IS~Under Dog~   作:アセルヤバイジャン

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大変お久しぶりです、リハビリ中ですが何とか書きたいと思います。
何があったかは後書きにて。


第二十三話

 

 

 

 

 

 

 

次の日の新聞に、叢真達の活躍が大々的に掲載されていた。

 

日本での珍しいテロ事件、事件解決に貢献した男性操縦者!という大きな見出しの新聞各紙。

 

昨日の夜のニュースでは各テレビ会社がニュースで叢真達の活躍の映像を流し、ISでの災害救助での有用性を討論したり。

 

アナハイムのイメージ戦略だと批難する人間も居るが、テレビ業界では普通の事なので誰も気にしない。

 

男性操縦者の一人が、ISで人命救助と犯人逮捕に貢献した事が大事なのだ。

 

これによりアナハイムの株価が上昇、更に消火に使われた装備への問い合わせなど、アルベルトは嬉しい悲鳴を上げている。

 

「でも納得行かないのが、なんで秋雲が一番目立ってるのかよね…」

 

「僕たちは基本最前線だし、陽炎は上空に居たからね…」

 

陽炎の言葉に苦笑する時雨。

 

新聞各紙の写真には、子供二人を抱えて空を飛ぶ叢真の写真と、情報処理をする秋雲の写真が多い。

 

陽炎は上空に居た為、引きの写真で上の方にぽつりと写っているレベルが殆ど。

 

火災の最前線に居た時雨と夕立も、背中が写った写真が多い。

 

それに対して秋雲は、現場と指揮所の中間に居たので、写真写りが良かった。

 

新聞各社はどれもISでの消火という初の試みを記事にし、その関連記事として叢真に付いて触れている。

 

アナハイムの企業代表になって直に社会貢献をした叢真を褒める記事が多く、そういう記事が多いと逆に揶揄するコメンテーターや評論家が増える。

 

「3chでも雨宮SUGEEEEスレが伸びてる伸びてるぅ」

 

スマホでネット掲示板を見ている秋雲、昨日の話題でスレは大盛り上がり。

 

多いのは雨宮SUGEEEEと言う感じのコメントで、アピールだのマッチポンプ説だの批判的なコメントも多い。

 

なお、そう言った黒幕説や叢真ディスコメには「IS主義乙」とか「テロ主義乙」と相手にされないが。

 

「結局、IS原理女性主権団体とか言う怪しげなカルト団体の犯行だったみたいだね」

 

「わざわざ爆弾を購入してまで実行するんだから、老害ってのはホント害よねぇ」

 

犯人は犯行声明を出していた主権団体を名乗るカルト団体であり、神聖なISに男性を乗せる冒涜を犯したアナハイムへの制裁が犯行動機だと報道されている。

 

同じ人間とは思えない話の通じなさだなぁと頭を抱えるしかない陽炎達。

 

なお犯人の化粧が濃かった理由は、中年のおばさんが無理して若作りしていたからというアレな理由。

 

「アタシも行きタカッタなァ…」

 

「大変だったっぽい」

 

クシャトリヤがフルメンテナンス中で動けなかったクーが残念そうに皆が写る新聞を眺め、言葉の割に嬉しそうな夕立が自分の写真を切り抜いて記念にしている。

 

「あら、叢真さんは?」

 

休憩所で屯する陽炎達にお茶菓子を持ってきた海風達。

 

ふと叢真の姿がないので問い掛けると、陽炎は外を指差した。

 

「この際だから人命救助の方法を学ぶんだってさ」

 

窓の外では、ダグザ隊長達の指導の元、応急処置の仕方を勉強している叢真の姿。

 

守り隊の嵐や野分も一緒になって、怪我の手当や救助方法を学んでいる。

 

二人の小さな子供を助けた事で、ISでも人を助けられると言う事を実感した叢真。

 

その為、アルベルト達に頼み込んで急遽勉強を始めていた。

 

その姿勢は人として正しい上に、今後も役立つかもしれないとして許可され、現在講習の真っ最中。

 

元特殊部隊直伝の応急処置方法で良いのかは不明だが。

 

「面白そう、あたしも教わってこよっと」

 

「あ、なら私も」

 

白露に続いて春雨もトテトテと外へ出ていくのを見送る陽炎達。

 

「陽炎さん達は教わらないの?」

 

「もう教わった後。今やってるのは特殊部隊が負傷した時にやる応急処置方法」

 

