ラブライブ! コネクション!!   作:いろとき まに

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活動日誌20 あいは ・ たいようじゃない? 2 『まきりんぱな』

 だけど凛さん――お姉ちゃんもだけど。2人を相手にしている海未さん達や花陽さん達って凄いね?

 何が! は言えないけど凄いよね? うん。尊敬するかも。

 でもさ? 私って、お姉ちゃんや凛さんのタイプを目指しているんだよね?

 それって、私もこんななのかな? そうなのかも?

 亜里沙、涼風? 頑張ってキチンとしていくつもりだから、面倒くさがって見捨てないでね?

 私は凛さんの対応を経験して、海未さん達と花陽さん達の凄さを実感すると同時に、亜里沙と涼風に見捨てないでもらえるように心がけるのだった。

 って、この書き方だとお姉ちゃんと凛さんに怒られるかも。そんなことはないんですよ?

 2人とも尊敬する先輩ですから。目標なんです。それだけです! なんてね。

 

♪♪♪

 

 そんな風に話をしながら歩いていると、私の家『穂むら』が見えてきた。

 私はお客じゃないんだから、花陽さんと凛さんを先頭にするべきなんだろうけど。

 花陽さん達に促されて私が入り口を開ける。そうしたら――

 

「いらっしゃいませ――って、雪穂、おかえりー。……あっ、花陽ちゃんと凛ちゃん……亜里沙ちゃんと涼風ちゃんも……いらっしゃいませ!」

 

 お姉ちゃんが割烹着を着て店番をしていたのだった。

 

「穂乃果ちゃん……ぷっ! くくくっ……」

「――は、花陽ちゃん、急にどうしたの?」

「あは……あっ、ごめんね? いや、穂乃果ちゃん、初めて訪れた時もその格好だったから……」

「え? そうだったっけ?」

「そうだよぉ……それで、お饅頭買いに来ただけなのに、2階に通されちゃって……」

「あー、そう言えばそんなこともあったっけ……」

 

 お姉ちゃんの姿を見た花陽さんは突然吹き出し笑いをする。そんな花陽さんを心配そうに訊ねるお姉ちゃん。花陽さんは、あの日を思い出して、同じ格好で迎えてくれたお姉ちゃんがおかしかったみたい。

 花陽さんの説明を受けても思い出せないお姉ちゃんに、詳しく説明する花陽さん。

 その言葉でやっと思い出したお姉ちゃんは納得した表情を浮かべて――

 

「じゃあ、もうすぐ店番終わるから2階上がってて? 海未ちゃんとことりちゃんも来ているから」

「うん……わかった」

「そうするニャ!」

 

 当たり前のように言葉を繋いでいた。さすがに1年経っているし、何度か訪れているから花陽さんも凛さんも普通に答えていた。

 

「あっ、涼風ちゃんは初めてだよね? ゆっくりしていってね?」

「お、お邪魔いたします」

「お、お邪魔します……」

 

 そして涼風に向かって声をかけるお姉ちゃん。と言うより、涼風はどっちかと言えば私の親友なんですけど? まぁ、良いんだけどさ。

 うん、涼風はわかるよ。初めてなんだもん。緊張するのは。

 だけど、なんで亜里沙まで緊張してんのかなー? お姉ちゃんもさすがに苦笑いを浮かべていた。

 そんな感じで私達は玄関の方へと歩いていって2階へと歩いていったのだった。

 他の3人は何度も目にしたウチの風景だけど、涼風にとっては初めての光景だからね。

 まして憧れのお姉ちゃんの実家となれば嬉しいんだと思う。少しは親友の実家って部分で喜んでくれると嬉しいんだけど。

 特に何も変哲のない普通の家。それでも嬉々とした表情で見回していた。

 きっと私と亜里沙が真姫さんの家を嬉々とした表情で見回していたのと同じなんだと思う。少しこそばゆくも感じたけれど、嬉しい気持ちで2階に通じる階段を上るのだった。

 

「……あら、雪穂? それと花陽と凛も……」

「あっ、亜里沙ちゃんと涼風ちゃんも……いらっしゃい?」

 

