……バトルシーンが書きたい。
そしてカタナがエクストラスキルであり、曲刀カテゴリの派生だという設定を見落としていました。
この小説では普通のスキル扱いであり、1層でもカタナ系武器が店売りされているという設定でお願いします。
また、ユニークスキルのアンケートにつきましては0件だったため、出て来るまで非公開という扱いにしようと思います。
希望があれば設定集に投稿しようと思います。
第14話
ボス戦の翌日、パーティを組んだ俺達6人は休養も兼ねて第2層の宿屋で新聞を読んでいた。
「なかなか良く書けているな、この新聞。」
「ええ、『黒の剣士、誕生!!』ってあるわ。写真まであるわよ、ほら。」
「滅茶苦茶恥ずかしいんだが……。」
「俺がこんな風に書かれていたらフロアボスにソロで特攻するまである。」
「私も書かれてみたいものだな。」
「アンタ、騒がしいのは好きじゃなかったのか?」
「フッ、たまには騒がしいのも悪くない、ということだ。」
スコールとセフィロスは通常運転。
「ああ、平和だ……。」
そして俺は久しぶりにゆっくりと過ごしていた。
戦闘戦闘戦闘と、戦闘ばかりだったから銭湯に行きたくなるくらいには銭湯……じゃなかった、戦闘したな。
……広い風呂はないかな、露天風呂とか。
「他にはディアベルさんの最期が書かれているわ。」
読んでみない事には始まらないのでアスナから新聞を受け取って読み始める。
号外扱いで昨日の今日だから表一面しか印刷されてないが、記事の組み方が立派に新聞の体裁を整えていた。
やはり目立つのがキリトの記事だ。
右上に黒の剣士、誕生!!と大きく書かれており、ボス戦での鬼のような活躍が書いてあった。
えーっと……左上はディアベルの最期についてだな。スコールがでっち上げたストーリーを元に、書かれている。
かなり美談になっているが実際はディアベルが陣形を崩して5人殺したようなものだからな……現実はこんなものだ、 誰も言及してなかったが。
んで右下から左下にかけて戦闘開始から終了までの戦況が書いてある。
2本目の削り途中に死者が出た事はもちろん、俺が見てない間にこんなことがあったのかというものまで書いてあった。
一番分量が多かったのは当然ディアベル死亡後だ。
刀に持ち替えたボスがタンクを崩した後、アタッカーに狙いを変えて多数の犠牲者が出てそれをディアベルが必死に支えて死亡、その後をキリトらが引き継いだと書かれている。
んで下には本物の新聞っぽく情報屋なら鼠のアルゴにお任せとか、ネズハ鍛冶店オープン!!とか広告が書いてある。
「しかし……捏造が笑えるな。」
「ああ、実際はディアベルが死んで崩れたからな。我ながらよく考えついたものだ。」
スコールが考え込みながら言う。
「結局ディアベルはなんであの時前に出たんだろうな。」
それが分からない。
矢面に立って……何がしたかったのだろう。
「多分だけど……LAボーナスを取りたかったんだと思う。」
キリトが首を傾げつつ言う。
「LAボーナス?倒した後に着た黒いコートがそれか?」
確かボスを倒してキリトが喋る直前に着替えてたっけ。
「ああ、コートオブミッドナイトという体防具で、防御+40に敏捷+10に力+3、さらにソードスキルのクールタイムを3/4にするという現時点では破格の防具だよ。」
確かに、あれから俺もレアドロップで防具を引いたがそれでも防御+21に敏捷+5とかだからな。
ちなみに現時点での店売りの鎧の最高防御が+33なのを踏まえるといかにこれが現時点での壊れ防具かが分かる。
ちなみにコートとかの軽装防具は+17が最高だったっけ。
「ってことは欲が出たってことか?」
ありきたりではあるがそれであるが故に一番ありそうな可能性を提示する。
「……目立ちたかったのだろう。」
「セフィロス?どういうことだ?」
キリトがセフィロスに尋ねた。
「リーダーシップを取るのにLAボーナスが必須だったと考え、誰かに取られないようにしたかったのだろう。倒した後に掲げるなりすれば抜群の効果だ。受けも良い。」
セフィロスが珍しく喋った。
「くだらない。旗印があっても無能に付いて行かないさ、俺は。」
スコールの言う通りディアベルの指揮には所々穴があった。
「その通りだ。そんなのに付いて行くくらいならぼっちでいてやる。」
「ディアベルさん……可哀想。」
「アスナ、いわばこれは可能性だ。嫌な予感がして下げさせたのかもしれないし、現に死人が7人も出た。下げさせてなかったらもっと死んでたのかもしれない。だから絶対にあの判断が間違ってるとは誰にも言えないと思う。あの後指揮を取ったレンジも、抑えに回ったセフィロスやスコールも。そして救助しかできなかった俺も……。」
アハト……?
