もう1つの第26話
忍世界を探索しているクラムベリーは、端末から送られた映像を見ていた。
クラムベリー「あぁ...!素晴らしい...!!」
ファヴ「この戦いは、今までの戦いの中でもダントツで面白いpon♪」
見ているのはつい先ほど録画した、チーム“モノクロの夢”とカラミティ・メアリの死闘であった。
クラムベリー「そうですね。私も加わりたかったです...」
ファヴ「マスターがいたら、ねむりんも死んでいたpon♪今は残り9人...そのうちの7人が結束しているpon。午前0時からはさっそく
クラムベリー「来週からとは言いましたが、フェアじゃありません。残り8人になるまでは、これまで通りのルールにしましょう。」
ファヴ「マスターは真面目pon...。なら、弱っているねむりんを殺して8人にすればいいpon!そして万華鏡写輪眼を奪えば、魔法の国からの依頼は終了するpon!」
クラムベリー「それはいい考えですね。この世界にマーキングを施したら、直ぐに帰りますね...♪」
その頃、ねむりんは2人の亡骸を埋葬していた。
ねむりん「スノー、アリス。マダラにメールしてみるからね...」
自分の命を犠牲にして助けてくれた2人の願いを無視することは出来なかったのである。
ねむりん[こんばんは]
マダラ[こんばんは。久しぶりだな]
ねむりん[うん]
ねむりん[色々とごめんね。メールもずっと無視してたし...]
マダラ[気にするな。俺の方こそ すまなかったな。]
ねむりん[帰ってきてもいい?]
マダラ[勿論だ。みんなで迎えに行く。]
ねむりん[街はず]
ルーラ「ねむりんからメールが来たんでしょ?見せなさいよ!」
たま「見せて見せて‼︎」
幼女ユナエル「私は後で構いません。」
ミナエル「何言ってんの!顔に今すぐ見たいって書いてあるよ!」
幼女ユナエル「うっ...!」
幼女スイム「...見せて。」
マダラ「落ち着け...見たらすぐに出発するぞ。」
ルーラ「街はず...街はずれのことかしら?」
ミナエル「街はずれのどこなの⁉︎敵の襲撃だよね⁉︎」
マダラ「数千人規模の影分身で一斉に探す。行くぞ!」
(移動しながらあの2人にも連絡するか...)
マダラ達が捜索を始めた頃、クラムベリーはねむりんを見つけ、話しかけていたのだった。
クラムベリー「ふふふ....中々いい戦いでしたよ...?ねむりん。」
ねむりん「...見ていたというわけか。ファヴから居場所を聞き、弱った私を殺しに来たのだな。」
クラムベリー「あなたが死ねば8人になる。早くこの戦いを終わらせたいんですよ♪」
ねむりん「そういう嘘は意味がないって、分かっているだろう?」
クラムベリー「そうですね。どこで聞いていたのか分かりませんがご存知なんですよね...?私がこの戦いの首謀者だってことを.....」ニヤニヤ
ねむりん「あぁ。お前を倒してこの戦いを終わらせてやるよ...!」
(こいつからは逃げられない。万華鏡の能力が分からないが...やるしかない!)
クラムベリー「万華鏡の力、見せてくださいね♪灼遁・過蒸殺‼︎」
ねむりん「‼︎」
(灼遁だと...⁉︎)
灼遁・過蒸殺とは、橙色の火球を出現させて相手にぶつける技である。単純だが、当たれば身体中の水分が無くなり死ぬということをマダラから教わっていたのだった。
尚、火球は常に宙を漂い続け、術者の意思で操ることができる。
ねむりん「左眼の瞳力!」ブウウウウウン
クラムベリー「これは...チャクラのドームですか。」
ねむりんの周囲2メートルを、赤いチャクラのドームが覆い尽くした。
クラムベリー(...火球で様子見ですね。)バッ
火球をドームにぶつけるクラムベリー!
ジュオオ...オ.......オ..............オ........................
ねむりん「動きが遅くなった...⁉︎」
(これなら楽に躱せる!)
