ブレイブがグリフと交戦した場所へやって来たエンプレス。
エンプレス「ブレイブ、何処にいるの?」
エンプレスはブレイブを探した。そして、周りを見渡すと
エンプレス「ブレイブ、無事だったね!」
ブレイブの姿を見つけたエンプレスはブレイブに近寄ろうとする。だが、ブレイブに近づいた時、エンプレスは愕然とする。
エンプレス「ブレイブ、なんて酷い怪我をしてるの!?」
それは、衣装がボロボロになり、鎧の一部が壊れ、身体中に大量の切り傷や打撲傷を負い、腹部に大量の血が流れているキュアブレイブの姿であった。
キュアブレイブ「悪い。今回は強敵が居て苦戦してた」
何時もは軽口を言うブレイブがボロボロになったのを見て愕然とするエンプレス
エンプレス「そんな、ブレイブが苦戦される敵が居るの!?」
キュアブレイブ「居たさ。先程まではな」
エンプレス「けど、いつものように退けたでしょ」
キュアブレイブ「ああ。けど、置き土産をたくさん残したせいで、私はボロボロだ」
エンプレス「だったら、ブレイブもブルーのところへ来て!ここなら、怪我もすぐに治せるわ!!」
エンプレスはブレイブにブルーの所に来るよう薦める。しかし、ブレイブは拒絶する。
キュアブレイブ「そいつは無理だエンプレス。ここまで酷い怪我をしちゃ、ブルーでも治せそうに無いわ」
エンプレス「馬鹿言わないでブレイブ!らしくないこと言わないで!」
ブレイブ「分かってるさ。でも、自分の体は自分が知ってる。私も案外無茶ばかりしちまうからな」
エンプレス「どういう意味なの?」
ブレイブ「私は今までエンプレス達が見ていないところで戦っていたんだ」
エンプレス「もしかして、プロトジコチューの戦いに居なかったのは」
キュアブレイブ「エンプレス逹を無傷でプロトジコチューの戦いに専念させるためだよ。私は悪意を感知する能力を持つんだ。何せ私達は知らないところで恨みを買ってるかも知れないだろ。それにエンプレス達はこれからの戦いに必要なんだ」
ブレイブの告白に愕然とするエンプレス
エンプレス「その為に今まで一人で戦っていたの!?だからと言ってどうして私達に相談しなかったの!?」
ブレイブ「心配したくなかったからさ」
エンプレス「だからと言って一人で抱えないでよ!!なんでこんな事をするの!?」
キュアブレイブ「私なりの贖罪さ………私のせいで招いた過ちを………」
エンプレス「違う!!あれはブレイブのせいじゃない!!悪いのは、英雄願望にとりつかれた連中よ!!ブレイブ、貴女は悪くない!!」
キュアブレイブ「そうだな………でも、私のせいで恨む輩が居たのは事実さ………」
エンプレス「ブレイブ………」
エンプレスがいうと、背後からマジシャンとプリーステスが姿を現す。
マジシャン「エンプレス、ブレイブはどうしたの!」
エンプレス「ブレイブは………」
エンプレスはブレイブの状態をマジシャンとプリーステスに話した。
マジシャン「ブレイブが死ぬ!?嘘でしょエンプレス!!」
エンプレス「本当よ………ブレイブが自ら言ってたから」
プリーステス「ブレイブ、どうして!?ブルー様の所に行けば治る可能性だってあるのに………」
ブレイブ「済まない。私は今までみんなを巻き込みたくないために、一人で戦って来たから」
マジシャン「なら、私達にも相談してくれればよかったじゃないですか!同じプリキュアなら、なおさらですよ!!」
エンプレス「ブレイブは出来なかったの。ブレイブは次の世代である私達を死なせないために一人で戦ってきた」
キュアブレイブ「その為に今まで一緒にいられなくてごめんな三人とも。約束守れなくて」
エンプレス「ブレイブ、もう喋らないで!これ以上言ったら死んじゃうよ!」
キュアブレイブ「エンプレス、君は優しいな。エンプレスのようなプリキュアなら、プリキュアが歪む心配は無さそうだな」
マジシャン「けど私達は次の世代を任せるにはまだ早すぎます!」
プリーステス「ブレイブ、貴女はまだ生きるべきです。どうか、生きるのを諦めないで下さい」
エンプレス達はブレイブに生きて欲しいと強く言う。それを聞いたブレイブは
キュアブレイブ「まったく………簡単には死なせちゃいけないか………仕方ないか………エンプレス、マジシャン、プリーステス………私の所へ来て………」
エンプレス「ブレイブ?」
ブレイブに呼び出されるエンプレス達
キュアブレイブ「約束を破ったお詫びよ………受け止めなさい………」
するとブレイブはエンプレス達に向けて掌を向けた。すると、掌から暖かい光が放たれる。
エンプレス「この光は?」
エンプレスはその光を受けたことに驚くが、その光はすぐにやんだ。すると、エンプレスの頭に何かが流れる
