サチの使用武器ですが、ミスです。
原作を読み落としていました。
キリトと出会った時点ではまだ両手槍でした。
時は星が瞬く夜、俺達8人は宿で話をしていた。
「整理する時間を取ってくれてありがとう。アドバイスを整理するから順次話していく。」
「単刀直入に言う。黒猫団が攻略組に上がるのは難しい。」
まあ不可能ではないがな。
「そうですか……。」
「スキルの使い方が甘かったり、装備やレベルが足りないのはなんとかなる。スキルやステータスもまあ情報が出回ればいけるだろうが……。」
「致命的なものがあるんですか?」
「ああ、サチだ。」
「……私?」
「このままだと死ぬ。間違いなく。」
「どういうことだよ!!勝手な事を言わないでくれ!!」
「落ち着けテツオっ。……それはどういうことですか?」
「……戦う事に重度の怯え、恐怖が見受けられる。その原因はデスゲームになったこと、つまり死そのものだと推測できる。」
俺が推測を述べる。
「死、ですか?」
俺は黙って首を縦に振る。
「そんなこと……。」
「そんなこと……そんなことで済ませるなぁっ!!!!」
キリトが叫ぶ。
1層のことを思い出したのだろう。
俺も死をそんなこと扱いしたくないな。
「……っク、すまない……。続けてくれ。」
あの時の蒼片がまだ消えないのだろう。
だから無茶なレベリング、ソロ討伐がやめられない。
一歩間違えれば死ぬようなレベリングスポットを3日連続寝ずに回れるのもそれだろう。
万が一他のプレイヤーが間違えても助けられるように。
死なせないように。
「今のは……?」
どう説明したものか……。
「………………人が死ぬのを見たくないんだ、俺達は。」
俺は思った事そのままを言う。
「でもほとんどのプレイヤーの死に目には立ち会えないんじゃ……?」
「1層に生命の碑があるだろう。あれの横線が増えるたびに俺達は考えてしまう。」
救える方法はあったのではないか、死ぬにはまだ早い、とかな。
俺がやむを得ず殺してしまったプレイヤーもデスゲームになってさえいなければまっとうな人間になっていたのではないかとも考えてしまう。
ただしPoH、お前だけは殺す。
根拠が薄いが何か大事を起こしそうな気がするのだ。
その根拠も攻略組が狙われるというものでしかないから杞憂で終わってくれると助かる。
「だからこれだけ言っておく。命を大切にしろ。自分のだけじゃなく、周りの友人の命もな。攻略なんてやるものじゃない。」
命を張った賭けに100回勝たなければ出られない。
失敗すれば死ぬ。
分が悪すぎるのだ。
「どうしても攻略組に入りたいなら止めはしないが。こっちとしても2つしか主力ギルドがないから戦力が欲しいところだが……無理をする必要はない。」
現在攻略組と言われる人数はSOLとDOA合計で70人弱。
キバオウら解放軍もたまに来るから弱が強になったりもするか。
それで攻略組候補となっているギルドが6つで約250人が準攻略組と言われている。
んで……攻略組に入れるかどうかの話だったな。
「実力的にサチ以外の4人はまあ経験を積んで装備を整えれば攻略組に入るのは不可能ではない。センスがあるかどうかまでは分からないがな。装備はどうしている?」
「えーっと……その……ギルドホーム購入を考えてて装備を後回しにしているんですよね……。」
「サチさんのことを考えるとホームが優先よね、団長。」
「そうだな……安心できる場所作るというのは重要だ。ちょっと前に睡眠PK未遂事件があったからな。」
ちなみにこの事件、最初に狙われたのがたまたま下層に来ていた攻略組のメンバーだったため未遂で済んだのだ。
だが被害者は睡眠障害を患ってしまったようだが。
「もう少しで貯まるのでそれを買ったら装備を整えます。」
「そうした方がいいわね。予算が許すならプレイヤーメイドの防具もいいと思うわ。特殊な効果が付く場合があるのよ。失敗作でよければあるわよ。」
能力値アップとか単純に有効なものもあれば歩行速度1.1倍とか微妙なものもあればソードスキルの後隙時間を0.8倍にとか壊れてるものと様々な能力がつくのだ。
失敗作というのは要求値に届かなかったり特殊能力が微妙なものだったりというモノで高く売れないし装備できないしという処理に悩む。
「あ、ありがとうございます!!」
それでも中層プレイヤーからすれば喉から手が出るほど欲しい性能ではあるのだがな。
11層での店売り最強が+68でスコール作の失敗防具が+130前後と考えると相当違う。
特殊能力もあるからモノによれば+150前後にまでなる。
ダメージ5%カットとかどう考えても強い。
「それでもサチには戦闘させない方がいい。お前らはか弱い少女を壁にして攻略組に入る気か?」
「……………。」
「…………………。」
「………………………。」
「……………………………。」
誰か一人くらい反論してくれよ……やりにくいじゃねえか。
「と、言う訳でサチは後方支援に置いておくことを勧める。ポーション製作や裁縫などが会得しているプレイヤーが少ないぞ。」
プレイヤーが作ると少量とはいえ一定量を即座に回復するため緊急時の使用により優れているのだ。
裁縫は軽装の防具や普段着を作るスキルであり、キリトが猛烈な勢いで熟練度を上げている。
「……今一度、5人で考え直してみます。」
「それがいい。他にも攻略組に入りたいと言っているギルドがあるんだがレベルや装備が足りてないから揃えてからまた来てくれって言っているくらいだ。よく話し合ってくれ」
俺達は翌日最前線に戻ったがキリトは残ると言い、数日後黒猫団に入るからフロアボス攻略を休ませて欲しいとメッセージが来た。
俺はそれに許可を出した。
最近のキリトは頑張りすぎだし、下層でゆっくりやらせた方がいいだろうな。
ちなみに攻略組でもキリト休養に対して反対意見はゼロだった。
変態剣士がとうとう休んだ!!
とか言われる始末だった。
実際外に漏れたら騒ぎになるため黒の剣士、ペースを落とすという感じにしたが。
次話からキリト視点になります。
主人公がますます空気に……。