IS~Under Dog~   作:アセルヤバイジャン

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どうせだからオリジナル展開書き始めてみた(スランプ回避感

あ、火砲群魔は かほうぐんま 

更に厨二っぽく言うならカノンレギオンですん


第二十一話

 

 

 

 

 

 

夏休み、それは学生にだけ原則許された癒やしの期間。

 

最近では会社などでも夏季休暇を取るのが増えてきているが、それでも夏の休みと言えば学生の独壇場。

 

IS学園でもそれは同じであり、夏休みに突入した学園は現在人が減り、残っている生徒は家庭の事情がある一部しか居ない。

 

本来なら叢真も同じように学園に残る筈だったのだが、アナハイムからの呼び出しがあり、夏休みはほぼアナハイムの研究所で過ごす事になる。

 

言葉だけを聞くと窮屈な生活に思えるが、あのアナハイムである。

 

敷地内に小さな町が出来ており、フードタウンやスパ施設も充実している。

 

なんとかしてアナハイム研究所内で夏休みを過ごしたいと願う3組生徒も多く。

 

現在、叢真はそんな3組生徒の一部を連れて研究所へと訪れていた。

 

「すみませんアルベルトさん…」

 

「なぁに、研修の一環としておくから心配は要らない。こちらとしても、有能な学生を青田買い出来るというメリットがあるからね」

 

第一陣である15人ほどがアナハイムの敷地内ではしゃぎ回る中、出迎えたアルベルトに頭を下げる叢真。

 

アルベルトは流石企業人、有能な3組生徒の青田買い狙いで彼女達を受け入れていた。

 

「叢真、お帰りなさい」

 

「た、ただいま、母さん」

 

アナハイムの敷地内で保護されている母の鳳翔の言葉に、照れ臭そうに答える叢真。

 

そして次々と鳳翔に挨拶する3組生徒達。

 

何せ未来の自分の義母になるかもしれないのだ、その挨拶は気迫が篭っている。

 

今回、と言うか第一陣としてやってきたのは陽炎や時雨、夕立達に海風や白露達である。

 

夕雲達はお盆の後にやってくる予定で、だいたい半分が同じような予定でお盆後にやってくる。

 

「それじゃ、部屋に案内しよう。空いている寮を丸々使って構わないから安心するといい」

 

「何をどう安心すれば良いのか分からないのですが…」

 

ニヤリと笑うアルベルトの言葉に、げんなり気味の叢真と、あらあらと楽しそうな鳳翔。

 

同じ寮で他に邪魔は居ないと知って、キラリと目が光るお世話し隊と遊び隊。

 

それを見て警戒を高める守り隊。

 

3組淑女協定の元、今夜から早速叢真をめぐる戦いが始まりそうな様子であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

夏休み前にあった6対6および1対5の専用機対戦。

 

あの結果は学園中に知れ渡り、叢真と織斑の評価は完全に逆転した。

 

企業代表として恥ずかしくない実力と気迫を見せる叢真に対して、いつまでもお遊戯気分が抜けない織斑千冬の弟。

 

1組を除いた殆どの生徒が、織斑を一番目の男子、織斑千冬の弟という視線で見ている。

 

つまりは、そういう評価に落ちたのだ。

 

更にそんな織斑に纏わり付いている代表候補生達の評価も下がっており、見る目がない、実力も疑問だと懐疑の目で見られている。

 

本人たちも本国からその辺りを指摘されているのか、訓練に励む姿が夏休み前に見受けられた。

 

なお織斑が絡むと途端に訓練どころでは無くなる辺りが、彼女達らしいと言える。

 

負け犬街道から電撃的な勝利を飾った叢真の評価は高く、2年最強と噂される神通の愛弟子でもある事もあり、他の代表候補生や優秀な操縦者からライバル視もされている。

 

その為、夏休みでもっと強く成れる様にと、気合を入れている叢真。

 