サッ
低速になった灼遁の火球を引き寄せると、ドームの外では速度が元に戻っていた。
クラムベリー「へぇ...ドーム内では自分以外は低速になるんですね。素晴らしい力です。」フフフフフ
ねむりん(おそらく右眼の瞳力は、速度を上げる力か。)
「水遁・水龍弾の術‼︎」
クラムベリー「中々速いですね。」
青いチャクラを纏った水龍は動きが速くなり、過蒸殺の火球ごとクラムベリーに食らいついた。
ねむりん「ハァ..ハァ.....」
(万華鏡写輪眼...チャクラの消費も激しいな。)
クラムベリー「フフ...もう疲れたんですか?」
そこには、結晶化し動かなくなった水龍とクラムベリーがいた。
ねむりん「晶遁か...」
(これで奴が火遁、風遁、土遁の果実を食べたということが分かったな。塵遁、爆遁、灼遁の3つは一撃必殺と言ってもいい。右眼で私の速度を上げつつ、左眼の瞳力で敵の術の速度を落とさないと殺されてしまうな....)
強敵を前にねむりんは塾考していた。
ねむりん(このチャクラ量で万華鏡+影分身は無理だ。不意打ちに賭けるしかない!)
クラムベリー「難しい顔をして、何かを考えているようですが...どうせ死ぬんですから諦めてください♪」
(分解してあげますよ。)
塵遁・原界剥離の術!
ねむりん「塵遁...やはり来たか...!」
(このドームが塵遁に効くか確かめる!)
ドギュイイィィィン.........
金属音が鳴り響きぶつかる赤いドームと塵遁。
瞬間、お互いの忍術は相殺されて消えた。
クラムベリー「塵遁と相殺ですか...」
ねむりん「塵遁は忍術を無効に出来るわけではない。」
クラムベリー「そうですね...血継淘汰なんてその程度です。」
(赤いドーム...攻略法が分かりましたよ。)
さすがクラムベリーである。瞬時にねむりんを倒すための算段を思いついたのであった。
クラムベリー「多重翠晶分身の術‼︎」
翠の水晶が分裂していき、およそ500体のクラムベリーが出現した。
ねむりん(精度の高さは木分身と同等だな。この数では不意打ちも無理か....)
クラムベリー達「灼遁・過剰禁殺!」
クラムベリー達「熔遁・大灼河流岩!」
ねむりん「‼︎」
(出ろ...須佐能乎!頼む!出てくれ!!)
クラムベリー「ピンポイントの攻撃は低速にされて躱されますが、大気を伝播する熱は、低速ながら確実にあなたを焼き尽くしますよ♪...まぁ、四方を灼熱の溶岩が囲んだ時点で終わりなんですけどね★」フフフフフ
ねむりん(須佐能乎は無理か...!)
「スノー、力を使うよ....!!氷遁・大氷連山‼︎」
クラムベリー「へぇ...氷遁を貰ったんですね。」
聳え立つ氷の山々を飛び移り、溶岩を避けて逃げ出すねむりん。
しかし、塵遁は無情にも氷の山を消し去り、足場が無くなったねむりんは空中に放り出されてしまった。
クラムベリー「うさぎごっこは終わりです。このまま下に落ちてください。」
ねむりん「左眼の力!」
赤いドームの効力を自分にも適用させて、少しでも落下の速度を下げたのだった。
クラムベリー「これは面白い...悪あがきですか。」
ファヴ「無駄な努力だpon♪」ケラケラ
灼熱の溶岩に落ちていく少女を離れたところで見上げる2人。両者ともに、人の命の散る瞬間が最高のひと時なのであり、慈悲の心など存在していないのである。
ねむりん「須佐能乎!須佐能乎!」
(もう、チャクラが足りない....)
ファヴ「まだ諦めて無いpon!」ケラケラ
クラムベリー「須佐能乎も出せないくせにマダラを倒す...?笑わせないでください。」
ねむりん(助けて.....マダラ....!!)
その時、突如現れた黒髪赤鎧の少女が現れて空中でねむりんを抱きしめたのだった。本当にかっこいい登場である。
ねむりん「‼︎......マダラなの?」
少女マダラ「あぁ。クラムベリー相手に、よくねばったものだな。」
ねむりん「来てくれてありがとう....」
少女マダラ「その前にこいつを何とかしないとな。」
クラムベリー「塵遁・限界剥離‼︎」
少女マダラ「うるさい奴だ。餓鬼道...」
ズズズズズズズ....
