ハイスクールD×D・イレギュラーな龍帝   作:刀花子爵

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命かそれとも転生者か

朝から母が叫んでいた。

 

「一誠がぁぁ!」

寝不足の頭に高い声が響く。

「…きつい」

寝たのにまさか夢の中で英霊たちと訓練させられるとは。

小次郎曰く深い眠りだとできないらしいが。

 

くそ、ねむい。

 

『いるな』

分かっとるわボケ。

まだ眠い。

洗面所に向かって顔を洗う。

 

「…ばきばきだ」

上が寒いと思ったら上半身裸だった。

見事なシックスパック。

きれいな割れ目。

うん、これはこれでいいものだ。

筋が入った見た目もよかったがこれあれだ、体の筋肉がよくわかるから少しテンション上がってるんだな。

 

やっぱり多少は筋肉ないとな。

男だし。

「…ふくきよ」

すぐに自分の部屋に戻りシャツを着てリビングに向かう。

「…おはよ」

すでに自分以外がそろっていた。

兄よ朝から鼻の下を伸ばすのはいいが限度を考えろよ。

 

「おう、命おはよう!」

「…朝から元気だねぇ」

兄よ元気なのはわかるから声を押さえてくれ頭に響く。

 

「おはよう、命」

「…どうも、グレモリー先輩」

すらりと下の名前で呼んでくるグレモリーさんにイラッとしつつも表情を崩さない。

「命、お前なにかかわったか?」

父が何かに気づいたのか言う。

こういうところはやっぱり親なんだなぁーと思う。

「特に変わってないよ。ただ昨日裏山で走ってたからまだ疲れが残ってるみたいでちょいきつい」

「そうか、無理なら学校休んでいいんだぞ」

「うん」

疲れだしまあ、ほっといてもいける、むしろここからがである。

変な意地を持ち疲れを押し込める。

 

                 ★

 

学園に来れば叫びの雨だった。

『そう、いら立つな。先程からこちらにも漏れているぞ』

そうはいっても、くそ。

 

内心舌打ちしながら原因に目を向ける。

そこには周りの生徒から叫ばれているグレモリー先輩と兄。

どいつもこいつも朝からうるさい。

 

『まあまあ、そう苛立つものではないぞ主よ』

だれのせいだと思ってるんだ?あ?

遅れて筋肉痛、倦怠感、そして寝不足。

もうやだ、今日なんか休めばよかった。

 

弟の自分なんかいろいろ聞かれるから見つかりたくない。

 

さっさと教室にいこ。

 

もちろん、この後にきちんと目をつけられ捕まった。

そのあともちろん保健室で寝た。

                ★

…愛した鬼を殺した。

…王を裏切った。

…剣を振り続けた。

 

「…くそ。一気に三人か」

断片的にしか見えなかったが三人の記憶が流れてきた。

『大丈夫か?』

まあ、多少は回復したみたいだしいけると思いたい。

頭は多少痛むが気にするほどではない。

 

今日はもう帰ろう。

テンプレな転生者のような感性ならどれだけましなことか。好きなだけ暴れられて好きなように行動できる。

だが、自分にハーレム志望なんてない、主人公になりたいという欲もない。

 

ただ、普通に生きてたらいつの間にか転生させられていただけ。

意味の分からない力と赤龍帝の籠手立場は主人公の弟。

ほしくもない力、ほしくもない立場。

 

ただ、生きていたかだけ。

生きて死ぬ。

それだけのはずなのに。

なぜ私はこんなところで生きている。

『大将、そこまでにしといた方がいいやっこさん来やがったぜ。』

金時の声が頭に響くがもう、面倒だ。

 

 

 

自分は、ただ普通に生きたい。

矛盾、自分の考えと思いが相反する事に腹のなかにどろどろとしたものが溜まっていく。

『考えすぎだ』

わかってる。

『命、お前が気にしているのはわかる、だが今は目の前に集中しろ』

『...GrandOrder start』

電子音が頭に響く。

それが更に自分の苛立ちを大きくさせる。

 

「しね、人間」

現れたのは堕天使、すぐに光の槍を投げつけてくるが運命はそれを許さない。

『...card select class 』

読み込むのはアサシンである佐々木小次郎。

再び永光が、手に握られる。

光の槍を永光で受け流しその場で大きく回転させる。

『無駄な動きが多いが、まあ素人ゆえにしかたなしか』

永光で胸を浅く切りつける。

それだけで相手はバランスを崩した。

見下している人間に攻撃されるとは思っていなかったのだろう。

その顔は痛みよりも驚きが出ていた。

「…帰るのなら、手はださない。だが向かってくるなら私も手加減はしない」

苛立ちのせいか煽るような口調になってしまったのは仕方ないだろう。

永光を、半身に構え警戒を解かずに相手を睨み付ける。

向かってくるならその場で切り捨てることも可能だ。

 

長い刀だからこそすぐに切ることはできる。

およそ三メートルの間合い。

 

自分の現在のステータスが頭の中に浮かぶ。

筋力 C+

 

耐久 E+

 

敏捷 A+

 

魔力 E

 

幸運 A

 

宝具 無し

 

十分だな。

「きさまぁぁぁぁぁあ!」

 

…ああ、やらなきゃダメか。

失望、悲しさやるけなさ、いろんな感情が混ざる。

震える腕に力を込めた。

「『…秘剣・燕返し』」

振るう、ただ腕を、ただ刀を、ただ斬撃を。

 

「・かはっ」

コンクリートの地面に血が飛び散る。

 

体は黒い翼となり消えた。

…いやだなぁ。

 

『今日はもう帰って休め』

ドライグの言葉にうなずきすぐに家に帰宅した




まあ、そりゃ英雄を宿してはいますが人間ですし、殺すのにさえためらいますよねぇー

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