つまり一般的な応急処置方法は既に教わっているのである。

 

「爆弾処理とか倒壊した建物からの救出とか、そういうテストもやるみたいよー」

 

「まぁ学園でもやる項目もあるから別に良いけど、叢真ってばどこ目指してるんだろう」

 

秋雲の言葉に、苦笑する陽炎。

 

なおIS学園では爆弾処理などの授業が存在する、ISを兵器として扱っている故の授業である。

 

「午後は自由時間ですから、叢真さんを誘ってプールに行きましょう」

 

「叢真、プールで延々50メートル泳いでる姿しか想像できないんだけど…」

 

海風の提案に、現実味の在る想像を口にする陽炎。

 

あの不器用で真面目な叢真である、女の子とキャッキャウフフと遊ぶより、体力作りに走るのは目に見えている。

 

「そうさせない為に、皆でしがみついてでも遊ぶんです!」

 

「やり過ぎないでよ、物理的に止めるからね」

 

主に水着の胸部で動きを止める気なお世話し隊に、釘を刺す守り隊隊長の陽炎。

 

彼女の胸部装甲は、かなりスレンダーで残念な物だったりする。

 

それ故、時雨や海風に向ける視線は鋭い。

 

彼女の味方は不知火や嵐、野分と舞風に風雲くらいだ、黒潮と親潮は裏切った。

 

高校一年生、身体の成長は仕方のない事である。

 

なお叢真は誰が抱き付いても困るのは言うまでも無い。

 

つまり午後の自由時間が地獄になるのが確定している叢真であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやはや、世論の反応も面白いものだ」

 

その日の夜、関係各所との話し合いを終えたアルベルトが研究所に戻ってきてそう零した。

 

場所は叢真の母である鳳翔が営む小料理屋、その奥座敷である。

 

とは言え、8人も入れば満杯になる小さな座敷だが。

 

「何かあったんですか…」

 

食事に誘われた叢真が心配を声色に混ぜて問い掛ける。

 

テロの事もある、自分が原因でアナハイムに迷惑をかけているのではと心配なのだろう。

 

「別に心配する事は何もないさ。世論の反応は上々、君の評価もうなぎ登りだ。うん、美味い!」

 

料理を口にして感想を口にしながら笑うアルベルト。

 

世界的企業の創業者一族なのに、どうして居酒屋が似合うのだろうか彼は。

 

逆に鳳翔のお店が似合わないガエルは、黙々と料理を口に運んでいる。

 

叢真の隣にはダグザ隊長が座り、なんとも男臭い空間である。

 

「ただ、評判が上がり過ぎてね。本国や出資国が是非君に来て欲しいと打診してきた」

 

「本国…アメリカですか」

 

アナハイムの影響下と言える国は、本国アメリカは当然として、アラスカ・カナダ・南アメリカ・オーストラリア、南アフリカと一部EU圏と中東、そして日本である。

 

南アフリカや中東にパイプがあるのは、元々はその辺りを根城にしていたジオニック社を吸収合併したからだ。

 

そしてこの影響下にある国が、叢真の研究所行きを阻止してくれた各国でもある。

 

「最低限、アメリカとカナダ、イタリアとオーストラリア辺りは訪れないとならない」

 

「それって……」

 

タラリと汗が流れる叢真。

 

「うむ、各国のお偉いさんとのあいさつ回りだ」

 

スチャっとアルベルトが取り出したのは叢真のパスポート。

 

叢真の海外行きは既に決定していた模様。

 

「安心しろ、君の身辺警護は我々エコーズが受け持つ」

 

「はは…信頼してます隊長…」

 

不安に思っているのはそこじゃないのだが、肩を叩いてくるダグザ隊長に苦笑して返す叢真。

 

急遽決まった関係各国挨拶の旅。

 

叢真は英語とか苦手なんだけどなぁと、一人呟くのだった。

 

「勿論君に損がある話ではない、本国の研究所ではアイオワ君が、イタリアではリットリオ選手が指導してくれるそうだ」

 

アイオワは以前も指導の為に来日してくれた元代表で、リットリオは逆に次期代表と噂される有名選手である。

 

イタリアは料理と彼女を外交カードに、叢真の来訪を打診してきた。

 

叢真が強さに貪欲な事を知っての上手い外交手段である。

 

なお、来訪国に上がっていない国の大部分は、叢真の研究所行きを推進した理事の国であり、事実上の絶縁宣言がされている。

 

