Solitude Art Online   作:自由気ままな人

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 ストックができたため少々早目に投下します。 
 また、オリジナルの防具が出現しています。パラメーターや名前はは違和感のないように設定しましたが、おかしいと感じた方は感想欄にお願いします。


第5話

 「……どういうことだ?」

 「ただ単純に話を聞いて欲しい。俺の考えていることを知って欲しいんだ。出来れば肯定して欲しいが否定しても構わない。」

 「分かった。………………………。」

 独り言が多いな。俺も人のことは言えないが。

 「俺はギルドを作りたいと思っている。」

 「……俺に入れと?」

 「作る目的をまずは聞いてくれ。俺がギルドを作る目的は死なないため、だ。」

 「死なないため?」

 「ああ、死んだらゲームオーバーだ。逆に考えると死ななきゃ安い。こう考えられないか?」

 「えーっと……?まあなんとなくは分かるような、分からないような。」

 「つまり、死にたくないからギルドを作るって訳だ。」

 「なるほどな。この時間まで狩っていたってことはフロアボスを攻略するのか?」

 「いや、攻略はしない。死なないようにするためだ。」

 「どこまでも一貫してるんだな。」

 ブレたらそれだけ説得力が無くなるし。

 「レベルが上がれば死ににくくなるだろ?人数が多くても同じだ。まあ多すぎれば油断を生むけど。」

 昼間の大学の食堂の騒がしさは異常だ、全く。便所飯するぼっちの気持ちがよく分かる。

 「それには完全に同意だ。リア充達は群れて五月蠅いからな。」

 あ、アハト俺と同じぼっちまたはそれに近い人種だ。オタク……かどうかの判別は難しい。

 「話が逸れたが簡単に言えばレベリングの協力とかレアイテムの収集補助、いざという時の戦力確保がギルドを作る目的だ。」

 「なるほど……目的は分かった。」

 

 俺は返事の時期を考える。

 「返事は今じゃなくていい。……そうだな、1週間あれば決められるか?」

 「いや、入る。」

  はい?

 「はい?」

 あ、思考と言動がシンクロした。ってそんなことを考えている場合ではない。

「いやその……決断が早すぎないか?」

 俺でも少しは考えるぞ。5分くらい。

 「囲まれた時、仲間がいれば楽だと思ったから。それだけだ。勘違いするなよ、アンタを信用した訳じゃない。」

 1日で信用されたら逆に怖い。とにかくこれで1人確保か、幸先良いな。

 「それでいい。俺もアハトを信用している訳じゃない、今は。俺は明日続きをするつもりだがどうする?一緒に来るか?」

 実付きがあの量だとするとレベリングに使えなくもないが1人だと事故る可能性もあるからできれば来て欲しい。実際アハトが対面させられた時はもっといただろう。よく生き残ったな。イエローって5割切るとだっけ。

 「……そうする。レンジがどういう人物なのか、信用できるに値するのかを知りたい。」

 「よし、じゃあ9時にここを出て戦闘しに行くぞ。それでいいか?」

 「大丈夫だ。また明日。」

 「ああ、よろしく頼む。」

こうして俺は眠りにつくことにした。

 

