IS~Under Dog~   作:アセルヤバイジャン

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オリジナル展開はそれはそれで大変だった(絶賛スランプ中


第二十二話

 

 

 

 

 

 

 

アルベルトに叫びに、視線が集まる訓練所。

 

「我が社が出展しているアナハイム技術博覧会の会場で、爆発が起こったらしい…」

 

「な…ッ」

 

「博覧会って…今都心でやってる奴じゃん!」

 

絶句する叢真と、イベント事はきっかりチェックしている秋雲。

 

「それと前後して爆破予告もあったらしい、情報が錯綜しているが負傷者も出ているとの事だ…」

 

「そんな…」

 

「テロですか?」

 

絶句する時雨と、冷静に問い掛ける陽炎。

 

あり得る話である、ISが登場してから各国のテロ発生率は高く、日本であっても何度か起きている。

 

「ISを冒涜する者に制裁を、という犯行声明が出ているそうです」

 

ガエルの言葉に、あの連中かぁと顔を顰める面々。

 

IS至上主義と言うか、篠ノ之束を神と崇め、ISを全能の化身のように崇めている女性過激団体。

 

何度か小さなしょぼいテロを行ってきていた連中だったが、まさかアナハイムを標的にするとは思わなかった。

 

だが、今は標的にする理由があった。

 

「俺のせい…ですか…」

 

「馬鹿を言うんじゃない。君のことなど切っ掛けに過ぎんよ、あの連中は自分達の憤りの捌け口が欲しいだけだ」

 

叢真の言葉を否定して、吐き捨てるアルベルト。

 

何でも、叢真が企業代表になってからは背信者だの裏切り者だの意味不明な脅迫文がアナハイム宛に届いているらしい。

 

信奉した覚えも仲間になった覚えもないアナハイムは完全無視だったが。

 

「兎に角、施設で爆発、火災が発生しているらしい。だがある意味で運が良い、施設はここからそう遠くない上に、君達の装備は現在消火装備だ」

 

「アルベルト様…まさか彼らを派遣するので…?」

 

「我が社が借りた施設なのだ、我が社の私設消防が出動しても問題あるまい」

 

流石はただでは転ばない男、アルベルト。

 

ピンチをチャンスと考え、叢真達の投入を決める。

 

「勿論、現場の消防庁へ連絡を取り、協力を確約してからだが…どうだね」

 

「やります。俺にやれることがあるなら…!」

 

「叢真が行くなら当然私も」

 

「僕もです」

 

「夕立も!」

 

「あれ、これ私も数に入ってる…?」

 

本来操縦者ではない秋雲だが、状況的に自分だけ辞退するのは空気が読めてない感じになってしまう。

 

なので流れるままに人数入りし、装備を整える羽目に。

 

「3番倉庫に増槽を兼ねた大型ブースターがある、それをシルヴァ・バレトに装備させるんだ」

 

元々はギャプランという試作機用のブースターだが、アタッチメントを変更する事で複数の機体で装備可能。

 

本来はバイアラン・カスタム2号機用なのだが、急遽シルヴァ・バレト用に変更。

 

大型ブースターには牽引グリップが3箇所搭載されている為、3機まで随行させる事が出来る。

 

「秋雲は私のリゼルに捕まって、夕立と時雨は叢真の方!」

 

「りょうか~い、安全運転でお願いね」

 

「そんな余裕があればね」

 

装備換装を終え、機体を巡航形態へと変形させる陽炎。

 

その背中にあるボックスユニットタイプのバックパックからグリップが飛び出し、それをEWACジェガンの両手で掴む秋雲。

 

その隣では、ブースターだけでシルヴァ・バレトより大きい大型ブースターを装備したシルヴァ・バレトと、そのブースターの両側のグリップと足場に機体を固定させる時雨と夕立。

 

「消防庁及び現場と確認が取れました、現場到着後は現場指揮官の指示に従って消火作業を手伝って下さい」

 

「私もヘリで行く、連絡は随時秋雲君を通じて行ってくれ、勿論データ収集も頼むよ!」

 