餓鬼道の力によって塵遁のチャクラを吸収し、須佐能乎を出して着地したのだった。
クラムベリー「餓鬼道⁉︎....まだこんな力があったとは。」
ファヴ「どうするpon⁉︎」
クラムベリー「存在している土を操れば、吸収されないはずです。」
土遁・山土の術‼︎
ねむりんはマダラの腕の中でチャクラを渡されており、自分と全く同じチャクラの温もりと湧き上がる力を感じていた。
ねむりん(マダラと私は同じチャクラで繋がっていたんだね......)ポロポロポロ
少女マダラ「もうどこにも行くなよ。よし...俺が戦うから、体を休めておけ。」
ねむりん「私も戦う!須佐能乎...教えて!」ゴシゴシ
パジャマの袖で涙を拭いたねむりんの、真っ直ぐにマダラを見つめる赤眼の奥に、マダラは可能性を感じたのだった。
少女マダラ「...いいだろう!須佐能乎はチャクラさえあれば簡単だ。自分が思う戦士をイメージすればいい。」
ねむりん「うん!....うぉぉぉぉぉぉぉ‼︎」
(やっぱり凄く安心するよ...)
須佐能乎の青い光が照らす夜空のキャンバスに、今度は真紅に煌めくチャクラが彩りを加えていったのだった。
少女マダラ「その調子だ。」ギュ
上空で離れないようにと、ねむりんの手を握るマダラ
ねむりん「え、えぇぇ...///」
ねむりんの感情はチャクラと共に高まっていったーー
クラムベリー「‼︎」
マダラのチャクラ供給という手助けこそあったが、真紅色の完成体須佐能乎が顕現し、その両手で迫り来る土壁を受け止めたのだった。
ねむりん「須佐能乎...!出来た‼︎」
須佐能乎の額の六角形の中で、ねむりんは喜んだ。
少女マダラ「良くやった!」ニコッ
ねむりん「あ、ありがとう...!」
(まだ手を繋いでくれてる...!)
少女マダラ「俺のチャクラでそのまま武器を作れ。」
ねむりん「うん!」
大剣を持った真紅の巨人に見下ろされたクラムベリーは、マジカルフォンを確認していた。
クラムベリー「素晴らしいですね...やっと本気を出せそうです。」
(...まだ使いたくなかったんですけどね。)
ルーラ「追い詰めたわよ。本気でかかってきなさい。」
ミナエル「この人数を前に勝てるかな?」
幼女スイム「...逃がさない。」
リップル「クラムベリー...お前を倒す!」
ファヴ「ぞろぞろと集まって来たpon。」ケラケラ
幼女ユナエル「ファヴ...もう笑えなくしてやるよ。」
ファヴ「雑魚が8人集まっても、本気を出したマスターなら楽勝pon♪」ケラケラ
クラムベリー「...そうですよ。しかし、こうして私たちの企みに気づいた8人が手を組んだのなら、これで
たま「え⁉︎」
トップスピード「もう戦わなくていいのか?」
少女マダラ「こいつの言うことを信用するな....このまま倒すのが1番。本気を出したところで、この人数には勝てないだろう。」
クラムベリー「さすがですね、うちはマダラ。確かにこの数の魔法少女は面倒です。でも、少し遅かった.......みなさん右腕を見てください。」
少女マダラ「⁉︎.......これは何だ?」
ねむりん「...取れない!」
幼女ユナエル「爪でも壊れない!」
幼女スイム「透過させてもついてくる...」
たま「穴が開かないよ⁉︎」
皆の右腕に白い腕輪がついていた。
クラムベリー「これは昔、魔法の国で死刑執行に使われた道具です。まぁ...魔力だけじゃなく、チャクラの吸い取りも可能なように調整はしましたが。...仮に腕を切断したとしても、別の部分に再生するので無駄ですよ。」
ルーラ「どうして急に出現したのよ‼︎」
クラムベリー「時計を見てください。今は日曜午前0時1分...。3週間目に突入したら、任意で装着できるシステムにしたんですよ。」
少女マダラ「今ここでチャクラと魔力を全て吸い取り、殺すつもりか?」
クラムベリー「そんなつまらないことはしません。ですが、戦わない者にはそうしますけどね。」
少女マダラ「どういうことだ...?」
ファヴ「説明するから、マダラとねむりんも降りてきて欲しいpon。」
ねむりん「わかった。」
ファヴ「マダラに対して素直になれたpon?やっと、チャクラのコントロールが出来たpon!ファヴはマダラの真似事をしていたから、心配していたpon♪」ケラケラ
少女マダラ「一度は負の感情に飲まれたが、この短期間でコントロールできるようになったのは凄いと思うけどな。」
ねむりん「マダラは優しいよ...」
(スノーとアリスのおかげだよ。...ありがとうね。)
少女マダラ「ファヴ...人を馬鹿にしないで、さっさと説明しろ。」
ファヴ「はいはい。もう全てを話すpon♪
僕とマスターの2人は、魔法少女の殺し合いが大好きpon。だから、結束されるというのはつまらないから、仲間どうしで殺しあってもらうpon☆抽選で選ばれた2人は、明日から2日間...つまり水曜日の0時までに、どちらかが死ぬまで用意した闘技場で戦ってもらうpon!
