部屋に閉じ込めたら一緒に副司令の所へ行きましょう。でも白銀訓練兵、副司令の身に何かあったら覚悟しなさい。」
こんにちは 沙霧真由です。ご挨拶が遅れて申し訳ありません。
この世に鳥が舞う空あらば鳥になり、自由に大空を飛び回りたい。そんな自由を求める身となりました。恥ずかしながら軟禁中です。
さて、私が夕呼さんに渡したUSBメモリ。私が作った超極大容量でありながら普通のパソコンでも閲覧できるというものですが……その中身。
あれは新理論に基づいた00ユニットの全設計図です。それも人工知能部だけでなく全身の。一から十まで手順通り追っていけばあっという間に完成してしまうくらい詳細かつ完璧に描きました。
長年苦心し、苦悩にあえいできた00ユニットがただのプラモデルになったと知った時の夕呼さんの喜ぶ顔が目に浮かぶようです。
あとはこの扉を夕呼さんが開けてホッペにチューしてくれるのを待つだけですね!
カチャッ
そら来た!夕呼さんとピアティフさんです!……って二人とも難しい顔?
……ああ、まだ見てないんですか。で、私に中身を聞きに来たと。ホントにまったく用心深すぎる人はめんどくさいですね。
カツカツと夕呼さんが私の前に来て
ピョンといきなり跳び上がり?
「マユ、アイラヴユー!」と言いました!?
これはウソじゃありませんよ!
ホントに言ったんですよ!?
「出なさい。でも二度目はないわよ。」
そう言って夕呼さんとピアティフさんは出ていきました。
何だったんでしょう。いったい……。
第一のライバル香月夕呼撃破!
だが次回、休む間もなく第二のライバルが!
それは香月夕呼すら戦慄させるあの男……!