「分かりました!」

 

アルベルト達に親指を立てて合図し、その場で浮き上がるシルヴァ・バレト大型ブースター装備。

 

そしてブースターの火が入り、徐々に加速していく叢真達。

 

その後を陽炎が秋雲を乗せて追いかける。

 

「よし、我々も現場へ行くぞ!」

 

「はっ、ヘリは準備してあります」

 

叢真達の出撃を見送ったアルベルト達も、用意させていたヘリへと足を向けた。

 

ガエルが防衛省等にも通達を行い、都市部上空をかっ飛んでいくシルヴァ・バレト。

 

「時雨、夕立、離すなよッ」

 

「分かってる、固定されてるから気にしないで飛ばして!」

 

「全然へっちゃらっぽい!」

 

流石はアナハイム…の開発部門となったジオニック。

 

ブースターの推力は凄まじく、角度さえ調節すれば大気圏離脱も可能だという。

 

「目的地まで3分!施設前の緑地公園に着陸する!」

 

『現場消防に連絡、公園の中を空けて貰ったから安心して!』

 

叢真の言葉に仕事が早い秋雲、現場へと連絡して着陸地点を確保して貰っている。

 

この辺の通信能力の強さも、彼女の機体であるEWACジェガンの強みだ。

 

「見えた…あれだ!」

 

遠くからでも分かる黒煙、ビルや商業施設が隣接する一角にある施設から、炎が上がっている。

 

『建物の消火システムが役に立ってない…複数箇所で爆破されたみたい!』

 

「怪我人は!?」

 

『死者は今の所無し、最初に派手な音だけの爆発があって、その後本命が爆発したみたい!』

 

錯綜する情報の中から必要な情報だけをピックアップして伝える秋雲。

 

情報処理能力随一は伊達ではないらしく、次々に必要な情報を纏めては叢真達に送信していく。

 

「着陸する、二人はそのまま現場指揮官の元へ!」

 

「「了解っ」」

 

緑地公園内の野次馬達を警官と消防隊が追い出して場所を空けてくれており、そこへ減速しつつ降りていく叢真。

 

スピードが緩まった時点で時雨と夕立はブースターから離脱し、緑地公園へと着地。

 

すると周りで見ていた野次馬から歓声が上がる。

 

そしてブースターがあるのでゆっくりな着陸となるシルヴァ・バレトの姿がハッキリすると、更に大きな歓声が上がる。

 

ブースターを切り離し、待ち構えていた現場指揮官の元へ。

 

「連絡は受けている、多少は無茶をしても良い特殊車両として扱っても良いと」

 

「はい、多少の炎なら問題ありません」

 

「では、それぞれ分散して消火作業中の小隊の指示に従ってくれ。何せISを消火に使った事がない、ある程度君達の意志で動いて貰う事になる」

 

「任せて下さい、その為に来たんです」

 

叢真の言葉に、頼もしいなと現場指揮官は苦笑し、叢真達はそれぞれの持場へと移動。

 

ここで陽炎が到着し、秋雲が現場指揮所と火災現場の中間に着地。

 

カメラを施設へと向け、通信機を指揮所へと向ける。

 

「収集した情報は纏めた上で送信しますんで!」

 

「おぉ、これは助かる…!」

 

消防の現場にも広まっているタブレット端末に、火災の情報を送信し始める秋雲。

 

EWACジェガンのカメラが、現在の施設の中まで透過して火災の状況をリアルタイムで観察しているからだ。

 

「火元が複数箇所…施設データリンク…場所はトイレに物置、ゴミ箱…植木に階段…どこも人気が基本無い場所ぽいねー」

 

『つまり爆弾を仕掛けやすい場所って事か…』

 

インパルス消火システムを大型化した放水バズーカで消防隊に混ざって消火する叢真。

 

やはりISの性能は高く、多少の火なんて熱さすら感じない。

 

「そこの窓を破壊してくれるか!」

 

「はいっ!」

 

現場の小隊長に言われて黒煙が上がる小窓を破壊する時雨。

 

「ぽいぽいぽーい!」

 