現在ドイツ政府が軍部とは別に謝罪外交により何とかパイプを作ろうと必死な模様。

 

フランスやイギリス、中国はまだ織斑に賭けているのか反応無し、韓国ロシアは内ゲバの真っ最中である。

 

「それで、いつから…」

 

「明後日から出国し、一度日本のお盆に合わせて帰国、その後イタリアなどの国を回る事になる」

 

「急ですね…」

 

「でないと間に合わないのだよ、君の夏休み期間中に」

 

アルベルト側でも日程調整で難儀しているのだろう、苦笑を浮かべている。

 

「分かりました、これも企業代表としての仕事と言う事ですね」

 

「その通り、すまないが受け入れて貰うよ」

 

「挨拶の方法や礼儀の指導は私が担当させて頂きます」

 

今まで沈黙していたガエルが口を開き、礼儀作法の指導をしてくれると言う。

 

ガエルも元軍属だが、勲章を貰った事もあり、礼儀作法にも通じているらしい。

 

「覚える事で頭がパンクしそうです…」

 

「だがやり甲斐がある、そうだろう?」

 

叢真の性格は既に知っているアルベルトの言葉に、叢真は苦笑して母手作りの出汁巻き玉子を口へ運ぶのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えー!ついて行けないのー!?」

 

「そんな、お世話出来ないじゃないですかっ」

 

翌日、明日から出国の事を3組メンバーに話すと、当然付いて来ようとする面々。

 

だが残念ながら、アナハイムの正式なお仕事なので彼女達は連れては行けない。

 

ぶーぶー文句を言う白露とお世話出来ないと悲しむ海風。

 

守り隊の面子は、エコーズが守るなら安心だなと送り出す姿勢だ。

 

「アナハイムの正式な仕事なんだ、分かってくれ…」

 

「ちぇー、お土産買ってきてよね?」

 

「水と食べ物に気をつけて下さいね、無理なトレーニングも駄目ですよ?」

 

叢真に言われては文句も言えないのか、残念そうにお土産を強請る白露と、心配だわ心配だわとおかん状態の海風。

 

「なんや、陽炎は平然としとるんやね?」

 

「そりゃそうよ、だって私も行くもの」

 

「「「えーっ!?」」」

 

「えーって、私も一応アナハイムの企業代表候補生なんですけどぉっ!」

 

「当然アタシモ~…♪」

 

アナハイムとしての正式な仕事の出国なので、叢真は当然として、お付きの代表候補生として陽炎とクーが一緒に行く事になる。

 

因みに現在里帰り中の長波や、時雨と夕立はテストパイロットであり、代表候補生ではない。

 

なので、ついて行けるのは陽炎とクーだけなのだ。

 

「今からでも代表候補生になれないでしょうか…」

 

「陽炎~、候補生変わってくれよ~」

 

「馬鹿言ってんじゃないわよっ、離せー!」

 

ブツブツと呟く野分と、黒潮達と共に陽炎にしがみ付く嵐。

 

そんな仲間に群がられて暴れる陽炎。

 

「クーさん、叢真さんの事お願いね、変な女寄せ付けちゃダメよ?」

 

「分かっテルゥ分カッてルぅ~」

 

こちらはクーに叢真の事をお願いする海風達。

 

そのお願いしているクーが一番肉体的な接触が多くて危ないのだが、知らない女を増やされるよりはマシなのだろう。

 

なお、そんなクーでも止められない人がアメリカで待ち構えているのだが。

 

兎にも角にも、叢真の外国旅行は慌ただしい状況で始まるのだった。

 

 

 

 

 

 

 




短いですがリハビリ投稿です。

私事ですが、腰やって腕やって頭までやってしまった為、物理的に執筆活動が出来ない状態でした。
応援のメッセージを励みにリハビリに挑み、何とか日常生活に戻れました。
サブカルチャーから離れていた期間が長い為、流行のネタが分からず難儀しておりますが、ニコニコ動画などで勉強しながらリハビリに励みたいと思います。

しかしながら、リハビリにするには作品が重いと感じております。
もっと気軽に、楽しく書ける作品を・・・つまりバカエロな話を書きたいんよー(´・ω・`)
という訳で、簡単なネタ話を書きます、今から(´・ω・`)
もし良かったらそちらをどうぞ、ではまた。






追記:艦これ設定小話出来ました、良ければ読んで下さい。ではでは。

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