「ふう……。」

 水を飲んで一息つく。

 今日はいろいろあったな……。

 死んだら終わりのデスゲーム化にMPKの被害者に遭遇して共闘……はしてないな。

 お互いに好き勝手に斬ってただけだから助けたどころか共闘ですらないような気もする。

 無事だったからよしとしよう。それよりも気になることがある。

 「デスゲームにする目的……だな。」

 俺はベットに横たわりつつ考える。

 《ただ殺したいならあの場でアナウンスしてすぐに殺しているはず。なんならログインした瞬間に殺してもいい。

 そうなるとSAOの中に鍵があると結論付けていいだろう。鍵を見つけて欲しいから閉じ込め……デスゲーム化した。

 その鍵の内容……やはりゲームをクリアすることか。いやしかし、クリアさせるがためにこれはやりすぎだ。1万人を殺すなど大掛かりすぎる。

 ここまで殺すとなると……聖書の神や織田信長。1発で殺すという点では広島長崎の原爆も同じか。

 これを踏まえるとそんなレベルの罪を犯してまでSAOで見たいものがあるということ。

 だとするとゲームクリアは相当な難易度になると推測できる。

 いや、クリアだけに集中できていればまだいい。

 モンスターを押し付けられたりと人間も敵になり得る。現にアハトがそうだった。

 今後は直接殺される場合もあるのか……。殺人罪は適用されるのだろうか。正当防衛も成立するかどうかも怪しい。

 っと、考えが脇道に逸れた。茅場がSAOの中で見たいものを考えていたんだっけ。……情報としてはデスゲーム宣言の言葉だけ、か。》

 俺は目を閉じて言葉を思い返す。

 『プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ。

 私の名前は茅場晶彦。今やこの世界をコントロールできる、唯一の存在だ。』

 《最初の言葉はこれだったな。そして

 『私の世界へようこそ。』この言葉がヒントになるか?

 『この世界をコントロールできる、唯一の存在だ。』とあることからこの世界は茅場1人で作ったのだろう。嘘を付いている可能性はあるがこの際切る。

 この2つの言葉を結びつけると……私の世界…………SAOで見つけて欲しいもの…………私の世界に隠したモノを見つけて欲しい、と言う事か?

 隠したモノと…………………は………zzz》

 俺の意識は考えている間に消えていた。

 

 

 

 

 

 (朝、か……。)

 朝の日差しが目に沁みる。眩しい。

 今は……7時57分か。ゆっくり朝ご飯が食べられそうだ。

食べなくても平気らしいが体調に影響が出るとかどこかで聞いたから食べておいた方がいいな。今日も戦闘するし。

 アハトは起きているのだろうか。俺は扉を開けて下に降りる。はたしてアハトがいた。

 「おはようアハト。」

 「……おはよう。」

 眠いのだろうか。俺は寝起きは良い方だがアハトは違うのだろうか。

 「眠いのか?」

 「いや、考え事をしてた。」

 「そうか。」

 深くは聞かずに食べ始める。

 結局食べている間は食器の音が響くだけだった。

 

 「この辺……だったか。」

 「そうだったはず……いたぞ。」

 アハトがリトルネペントを見つけたらしい。

 俺達は同時に駆け出した。

 

 

 

 「レンジ、どうだ?」

 「いや、出ない。」

 あれから2時間ほど経過して俺達はポーションを飲んで一息ついている。

 実を割った訳では無いから2人とも8割以上残っているが念のため飲んだというところ。

 「レベリングしてるのか剣が欲しいのかわからないな。」

 そういえば短剣使いじゃなかったっけ……。

 「アハトお前短剣使いじゃないのか?」

 「売ればいい金になるしレベル上げになるかと思って受けた。」

 「あ、なるほど。」

 確かに金は大事だ。命より金なんていうことにならないといいけど。

 「実付きがいるけどどうする?」

 アハトが気が付いて言う。察知能力高いな。

 「割ってレベリングだ。」

 「OK、やるぞ。」

 ちなみに割った結果はレベルが6だったのが10に上がった。お目当ての胚珠もゲット。ついでにレアっぽい防具も見つかった。名前はロウブレザー。制服のブレザーを思わせるデザインで防御が+10、敏捷+1という防具だ。

 今装備しているのがクロスレザーの防御+7だから着替えるか。

 コンソールを開いて付け替える。デザインいいなこれ。色も濃紺と俺の好みに近い。ポケットがあるのもよし。モノが入るかは分からないがポーションとか入れられたら便利そうだ。アハトに声をかける。

 「アハト、そっちはどうだ?俺は片付いた。」

 「こっちも終わった。胚珠はまだだが。」

 「俺は落ちた。手伝う。」

 「サンキュ。ところでレンジが着ている防具はどこで手に入れたんだ?」

 「これはリトルネペントを倒している最中に手に入った。おそらくレアドロップだろう。」

 「落としてくれたらいいけど。」

 「アハトはまず胚珠を狙えよ……。」

 「それもそうでした。」

 軽口を叩きながら胚珠集め兼レベリング再開。

 

 

 その様子はまあ、『リトネペント逃げて!!』とだけ言っておこう。

 

 

 4時間後にアハトが胚珠をドロップしたので仲良く2人でアニールブレードを貰った。

 攻撃力は今までのより30ほど上がったからこれからの道中は楽になりそうだ。

 実付きは発見したら進んで叩き割ったためレベルも12に上がった。

 俺達は戦果を話しながら宿に戻った。

 


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