消火剤を噴出するグレネード型のケースを火元へと投げ入れる夕立。

 

「こちら陽炎、やばいわ、火が建物の上まで上がってきてる!」

 

『現場指揮所から連絡、放水車が足りないからISで上空から消火して欲しいって!』

 

「了解、長いホースを一本借りれる様に連絡お願い!」

 

上空から消火剤を撃ち込んでいた陽炎だが、火炎が屋上付近まで昇ってきているのに気づいた。

 

放水車が足りないし、施設も5階建てで普通の放水では届かない。

 

その為、陽炎は長いホースを一本借り受けると、それを放水ライフルと直結。

 

上空まで飛び上がり、高所放水車代わりになって放水に入る。

 

IS部隊の投入で、多少の火や崩落を気にせず消火が可能となり、消火が早く進む。

 

そんな時だった。

 

「ん…?んんっ?何この反応……げっ、まだ取り残されてる人居るじゃん!」

 

『何ッ!?』

 

『なんだとっ?』

 

秋雲がセンサーで発見した熱源反応、それは取り残された人の反応だった。

 

その言葉に反応する叢真と、騒然とする現場指揮所。

 

『最初の音の爆発の際に、施設スタッフが避難放送を入れて全員逃げた筈だが…!』

 

「なんだろ…反応が小さい、子供かな…なんか動けないみたい!」

 

センサーの反応が小さく、また身動きはしているが大きく動けない様子を送信する秋雲。

 

場所は、4階奥の関係者以外立ち入り禁止の資材置き場。

 

「なんでそんな場所に子供が…」

 

『わかんないけど、やばいよ、近くにまだ大きな火元がある!』

 

秋雲の言葉に静かに深呼吸する叢真。

 

「こちら雨宮、これより建物内部へと突入し子供の救出に入ります」

 

『危険だぞ、建物の崩落もあり得る!』

 

「その為のISです!」

 

指揮官からの言葉に、きっぱりと断言する叢真。

 

元は宇宙という未知の危険な領域を行くためのIS。

 

火災現場のような場所でこそ、その真価を発揮する。

 

『……分かった、要救助者を頼む』

 

指揮官としては本来なら素人の子供に頼むなんて論外であろう。

 

だがその子供は、ISを装備した覚悟を決めた戦士の顔をしている。

 

時間的な猶予は無く、指揮官は処罰覚悟で人命を優先した。

 

「了解、雨宮、突入します!」

 

シールドを構え、入り口から中へ飛び込んでいくシルヴァ・バレト。

 

その姿を、固唾を呑んで見守る現場の消防隊員達だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ケホケホッ、文月、だいじょうぶ…?」

 

「けほっ、けほっ、ふみぃ…苦しいよぅ…」

 

施設の中、関係者以外立ち入り禁止である資材倉庫の中で、後ろ手を縛られている少女が二人。

 

「ごめんね皐月ちゃん…あたしがあの人を追いかけなければ…」

 

「何言ってるのさ!僕が注意してやろうなんて考えなければ…!」

 

皐月と文月、二人はあの後変な行動をしている怪しい女性の後を追った。

 

そして女性が周りの目を気にしながら関係者以外立ち入り禁止の部屋に入ったのを見た二人は、持ち前の正義感から注意しようと決めた。

 

ここで係員などに通報していれば未来は違っただろう、だが周りに係員が居なく、人気もお昼時で疎らになった施設。

 

元々人が集中していたのが、一回エントランスの叢真関連のブースだっただけに、他の階は人気が疎らだった。

 

故に犯人は犯行が可能だったのだろう。

 

二人は犯人の後を追ってしまい…後ろから来たもう一人に捕まってしまった。

 

そう、犯人は二人居たのだ。

 

複数犯だからこそ、素早く爆弾をセット出来た。

 

犯人の、化粧が濃い女性二人は、可哀想だけど見られたからには仕方ないと言い、二人を閉じ込めて去っていった。

 

最初は騒いで気づいて貰おうとしていた二人だが、直に爆発が起きて辺りは騒然。

 

