サチの性格がキャラページや他の方のSSを読んでも把握できなかったため原作を購入しました。
しかし原作を読んでも今一つ理解が進みません。
読者様のイメージとブレてたら申し訳ありません。
修正します。
俺はキリト、自分で言うのもなんだが攻略組の双璧の1人だ。
もう1人は誰かって?セフィロスに決まってるだろ。
あの日、レンジ達は上に帰ったが俺はここ、黒猫団にとどまった。
それから2月が経った。
攻略組には悪いことをしたな……特にレンジには。
あの人がいてくれたから攻略組が荒れずに済んだんだな。
今までソロで好き勝手やって、かと言ってSOLに何も貢献することもなく防具の製作をスコールに頼んだりアハトと一緒にレベリングしたりとたくさん迷惑をかけたのに何一つ返せていない。
俺のやっていることは……きっと、いや絶対自己満足だ、これは。
でも俺は目の前にいるケイタ達を放ってフロアボスを攻略する気にはなれなかった。
そして俺がいなくなったせいか多少ペースは落ちたものの攻略は進んでいる。
時々様子を知らせるメッセージがSOLのメンバーから来るのもありがたい限りだ。
アスナは今日こんなことがあったよ、というほんわかな内容だがセフィロスはオレンジギルドを血祭りにあげたとかフロアボスを打ち上げてハメたとか物騒な内容を送ってくる。
レンジは会議の内容が主で専門性の高い論文を読んでいるような感じがする。
実際の論文がどんな感じかは分からないけどな。
でも生きて、元気でやってくれることがこんなに嬉しいことはない。
俺はこの2月で黒猫団のメンバーに実技知識問わず戦うために役立つものを叩き込んだ。
基本の立ち回りを始め、スイッチのやり方やソードスキルの運用方法。
スキルの種類や会得方法、ステータスの意味。
俺が覚えていてかつ基本的なことを徹底的に教えた。
レベリングは、半月許可しなかった。
俺を敵に見立て、完璧にできるようにするまで圏外に出す気がなかったからだ。
しかし訓練を受けたケイタ達は見違えるように強くなった。
だが……前衛は見つからなかった。
結局俺とテツオが前衛を務めケイタら4人が後衛に回っていた。
サチを盾持ち片手剣にしようと4人は言ったが俺が断固反対して両手槍を使わせている。
「今日も楽勝だったな!!」
テツオが口火を切る。
「これなら攻略組入りも夢じゃない。」
ケイタがそう返す。
「…………無理だな。」
水を差すようで悪いとは思ったがそう言わざるを得ない。
「どうしてだよ!!」
「……俺が前を支えている時点で無理だ。俺はいつまでもここにはいれない。」
……時期的にあと1月が限界だろう。
今が5月27日。現に7月から復帰するとすでに伝えてしまっている。
「攻略組に戻らないといけないのか……少しでもキリトに追いつけるよう頑張るよ。サチが前を支えてくれると助かるんだけどな。」
「……そうか。」
俺は複雑な気分だった。
死なすまいと教えればより死地に近づく。
今やっていることは正しいのか?
それじゃあ何もせずに放っておくのが正しかったのか?
どうすればいい?
何が正しい?
