IS~Under Dog~   作:アセルヤバイジャン

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主人公がハードモードで可哀想という声が多かったので、急遽彼の羨ましい可能性が高い日常を書いてみました。


もげろ(建前

もげろ(本音


閑話 叢真の日常

 

 

 

 

 

 

 

 

AM5:45分、学生寮前。

 

まだ多くの生徒が寝静まり、起きているのは学食で仕込みを始めている従業員や見回りの教師程度。

 

そんな薄暗い朝の空気の中、一人ストレッチをしている人影。

 

そこへ、もう一つの人影が近づいてくる。

 

「おはようございます、先輩」

 

「はい、おはようございます叢真さん」

 

ストレッチをしていたのは神通であり、近づいてきたのはジャージに着替えた叢真。

 

「では念入りにストレッチから始めましょう」

 

「はい」

 

そして二人並んでストレッチと準備体操を入念に行うと、神通はストップウォッチを取り出して時間を設定。

 

「では行きましょう」

 

「はい…!」

 

ストップウォッチを押すと同時に軽やかに走り出す神通と、それに続く叢真。

 

そのまま二人は学生寮周辺の遊歩道をグルグルと走り始める。

 

やがて朝練や自主訓練の生徒が起き出してくる6時過ぎ。

 

学生寮の周辺を5週した辺りで、3組生徒が合流してくる。

 

「おはよーございます先輩!叢真!」

 

「はい、おはよう、ございます」

 

「おはよう…っ」

 

ストレッチをしてから走る二人に合流してきたのは陽炎。

 

学園指定のジャージにスパッツという動き易い姿で現れた彼女は、そのまま二人に続いて走り出す。

 

やがて他の生徒もストレッチを終えた者から走るのに合流し始め、30分を過ぎる頃には10人程の集団になっていた。

 

朝の神通主導の体力作り、これに参加しているのは叢真は当然として陽炎や時雨、夕立や嵐、長波と言ったIS操縦者志望の子達。

 

最初は叢真と陽炎だけだったが、二人が毎朝神通に指導を受けてると聞いて私も私もと手が上がったのだ。

 

首突っ込みたがりの秋雲や楽しそうだからと参加した整備志望のメンツは、初日でリタイヤした。

 

何しろ陽炎から「鬼軍曹」と影で恐れられる神通の指導である。

 

普段は引っ込み思案で奥ゆかしいのに、事訓練と戦いになると正に鬼の様に怖くなるのが神通という女性だ。

 

「ペースが落ちてますよ!」

 

「はいッ!」

 

少しでもペースが落ちると即叱咤が飛んでくる。

 

45分を過ぎる頃には、殆どの女子が息切れをして付いていくのにやっとになっており、神通の後ろについて行けているのは根性で付いて行く叢真と、慣れている陽炎、お嬢様みたいな見た目しているのに野生児のような体力と身体能力を持つ夕立の3人だけ。

 

残りの面子は3mほど後方を集団で付いてくる状態になっている。

 

「はい、では、ゆっくりとペースを、落としてください…っ」

 

息切れを多少しながらも、確りを声を出せる神通。

 

他の面子は、答えの「はい」を言うので精一杯なのに。

 

徐々にペースを落として最後は歩くスピードで最初の場所に戻ってくる面々。

 

するとそこにはタオルと水を用意して待っている夕雲達の姿。

 

「はい、叢真さんお疲れ様…」

 

「あ、ありが、とう…」

 

語尾にハートが付いてそうな甘い声と共にタオルを手渡してくれる夕雲に、息も絶え絶えに答える叢真。

 

「夕雲、私、にも…わぷっ」

 

「はいどうぞ~」

 

「雑っ、扱い、雑ぅっ!」

 

陽炎にはタオルを顔面にシューッ!してそのままグイグイ拭いてあげる夕雲。

 

苦言を叫ぶ陽炎だが、その声色は楽しそうだ。

 

「神通先輩、どうぞ」

 

「ありがとう親潮さん…皆さん、身体を冷やさない様に注意して下さいね」

 

ランニング後のストレッチを始める面々に、汗で身体を冷やすなと注意しながら自分もストレッチする神通。

 