まさか資材倉庫に人が居るとは思わない係員も確認せず、二人は取り残されてしまった。

 

資材倉庫で扉が閉まっている為、まだ火の手は迫ってはいないが、煙がアチコチから侵入してきている。

 

「あたしたち…死んじゃうのかなぁ…けほっ」

 

「大丈夫だよ、絶対大丈夫!必ず助けが来るもん!」

 

涙する文月を必死に励ます皐月だが、その瞳からは涙が流れる。

 

絶望的な状況、二人が居るのは4階の奥の部屋。

 

そこへ行くための階段やエレベーターは火災で通れない。

 

空飛ぶヒーローでも居なければ、二人は助からない。

 

それが分からないほど二人は子供ではなく。

 

どちらも、涙を止めることが出来なかった。

 

「だれかぁ…けほけほっ、だれかぁ…!」

 

「助けてよ…誰か助けてよぉっ!!」

 

『応ッ!!』

 

「「っ!?」」

 

二人の懸命な叫び声に、答える男性の声。

 

熱で変形して開かない扉を、黄色い光が貫き、溶断していく。

 

そして扉を蹴り飛ばし、姿を表したのは。

 

「あい…えす…?」

 

「うそ…そうまさん…あまみやそうまさんだ…っ」

 

呆然とする二人の前に現れたのは、シルヴァ・バレトを身に纏った叢真。

 

ビームサーベルを収納し、二人に近づくと、縛られている事に気づいて顔を顰める。

 

「助けに来たぞ…犯人にやられたんだな?」

 

「う、うんっ」

 

「あ、あのね、化粧が濃くてね、大きな帽子かぶっててね!」

 

「詳しい話は脱出してからで良い、縄を切ろう」

 

一度無線式ハンドを射出して生身の腕で二人の腕を縛っている縄紐を切断。

 

開放された二人を抱き抱えると、二人は呼吸が楽になるのを感じた。

 

「息が…」

 

「苦しくないよぉ…」

 

「シールドバリアの範囲を広げてある、これで火も大丈夫だ」

 

シールドバリアのカバー範囲はある程度自由に設定が出来る。

 

それをいじって二人ごと包み込んだのだろう。

 

「さぁ、脱出しよう」

 

「「はぁい!」」

 

叢真の言葉に嬉しそうに返事をして抱き着く二人。

 

その二人を確りと抱え、部屋を飛び出す叢真。

 

だが通路は火に包まれ、階段の方も通れそうにない。

 

一応シールドバリアで守られているが、二人を火に晒す事はしたくない。

 

それ故に、叢真が取った行動は。

 

「秋雲、全員に通達、南側窓から離れてくれ」

 

『了解~』

 

通信で秋雲に連絡すると、秋雲から関係各所へ通達。

 

そして了解の返事が来た所で、インコムを射出。

 

窓ガラスをインコムで破壊し、外へと飛び出す。

 

「わぁ…!」

 

「凄いっ、僕達飛んでるっ!」

 

窓から要救助者を抱えて飛び出してきた叢真のシルヴァ・バレトの姿に、歓声が上がる一帯。

 

そして救急車が待機している救護場所へと直接飛んでいく。

 

「もう大丈夫だ、よく頑張ったな」

 

「うん…うんっ!」

 

「僕頑張ったよ…すっごくすっごく頑張ったよ…!」

 

助かった反動から泣き出す二人を慰めながら、救護場所へ。

 

そして二人を救急隊員へ渡す前に、ある事を聞いておくのも忘れない。

 

「秋雲、至急周囲のサーチを。特徴は赤と黒のツバの広い帽子と赤いスーツ、それに黒いスーツに派手な月型のイヤリングをした、化粧が濃い女性」

 

『どっちも派手だねぇ…りょうかーい』

 

現場のサーチを一時中断し、カメラを野次馬達の方へ向ける秋雲。

 

叢真に言われた特徴にヒットした人間が数人ピックアップされていく。

 

「んで化粧が濃い…これは主観だから難しい…って居るわ二人、ピッタリの格好で化粧が濃いのが」

 

