河城さん家の外来人   作:河童の技術者

2 / 2
河童飯。

市は相変わらず賑わっていた。数ある集落の中でも、ここは妖怪ととても良く共存していることで有名だ。スキマ妖怪のとこの式神や鈴仙さんも来ていた。

新鮮な野菜と醤油をはじめとした調味料を少々…と、魔理沙に無理やり買わされた、きのこ。まぁ、良い品をいい値段で売ってくれたからいいけれど…

家に帰ったらとりあえずシャワーを浴びた。最近ジャンクから作った発電機と給湯器、給水ポンプ、濾過器の調子もなかなか良さそうだ。やっぱり守矢の所の設計図は頼りになりますなぁ…

私は幻想郷の中でもかなり外の世界寄りの生活をしている。時々来る里の人間達や山の妖怪達から来るものの製造依頼をこなす事を生業としている。もちろん、自分の為や依頼物に加える為の研究も欠かしていない。その際役に立つのが無縁塚に流れ着いた物や、香霖堂、守矢の連中から入手できる資料。無論、環境的に幻想郷では実行出来ない物もあるが。

収入はいい方だ。普段はあまり安値では受け付けてないが他の同業者の河童達よりはマシ。おかげでお客が集中してくれる…が、贅沢できるほどは稼げていない。

さて…それは置いておいて、お風呂から出て普段着を身につける。大型の仕事が終わったからしばらくは休業だ。冷たい水を一杯飲んで、作業室のソファーへ向かってみる。

…まだ目は覚めていないようだ。その辺に引っ掛けてあった膝掛けをかけておく。ご飯を作りはじめたら目覚めるかもしれない。私は台所に向かって、調理を始めた。

料理はまず、味噌汁を作るところから始まる。献立を考えていない場合、この時に考えるのだ。でも、今日は決めてある。

卵かけ納豆ご飯…これは私が連日の徹夜明けには必ずと言ってもいいほど食べるメニューだ。胡瓜ももちろん食べる。しかし、それでは栄養のバランスが取れない。いくら妖怪…もとい、河童とはいえ、バランスの取れていない食事ばかり摂っていたら病気になってしまう。なので、バランスについてはしっかりと考慮している。卵かけ納豆ご飯にジャコをかけ、副菜に漬物、汁物は野菜たっぷり味噌汁。完璧…ではないだろうがバランスは取れているはずだ。味も最高。しかし、幻想郷ではまだジャコは高級品の域に入る品。そんな大量に買うわけにはいかない。というわけで、連日の徹夜明けに胡瓜と一緒に買うのだ。至高である。

棚から米袋を出して、砥いで、これまたジャンクで修復した炊飯器にセットする。釜は唐傘お化けの妖怪に特注で作ってもらったものだ。あとは新鮮な野菜を刻んで浅漬けにする。ついでに川岸で倒れてた子が起きた時のためにお粥も作っておく。そうしたら味噌汁を仕上げて米が炊けるまで本を読む。鈴奈庵で借りた外の世界の"コンピュータ"という機械に関しての本だ。もし、ここに載っている情報が正しければ、どうやら家にあるジャンクパーツでそれを作れるみたいだ。後でパーツを集めておこう。

 

 

読み耽っているとタイマーが鳴り出した。米が炊き上がった合図だ。

さあ、頂くとしよう。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。