驚く事に、神通は殆ど息を切らさずに早朝ランニングを終えている。

 

那珂ちゃん先輩曰く、この程度ウォーミングアップレベルなのだそうな。

 

「では朝はここまで。指導希望の方はまたお昼休みに武道場で」

 

「「「「「「「「「「お疲れ様でした!」」」」」」」」」」

 

7時過ぎに朝の体力作りを終了し、各々の部屋に戻る。

 

汗を流して着替え、朝食を食べたら学校へ行く。

 

この後部活の朝練が有る子は、学食で売られている朝食用お弁当を購入して朝練へ向かうそうな。

 

自室へ戻った叢真は、汗を流す為にジャージを脱ぎ、手足に装着したパワーリストとパワーアンクルを外す。

 

ずっしりとした重みのそれ、両手足合わせて現在15キロ。

 

両足5キロに両手2.5キロ、それを身に着けての早朝ランニング。

 

神通の指導を受け始めた頃は今の半分以下だったことを考えると、よくまぁ増えた物だと少し感動する。

 

体力には自信があったが、神通の最初の指導でそれが一切無意味だと知り、徹底的な体力作りと柔軟が始まった。

 

そしてお昼休みには体捌きや受け身などの、ISを装備していても役立つ武道の動きを修練。

 

徒手空拳を主軸に、ウレタン製の剣での攻撃・防御の型の勉強。

 

そして放課後はISを使っての模擬戦闘。

 

濃密な一日の終りは、またも神通先輩との体力作りと。

 

毎日が訓練漬けの日々である。

 

だが実感があった、強く成れていると言う。

 

最初は神通に付いて行くのもやっとで、陽炎にも負けていたランニング。

 

生身での組手では、武術経験者の嵐や長波にも負けていた。

 

夕食で自分と同じ指導を受けた夕立が、おいしいおいしいと元気にご飯を食べているのを見て唖然としたりもした、その時は夕飯が喉を通らなかったから。

 

だが今では神通について行ける様になり、組手でも勝てる様になり、那珂ちゃんのダンスも踊れる様になってきた。

 

最後のは微妙に関係あるか謎だが、兎に角自分の成長が感じられて嬉しい叢真。

 

シャワーで汗を流す自分の身体を姿見で見れば、入学前より引き締まり筋肉が付いた自分の姿。

 

「あとは…ISの技量か…」

 

自分に足りない物を考えると、やはりISの技量に突き当たる。

 

改造したスタークジェガンは、専用機持ちである神通達からも太鼓判の出来に仕上がっている。

 

模擬訓練でも神通相手に善戦出来る程に高い火力と性能。

 

AMBACもほぼ完全に物にして、これも神通達から見事だと褒められている。

 

だが未だに叢真に勝ち星は無い。

 

クラス代表決定戦から始まり、本来出場していないクラス対抗戦でも機体大破という黒星が付けられてしまった。

 

理不尽過ぎるが、襲撃に関して緘口令が敷かれている為に文句を言う事も出来ない。

 

そもそも文句を言ってもあの担任は聞きやしない。

 

その為、叢真にとって次の試合…学年別トーナメント。

 

ここで何としても結果を残さないとならない。

 

残せなければ……。

 

「――ッ!」

 

ダンッ!と浴室の壁を叩き、歯を食い縛る。

 

もう自分は負けられない、これ以上仲間達に悲しい思いをさせられない。

 

決意を新たに、叢真はシャワーを浴びて制服に着替える。

 

考え事をしていたせいで既に時間は7時30分を回っている。

 

8時には学生寮を出ないと授業に遅れるし、45分には寮長が警告を出してくる。

 

その寮長が織斑 千冬なので、余計に気が重い叢真。

 

頭を乾かしている暇が無いのでタオルで頭を拭きながら食堂へ、今日は髪型をセットする暇がない。

 

「あら、叢真さんたら…髪がまだ濡れてますよ」

 

先に朝食を終えていた夕雲に捕まり、食事中髪を乾かされて微妙に恥ずかしい思いをする羽目になった。

 

どうにも夕雲という女性は、世話好きというか幼妻感が強い女性で、気がつけばこうして叢真の世話をしてくる。

 