 お姉ちゃんの部屋の扉を開けると海未さんとことりさんがテーブルを挟んで向かい合って座っていた。

 テーブルの上にはPCやノートが置かれていた。私達に気づいた海未さん達は少し驚いた顔で声をかけてくれた。そんな海未さん達に笑顔を返して中へ入っていったのだった。

 

「お疲れさまー。生徒会の仕事?」

「……ええ、まぁ……」

「穂乃果ちゃんが『学院の為にもっと何か考えよう』って言い出したの」

「何かって何かニャ?」

「――それをみんなで考えるんだよっ!」

 

 そんな2人に花陽さんが笑顔で訊ねる。すると苦渋の表情を浮かべる海未さんが言葉を濁す。そこに苦笑いを浮かべてことりさんが言葉を繋いでいた。

 きっと生徒会長として学院に残すものを考えるのだろう。学院のリボンはお姉ちゃんの代ではあるけれど、絵里さんの発案なんだから。

 お姉ちゃんの生徒会長としての任期も今学期くらいしかないんだし。今から考えているんだと思う。

 そんな言葉に興味を持った凛さんが具体的なことを聞こうとしていた。すると――

 突然部屋の扉の前に立っていたお姉ちゃんが満面の笑みを浮かべて言い切っていたのだった。

 

 お姉ちゃん達が学院にいられるのは残り1年。生徒会として活動できるのは半年くらい。

 去年の絵里さんのように、自分も何かを残そうと考えていたのかな。いつもの思いつきかも知れないけれど。なんてね。

 どうやらお母さんも戻ってきたみたい。割烹着を下で脱いできたから制服姿に戻っているお姉ちゃんは、お盆にお茶とお菓子を乗せて中まで入ってきたのだった。

 そんな感じで何故か私達もそのままお姉ちゃんの部屋にいた。まぁ、断られてもいないし、私の部屋に移動する必要もないからね。全員で『今後の学院の為の話し合い』をしていたのだった。すると――

 

「……お邪魔しま――花陽と凛? 帰ったんじゃないの?」

 

 突然、扉をノックする音が聞こえたと思うと、扉が開いて真姫さんが入ってきた。中にいた花陽さんと凛さんを見て帰宅したんじゃないかと訊ねる。

 

「あー、うん……そのつもりだったんだけどね?」

「お土産に『お饅頭』を買って帰ろうって話になったニャ!」

「……それで穂乃果に強引に呼び止められた訳ね?」

「――真姫ちゃん、エスパー!?」

「何言ってんのよ、いつもそうじゃない!」

「あははははは……」

 

 その言葉に花陽さんと凛さんが答えると、呆れた表情でお姉ちゃんを見ながら言葉を繋げる真姫さん。

 実際にそうだったから驚いて訊ねるお姉ちゃんに、真姫さんはいつものことだと言い放っていた。

 その言葉に苦笑いを浮かべるお姉ちゃんなのだった。

 真姫さんは、あの後でおば様にお饅頭を買ってきてと頼まれたらしい。私の顔を見て食べたくなったんだって。

 ――別に私の顔がお饅頭っぽいんじゃないよ? お姉ちゃんの繋がりでウチのお店の常連なだけ!

 それで買いに来たら、お母さんに「上にみんな来ているわよ?」と上げられたんだって。花陽さんにはお姉ちゃんがしていたしね。

 ウチの姉と母がご迷惑おかけします。なんてね。

 まぁ、私も知っている人が来たら2階に上げちゃうだろうから、人のことを言えないんだけどね。

 そんな感じで、休みなのに結局集まるアイドル研究部なのだった。

 

♪♪♪

 

 その後、少しの時間だけ世間話をしながら過ごしていた。あっ、何となく学院の話は流れちゃっていたんだけど。そんな楽しい時間を過ごしていたのだった。

 だけど、別に私達――真姫さんも含めて、お姉ちゃん達以外は偶然集まったんだよね。

 それなのに、お姉ちゃんの部屋に自然と全員が集まっているのを見ていて『お姉ちゃんはやっぱりリーダーなんだな』って思っていた。

 まるで、お姉ちゃんと言う太陽に集まるように、お姉ちゃんの部屋へと自然に集まる私達。

 何か目的がある訳じゃない。集まった理由だってない。

 それでも、お姉ちゃんの部屋に自然と集まる私達。それが当たり前のように、普通に集まり、何気ない会話で楽しい時間を過ごしている。

 もちろん他のメンバーの部屋でも同じなんだろうけど。私は他の人の家には今日の真姫さん以外、お邪魔したことはない。それにお姉ちゃん達の集まりだって把握している訳じゃない。