野次馬の中から上がってくる情報を整理していた秋雲だが、一目で化粧が濃いと分かる二人が居るのを見つけた。

 

分かりやすい位化粧が濃い、そして赤いスーツに帽子、黒いスーツに派手なイヤリング。

 

その二人が、子供が救助されて喜ぶ野次馬の中、忌々しげにしている。

 

「周辺警察に連絡っと。これで大丈夫だと良いけど…」

 

まだ爆弾を持っていたら大変だが、慎重な日本の警官は急に飛びかかるとか、そんな迂闊な事はしない。

 

野次馬整理のふりをして、徐々に目標の女二人に近づいていく警官達。

 

だが包囲する前に、二人は危険を感じ取ったのかその場を離脱してしまう。

 

慌てて追いかける警官達。

 

だがそんな女二人の前に、叢真が降り立った。

 

周囲が驚く中、腰を抜かしたのかその場で蹲る女二人。

 

「なんでよ…なんで私達の味方の筈のISが敵になるのよ!」

 

「お前のせいで…お前達男性操縦者のせいでISが汚れたのよっ!」

 

汚い言葉を浴びせて物を投げてくる二人に、叢真は無言で仁王立ちしていた。

 

そして追いついた警官が二人を確保、重要参考人として逮捕する。

 

「あんた達の主張なんざ知ったこっちゃないが、一つだけ言える事がある。子供を犠牲にしようとした時点で、どんな主義主張もただの汚い我侭だ」

 

叢真の言葉に、さらに汚い言葉を浴びせてくる女二人だが、叢真はどうでもいい雑音としてシャットアウト。

 

そのまま飛び上がり、再び消火作業へと戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皐月と文月は、あの後病院に搬送され、警官から事情を聞かれたりしていた。

 

二人共煙を少し吸った程度で、大きな怪我もなく、一日検査入院して明日には退院となる。

 

「かっこよかったねぇ~」

 

「うん、カッコ良かった」

 

二人一緒の病室で、二人が思い出すのは叢真の姿。

 

助けを求める声に答えて、現れてくれた本当のヒーロー。

 

慌てて駆けつけた両親にも、如何に叢真がカッコ良かったかを語る二人と、そんな元気そうな様子に安心する両親。

 

その時だった。

 

夕暮れの病室の窓を、コンコンと叩く何かの音。

 

マスコミ対策に締めてあるカーテン、そこに何か丸い物体の影が映っていた。

 

医師がなんだろうかとカーテンを開けると、そこにあったのはシルヴァ・バレトの無線式ハンド。

 

それが指先で窓を小突いていたのだ。

 

そしてその腕の先には、空中に滞空している叢真達の姿。

 

「あまみやさんだー!」

 

「来てくれたんだっ!」

 

ベッドから飛び起きて窓際にやってくる二人。

 

皐月が窓をあけると、もう一つの無線式ハンドが飛んできて、その手に持っていた花束を手渡してくれる。

 

「わぁ、きれい~」

 

「ありがとう、雨宮さんっ!」

 

「お大事にな」

 

二人に手を振り、何度も頭を下げて感謝の言葉を言う二人の両親に会釈をし、無線式ハンドを戻して飛び立つ叢真。

 

時雨や夕立達も手を振り、陽炎達も笑顔を残してその場を去っていく。

 

そんな叢真達を見送り、皐月と文月は手にした小さな花束を胸に抱いた。

 

「お父さん、お母さん!僕決めたよ!」

 

「あたしも~!」

 

二人の言葉に、何をだい?と問い掛ける両親達。

 

「将来絶対、IS乗りになるっ!!」

 

幼い二人の、大切な夢が決まった瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ…やっぱりヒーローだった…ヒーローなんだ…」

 

現場検証を行っている火災現場前の広場から、その光景を見ていた一人の少女。

 

偶々現場に居た彼女は熱に浮かされたように呟きながら、彼女のヒーローの活躍を反芻していた。

 

 




普通なら消防の現場に学生を動員とか頭おかしいよねっていうアレ

でも書いちゃう!ISだもの!(錯乱

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