叢真の専属マネージャーを自認しており、お昼のお弁当など色々と叢真も頭が上がらない相手だ。

 

「と言うか、なんで叢真いつもオールバックにしてるの?今の方が似合うと思うんだけど」

 

朝からデザートを食べている、本人曰く糖分が足りないらしいが、陽炎の言葉に、言い淀む叢真。

 

「その…なんだ…大人っぽく見えるからと勧められて…な…」

 

髪を下ろすと子供っぽくなるからと少し恥ずかしげに話す叢真、仏頂面の彼が羞恥を表情に出すのだからよほど恥ずかしいと思っているのだろう。

 

「あらぁ~」

 

「あぁ~」

 

「そーちゃんかわいいっ」

 

艶のある声でキュンキュンしている夕雲と、癒される陽炎、そして飛び付いてくる小型犬夕立。

 

飼い主の時雨が「こら、食事の邪魔しないの!」と引き剥がすまでがワンセットである。

 

 

 

 

 

 

授業中は内容に集中し、休み時間は予習か3組で相談か雑談。

 

叢真が1組に居る時間は、ほぼ授業中だけと言っていい。

 

織斑がしつこく一緒に飯を食おうとか一緒に着替えようとか一緒にトイレ行こうとか今夜一緒に風呂入ろうとか、やっぱりホモかよぉ!と叫びたくなるアプローチを繰り出してくる。

 

それが怖くて3組に逃げていると言われても否定出来ない叢真。

 

叢真が居ないとデュノアがその被害に合うのだが、叢真はデュノアを疑っているので特に助ける事も無く織斑に差し出している。

 

そして大浴場が週二回だけ男子が使用可能となったのだが、それ以後織斑の風呂入ろう攻勢が酷い。

 

やれ裸の付き合いだ、やれ心の距離が近づくだ力説する織斑と、必死に拒否するデュノアと叢真という図が度々見られた。

 

そして腐女子の妄想の餌食になった、あと秋雲がスケッチさせてと懇願してきたのでチョップした。

 

叢真とて日本人だ、大きな風呂に入りたいとは思う。

 

だが織斑と一緒だとどうしても背後が怖い。

 

頭洗ってる時とか怖くて仕方がない。

 

なので叢真は未だに大浴場に入れずに居た。

 

「では、軽い体捌きの訓練に入りましょう」

 

お昼休み、食後という事もありあまり動きのない、型を確かめる形での神通の指導。

 

こう来た場合にどう捌くか、という動きを繰り返し訓練する形なのでそこまで激しくない。

 

神通の徒手空拳を同じく手で弾いたり往なしたり、反撃したり。

 

あくまで動きの確認なのでそのスピードは遅い。

 

だがこれも大事な訓練である。

 

「おーおー、やってるねー1年生」

 

「あら…川内さん」

 

武道館にひょこりと現れた、ミニのツインテールの髪型をした2年生。

 

どうやら神通の知り合いらしく、一端組手を止める。

 

「どうしたんですかお昼に動き回ってるなんて珍しい…」

 

「あはは、いくら私が夜戦…じゃない、夜型だからって昼間動かない訳じゃないよ。ちょっと那珂と神通が目を掛けてる男子に興味が出てねー」

 

ケラケラと笑いながら近づいてきた川内と呼ばれた女性。

 

叢真の前まで来ると下から覗き込む様に叢真を観察し…突然右手を伸ばしてきた。

 

「ッ!?」

 

「お、良い反応♪」

 

「突然ですね…!」

 

「奇襲ってのは突然じゃなきゃ意味がないからねー」

 

そう言いながら左手で胴体を狙う川内、それを右手で防ぐと、今度は川内の右手が顔面に向かってくる。

 

それを首を曲げて避けて左手を川内の首筋へ当てる。

 

神通に習った通りの動きで、自分でも会心の出来だと思えた反撃。

 

「うん、上出来上出来。で・も、まだ甘いなー」

 

トントンっと太ももを叩かれる感触に下を見れば、いつの間にか川内が左手に持ったウレタン製の剣(訓練刀)が、叢真の股間に添えられていた。

 