エンプレス「これは?」
キュアブレイブ「私が今まで積んできた戦闘経験とか知識のビジョンよ。これで私の知識や経験は、未来のプリキュアにも伝わるわ」
ブレイブの言葉に涙するマジシャンとプリーステス
マジシャン「ブレイブ………貴女の想いが伝わってくる………」
プリーステス「ブレイブ………貴女が死んでも貴女の想いは未来のプリキュアにも伝わっていくわ」
キュアブレイブ「私の知識や経験はいつか未来のプリキュアにも生かされていく。そして私の想いと共にこれからのプリキュアに伝わってくれ」
エンプレス「ブレイブ………わかった、貴女の想いは私達の次の世代、そして、未来のプリキュアにも伝え続けるわ」
キュアブレイブは自らの知識や経験をエンプレス達に伝承されたのだ。それを見届けたブレイブは安心したのか思わず笑顔を浮かべた。
キュアブレイブ「これで、私がいなくてもプリキュアは大丈夫ね………けど、私にはまだやることがある」
エンプレス「ブレイブ、何をするの?」
キュアブレイブ「私の力を未来の見ぬプリキュアに託す為よ」
するとブレイブの手には虹色の宝石が具現化する。
マジシャン「これは………ブレイブクリスタル!!」
プリーステス「ブレイブが持つプリキュアの力よ!それをどうするの?」
プリーステスの質問にブレイブは答える
キュアブレイブ「私の力を、未来のプリキュアに託す為よ。だが、私の力は強大だ。一人で託すには危険だ。だから」
すると、ブレイブはそのクリスタルを10の破片に分割した。
ブレイブ「私の力を、10に分けて、それぞれに渡す!!」
マジシャン「そうか。プリキュアの力を分ければもしもの時に役立つ事もあるんだ」
キュアブレイブ「そういうことだ。そして、私の力よ!未来のプリキュアに託す!!」
そして、ブレイブが分けた破片はそれぞれの方向へ散っていった。
キュアブレイブ「これで、私の役目は終わったな」
エンプレス「ブレイブ……はっ、どうしたの?ブレイブの体に光が!!」
キュアブレイブ「どうやら私はここまでね」
ブレイブはいよいよ死期を迎えることを悟ったのだ。
エンプレス「ブレイブ、こんな形で別れるなんて……」
マジシャン「私達はもっとブレイブと一緒にいたいよ」
プリーステス「逝かないでブレイブ!!」
ブレイブが死ぬのを見るだけしか出来ないエンプレス達は悲痛な言葉で嘆いた。しかし、ブレイブはそんなエンプレス逹を励ます
キュアブレイブ「エンプレス、マジシャン、プリーステス、泣かないで。例え私が居なくなっても、私はエンプレス達、プリキュアの心の中で生き続けるわ」
エンプレス「ブレイブ」
キュアブレイブ「いつかエンプレス達も死を迎える時は来る。その時はいろんな事を話しましょ」
マジシャン「ええ」
プリーステス「その時を待っててね」
ブレイブ「ええ」
するとブレイブの体にある光の輝きが更に増す。
ブレイブ「お別れねみんな。けど、これはほんの一時の別れよ。もし、来世があるなら、今度はずっといたいな………私はプリキュアになった事に後悔していないから………」
ブレイブはいい終えるとエンプレス達に対し微笑みを浮かんだ。死を迎えるにも関わらず。
キュアブレイブ「みんな、ありがとう。そして、ごめんな」
そして、ブレイブは完全に光に包まれ
パリン!!
無数の光の粒子になって散り、消えていった。それを見たエンプレスは
エンプレス「ブレイブ………ブレイブ………ブレイブゥゥゥゥゥ!!」
ブレイブの死を看取られたのを見届けた後、ただ慟哭するように泣いた。
マジシャン「ありがとうブレイブ、貴女の想いは私達が受け継ぐわ」
プリーステス「だから、天国で見ててね。私達がプリキュアを導くのを」
そして、マジシャンとプリーステスはエンプレスに近づいた。
マジシャン「エンプレス、今は思い切り泣きなさい。辛いのは解っている」
プリーステス「けど立ち止まっちゃ駄目よ。その時は笑顔でいかないと」
エンプレス「マジシャン、プリーステス。ええ、泣いてたらブレイブが心配しちゃう。しっかりしないと」
キュアブレイブは散った。キュアエンプレス、キュアマシン、キュアプリーステスに想いを託して、そして、エンプレス達はプリキュア逹を導き、やがてエンプレス達もブレイブの所へ逝った。だが、エンプレス逹の想いを託した次代のプリキュアが導き、長きに渡り、プリキュアは様々な出来事を経験しながら、悪しき存在に立ち向かった。
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グリフ「ぐっ、僕はどうなった?」
そして
そして、物語は、新たなプリキュアが目覚める前の五年前へ