IS~Under Dog~   作:アセルヤバイジャン

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前回のお話でヒロインがあまりにも出てないので今回は女の子多め(´・ω・`)


第二十五話

 

 

 

 

 

 

 

「カゲロウ、もっともっとダヨー!クーは逃げないの!」

 

「はいぃぃ!」

 

「うヒぃ!」

 

アナハイムの訓練所にて、アイオワの激が飛び交う。

 

陽炎は更に早く飛べと言われて速度を上げ、こっそり逃げようとしていたクーはアイオワに見つかって泣きが入る。

 

アイオワのストロングスタイルな訓練を先に受けていた叢真は、小休止を言い渡されて壁際のベンチへと座っていた。

 

「教官は元気だな…」

 

神通と言い長門と言いアイオワと言い、教官に該当する女傑達の元気な事。

 

人に教えるのが楽しくて仕方がないのかもしれない。

 

「フフフ、頑張ってるわね」

 

「え…」

 

ふと、突然かけられた言葉に驚いてそちらを見ると、薄く赤みがかった茶色の髪をポニーテルにした清楚な雰囲気の女性が立っていた。

 

服装はアナハイム職員の制服なので、関係者なのだろう。

 

「あ、休憩中にごめんなさいね。私はサラトガ、一応IS操縦者よ」

 

「あ、はい、初めまして、叢真・雨宮です」

 

アイオワに比べて流暢に日本語を話すサラトガに、一瞬呆ける叢真。

 

マーサも日本語が上手だったが、サラトガはもっと流暢だ。

 

「初めまして、と言ってもサラは貴方のことをよく知ってるわ。何せ有名だもの」

 

そう言って微笑むサラトガ、おっとりとして包容力を感じさせるお姉さんだ。

 

柄にもなく照れる叢真、彼の周りに居ないタイプの女性の登場に少々戸惑い気味だ。

 

「ね、良い物見せてあげる、サラに着いてきて!」

 

「え、ちょっ」

 

そう言って突然叢真の手を握り、歩き出すサラトガ。

 

叢真が何か言おうにも、意外に強い握力に握られて連れて行かれてしまう。

 

「ハイ、笑顔笑顔、speed上げてくヨー!」

 

「ひぃぃぃ!」

 

「ア~んっ」

 

そんな叢真達に気づかずに、アイオワの訓練はヒートアップしていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、ここよ。ここにサラの見せたい物があるの!」

 

「ここは…研究室…?」

 

叢真が連れて来られたのは、トレーニング場に隣接したIS研究所の中だった。

 

そしてその一室の中には、一体のISが鎮座していた。

 

「あれは…ドーベンウルフ…?」

 

見覚えのある機体、色合いこそ違うが、自分の相棒でもあるシルヴァ・バレトの前身であるドーベン・ウルフだった。

 

「そうよ、基本はドーベン・ウルフなの。でもあの子はただのドーベン・ウルフじゃないのよ」

 

そう言ってなんだと思う?と問い掛けるサラトガ。

 

なんだろうかと少し考え、そして思い当たる。

 

「まさか…シルヴァ・バレト?」

 

「正解!その通りよ、ソーマくんの子を元に作られているのよ!」

 

嬉しそうに告げるサラトガ、残っていたドーベン・ウルフのパーツを流用し、叢真のシルヴァ・バレトを構築しているとの事。

 

「でもただのシルヴァ・バレトじゃないの。サラの子は特別な装備を搭載する予定なのよ!」

 

「サラトガさんの…つまりサラトガさんは」

 

代表候補生かテストパイロットと言う事になる。

 

そんな叢真の視線を受けて、ニッコリと微笑むサラトガ。

 

「改めて、代表候補生のサラトガです、よろしくお願いしますね、ソーマくん?」

 

「はい、よろしくお願いします」

そう言って握手

を交わす二人、するとサラトガは握った手を愛おしそうに持ち上げて、そして頬ずりをし始める。

 

「ん~、ゴツゴツした男の子の手ですね、でも頼れる感じがします」

 

「あ、あの…」

 

「あ、Sorry。でも嬉しくて、サラの子が作られる切っ掛けを作ってくれたソーマくんに会えて、嬉しいんです」

 

好意を隠そうともしないサラトガ、何が彼女の琴線に触れたのか不明だが、彼女は終始好意的だ。

 

これには3組女子の好き好きアピールに晒されている叢真も困惑。

 

「ね、これからお外でティータイムにしましょう、ソーマくんのお話聞きたいです!」

 

「え、えっと、自分は訓練が…」

 

「そんなこと言わないで、ね、サラのお願い♪」

 

清楚なお姉さんにぐいぐい来られて困惑するしか出来ない叢真。

 

相変わらずこの手の事態には弱い模様。

 

