Solitude Art Online   作:自由気ままな人

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 戦闘時のBGM変更はオリジナル設定です。
 あと1層に比べると短めに終わっています。


第16話

 2日後 ボス部屋前―――――

 

 

 

 「まずは陣形を整える。BD隊は前に。EH隊はフォローにいつでも回れるように準備。CG隊は取り巻きに。キリトはボスに、セフィロスは取り巻きを。アスナとスコールは万が一の時に待機。」

 「「「「「おおーーー!!!!!」」」」」

 伝えるべきことは簡潔に、速さが命だ。

 ボスの位置取りは真ん中にバラン・ザ・ジェネラルトーラスがいてその右斜め前にナト・ザ・カーネルトーラスがいる。

 真っ先にC隊が前に出てナト・ザ・カーネルトーラスに攻撃を始めてヘイトを向けさせる。

 そしてB隊がバラン・ザ・ジェネラルトーラスを挑発し、ナト・ザ・カーネルトーラスから引き離す。

 そうするのは不意打ちを防ぐのとスタン効果を30秒以内に2回連続で食らうと麻痺するため、そうならないようにという目的もあった。

 「あの技だが飛んでいればスタンはしない!!予備動作を見たら備えろ!!」

 キリトがそう言って飛び回って斬り掛かっている。

 相変わらずソードスキルの火力が1人だけおかしい。

 1人でもう1/5ほど削っている。

 ちなみにアタッカー全員で1/8削っていると考えるとキリト本人のセンスが優れているのもありそうだ。

 ちなみにナト・ザ・カーネルトーラスは2本あるHPバーのうち1本目の1/4ほど削れている。

 セフィロスがいるもののキリト達ほどトータルの攻撃力が高くないらしい。

 まあ攻撃寄りの隊ではないし安全を優先させているため仕方が無いといえばそうか。

 死亡者が出なければいいし。

 俺は卓越した能力を持つ4人に指示を出すと共にスタンしたプレイヤーがいないか目を凝らしている。

 指揮官を任されている以上前に出ず冷静に戦況を分析し、戦況に合わせた指示を出す必要があるのだ。

 他パーティのHPゲージも目を合わせれば確認することができる。

 「アルト、そろそろイエローに落ちるからアタッカーはスイッチを。」

 こうやって指示を出すことが可能なのだ。

 ……キリトは相変わらず攻撃力がおかしいな、戦闘が始まって3分くらいしか経過していないのにもう1本目を割るぞ。

 取り巻きはやっと半分削ったかどうかなのに。

 少し調節させるか。

 「キリトは下がってくれ、取り巻きを先に撃破したい。セフィロスも下がって一旦回復。スコールは取り巻き、アスナはボスに。」

 「「「了解。」」」

 「分かったわ。」

 ヘイトはタンクに向いているため比較的安全に下がることができた。

 火力お化け2人が戻ってくると同時に素早くもう2人が前に出る。

 火力の高いスコールに取り巻きの相手をさせる。

 これはボスの発狂時に取り巻きがいると危険だからその前に撃破したいためだ。

 キリトを取り巻きに回したいが誰かが麻痺した場合に出る人間がsolitudeからも欲しいから待機させざるを得ない。

 現在バラン・ザ・ジェネラルトーラスは1本目の8割を削っている。

 スタン者はいるものの麻痺したプレイヤーはまだいない。

 スタン者を追撃しようとしているところをエギル隊に新しく入った金髪のプレイヤーが斧でハンマーを弾いてるのが見える。

 ナト・ザ・カーネルトーラスも1本目が残り3割と言ったところだ。

 こちらもスタン者はいるが麻痺したプレイヤーはいないようだ。

 取り巻きを相手にしている隊も随時スイッチをしてスタンの復帰やHPの回復をしているため心配は少ない。

 っと、アスナのHPが危ないな、下げるか。

 タンクの近くにいたのと後隙を狙われてしまって結構減らされたらしい。

 「アスナは下がって回復。セフィロス、攻撃を控えめにして前に出てくれ。まだ取り巻きの倒せる目途が立ってない。アタッカーはそのままのペースで攻撃。」

 「はいよ!!」

 「分かったわ。」