「救助を舐めるなアハト。死んだら終わりだが、死ななきゃなんとかなるのがこのゲームだ。デスゲームと呼ばれているが死ななきゃいいんだ。」
「そうだアハト。お前のおかげで俺達は安心して壁になれたんだ。レッドゾーンになってもアハトが助けてくれると思ったから俺は耐えられたんだ。」
スコールが遠回りに励ましている。
「そうか……。すまない、ちょっと一人にしてくれ。」
そう言ってアハトは部屋に戻った。
「……心配だな。」
「後で俺がフォローしておく。」
俺はキリトにそう言い残して外に出た。
時間は星が瞬く時、俺はアハトの部屋の扉の前に立っていた。
「アハト、いるか?」
声をかけるが反応がない。
「アハト?」
俺はノックをしながら再び声をかけるが反応はない。
(どうしようか……部屋に入るべきか入らざるべきか。)
俺は扉の前で悩んでいると、
「…………レンジ?」
部屋の中から声が聞こえて来た。
「悩んでいるようだから、助けになればと思ってな。話したくなければそのまま帰るが。」
………………声が聞こえない。
来るなと暗喩しているのかもしれないが本人がそう言った訳ではない。
(少し待つか。)
可能性として救助しかできず前線に出れなかったことを気にしているのだろう。
でもこれだけのことでそこまで悩むかと言われれば少し足りない。
これだけで済めばいいが、何か他の事が絡んでいると難しい。
フォローする人間がそれを正確に理解するのがまず難しく、的確な答えを出すのにますます難易度が上がるからだ。
「………………………………………………………………………………………………………………………………………………入ってくれ。」
アハトが扉をゆっくり開けてくれ、俺は中に入った。
「……俺に何か用か?」
「悩んでいるようだったから話を聞きに来た。知り合いが死なれるのは流石に寝覚めが悪い。」
知らない人間がどこで死のうがどうでもいいが知り合いが死ぬと少し堪える。
「……そうか。……少し話を聞いてくれないか。」
意外だ。
溜め込むタイプだと思っていたのだが。
「いいぞ。」
「まず今回の悩みは前提があって長くなるんだが……いいか?」
「ああ、構わない。時間はあるしな。」
「ありがとう。修学旅行でさ、告白したい男子と告白させないでって女子がいたんだ。男子の方は絶対に失敗したくないと言っていてさ。」
「ふむ。」
告白したいというのは聞いたことがあるが、させないでというのは珍しいな。
「それで俺はその女子にウソの告白をして、『今は誰とも付き合う気はない。』と言わせたんだ。」
嘘とはいえ告白するとは相当勇気というか度胸があるな。
「ああ、それで?」
「確かに成功はしたんだ。俺が告白したから男子の方もそれを聞いて頑張ると言っていたんだ。男子の方も失敗はしなかったし、女子の方も告白させないようにはできたんだ。」
「その様子だと当人以外に問題があるようだな。」
「ああ、同じ部活の女子2人に拒絶されてしまったんだ。」
部活?部活全体で恋愛相談とか聞いたことないぞ。
まあ恋愛相談するにあたって部活仲間に相談するのは大いにあり得るが部活全体で取り組むとか聞いた事が無い。
…………どういう事だ?