「サ~ラ~!」

 

「きゃっ」

 

そこへ飛び込んで来た声の主は、珍しくお怒りモードのアイオワだった。

 

後ろには汗だく状態で息切れ中の陽炎とクーの姿。

 

どうやら叢真が居ない事に気付いて探し回ったらしい。

 

「ソーマはMeの生徒ヨ、勝手は許さないんだからネ!」

 

「そんな事言わないでアイオワ、サラにもソーマくんを貸して?」

 

お気に入りのテディベアを取り合う姉妹の様に言い合う二人と、間に挟まれて困惑するしか出来ない叢真。

 

「ソーマ、まタ増やシテるよォ…」

 

「今度はおっとり清楚なお姉さん…属性コンプリートするつもりかしら」

 

そんな光景を眺めながら、これ以上増やすなと言われた女性が増えてしまい焦るクーと陽炎。

 

結局休憩を兼ねてティータイムする事になったのだが、サラトガが叢真の隣から離れる事は無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、叢真はIS学園の制服に着替えてリムジンの中に居た。

 

これからアナハイムが用意したパーティー会場で、政府高官との懇談会が待っている。

 

「制服で良いんですかね…」

 

「君の所属を示す物だ、その制服の方が何かと都合が良いんだよ」

 

スーツの方が良いのではと不安になる叢真に、苦笑して告げるアルベルト。

 

今現在叢真はIS学園の庇護下に置かれている、それを示す為のIS学園の制服だ。

 

勿論、アナハイムが後ろ盾だという表明のために、懇談会をアナハイム主導で開催するのだが。

 

「no problemよソーマ、Meの横でsmileを振りまいて入ればいいんだかラ!」

 

「サラも居ますから安心ですよ」

 

「は、はぁ…」

 

むしろなんで居るのかと疑問を抱く叢真。

 

アイオワはまだ分かる、元代表だし。

 

だがサラトガは専用機が開発中の代表候補生、なのに綺麗なドレスを着てアイオワと共に叢真の隣に座っている。

 

陽炎とクーはIS学園の制服で、ドレスで着飾ったアイオワとサラトガには勝てないと悟ってぐぬぬ顔をしている。

 

そのまま懇談会の会場へ到着、アイオワとサラトガのエスコートで登場した叢真に会場は白熱。

 

野次馬がようこそアメリカへと叫び、サインや握手を求める人々がバリケードに押し掛ける。

 

「ハリウッドスターみたいですね…」

 

「みたいじゃなくて、今のソーマはスターなのヨ?」

 

「ほら、手を振ってあげて?みんなソーマくん目当てなんだから」

 

熱狂する民衆、叢真は戸惑いながらも群衆に近づき、握手や慣れないサインに応じていく。

 

中には自分の息子を差し出す親も居り、叢真は慌てて抱き止めてまだ幼い男の子をあやす。

 

「相撲取りの抱っこみたいな物か…」

 

時の人である叢真に肖りたいのだろう、男の子が笑うのを確認して今度は受け取ろうとしている親に優しく手渡す。

 

「ソーマ、全員を相手にしなくてもいいのヨ?」

 

「た、タイミングが掴めなくて…」

 

結局群衆の相手をして入場が遅れ、アルベルトに怒られる叢真であった。

 

この対応に、欧米メディアは叢真は紳士的で武士道を重んじる人柄だと報道、彼の人気を押し上げた。

 

懇談会では、政府高官も相手は高校生と分かっているのか軽い挨拶と応援などに終始し、アイオワとサラトガのフォローもあって平穏無事に終了した。

 

懸念していた襲撃もエコーズの鉄壁の警備の前に不発し、叢真は無事アナハイムの宿舎へ。

 

「流石にそこまではダメよっ!!」

 

「抜ケ駆ケ禁止ィ~!」

 

「「あぁん!」」

 

そして叢真の部屋で寝ようとしたアイオワとサラトガを陽炎とクーが追い出し、自分達が寝ようとしてダグザ隊長に追い出された。

 

「お手数おかけします…」

 

「何、こういった事も仕事の内だ」

 

寝ている間はダグザ隊長が外の警備に当ってくれるので、安心して眠れる叢真であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

数日間のアメリカ滞在後、叢真は再びプライベートジェットに乗り込もうとしていた。

 

そんな彼らを見送りに着たのはアイオワとサラトガ。

 

「またネ、ソーマ。Meの教え忘れちゃダメだヨ?」

 

「ソーマくん、機体が完成したらニホンに行くから、待っててね?」

 

二人は別れが惜しいのか、叢真の手を掴んで放さない。

 

「あの、教官、サラさんも、そろそろ時間が…」

 

「「で~もぉ~」」

 

「はいはい離れた離れた」

 