夏休みに入っても、神通から手渡されたトレーニングメニューによる体力作りと肉体維持は欠かせない。

 

先ずは早朝のランニング、広いアナハイムの敷地内を走って体力を作る。

 

朝食は用意された寮で、鳳翔の手作りと海風達が手伝ったスタミナ料理。

 

予定されている機体テストまでの間、研究所施設内にある職員用トレーニングジムで汗を流す。

 

「もっとだ、もっと腕を高く!」

 

「っ、はいッ!」

 

特殊部隊出身であるダグザ・マックール隊長指導の元、体力作りに余念のない叢真。

 

更に彼らアナハイム私設部隊エコーズから、実技指導まで受けている。

 

流石はISが無い時代で最強と言われた兵士達、その射撃・格闘・戦術、全てが勉強になる。

 

そんな彼らエコーズの癒やしで女神とか言われてるのが叢真の母である鳳翔だったりする。

 

エコーズの隊員全員が鳳翔のお店の常連だと言うのだから凄い話である。

 

「10分休憩、その後に近接格闘の指導に入る」

 

「はい…ッ」

 

みっちり体力作りを終わらせた叢真に、海風達が近づいてきてタオルやドリンクを手渡す。

 

陽炎や時雨、夕立達も、同じ様にキツいトレーニングを女性隊員から受けている最中だ。

 

「基礎は出来ているな、では少し厳し目に行くぞ」

 

「くッ」

 

模擬戦用ナイフを持ったダグザ隊長の攻撃を、必死に捌く叢真。

 

神通との格闘訓練と、川内に教えて貰った近接戦闘が役に立っているらしく、ダグザ隊長の指導にも熱が入る。

 

「おーおー、あの年で隊長の攻撃をあれだけ捌けるなら大したもんだ」

 

副隊長であるコンロイの呟きは本心から出た物だった。

 

ほんの数ヶ月前までは格闘技すら知らなかった少年が、よくもまぁここまで成長したものだと感心している声。

 

そんなエコーズの隊員達に扱かれ、訓練を終えると休憩を挟んで機体のテストへ。

 

ドーベンウルフことシルヴァ・バレトはまだ二次移行したばかりだ。

 

必要なデータは山ほどある。

 

「ふむ、主武装であるシールドビームランチャーは、ジェガンのシールドを流用すれば複製可能だね」

 

「そうですか、良かった…一つ消耗してしまって困っていたんです」

 

対織斑戦の時に消失してしまったシールドビームランチャー。

 

拡張領域に予備のが入っていたのでその後の対戦では問題無かったが、その予備も破損していたので内心焦っていた。

 

だがアナハイム技術者曰く、この武装はデータにあったジェガンのシールドとドーベンウルフのビームライフルとをコアが組み合わせて実体化させた物らしく、両者のデータが在るので複製が可能との事。

 

主武装だけあって、今後も使えないのは非常に困るので安堵する叢真。

 

「武装はドーベンウルフの物がそのまま流用可能だし、各部パーツもジェガンのが使えるから、ある意味技術者には嬉しい機体だよこいつは」

 

何せ大部分の修理に手間がかからないのだから。

 

唯一、繊細な調整が必要なインコムと無線式ハンドの修理だけは技術者泣かせだが。

 

陽炎や時雨達も自分達の機体のテストや調整に追われ、整備班志望の子達と一緒に教わっている。

 

そんな中、適度に整備を手伝っていた秋雲の元に、アルベルトがやってきた。

 

「秋雲くん、ちょっと良いかね」

 

「はい?なんですかー?」

 

道具を片付けながらアルベルトに振り向くと、彼はタブレットを秋雲に手渡した。

 

「なんですかこれ」

 

「ISの選択肢の開拓という事で設計・開発された機体なんだがね、通常のIS操縦に加えて情報操作能力が求められるんだよ」

 

タブレットに表示されているのは、EWACジェガンと書かれた機体。

 