 「心得た。」

 三者三様の返事が返って来る。

 スコールはまだ大丈夫な模様。

 壁を蹴ってナト・ザ・カーネルトーラスを蹴って斬ってと1人だけ何か違うゲームをやっている。

 空中でソードスキルって使えたのか……浮きながらカタラクトを発動して斬っている。

 後で聞こう。

 「キリト、どうだ?」

 「ああ、行動パターンはやはり雑魚と変わらない。今のところは、だが。そして麻痺しなければ死者が出る可能性はほぼ0だ。防御の低いアタッカーで綺麗にソードスキルが当たってもイエローで済むくらいだから追撃させなければ大丈夫だろう。」

 「分かった。麻痺しないように、だな。後、全力で取り巻きを攻撃して欲しい。ボスが発狂した時にはお前の火力が頼りだ。」

 キリトは頷いて取り巻きの方を見始めた。

 HPは……全員まだ大丈夫か。

 というかスコールのHPが全く減っていないのだが、全て回避しているのか?

 掠っても割と減るんだがな、フロアボスだと。

 そういえばセフィロスも1発掠めただけだからあの2人は何かがおかしい。

 下がった時に念のためなのかポーション飲んでたけど。

 そして考え事をしていたら状況が動く訳で。

 現在バラン・ザ・ジェネラルトーラスは2本目の5割、全体で言うと丁度半分を削り、ナト・ザ・カーネルトーラスが2本目の残り4割か。

 これなら3本目に入る前にナト・ザ・カーネルトーラスを倒せそうだ。

 ここまで危険がないと1層に比べれば拍子抜けしそうだが油断はできない。

 7人の死者を出した事を忘れてはならないし、麻痺で総崩れと言う事もあり得るのだ。

 セフィロスも相変わらずおかしい。

 天躯を発動して空中に飛び上がったと思ったら地閃を発動して地上にいる。

 スキルのクールタイムの間でも通常攻撃でハンマーを持っている手や頭を狙ったりするから攻撃をキャンセルさせることもあり、一斉攻撃をかける回数が多い。

 これは味方の保護にも繋がっている。

 当たらなければ死ぬことはないのだ。

 「リンド、キバオウ、大丈夫か?」

 ちょうど2人が下がって来たので尋ねる。

 「こっちは大丈夫だ。麻痺したプレイヤーは俺のとこには一人もいない。キバオウの方にはいたみたいだがうちのプレイヤーが上手くフォローしてくれたみたいだ。」

 「それは恩に着るで。こっちも大丈夫や。6割を切ったら下げているから火力はあんさん達のパーティには負ける。でも安全第一や。1層でまさか7人も死ぬとは思わなんや……ディアベルはん……ワイはアンタの最期の意思を継ぐで。」

 どうやら新聞に書いてあったことを見てビギナーとベータの融和に納得しているみたいだ。

 「お、ナト大佐が倒れたみたいだ。止めはアンタのパーティーだ。」

 ナト大佐……ああ、ナト・ザ・カーネルトーラスのことか。

 「これで挟まれることはないんやな?よし、G隊を休ませてボスに備えさせるで。」

 「ああ、そうしてくれ。2隊体勢は最後まで変えない。発狂した時に備えたい。」

 「分かった。うちのC隊も回復させて備えさせよう。LAボーナスは無理に欲しがるものじゃないし後でアイテムでも要求させてもらうことにするよ。」

 なかなか強かだな、まあそうじゃなきゃ生き残れないか。

 「生きていたら、の話だぞ。今は集中してくれ。」

 さて、状況は……ナト・ザ・カーネルトーラスが倒れ、バラン・ザ・ジェネラルトーラスは2本目の9割が削れている。

 スコールも戻ってきて体力を……回復させていない。

 そもそも回復させる必要がないとも言うが。

 「そろそろ3本目か……スコール、どう来ると思う?」

 「会議の予想であったもう一体増えるというのは控えが多いからまだ対応は可能だろう。素手にならず武器の持ち替えがあったりすると危険かもしれないが。」

 それならば……キリトとスコールをボスに当てて削り切ってもらい、早いセフィロスとアスナで救助を担当。

 場合によっては俺も救助だな。

 「キリトとスコールはボスに行ってくれ。アスナとセフィロスはそのスピードを生かして補助に回って欲しい。セフィロスには申し訳ないが何が起こるかが分からないから頼む。」