頭が、痛い。
「……すまない、部屋に戻らせてもらう。」
「「「お疲れ―。」」」
疲れた、今日は寝よう。
もう考えたくない。
とは行かないのが世の常。
サチが消えたとケイタに言われ、探すことになった。
反応がないから迷宮区だろうと全員が駆けだしてしまい、一応俺はフィールドの探知不能な場所を探すと言って宿屋に戻り追跡スキルを発動、追跡を開始した。
サチの部屋の前から足跡を辿った結果、主町区の外れにある水路の入り口で足跡は消えていた。
下が水場のせいだな。
ここからは索敵スキルの出番か。
俺は目を閉じて集中する。
水音がよりそれを際立たせる。
(……こっちか。)
俺は水路を入って右に曲がった。
(………………。)
しばらく道なり、左、右、真っ直ぐ、左。
入り組んだ水路を迷わずに進む。
(……この辺にいるはずだが。)
辺りを見回すと黒い塊が動くのが見えた。
「…………サチ?」
「キリト?……どうしてこんなところが判ったの?」
隠密性を持つマントを被っていたから聞いたのか。
「……索敵スキルを使ったんだ。上げてるから隠密を突破できたんだ。」
追跡スキルを使ったとか言うとストーカー扱いされそうだから索敵スキルでごまかした。
黒の剣士、ストーカー行為!?とかと新聞に載るのは嫌すぎる。
「そうなんだ……。」
そう言ったきり、沈黙が続いた。
俺は迷った挙句ありきたりな言葉を紡ぐ。
「……みんな心配してるよ。迷宮区に探しに行った。早く帰ろう。」
やはり言葉が返って来ない。
まあこんなことで解決するようなら最初から宿出なんてしないか……。
言葉をかけて1分が経ち、2分が経つ。
まだサチは言葉を発しない。
(落ち着け……話すのを待つんだ……。)
俺はサチが出て行った理由を何も知らない。
推測もできない。
だから俺はサチの隣に座って待つ。
5分……体感時間は30分くらいだろうか、サチが言葉を発した。
「ねえ、キリト。一緒にどっか逃げよ。」
「逃げる……か。」
俺は……逃げてばかりだ。
死から……攻略から……周りが死ぬ恐怖から……。
「俺も……逃げたいよ。」
「……じゃあ。」
「でもさ……逃げてたら……俺はダメなんだ。だって俺は『黒の剣士』だから。」
その二つ名が俺をどうしようもなく縛る。
だから俺はひたすら剣を振る事しか出来ない。
「俺は、死から……攻略から……周りが死ぬ恐怖から逃げたい。サチは……何から逃げたい?」
俺はもう、逃げられない。
だけどキミは……逃げられる。
はじまりの町に、まだ。
「私は……この町から、黒猫団のみんなから、モンスターから、……SAOから。」
前3つは逃げられるけど……最後のは、逃げられない。
さっき言ったことと合わせると……。
「俺と、心中したいってことか?」
何故かその言葉が澱みなく出て来た。
「……私に死ぬ度胸があれば、そうしたのかもしれないね。」
悲しげに笑う。
「サチは……死にたいのか?」
胸が、頭が、いたい。
いたいいたいいたいいたいいたい。
「……………死にたくない。死ぬのが怖いの……。戦いたく…………ないの。」
痛みで言葉が上手く聞き取れない。
くるしい。
でも、決してそれを悟らせは、しない。
目の前の女の子を、死なせは、しない。
「眠れないの。それで考えるの。なんでこんなことになったんだろうって。なんでゲームから出られないの?なんでゲームで死ななきゃならないの?なんで茅場って人は何を考えてこんなことをしたの?こんなことに……なんの…………いみ………………が………………。」
……俺も聞きたい、聞きたいよ。
なんでこんなことになったんだろう。
なんでゲームから出られないんだろう。
なんで死と隣り合わせにいなきゃならないんだろう。
なんで茅場はデスゲームにしたのだろう。
こんなことになんの意味があるのだろう。
俺には分からないよ、サチ。
ごめんな。
女の子が涙を流して泣いている。
なのに俺は……何もできないのか。
またか、またなの……いや、できることはまだあった。
「……逃げよう、サチ。俺だけではキミを守れない。だから、俺と一緒に来てくれ。守ってくれる人に心当たりがある。」
俺は……無力だ。
「それは、誰なの?」
「solitudeという超一流のプレイヤー達が所属しているギルドだ。そこに保護を頼む。俺はそこの団長と親しいから頼めばなんとかしてくれると思う。」
「本当に?私は死なない?現実に戻れるの?」
俺はサチの涙目をしっかりと見て言う。
「ああ、死なない。俺がなんとかする。」
土下座と200万弱のコルでなんとかなるだろうか……。
そう考えていたら不思議と胸と頭の痛みは治まっていた。
サチはパーティとギルドの脱退をして現在の最前線である25層に向かった。