あ、期限を過ぎれば自動で吸い取られるし、選ばれた2人以外の誰かが殺されれば、殺した犯人も死んでしまうから気をつけるpon♪最終的に5人になれば満足pon。」
ルーラ「本当に狂ってる!8人になったら終わりじゃなかったの⁉︎」
クラムベリー「減らすしかないんですよ。」
ファヴ「アイテムの追加と魔法の略奪システム、闘技場作成、そしてこの腕輪の機能拡張に、この街の魔力のほとんどを使ってしまったpon♪」ケラケラ
トップスピード「ふざけんな‼︎マダラ、今倒そう!」
少女マダラ「...無理だ。」
黒ファヴ「マダラは賢いな。トップスピード...これ以上騒ぐと殺すぞ?」
トップスピード「‼︎...わ、わかったよ。」
少女マダラ「気になったのだが...クラムベリーにも腕輪が付いているのは何故だ?」
クラムベリー「私はあくまでも公平な殺し合いを求めているんですよ....こんな8対1じゃなくね。もちろん私が負ければ、戦いは本当に終わりますよ。」
少女マダラ「なるほどな...」
ファヴ「さっそく抽選をするから、端末を見るpon。」
端末の音声「抽選をするよ!」
画面の中には、可愛らしい箱を持った1人の天使が出現し、その箱から2枚の紙を取り出した。
リップル「ちっ...」
ミナエル「殺し合いなのに、こういう可愛らしい演出がムカつくんだよなぁ...」
ねむりん「みんなと戦いたくないよ...」
少女マダラ「...」
(ここで俺とクラムベリーが当たればいいんだけどな...)
クラムベリー「あら、残念♪」
幼女ユナエルとリップル「‼︎」
ルーラ「なんでこんなことになるのよ...」
少女マダラ「....」
たま「うう...」ポロポロ
ねむりん「こんなの絶対おかしいよ!」
ファヴ「団結したマダラが悪いpon♪まぁ、今日1日あるから、せいぜい修行に励むpon。あ、日をまたいでしまったけど、脱落者もお知らせするpon♪」ケラケラ
☆スノーホワイト
☆ハードゴア・アリス
☆カラミティ・メアリ
・地図に闘技場の場所を追加したよ。
・ねむりんは以下から魔法を1つ獲得できるよ。
☆持ってる武器をパワーアップできるよ
☆何もないところに壁を作り出せるよ
ねむりん「どうしてスノーとアリスの能力が無い?それにマジカロイドの能力も。」
ファヴ「2人は自ら死を選んだし、マジカロイド44のランドセルは壊れたpon。だからカラミティ・メアリが持っていた魔法しか与えられないpon!」
ねむりん「...わかったよ。ヴェスの魔法を貰う。」
(これで五大性質変化...全てを手に入れることができたな。)
ルーラ「こういうところはちゃんとしてるのね?」
ファヴ「ちゃんと決まりは守るpon☆」
クラムベリー「そうですよ。今回ねむりんを狙ったのは、8人になるまでキャンディ争奪戦を続けるというルールに則ったからですよ?まぁ...9人になり、1人は戦わなくてもいいようになりましたが。」
少女マダラ「そうか。もう用件は無いな?」
ファヴ「無いpon。」
クラムベリー「雪が積もってきたことですし...そろそろ帰りましょうか。」
豪雪地帯 名深市、日曜午前0時過ぎ。新たなデスゲームの幕が上がったのである。
続く
メアリ戦で弱った状態なのに、ねむりんはよく戦ったものです。
マダラに抱きしめられたねむりんは、幸福感を感じ、ついに負の感情を克服できました。
自分の匂いに安心する人がいるように、自分と同じチャクラも絶対的な居心地の良さ、安心感があるのでしょう。
このままクラムベリーを倒して大団円といきたいところですが...やはりまほいくの醍醐味は殺し合いですね。
書いてて悲しいです。