いつの間に、とゾッとする叢真と、それを見ていた一年生達。

 

「自己紹介がまだだったね、私は川内、神通達の同期で、一応代表候補生だよ」

 

専用機は無いけどねと苦笑して股間に添えられた訓練刀を下げる川内。

 

まるで忍者だねという時雨の呟きに、同意見な叢真。

 

左手の動きが全く見えなかった、何時どこから訓練刀を取り出したのかも。

 

「もう、川内さんたら…」

 

「いいじゃんこれも訓練だよ訓練。そだ、私も少し教えてあげるよ、特に楽しい夜戦とか♪」

 

「や、夜戦…?」

 

「そ、ISってのは宇宙区間での運用を想定して作られてるからねー、夜で戦う事こそその性能を発揮出来るって訳よ!」

 

「そう思ってるのは川内さんだけです…夜に戦う事なんて普通の試合では無いんですから」

 

「えー、いいじゃん夜戦、やろうよ夜戦ー」

 

「子供ですか…」

 

やたらと夜戦を勧めてくる川内と、余計な事は教えなくていいと神通。

 

まるで子供の教育で対立する親だななんて思いつつ、叢真はそっとその場を離れた。

 

「川内先輩、実力は高いんだけどねー、本当に夜戦だと神通先輩より強いし…」

 

「夜に戦う試合があるならまぁ、指導を受けるのも考えるんだが…」

 

見ていた陽炎から飲み物を貰いながら座る叢真。

 

彼らの前での二人の言い合いは、予鈴のチャイムが鳴るまで続くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「うん、そーちゃんも基礎は完璧だね☆」

 

「ありがとう、ございます、那珂ちゃん先輩…」

 

「もー、先輩は要らないぞ、そーちゃん!」

 

放課後のアリーナ、組み上がったスタークジェガンとの模擬戦闘を終えて、那珂ちゃんにお褒めの言葉を貰えて安堵する叢真。

 

キャラは濃いしノリは軽い那珂ちゃんだが、それに比例してるのか反比例してるのかその訓練は神通並に濃ゆい。

 

時折踊りやら歌やらのレッスンを混ぜられてしまうが、それでも射撃訓練などは神通が任せる程に上手い。

 

なんでも、神通たちは総合力の神通、近接(と夜戦)の川内、射撃の那珂ちゃんと得意分野が別れているらしい。

 

総合力なら神通がトップなのだが、事射撃に関しては那珂ちゃんに軍配が上がると言う。

 

あと那珂ちゃん独特の回避、ダンスのステップなどを取り入れた回避方法などが彼女は上手い。

 

回避のタイミングをズラされるらしく、射撃戦になると神通でも攻めあぐねる力量を持つのが那珂ちゃんなのだ。

 

恐ろしい事に。

 

「那珂さーん、俺たち何時までこのステップやってればいいんすかー」

 

「那珂ちゃん、だよー。音楽無しでもステップが踏める様になるまでかなー」

 

アリーナの一角で、音楽プレイヤーから流れるアイドルソングに合わせて踊らされている嵐達。

 

那珂ちゃんの力量に惚れて指導を希望した嵐・野分・舞風が、その指導内容である踊りを踊らされていた。

 

「ほらほら嵐ものわっちも、遅れてるよー」

 

「舞風は良いよなー、ダンス好きだから。助けてくれよ萩ぃー」

 

「のわっちと、言わないでよ、舞風…っ」

 

一人だけ楽しそうに踊る舞風、元々ダンス好きで部活も那珂ちゃんが所属するダンス部に所属している。

 

踊りとか似合わないと思ってる嵐は、音楽プレイヤーの横で見守る親友に助けを求め、のわっちとあだ名で呼ばれた野分は必死にステップを覚えようとしている、根が真面目なのでこんな訓練でも真面目に取り組んでしまうのだろう。

 

「ボヤかないボヤかない☆、ダンスも体捌きの訓練になる事は那珂ちゃんが証明してるぞー」

 

信じられない事だが事実だ、神通を相手にした組手で、那珂ちゃんは踊りながら神通の猛攻を防いで避けて攻めている。

 

ISを着て踊ると言う事は、ISの可動範囲を把握し、ISで細かい動きを出来る技量があるという証拠になる。

 

