Solitude Art Online   作:自由気ままな人

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第3話

 俺はまず情報収集をしていた。キークエストなるものがあると転移の時に知り、NPCに聞いたところホルンカの村にあると分かった。

 そこに向かいつつ考える。

 (デスゲームになった以上、油断はできないな。

 敵はモンスターだけではない、人間もだ。

 誰が襲い掛かって来るかわかったものじゃない。

 あからさまに襲い掛かってくるような人間はまずいないだろう……よほどのバカじゃない限り。

 他のMMOのサイトを見た記憶だと油断させてから狩ることが多いらしい。

 近づいて来る人間には警戒した方が良いな。

 しかし警戒しすぎるのも禁物。

 仲間が集まらない。

 そして仲間がいないと厳しいのも事実。

 いざという時に力が必要だ。

 レベルもそうだし仲間もそうだ。装備もだし経験もだ。

 とにかくギルドを作ろう。入るのではダメだ。自由が利かない。

 コンセプトは……少数精鋭。裏切り者が怖いから少なくしておいた方がリスクは低い。

 レベリングを目標とするが攻略はしない。

 最前線はおそらく殺伐とするだろうし俺に集団を説得できる適正は低い。

 となるとコンセプトは自衛、か。)

 そこまで考えたところで村に着いた。何人かのプレイヤーとすれ違う。

 クエスト受注者だろうか。

 俺は急ぐことにした。

 

 

 

 俺はひたすら剣を振っていた。日が落ちた後もひたすらリトルペネントを斬っていった。

 「花つきを倒せばいい、実つきは危険。」

 と言われていたのでその通りに俺は相手をしていった。

 レベルが高くなれば壊してレベリングもできるんだがな。

 

 腐食液を飛ばされることもあったがその解決方法は簡単。

 『懐に潜り込めばいい』

  そうすれば無防備なリトルネペントを斬れる。

 

 

 

 「あふ……。」

 欠伸が出てしまったらしい。

 時計を見ると日付が変わる頃と言ったところか。

 こんな所で寝たらもれなく死ぬことが分かっているため戻ろうとしたところ、右の方にリトルネペントの大群がいた。

 その中に人が……1人。

 さては実を割ったな。

 「……狩っていくか。」

 これを狩り終わったら寝よう。目の前で死なれるのは流石に寝覚めが悪くなりそうだ。

 

 「多いな……。」

 俺は大群の中で戦っている人に向かいながらリトルペネントの大群を切り捨てていた。

 今の攻撃力だと通常攻撃で3発、ソードスキルだと1発というところだ。

 ソードスキルの硬直は無視できないため周りを見ながら使っていく。

 「はっ、ふっ。」

 自分自身の息遣いが聞こえる。人が危ないと言うときに楽しんでいる俺がいる。

 (今は楽しんでる場合じゃないな。)

 そう切り替え、俺は斬る。蔦が伸びてくる。横っ飛びで避けて斬る。

 (見えれば避けられる、当たらないなら安い。)

 俺のHPゲージは95%と言ったところ。カス当たりまたはガードしてるから減らないのも当然。

 何があるか分からないからソードスキルは使わない。

 囲まれた人……黒髪の少年もまだ大丈夫そうだ。ゲージはイエローに近いみたいだがあの様子だともう少し耐えるだろう。

 短剣を使って回避しながら切り裂いているようだ。

 その少年がこっちに気付く。

「何の用だ?アイツの仲間か?」

 いや、レベリングに来ただけです。これが終わったら帰りたいです。

 「仲間はいない。とにかくこの場を切り抜けるのが先決だ。」

 「……分かった。」

 俺は少年と共に数が大分減ったリトルネペントの集団に斬り掛かった。

 


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