-私は弱いからこんなことでしか役に立たないの。
体が少し軽くなった。
★
確かに曹操が持っていた槍は自分の胸を貫いた。
確かに自分はそれで死んだ。
それで安心した、後悔した。
なのに、なぜ意識がまだある。
なのに、なんでこんなに怒りがわくんだ。
こんなにもこいつに復讐したいと思うんだ!
「…侮っていたよ、流石は英雄の資格を持つものだ」
目の前に立っているのは人間だ。
そして・・・・・・・・・・・・マタ・ハリを殺した本人だ。
「がっ!」
気が付けば右手が伸びていた。
曹操の頭をつかみ地面にめり込ませる
『命の身代わり。英雄なる運命をその手にが持っている能力の一つだ。英雄が認めた相手ならば自分の霊基と引き換えに命を肩代わりすることができる。まあ、直す手立てもあるが英雄に認められないと使えないものだな』
どうでもいい、説明が聞こえる。
自分のえごで、自分の仲間が消えた。
ただ単に腹が立ったのだろう。
子供の癇癪と同じようなものだ。
だが、目の前の者は。
手を出してはいけないものに手を出した。
自分の自業自得かもしれないが、やったのはお前だ。
「…怒りで単調なスピード。いや単純な動きだからこそか。恐ろしいな自覚無しで無駄のない動きと体のスペック。思い。どれをとっても俺が理想とする英雄そのものだ」
いつの間にか曹操が遠くに立っていた。
何を言っている。
「黙って死ね」
右手に赤龍帝の籠手が展開される。
「…これは、逆鱗に触れたか。逃げさせてもらおう」
曹操が槍で地面をつくとその場所に沈んだ。
『転送系の術だな。もうこの近くにはいないだろう』
唸る、怒りで頭がいっぱいだ。
だけど、まだ手はある。
「令呪をもって命じる。霊基を直せ」
重みが増したような感じがした。
『焦るな。相棒、俺のからも確認はできた』
そうか。
「…よかった」
まだ、胸の中に多少のわだかまりがあるが大丈夫だろう。
これについては自分の心配性なものだ仕方ない。
『…下手に仲間を失えば覇に飲み込まれかねんな』
ドライグが何か言っているが気にしない。
さっさと帰ろう、マタ・ハリなら召喚もできるはず・・・・多分。
「…せん…ぱい?」
誰かに見られてるとかないよね?
★
召喚の仕方がわからなかったので小次郎に令呪をつかい無理やり聞き出した。
そもそも、今いるのが判明してるサーヴァントって小次郎とランスロットと金時、あとマタ・ハリぐらいしかわかんないし。
「・・・・んぅ…」
で、現在夜。
ご飯も食べ終わり風呂にも入り終わり、いざ寝るって時にこちらに呼んだので。
まあその、霊基は治ってるんだけどやっぱり体力消費するみたいで寝てる。
私のベッドでな!
起こすのもあれだしな。
それにしても、ほんとに無事でよかった。
確認するまで吐きそうだった。
自分は失うことになれてないから。
ドライグには言われたけどやっぱり心配だった。
確認した瞬間泣きそうになったけど、どうにか持ち直した。
心配事もなくなったし自分ももうねるか。
床に毛布を敷いて横になる。
「・・今日も疲れたな」