Solitude Art Online   作:自由気ままな人

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第9話

 「レンジ、朝だ、起きろ。」

 (………………あさ、か。何じだ、いま……。)

 俺は寝ぼけ眼でメニユーを開いて時間を確認する。そこには08:39と示されていた。

 「他2人は起きてる。早く来てくれ……気まずいんだ。」

 アハトが起こしに来てくれたらしい。しかし俺は人に起こされると頭が働きにくい体質なんだよな……SAOの中でも低血圧の人は大変そうだ。

 自分で起きるなら目覚ましが欲しいがSAOに目覚まし時計はあるのだろうか……。

 (っと、考えごとは後に……。)

 俺は身支度をして下に降りることにした。

 ねむい。

 

 

 幸い刀のサビになることもなく朝食を食べていたら、

 「今日は討伐系のクエストに行く。」

 スコールがこう切り出した。

 「ああ、あれか。……………………。」

 セフィロスが何かを呟いている。怖いから聞こえなくて良かった。

 「どんなクエストなんだ?」

 「畑がボスコボルドとそのお供に潰されて困ってるから倒して欲しい、というクエストだ。報酬は1万コルと刀、七星刀だが……。」

 スコールが言い淀む。報酬のことだろう。角を立てないように、かつ最も利益が得られるようにするには……。

 「俺達は2人合計5000コルだけ貰えればいい。それでいいよな、アハト。」

 「ああ、大丈夫だが……ドロップアイテムの扱いはどうするんだ?」

 「私が七星刀を貰う分、スコールと私の取り分は合計3000でいい。ドロップアイテムだが基本的に手に入れた人間の物だ。帰った後にこれを手に入れたと公表して、欲しければ物々交換でも勝手にすればいいだろう。」

 「ドロップアイテムの扱いは皆大丈夫か?モンスターの経験値と金は自動分配だからいいが報酬は違うぞ。」

 えーっと……ボスモンスターの金と経験値は等分。ドロップアイテムは手に入れた者勝ち。取り巻きは問題ないがボスのドロップは注意が必要だな。報酬は……納得したし大丈夫、と。

 「LA争いはやめてくれよ?」

 俺がそう言うと三人は

 「手に入ればいい程度の認識でやるさ。」

 「私は興味ない。」

 「どうでもいい。」

 ……争いが起こらなさそうで何よりである。

 

 

 

 

 

 「ここだ。俺がボスを引き付ける。セフィロスはボスを攻撃、アハト、レンジはお供の排除だ。終わり次第ボスに加勢してくれ。」

 「「「了解。」」」

 スコールが指示を出し、俺達3人がそれに同意を返す。

 指示を出すと同時にスコールはボスコボルドに向かって走り出し、上に斬り上げながら3mくらい飛び上がった。

 そしてボスコボルドの顔面に蹴りを入れて追撃して距離を離した。アッパーバイドという技だったか、飛び上がって華麗に蹴りを入れるのは凄い。

 「……お前の相手は俺だ。来い。」

 スコールの挑発を聞き流しながら俺は取り巻きを片付けに行った。

 

 

 取り巻きはボスの右にコボルドが2体、左にコボルドリーダー2体か。

 「リーダー頼む。」

 「了解。」

 アハトにリーダーの相手を頼んだのはボスコボルドの棍棒を警戒したためだ。短剣でガードは厳しい。

 攻撃力がある俺が固まっていたコボルドを纏めてスラント・アークでポリゴンに変える。斜めに2回斬るうえ1回目の斬撃で少し動けるから数が多い時には便利だな、これ。

 ボスにヘイトを向けられないように後ろを回って左に移動する。

 リーダーはアハトに注意が向いていてこっちにはまだ気が付いてないようだ。ならばやることは一つ。

 「バーチカル・アーク。」

 リーダーの背中にV字の斬跡を走らせた。と同時にアハトがもう1体のリーダーを三角形に突く三連続突きでポリゴンへと変える。ファッドエッジか、あれは。

 俺が斬ったリーダーが振り返るも動くのは俺の方が早い。左から振り返ったので俺は左に回り込みながら横に剣を振る。

 バーチカル・アークが効いたのかこの一撃で倒れてくれた。取り巻きを倒せたので俺はボスへと向き直る。

 

 向き直った俺が見たのは2m程の高さに飛び上がってボスの脳天を串刺しにしているセフィロスの姿があった。地閃か、大きく飛び上がればより映えそうだ。髪の流れ方が美しく、俺は戦闘中だと言うのに見惚れそうになった。

 ボスコボルドが吹き飛び、大きな隙が出来る。

 「片付け終えた。これより加勢する。」

 「同じく。」

 「ご苦労。」

 「側面から攻撃を仕掛けろ。挑発している訳ではないから攻撃は1発までだ。」

 「「「了解。」」」

 指示が的確である。ベータテスターは伊達じゃない、か。

 スコールが突撃して剣を振り下ろして攻撃。あれはアバランジュか。

 セフィロスは刀を左横に構えて絶空を繰り出し、ボスを横に一閃。

 俺はホリゾンタル・アークでセフィロスの刀跡に重ねる。

 アハトが首に斬撃を入れ、スコールが通常攻撃で追撃したところでボスコボルドが体勢を立て直した。

 一番軽装なアハトがボスコボルドの後ろに、次いで軽装のセフィロスが棍棒を持っていない左に、一応ガードができる俺が右に、囮役のスコールが正面という形になった。 

 ボスのHPは今のでレッドに近いイエローである。

 一番多く攻撃していたであろうスコールの頭上に棍棒が迫る。それをスコールは地面を転がって避け、俺を含めた3人が攻撃する。俺は通常攻撃だが2人はソードスキルで攻撃しているようだ。

 振り下ろした棍棒がこっちに向かって来た。それを俺はレイジスパイクで突いて弾き返す。

 お互い弾かれたため俺とボスコボルドに隙ができる。

 「壊してやろう。」

 そう言ってセフィロスが地閃を

 「終わりだ。」

 アハトがスピードエッジを

 「哀れだな。」

 スコールがアッパーバイドを繰り出すがまだ倒せない。ギリギリで耐えたようだ。

 「その身に刻め。」

 スラント・アークを繰り出してボスコボルドはポリゴンへと化した。

 よし、終わりだな。

 んでアイテムは……青い指輪、か。インベントリを開いて確認すると防御+2、敏捷+1のアクセサリだった。

 「LAボーナスだがアクセサリだ。防御+2の敏捷+1。欲しい人は?」

 俺がそう問いかけると3人は、

 「そこまでのものじゃないな。」

 「要らん。」

 「レンジが使え。」

 至極平和に終わった。

 …………肩透かしを貰った気分だよ、全く。

 

 

 

 報酬も仲良く出かける前に言った通りに分けられ、俺達はフレ登録をして別れた。

 あまり大勢で行動しても経験値効率が悪いと判断したからだ。

 全員集団行動が得意じゃないのもあるが。

 俺はアハトと一緒に行動し、レベリングに勤しんでいった。




集団戦闘の様子が上手く伝わっているといいのですが……。

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