情報収集・解析を専門とする機体で、宇宙開発におけるデブリ観測などを可能とする装備を搭載している。

 

大型化した頭部は両肩にかかる程に巨大で、右手には人工衛星にも使われる大型カメラ、左手にはISコア以外とも通信可能な複合レーザー通信機を搭載している。

 

宇宙開発という点ではこの上なく高い性能を誇る機体だが、IS同士の対戦が主の今では色物になってしまう機体。

 

そんな機体でもあえて制作して実用化にしようとする姿勢だからこそ、アナハイムは世界的企業になったのだろう。

 

「ふ~ん…そんな機体を私に見せるって事は…」

 

「情報処理テストでトップだった君に、テストを頼みたい」

 

こう見えて情報処理においてトップの成績を誇る秋雲。

 

人は見かけによらないとはよく言うが、巻雲辺りが聞いたら悲鳴を上げただろう。

 

「にひー、おっけーおっけー、秋雲さんにお任せよ~」

 

「では、午後から3番ハンガーでテストを頼むよ」

 

アルベルトに対しても気安い秋雲だが、それが許される雰囲気なのも秋雲の強さだろう。

 

楽しそうにタブレットを操作して情報を閲覧する秋雲、彼女の興味は既にEWACジェガンへと向かっていた。

 

アルベルトはそれを満足そうに眺めると、そのまま叢真の元へ。

 

「叢真君、午後にはちょっとした特殊兵装のテストを頼みたい。勿論他の子もだ」

 

「特殊…兵装ですか」

 

「と言っても武器ではない。いや、ある意味武器だが危険な物ではないよ。ISの方向性を模索する意味での装備でね」

 

アルベルトの説明に、要領を得ない叢真達だが、雇い主がやれと言うなら素直に従うだけだ、別に嫌な仕事でもない。

 

午後になって野外の訓練場へと機体を装備して出てきた叢真達。

 

訓練場には、複数の装備と、大量の水の入ったプールが用意されていた。

 

「アルベルトさん、これは…」

 

「IS用放水装備…要は消火装備だね」

 

大きさ的にIS用だが、消防車などに搭載も可能だという消防装備。

 

バズーカ砲のようなインパルス消火システム、大規模放水用の放水砲、グレネードのような消火剤入りケースなどなど。

 

様々な消防装備がそこに鎮座していた。

 

「ISの防御力と機動力を消防に取り入れれば、人命救助や早期消火に役立つと言う計画があってね、その装備の一例だよ」

 

他に、ミサイルの弾頭にゲル状消火剤を搭載した消火弾頭や回転して消火剤を噴出する手榴弾のような物。

 

現代兵器を消火用に転用した装備が用意されていた。

 

「大きさ的にIS用になってしまうが、今後小型化が進めば通常の消防隊員でも使える様になる。その効力テストを行いたいのだよ」

 

ISで消火活動、下手な戦争や対戦に使われるよりよほど平和的で実用性の高い使い方だ。

 

その考え方には叢真も賛成なので、喜んでテストに参加する。

 

訓練所に建てられた疑似火災用の建物に火を付け、消火訓練を行う叢真達。

 

叢真はバズーカタイプの放水砲を、陽炎はライフルタイプの放水銃、時雨はジェスタ・キャノンのキャノン部分を放水砲に換装し、夕立は消火剤入りボトルなどを装備。

 

アナハイムの私設消防隊の隊員達に指導されながら、装備を試す叢真達。

 

そしてそんな叢真達の様子を、離れた位置で撮影・観察するのは秋雲のEWACジェガン。

 

このEWACジェガン、通常のジェガンと違って、両手を入れなくてもISの両手が動かせるという機能が搭載されている。

 

これにより、両手のカメラや通信機を操作しながら、自由な両手で情報解析を可能という物。

 

実際今も、カメラを叢真達に、通信機をアルベルト達が居る管制エリアへ向け、自由な生身の両手で空間パネルに表示される情報を収集・解析を行って、必要な情報だけをアルベルト側へ送信している。