 「よし、やってやるぜ!!」

 「了解だ。」

 「キリト君が心配だけど……。」

 「ククク…………この刀が騒がしい。まだ斬れる相手がいるようだ…………。」

 すまんアスナ、火力が足りないから希望に添えないんだ……。

 あとセフィロス、少しは緊張しろ。

 そして厨二病か、大人なのに。

 とか考えている暇はなくなったようだ。

 2本目が削り終わってバラン・ザ・ジェネラルトーラスがハンマーを折って投げ捨てたのだ。

 ここまではガイドブック……ベータ通りなのだがここからが違った。

 もう1体巨大な敵が出て来たのだ。

 名前は……アステリオス・ザ・トーラスキング。

 王の名が示す通り目を引くのがその巨体と6本のHPバーだ。

 予測していた通りの展開だがここまでHPが多いと本隊へ危険が及ぶ。

 そして本隊の方にも動揺が伝わっている。

 ならば、

 「落ち着けっ!!本隊は予定通りボスを。新手を相手するのはCGと俺達だ。キリトは本体の指揮を。Cは新手の前に!!GはCの危険に備えて後ろに!!セフィロス、アスナ、俺と共に来てくれ。新手を引き付けるぞ。」

 キリトに本隊を任せて俺達はアステリオス・ザ・トーラスキングと向かい合った。

 そして近づいてきたアステリオス・ザ・トーラスキングは大きく息を吸い込み始めた。

 おそらくはブレス攻撃。

 きっと麻痺効果を持つのだろう。

 幸いにも全員それなりに距離があるから回避可能だ。

 「下がった方がいいな、あれは。」

 「ブレスって衝撃波と似てるよな。」

 他の隊も危機を察知して下がっているようだ。

 「跪け。頭が高い。」

 しかしセフィロスは前に飛び出して天躯で高度を稼ぎ、頭の王冠に刀を突き刺した。

 アステリオス・ザ・トーラスキングが絶叫をあげ、前のめりに倒れた。

 両手でなんとか体を支えている。

 (……?)

