Solitude Art Online   作:自由気ままな人

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戦闘シーンです。
上手く書けているか不安ですがよろしくお願いします。


第4話

 「俺が左をやる。君は右を頼む。」

 「……。」

 返事は無いが気にせず俺はさっきと同じように駆ける。

 襲い掛かって来たらその時また考えればいい。

 リトルネペントは前に2体、その後ろに7体前後。腐食液に注意しつつ各個撃破と行くか。

 俺はスラントとホリゾンタルを使って前の2体を倒したはいいものの腐食液が真っ直ぐ俺に向かってくる。

 「まあそう来るわな。」

 バックステップで避けるものの掠めたらしく少しゲージが減り、足に不快感が走る。

 「……今のは横が正解だったか。」

 回避行動を取ったまではいいが焦って方向を間違えたらしい。

 俺は足に走る不快感に目を顰め、再びリトルネペントらに肉薄する。

 左から右に斜め右下から左上に、最後に突いて1体仕留める。

 突いた隙を狙ってか右前から飛んで来る蔓を左に飛んで避ける。

 避けたところにぽつんと1体いたのでバーチカルで斬っておく。

 あと5体。少年の方を見るとまだ6体いた。 

 余所見をしている場合ではない、早く片付けなくては。

 救援に向かうことに越したことはないのだから。

 集まっているので横一閃に薙ぎ払い、斜めに2体ずつ斬れるようにV字に斬って2体同時にポリゴンに変え、左の1体に向かって飛翔して斬り掛かる。続けて横一閃を繰り出して青片と散らせた。

 残り2体……スラントとホリゾンタルは使えるがバーチカルはまだだな。

 俺はダメージ覚悟でスラントを使い、蔦を1発食らった後にホリゾンタルを喰らわせて戦闘終了。

 ……じゃなかった、向こうが残っ……あ、終わったか。

 右にいた敵がいなくなっている。

 助けがなくても生き残ってたな、この分だと。

 「あ……ありがほうございまひゅっ。」

 ありがとうございますか?

 どもって聞き取りにくいが完全に聞き取れないほどじゃない。

 そしてスルーしておこう。経験上スルーした方が円滑に進む。

 そして考える。

 悪い奴ではなさそうだ、すぐに感謝が言える訳だし。

 ギルドに勧誘してみるか。

 今は要らなくても後半はどうしても人が必要になるし。

 声を掛ける事自体に意味がある。

 フレンドになってくれるだけでもありがたい。

 「圏内に戻ろう。疲れた。」

 と言うと少年は首を縦に振った。

 

 

 

 宿屋に着き、金を払った俺ら2人は部屋で話を始めることにした。

 幾分か落ち着いたところで少年の外見を見る。

 髪型は前髪が目に若干かかっており、なにより特徴的なのがピンと立っているアホ毛だった。

 顔立ちは整っているものの目が濁っているというか光が無い。

 ハイライトが薄いという感じがして顔立ちの良さを打ち消している。

 少年はあの様子だと喋らないだろう。

 だから俺から口火を切る事にした。

 「俺はレンジ。君は?」

 「……アハトです。」

 「敬語は要らない、俺も使う気は無いし。」

 「……分かった。」

 迷いつつも了承してくれた。

 俺は出会った時から抱いていた疑問を投げかける。

 「……ひとつ聞いていいか?」

 「……?」

 アハトは首を傾げている。

 あまり喋らないタイプなのか……?

 「リトルネペントに囲まれた経緯を聞きたい。」

 「…………俺が1人でリトルネペントを倒していたら実を割ったらしい他プレイヤーに押し付けられた。そいつがどうなったかは知らない。俺はここ……………………。」

 最後に何かを呟いたようだが完全には聞き取れなかった。

 俺はここ……?これだけだと分からないな。

 「……そうか。さ、あいや、何でもない。」

 災難だったなと言おうとしたが何か言ってはならないような気がした。

 アハトの雰囲気がそうさせたのだろうか。

 「まあ、アンタから見れば災難だろうな。」

 『さ』の一文字で読まれた?鋭い。

 「気を悪くしたならすまない。かける言葉が思いつかなくてな……。」

 「……俺も同じだ。」

 「もしかしてアハト、人と話すのが苦手なのか?」

 「ああ、苦手なんてものじゃない。……妹としか最近まで話してなかった。」

 「妹か。アハトも顔立ちはいいから妹さんも可愛いんだろうな。」

 「当たり前だ。嫁に出さないまである。」

 どうやらシスコンらしい。愛せる家族がいるのは羨ましいな。

 「妹さんのこと、大事にしてるんだな。」

 「ああ……。」

 そう言って一息つくアハト。心なしか沈んで見える。

 「裏切られたことがショックだったのか?」

 「いや、そんなことは慣れている。」

 裏切りをそんなことで済ませるか……日常で裏切られる回数が多いのだろうか。

「アハト。」

 俺は静かに語りかける。

「……何でしょうか。」

 雰囲気を察したのか敬語になるアハト。

 畏まる程の話ではないんだがなぁ。

 「俺と組まないか?一緒に戦うのが嫌なら話し相手になってくれるだけでいい。独りだと厳しいんだ。」

  アハトが苦虫を噛み潰した表情をする。

 「すまん。」

 「……そうか。」

 「誘ってくれたことには感謝している……だけど組めない事情があるんだ。話し相手ならまあ、付き合ってやってもいい。」

 「ありがとう。…………俺の話を聞いてくれないか?」

 コイツには話していいと思った。

 

 

 

 デスゲームを生き残るための方法を。

 

 

 


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