 だから実際にはわからないんだけど、きっとお姉ちゃんの部屋が1番多いんじゃないかなって思っていた。

 だって、みんなの表情が『自分の部屋』にいるように思えていたから。落ち着ける場所のように思えていたのだから。

 

 初めて訪れて、しかも憧れのお姉ちゃんの部屋にいる涼風だって、もう自然な笑顔で会話に参加している。

 もちろん、真姫さんの家には目的(・・)があったし、本当に初めてだったからなのかも知れないけれど。それでも、真姫さんの家では見られなかった――涼風にこんな笑顔を与えているのはお姉ちゃんの部屋の雰囲気。

 ううん。お姉ちゃん自身の雰囲気なんだと思う。お姉ちゃんの明るく、人懐っこく、暖かい太陽みたいな笑顔が溢れる雰囲気が、私達に自然な笑顔を与えているんだと思う。

 まぁ、真姫さんの家に関しては私や亜里沙も同じだったけどね?

 お姉ちゃんの部屋に関して――私はともかく亜里沙もこの部屋によく出入りしている。だから馴染んでいるから比較できないしね。涼風が1番わかりやすいってこと。 

 

 そして周りの人達が自分の部屋のように。部室のように。何も変わらないのもリラックスできることなのかも。全員が自然にいられるからなんだと思う。

 それは「何処にいても自分達らしく」って言うことなんだろうけど。その中心にいるのは、いつもお姉ちゃんなんじゃないかなって思うのだった。

 

 それはお姉ちゃんがリーダーだったから。スクールアイドルを立ち上げたからじゃないような気がする。

 もちろん、その点を否定している訳じゃない。

 ただ、お姉ちゃんがお姉ちゃんだったから。太陽みたいな存在だったから。お姉ちゃんの笑顔が――愛が太陽だったから。

 みんながお姉ちゃんの暖かさに惹かれて、お姉ちゃんの恵みに惹かれて。

 こうして集まってきたんだと思う。ずっと一緒にいるんだと思う。

 太陽だって良い時もあるし、悪い時だってある。だけど、それで太陽から離れることはない。

 恵みを求めて集まってきたんだもん。暖かさを知っているんだもん。

 だから絶対に離れることはないんだと思うのだった。

 

 そして、こうして集まってきたから。離れずにいるから。

 お姉ちゃんの愛と言う名の笑顔の太陽が、光を放って、暖かく照らして。スクールアイドルを立ち上げた。そしてリーダーになったんだと思う。

 そう、お姉ちゃんの愛は。笑顔は太陽なんだ。みんなを照らす太陽なんだ。

 部屋に集まった全員の顔を眺めて、私はそう思うのだった。

 

 そんな部屋の雰囲気に包まれてお姉ちゃん達の会話を聞きながら、私もお姉ちゃんと言う太陽に光を求め、追いかけて。

 そして私自身も、亜里沙や涼風。そしてまだ見ぬ次の世代の子達に。

 お姉ちゃんのように、暖かくて恵みを与えられるような太陽のような愛を降り注げるようになりたいと願っていたのだった。

 




Comments ことり

なるほどぉ。帰ってくるまでに、そんなことがあったんだねぇ?
急に全員が入ってきたからビックリしちゃったよ。
花陽ちゃんの発案かぁ。
花陽ちゃんナイスタイミング! なんてね。

でも、穂むらの和菓子美味しいからお土産に買って帰りたくなるよね?
美味しいもんね?
でも穂乃果ちゃんのマイク……なんなんだろうね?
よく知らないんだぁ、気になるけど何も言わないから聞かないの。
そのウチ話してくれると良いね?

……お邪魔しました。なんてね。

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