「時間切レ~」

 

ぶーたれる二人を陽炎とクーが引き剥がし、やっと飛行機に乗り込む叢真。

 

叢真達はこの後、アラスカ・カナダを経由して南アメリカへと飛び、そこから海を渡ってEU諸国、中東を経由してオーストラリアを最終目的地にする予定である。

 

飛行機の窓からアイオワとサラトガに手を振り、アメリカの地を飛び立つジェット機。

 

アラスカとカナダでは取り分け大きな問題もなく、終了。

 

南アメリカもブラジルとチリ政府と良好な挨拶を交わす事が出来た。

 

問題なのはEU諸国…特にイタリアだった。

 

「ようこそイタリアへ~」

 

イタリアで叢真を出迎えたのは、政府から派遣されたIS操縦者…次期代表と言われているリットリオだった。

 

歓迎雨宮叢真様と書かれた旗をパタパタ振ると、彼女の胸部装甲がぷるんぷるんと揺れる。

 

アイオワ、サラトガに続いて3人目の巨乳お姉さん枠である。

 

「死守よ、死守するのよクー!」

 

「了解ヨ~!」

 

「???」

 

叢真の前に出てカバディよろしくガードに入る陽炎とクーの姿に、首を傾げるリットリオ。

 

「止めんか」

 

「「あたっ」」

 

そんな二人にチョップして止めさせる叢真。

 

「初めまして、叢真・雨宮です」

 

「ようこそイタリアへ、リットリオです。滞在中の案内とIS訓練を受け持たせて貰いますね」

 

食事には期待して下さいねと微笑むリットリオに、期待させて頂きますと楽しげな叢真。

 

何せ小料理屋の息子である、食事にはうるさいのだ。

 

リットリオに案内され、政府が用意したホテルへとチェックインする叢真達。

 

先ず始まるのがエコーズによる盗聴器や盗撮機器のチェックである。

 

すると出るわ出るわ、毎度の事ながら感心する量が出てくる。

 

そしてダグザ隊長がOKを出して初めて叢真は部屋で寛ぐ事が出来る。

 

「叢真~、買い物行きましょう買い物!」

 

「イタリアブランド買わナきゃ~」

 

「オススメのお店に案内しますよー」

 

が。だめ。

 

叢真は休む間もなく陽炎達に連れられ、ブランド・ショップへと連れて行かれる事に。

 

南アメリカ等では治安の問題で観光ができなかった為、EU諸国で発散する気らしい。

 

こうなると大変なのはエコーズだが、そこはプロの護衛団。

 

リットリオから場所を聞き、直に警備態勢を構築。

 

人混みに自然に紛れて叢真達を警護し始める。

 

ダグザだけは目に見える護衛として叢真の傍に居るが。

 

「えー、この値段でこれが買えるのー!」

 

「ン―、良い香リ~」

 

「ここは私達も御用達のお店なんですよー」

 

陽炎は香水の値段に驚きながらもその香りを楽しみ、クーは好みの香りの香水をチョイスし始める。

 

イタリア選手の中では有名な店らしく、リットリオはあれこれ女性陣を案内して楽しそうだ。

 

これも陽炎の策である。

 

自分達にあれこれ構わせて、叢真から引き剥がすという姑息な作戦である。

 

「ソーマさんはこちらの香りなんてどうかしら~」

 

「いえ、俺は香水とかは…」

 

だが所詮小娘の浅知恵である、男性向けの香りを数点選んで叢真の方へ移動するリットリオ。

 

香水やコスメに夢中な陽炎達は気づかない。

 

「ダメですよー、男性も香りとかに気をつけないと」

 

そう言って数点、匂いのキツくない香水を選んで叢真に嗅がせる。

 

香水より線香の香りが似合う男だが、リットリオが選んでくれた香りは大人な香りがして叢真は気に入った。

 

「これ、良い香りですね…」

 

「ならプレゼントさせて頂きますねー、友好の証に」

 

ニコニコ笑顔のリットリオに押され、プレゼントされてしまう叢真。

 

ならお返しにと、彼女に似合いそうなハンカチを選んでプレゼントすると、目を丸くして驚かれてしまった。

 

「噂通り、義理堅いお人なんですねー、お姉さん感激です」

 

大事にしますねと笑顔の彼女に、どんな噂が流れているのだろうと少し気になる叢真だった。

 

IS操縦者内で流れている噂、叢真にとっては知らない方が良い噂も多い。

 

やれボディタッチに弱いだとか、やれ首が弱いだとか、童貞であるとか。

 

彼の名誉の為にも噂のまま消えて行って欲しい話が多いのであった。

 

 

 

 




サラトガがやたら好意的なのは原作仕様です(´・ω・`)てへぺろ

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