 

「うひー、これは中々大変だわー」

 

情報の波に飲まれているのに案外余裕そうな秋雲。

 

大型カメラには赤外線や紫外線など様々なカメラ機能が搭載されており、サーモカメラ機能も当然搭載されている。

 

その情報から燃えている建物の熱源位置を通信で叢真達へ送信。

 

それを受けてその場所を集中して消火し、効果的に火を消していく。

 

建物の倒壊などの情報も観測されたら即送信し、近づいていた夕立を退避させる。

 

更に私設消防隊の隊長の指示も全員に伝えるなど、仕事が多い秋雲だがそれを愚痴りながら的確に捌いていく。

 

「ふむ、この性能なら消防車搭載機器として売りに出せるな…」

 

装備の消火能力の高さに、満足そうなアルベルト。

 

そこへ、ガエルが急ぎ足でやってきて何やら耳打ち。

 

「な、なんだってぇ!?」

 

「「「「「っ?」」」」」

 

アルベルトの大声に、思わず全員の視線が集中するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は少し巻き戻る。

 

夏休みの学生などで賑わうとある商業施設。

 

そこは、最近リニューアルオープンしたアナハイムの最新技術が体験出来る元は多目的商業施設だった場所。

 

アナハイム自慢の家電や最新技術の博覧会のような様相で、沢山の来場者の姿が見受けられる。

 

何せ今やアナハイムは世界中の注目の的だ。

 

二人しか居ない男性操縦者、その片方が企業代表に就任した世界的企業。

 

その他にも色々な技術を公開しており、夏休みの自由研究やら行楽先としてピッタリな場所。

 

広いフロアの中央には、叢真のパネルとシルヴァ・バレトのパネルが置かれており、記念写真スポットと化していた。

 

色々なフロアに家電やIS技術の展示が行われており、正にアナハイムの博覧会。

 

「文月、はやくはやくっ」

 

「ふみぃ~、待ってよ皐月ちゃ~ん」

 

そんな人混みの中を、元気に進む少女が二人。

 

夏休み、自由研究のためにやってきた小学生の二人。

 

「ほらほら、あれが雨宮叢真さんだって!」

 

「ふみぃ、背が高いねぇ~」

 

写真を撮る為に並ぶ人が多い叢真のパネルゾーン。

 

パネルの叢真は、少しぎこちない笑みを浮かべているが、その初心な感じが逆に良いと人気らしい。

 

「う~ん、この多さじゃ記念撮影は時間かかっちゃうね…先に他のフロア見てこようか」

 

「うん、そうしよう~」

 

皐月と呼ばれた元気っ子の言葉に、ほにゃりと答える文月と呼ばれた少女。

 

二人は手を繋いで色々な技術や製品を見て回り、お昼頃になるとだいぶ人も落ち着いてくる。

 

隣接した施設のフードコートは今頃人の山だろう。

 

両親のお弁当を持ってきた二人は気にする必要が無い、施設の正面にある緑地広場でお弁当の予定だからだ。

 

「あれぇ…」

 

「ん?どうしたの?」

 

ふと、文月が妙な動きをする人を見つけて首を傾げる。

 

その人は、ゴミ箱の中に手を入れて、なにやらごそごそしてその場を離れたからだ。

 

気になったので見ていると、その人物…女性は、小さな小包を通路の片隅にある植木に置いて行ってしまう。

 

「あの人、荷物置いてっちゃったよ~」

 

「ゴミかなぁ、いけないんだぞ!」

 

困り顔の文月と、ぷんすかと怒る皐月。

 

二人は今時珍しい位に良い子だ、女性が隠すように置いていった小包を手にして、女性の後を追いかけた。

 

追いかけて、しまった。

 

 

 

 

 




わぁい、ダグザ隊長だいすきぃ(脳死


ISでレスキュー物…有りそうで無かった…?
レスキューヒーローでIS…?(錯乱

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