 セフィロスを見るとアステリオス・ザ・トーラスキングの頭の上でメニユーを操作し始めた。

 セフィロスがメニユーを閉じると勇猛なBGMが何か恐怖を感じさせるBGMに変わったのだ。

 「絶望を贈ろうか、無様な王よ。」

 倒れ込んでいるアステリオス・ザ・トーラスキングの頭に滅多突きを放つセフィロス。

 そして倒れ込んでいるのをいいことにCG隊とアスナと俺が一斉にソードスキルを叩き込む。

 消し飛ぶHPバー。

「無様に倒れろってんだ!!」

「人間様のお通りだーヒャッハー!!!!」

 巨体なせいか復帰までに時間がかかり、全員が2回ほどソードスキルを叩き込んだおかげで6本あったHPバーがもう2本消えていた。

 体力バカって事か。

 「頭が弱点だ。セフィロス、頼むぞ。」

 「フッ。」

 「よし、セフィロスさんを援護して全体攻撃だ!!」

 「「「「「おおうっ!!!!」」」」」

 CG隊が攻撃を引き付けてセフィロスが自由に動けるようにしようとしている。

 が、その努力は実らない。

 ヘイトの差が、縮まらない。

 本人は拳を刀でいなしていてほぼ無傷だがこれでは頭を攻撃できない。

 天躯で飛ぶにしても壁を使って飛ぶにしても予備動作が必要なのだ。

 「後ろの尻尾に気を付けろ!!横から攻撃するんだ!!」

 C隊の誰かが攻撃を喰らったようだが無事なようだ。

 「大丈夫か!?」

 「ああ、防御したから大丈夫だ。」

 「念のため回復しておけ。」

 「分かってるって。」

 ようやくセフィロスからヘイトが逸れ、その瞬間銀の天使が天を駆ける。

 そして天使は王を地に堕とす。

 「よし、G隊も行け!!」

 「「「うわああぁぁ!!」」」

 何か分からない掛け声とともに怒涛の攻撃が地に伏せた王に襲い掛かる。

 「フロアボスを倒した!!後はコイツだけか、何をすればいい!!」

 キリト達がバラン・ザ・ジェネラルトーラスを倒したらしく、こちらに加勢してきた。

 「一斉攻撃だ!!王を殺せ!!」

 誰かが勝手に指揮を出す。

 勝手に出さないでくれませんかね。

 「「「「「「「「「「○○○○○○○!!!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」

 もはや声にならない声を上げて全員突撃して行く。

 俺の声は無残にもかき消された。

 レイドのほぼ全員で全身を斬られ、殴られているためなかなか起き上がれない。

 起き上がったとしても即座にセフィロスが頭を串刺しにするためすぐに倒れて何もできない王。

 俺は何か変な動きがないか観察しながら攻撃をしていたが、その必要はなかった。

 そしてそんな怒涛の攻撃に長く耐えられる訳でもなく王はほとんど何もせずに散って行った。

 

 

 

 2層のフロアボスが撃破されて盛り上がるのを見ながら俺とキリトは話していた。

 「キリト、発狂時の犠牲者はいたか?」

 「麻痺者は2人出ちまったけど死人はいない。あの金髪のプレイヤーがフォローしてくれて助かった。」

 「良かった……それじゃあまとめるか。」

 「ああ。」

 俺は前に出て声を張った。

 「全員、聞いてくれ。」

 俺の言葉を聞いて場が静まる。

 「今回の戦い、犠牲者が出ずに終えることができた。これは全員の働きがあってこそだと思う。しかし、今回犠牲者が出なかったからと言って次も出ないとは限らない。だから準備を怠らず、慢心せずにこれからも行こう。」

 「ちょっとええか?」

 「キバオウか、なんだ?」

 「ワイさ、1層のフロアボス戦に参加できてないんよ。それでディアベルはんに黙祷をしていないんや。だからその機会が欲しいんや。」

 「分かった。そうだな、1層の悲劇を忘れないようにフロアボス攻略後には毎回黙祷を捧げよう。いいか?」

 「そうだな、慢心してはダメとどこかの正規空母も言っていたよな。」

 「ミッドウェーの悲劇ならぬ、第1層の悲劇か。」

 「慢心した者から死んでいくと言う訳か、今回の最期の総攻撃も危なかったかもな。」

 「近くで見てたから分かるけどレンジがよく見てたからその心配はないだろ。」

 「それを慢心と言うんだよ。」

 「そうだったな。」

 「話している所悪いが黙祷を捧げたいと思う。総員、黙祷!!」

 俺達は1分の黙祷を捧げた後、アイテムの分配をしてこの場は解散となった。

 ちなみにLAボーナスはキリトが獲得したらしい。

 ランスオブスリットと言う二股に別れた両手剣でキリトには使えないのでスコールと交換するとか言っていた。

 その時のスコールは少し驚いた顔をしていたのが印象に残った。




 セフィロスが流したBGMはもちろんアレです。

 そしてLAボーナスもオリジナルです(長くなるので最初に簡単なステだけ書いておきます)。


 攻撃力110~130 重さ200 要求値15 耐久値1000 追加効果 防御+10 敏捷-3
 斬る瞬間に持ち手にあるスイッチを押すと刃が振動して攻撃力が1.25倍になる。






 詳細
 重さが200 (1=10gで計算。これはちょうど現実世界の重さで2kgを表す。鍔迫り合いなどに影響。重いほど有利になりやすい)。
 斬撃タイプ (部位の切断が可能。ちなみに打撃タイプは頭に一定回数攻撃を加えるとスタンするという扱い)。
 要求値 15 (レベルがこれ以上であれば装備できるという扱いとします)。
 耐久値 1000 (基本3回斬るごとに1消費。壁に突き刺してぶら下がったりと手荒な扱いをすると武器により1~30秒に1ずつ消費。砥石で応急な回復が可能であるが本格的に回復させるには鍛冶をする必要がある。)。

 
 
 現在艦これはE-3の戦力ゲージを削っています。
 なのでまだ書く時間が取れません。

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