「……その部活というのは恋愛相談部なのか?」
いや絶対違うだろと思いつつ言ってみる。
「いや、奉仕部という部活だ。名目は困っている生徒を助ける部活だ。」
…………奉仕と聞いてメイド服の美少女2人が奉仕している姿を想像してしまった。
というか今はこんなことを考えている場合ではない。
「助ける範囲が広すぎないか?」
「それは俺も思ったんだが女子の1人がノッてしまってもう1人がそれに流されて受けることになっちまったんだ。」
これは断るべきだろう。
恋愛とか責任取れないものの代表だろ。
お前のせいで振られたとか言われても知らんとしか言えない。
「んでアハトは仕方なく手伝ったと言った感じか。」
「ああ。俺の取った手は最善ではなかっただろうが、時間が無くてそれしか思いつかなかった。」
「女子たちはどんなサポートをしたんだ?」
「えーっと……………………隣に座らせようとしたり………………自由行動の場所を探したり………………くらいか?」
受けておいてその様か……何もしなかった方がまだ良かったのではないかと思うぞ。
「……何やってんだ、女子達。」
「……今思った、俺も。何もとまでは言わないがたいしたことしてない2人に拒絶されたのか俺は……。」
アハトの目が澱んで行く。
気が付いてしまったのか……何かに。
その何かは俺には分からないが。
「まあ拒絶されたなら離れればいいだろう。当分ここから出られそうにないし時間が忘れさせてくれる。どうしても忘れられないようなら復讐でもすればいいさ。」
「いや、忘れるよ。俺のことなんてどうでもよかったんだ、アイツらは……と思う事にする。」
「本人達はどう思ってそう言ったのか俺には分からないぞ。出た時に聞いてみるのもあると思う。」
当人じゃないからどうしても無理が出る。
「いいや、考えるのはもうやめる。SAOに閉じ込められたのは運命なのかもしれないな。」
「残酷な運命だ。」
「言えてるな。」
「それで前提は話し終わったか?」
「ああ。俺が思ったのは、キリトのように斬り込めない自分が嫌になったんだ。」
短剣でフロアボスに斬り込むとか頭を心配しなければならなくなるのだが。
「短剣で斬り込むのは自殺行為だと思うのだが。」
「その通りなんだが……キリトに犠牲を強いてしまったような気がしたんだ。」
犠牲……というとさっきの話だな。
「俺はあの時怖くなったんだ……ポリゴンの破片になるのが……。その直後安心したんだ。キリト達が突撃してくれたから死ぬ可能性は低くなったって。」
俺は無言で頷いた。
「自己犠牲って……何なんだろうなって思って。自己満足なのか?」
……自己満足な一面もあるだろう。
だけど10割自己満足で自分を犠牲にする人間がいるとは思えない。
何か他に利益があるから自分を犠牲にするはずだ。
例えば凶刃から子を守る母のように。
「確かにそういう一面もあると思う。だけど守りたいものを守るために結果的に自己犠牲と言う形になるんじゃないかと俺は思うんだ。」
「……結果的に?」
「ああ、俺はあの時キリトが自己犠牲をしたとは思ってない。ディアベルらの死にブチ切れたのと死んだ悲しみが7割。生きている人を死なせまいとしたのが3割だと思う。あ、割合は適当な。」
「……これからはできるだけ自己犠牲をしないようにする。俺が良くてもきっと周りは嫌な思いをするんだ。アイツらもそうだったんだろうな。」
「そうした方がいい。ただ拒絶するのはどうかと思ったが。」
「……アイツらの気持ちも今なら分かるのかもしれない。」
「もう遅い……な。」
「多分な。あとキリトのことは整理がつかなかっただけだから、拒絶する気なんて最初からない。きちんと礼を言うさ。あの時矢面に立ってくれてありがとう、とな。」
「ああ、言えるんならそれでいい。スッキリしたか?」
「話に付き合ってくれてサンキューな。目の腐りが取れた気がする。」
確かに澱みが薄くなった。
「アハトの目は腐っているんじゃない、光を通さないだけだ。」
「それもそれでどうなんだ?」
「……確かに。キリト呼ぼうか?」
「……頼む。」
「後でアスナ達にも事情を説明しとけよ。」
「分かってるさ。」
その後の話は2人に任せ、俺は星空を見ていた。
翌日、2人は雲一つない晴れやかな顔で出かけて行ったのを俺は見た。
何を話したのか俺には分からない。
だけど十分じゃないか、晴れやかな顔をしていたのだから。
だからこの方が早いぞと言って家の壁を蹴って登って屋根の上を飛びながら狩りに行ったのはきっと俺の目の錯覚に違いない。
心理描写は難しいけど書きがいがあります。
艦これのイベントが始まりました。
ですがペースは変えずに投稿して行きます。
両舷一杯。
今のところは良い調子です。