答えの表と裏   作:Y I

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ワールドトリガーにハマってしまい書き上げました!


あらすじでそれぽっいこと書いていますが、この作品が処女作です (笑)

誤字脱字が多発すると思いますが、暖かい目で見守ってください。



プロローグ

「なんなんだよ、こいつら…!」

 

 少年は一人呟きながら、全力で走っていた。

 

 空には黒い穴、地上にはそこから出てきた白い生き物――少年はまだ知らないが、それは白い生き物ではなく『トリオン兵』と呼ばれる兵器。――が人間を襲い、建物を破壊していく。

 その光景は少年の常識内には存在しないものだった。いや、見たことならある。しかし、それはアニメやゲームの中での話だ。なぜ、どうやって、など疑問は山程あるが答えはでない。

 

 しかし、『トリオン兵』を見た瞬間に勝てないという答えだけは出ていた。

 

 それからは周りで建物が壊されようが、人が殺されようが無視して化け物から逃げていた。

 途中「姉さんが死んじゃう!」と大泣きする学ランを着た男の人もいた。家族が埋もれてしまっているのか、壊れた家の瓦礫を素手でどかす女の子もいた。それらを見ても走ることは止めない。止めてしまったらあの化け物に捕まるから。死んでたまるか、その一心で走り続けた。

 

 どれくらい走ったかわからない。それでも目的地は決まっていた。とにかく家を目指した。そうすれば父さん、母さんがいるはずだから。

 そこの曲がり角を曲がれば家だ、というときに後ろからまたしてもあの化け物が現れた。あれに捕まったら終わりだ。そう思いピッチを上げようとした瞬間、

 

 

 

 目の前の女性が少年を化け物の方へ突き飛ばした。

 

 

 え?なんで?

 

 

 そんなこと自分でも答えは分かっていた。それでも信じたくはなかったが、女性が逃げながら嘲笑かと思われるほど歪んだ笑みを浮かべ、

 

 

 

「私が逃げるための身代わりになって」

 

 

 そう言ったのだ。

 

 やっぱりそうか、分かってはいた。だからといって取り乱さないわけがない。すぐ後ろにはあの化け物がいるのだ。逃げるために考えるが答えはでない。つまり助からない。

 それがわかった瞬間なにもかもどうでもよくなり、絶体絶命とは正にこの状況のことか、なんて余計なことを考えていた。

 ああ、ここで死んじゃうのか。やだなぁ。死にたくないなぁ。

 そう思っている内に、化け物は目の前まで迫り、鎌の様なものを振りかぶっていた。少年は目を閉じ、あとは死ぬだけと諦め、殺されるのを待つだけだった。

 

 

 しかし、いつまで経っても衝撃や痛みはこない。少年が不思議に思い目をゆっくりと開けると、

 

 

 

「……え」

 

 

 状況がまったくつかめなかった。

 目の前には少年を庇うようにして、鎌の様なものが突き刺さり、腹に穴が開いている男性と女性がいた。

 

 動揺して庇ったのが誰だか分からなかったが、その二人は少年の両親だった。

 

 両親と分かり助けようとするが、それより先に化け物に両親と共に近くの家に吹き飛ばされ瓦礫の下敷きになってしまった。

 

 衝撃に耐え、すぐさま両親を助けなきゃと思ったが、答えは既に出ている。それでも瓦礫をどかし、両親に待ってて今助けを呼ぶからと言い、その答えを認めない、違う、と否定するかのように行動した。

 しかし、少年の父親は少年の服を弱々しく引っ張り首を左右に振った。

 

「父さんも……母さんも……もう助から……ない……よ」

 

 父親の隣にいる少年の母親も首を縦に振る。

 それでも少年は止めない。そんなことはない。認めない。父親の言葉も、自身の出した答えも否定するかの様に瓦礫をどかす。

 

「お前……だけでも……生きて……くれ」

 

「!……1人でなんか嫌だ!」

 

 少年は学校でいじめられている。それでも両親が支えとなり今まで過ごしてきた。しかし、今その拠り所がなくなってしまうのかもしれないのだ。

 助からないと分かっていても、簡単には諦められない。少年にとって両親は心の支えだったから。

 

 

 

「いい加減に……しろ!! お前だけでも……逃げるんだ!!」

 

 少年は生まれて初めて父親に怒鳴られた。

 優しかった父親がここまで声を張り上げたことは、今まで見たことはなかったので気圧されてしまった。

 それでも「でも、でも…」と迷っている少年を、父親は抱き寄せる。

 