代表選手の中には、お国のダンスを戦いに取り入れたエンターテイナー感の強い選手も居るので、実はIS界では地味に有用な訓練だったりもする。

 

「さ、それじゃそーちゃんも合流してレッツダンス☆」

 

「あ、やっぱりですか…」

 

射撃訓練の後は決まってダンスレッスン@IS装備である。

 

那珂ちゃんもISを着て見事に踊っているので、出来ないとは言えない。

 

それに、自分のリズムに合わせてISを操縦すると言うのは、中々に訓練になる。

 

とは言え。

 

「止めてくれ…止めてくれ萩風…動画だけは止めてくれ…!」

 

「あ、あははは…ごめんね雨宮さん、那珂さんの命令なの…」

 

ダンスは見て覚える事も大事☆と言われ、萩風に撮影させている那珂ちゃん。

 

IS着て踊る様子を撮影されて、叢真は仏頂面に珍しく赤面を乗せるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぬおぉぉ……」

 

「イッチバーン…」

 

「ぽいぃ…」

 

「まろぉ…」

 

「ほら、皆叢真のベッドに寝ちゃダメだよ?」

 

夜、神通の体力作りから戻り、シャワーを浴びた叢真がベッドへ倒れると、部屋で待っていた面々も真似してベッドにダイブする。

 

「はいはーい、叢真くんは髪を乾かしましょうねー」

 

「疲れてても髪はちゃんと乾かさないと寝癖になっちゃいますよ」

 

村雨と海風に起こされ、髪を乾かされる叢真。

 

朝と言い今と言い、なんだか自分がダメ人間になっている気がしてならない叢真。

 

だが自分でやると言っても彼女たちは聞かない、下手に拒否すると「お姉さんの事、嫌い…?」と海風が泣き脅しを掛けてくる。

 

同い年なのに何故お姉さん…と思いつつ、されるがままに成るしか無い。

 

男はこういう時弱い生き物なのだ。

 

「にしても叢真も頑張るよなー、江風なら神通先輩の指導だけでもギブアップだぜー」

 

「あたしも一番目指したいけど、叢真みたいには無理かなー」

 

江風と白露の言葉に、苦笑を零す叢真。

 

「俺には織斑みたいな企業のバックアップも、織斑教諭みたいな存在も居ないからな…出来ることを、やれることをなんでもやらないとなんだ……だから髪位自分で…」

 

「ん?何?村雨のちょっと良いトコロが見たいの?」

 

「いえ、何でもないです…」

 

タオルと櫛を受け取ろうとするが、笑顔で凄む村雨に撃沈。

 

ちょっと良いトコロって何を見せられてしまうのかと密かに恐怖。

 

「実は3組内で流行ってるんですよ、叢真くんのお世話をするのが」

 

巨漢で仏頂面なのにどこか可愛い叢真をお世話し隊という謎の部隊が発足されたと苦笑する春雨。

 

なんだその恐ろしい部隊はと戦慄するが、ここの居る村雨や海風、春雨もその一員と聞いて絶望。

 

つまり逃げ場が無い。

 

普通ならハーレムだと喜ぶ場面かもしれない、だが根が真面目な叢真は友人に世話を掛けて情けないとしか思わないし、そもそも今の叢真の立場で下手に異性との不純交友は持てない。

 

何せ世界でたった二人のIS操縦者だ。

 

まさか3組生徒にハニトラが居るとは思いたくない。

 

だが、デュノアという怪しい存在が間近に居るので、どうしても怖くなる。

 

なので今の叢真に出来る事は、3組生徒の行為を純然な好意と思って受け入れるしかない。

 

とは言え、限度はある。

 

「おやすみイっチバーン」

 

「あたし2番っぽいー」

 

「すやぁ…」

 

「起きろぉッ!!」

 

自分の布団に入って眠ろうとする3人を叩き出す。

 

流石にそこまでは受け入れられない、理性が持たないから。

 

 

 

 

 

これが、叢真の普段の日常である。

 

 

 

 

 




ハーレムじゃねぇか!(激おこ



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ハーレムで良いんじゃねぇか!(錯乱

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