「頼む……お前だけでも……生きてくれれば……それで……いい」

 

「――ッ」

 

 少年は首だけ動かし母親を見ると、もう動けないのか横になった状態から動いていない。

 目が合うと、もう喋ることもできないのか、母親は微笑むだけだった。喋らずとも、あなただけでも逃げていいのよと言われている気がした。

 

 少年は涙が止まらなかった。

 両親と一生離ればれになってしまう悲しさ、両親を見捨てれば助かるという答えしか出せない悔しさ、あの化け物と自分を突き飛ばした女性に対する怒りなど、様々な理由で涙が止まらなかった。

 

 それでも少年は決めた、生き抜くことを。

 

 

「どお……さん……があざん……ごめん……なさい!」

 

「じゃあな……」

 

「……うん」

 

  最後に父親と言葉を交わし、少年は瓦礫から出て走った。

  このとき少年は既に心も体もボロボロだった。普通ならば直ぐに捕まり殺される。

 

 しかし、少年はどこから来るか分からない化け物が来ない道を選び続けた。

 

 

 

 ――右は直ぐに新しく出てくるから、左。

 

 

 ――右から飛び出してくるから、左の家でやり過ごして裏口から出て右。

 

 

 ――左右は瓦礫で道が塞がってるから、真っ直ぐ。

 

 

 

 

 まるで最初から()()が分かってるかのように。

 

 

 

 

 

 そしてある程度逃げたところで、突然頭が割れるような痛みが少年を襲い立ち止まってしまう。痛みで立ち止まったところを、後ろから追ってきた化け物に鎌の様なもので斬られてしまう。

 斬られる瞬間、痛みにこらえて前へ跳んだため命に別状はないが、動けるような傷ではない。

 

(頭が割れるように痛い。それに体が動かない……)

「まただよ…」

 

 本日2度目の絶対絶命。頭痛は激しい、体は思ったように動かない。

 それでも最後の抵抗と言わんばかりに、化け物を睨み付け、無意味と分かっていても動かない体に鞭を打ち石でも投げてやろうとした。

 

「――おっと、ストップだ」

 

 突如背後から声が上がり、少年は動きを止めた。

 少年の前に颯爽と現れたサングラスをかけた男は、刀の様なもので化け物の目を斬ると化け物は動かなくなった。

 

「大丈夫か?」

 

 化け物を倒した男は、倒れている少年に手を差し出すが少年は体が動かず手をとるどころか、首が動かせず男の顔すら見えてない。そして、その言葉で感情が爆発した。

 

「――全然大丈夫じゃない!! あの化け物とあの女のせいで父さんも母さんも死んだ!! 来るのが遅いんだよ!! そんな簡単に倒せるのに何してたんだ、ふざけんなよ!!」

 

「……」

 

 この男になにを言ったって両親は帰ってこないのはわかっているが、叫ばずにはいられなかった。

 

 そして、叫び終わった少年は糸が切れたかのように気絶した。

 

 

 

 

 

 * * *

 

 

 

 

 

 サングラスをかけた男――迅悠一は、先ほど姉を殺された少年のことを考えていた。

 

(未来が視えても良いことなんてないね……)

 

 先ほどの学ランを着た少年を〝視た〟とき『近界民(ネイバー)』を憎み、復讐に生きているのが視えた。さらには、自分も毛嫌いされていたのが視えたので、思わずため息をつく。

 

(今はこっちの少年か……あれ?)

 

 今さっきまで叫んでいた少年は緊張の糸が切れたのか、気絶していたので避難場所へ運ぼうと担いだときに異変に気付いた。

 

(未来が視えない? 今まではこんなことなかったのに)

 

 そう、なぜかこの少年の未来が視えないのだ。今までは顔を見れば未来が視えたのにこの少年だけは視えなかったのだ。しかし、迅は今考えてもわからないと思い忘れることにした。

 

 

 避難所へ向かおうとすると、少年が聞き取れるギリギリの声で、「父さん…母さん…」と寝言の様に言う。

 迅はもう一度ため息をついて

 

「やっぱりこのサイドエフェクトはつらいねぇ」

 

 そう呟き避難所へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 このとき少年の心は両親を失ったショックから自身を守るため()()になろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 




駄文でしかもグダグダなのに最後までお読みいただきありがとうございます!

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