IS~Under Dog~   作:アセルヤバイジャン

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明かされる黒幕の正体!(そんな大した物じゃない


第十話

 

 

 

 

 

 

 

学年別タッグトーナメント当日。

 

朝からIS学園は多数の来場者でアリーナは賑わっていた。

 

何せ企業にとっては数少ないIS学園での公開イベントである。

 

この場で3年生或いは2年生の見極めとスカウト、援助している自国や企業代表の成長確認など、色々な目的が存在する。

 

そして国や企業が注目しているのはもう一つ。

 

二人の男性操縦者の事だろう。

 

「いいか、貴様は足手まといにならない様に気をつければそれでいい、試合は私が全て勝利するから邪魔だけはするな」

 

「あぁ…」

 

織斑千冬の指示でタッグを組む事になったボーデヴィッヒと叢真。

 

だがタッグとは名ばかりであり、ボーデヴィッヒは自分一人で勝つと宣言、邪魔だけはするなと叢真に厳命していた。

 

それを聞き流す叢真。

 

ただの試合ならそうしても良い、だがある試合だけはその命令は聞けなかった。

 

これ以上、織斑に負ける事は許されないのだから。

 

「対戦表が発表されたか……む」

 

「これは…」

 

「ほう、手間が省けたな」

 

叢真とボーデヴィッヒの対戦相手は、いきなり織斑とデュノアだった。

 

これを手間が省けたと喜ぶボーデヴィッヒと、拳を握る叢真。

 

ある意味で、手間が省けたのは叢真も同じだった。

 

「いいか、貴様は後ろで遊んでいるか、せいぜいデュノア相手に「黙れ」――何っ」

 

「お前が好きに戦いたいなら好きにしろ…だが俺も織斑とは因縁があるんだ…譲る気はない」

 

「なんだと貴様…!素人の雑魚が私に向かって!」

 

「その素人の雑魚から見ても幼稚な理由で問題を起こしてる奴が何を偉そうに。軍人を自認している癖に軍人じゃなくテロリスト紛いな事しかしてないだろうが」

 

「貴様…ッ、先に貴様が死にたいか!」

 

「それが幼稚だと言うんだ、母親を取られた子供みたいに喚き散らして八つ当たりして…軍人を名乗るなら少しはそれらしくしたらどうだ」

 

叢真にしては珍しく暴言を吐いていた。

 

それは、彼が追い詰められているという証拠。

 

万が一織斑に負ける事になれば、例えボーデヴィッヒが相手に勝っても意味がない。

 

負けという事実だけを織斑千冬は記載して自分を研究所送りにする。

 

焦り、追い詰められている叢真はそう想像して不安と恐怖に怯えていた。

 

「邪魔だけはしない、だが俺は俺で勝手にやらせて貰う」

 

連携が取れないのは最初から分かりきっていた、なら2対2ではなく2対1と1で勝負するしかない。

 

「おい待て貴様!私の命令が聞けないのか!」

 

「命令したければ少しは軍人らしいことの一つでもしてみろ」

 

今のお前は、親を他の兄弟に取られたと喚く子供にしか見えんと言い放ち、その場を後にする叢真。

 

「子供…だと…軍人らしくだと…ッ!」

 

後に残されたボーデヴィッヒは、ギリギリと歯を噛み締め、そして拳を握りしめて怒りに震えていた。

 

それは、叢真に言われた事が全て図星であるから。

 

憧れの教官である織斑千冬を織斑に奪われて、取り返そうと暴れまわって気を引こうとする子供そのものだから。

 

図星だが、図星であるが故にプライドを傷つけられ。

 

その右目には、明確な怒りと憎しみが渦巻いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

管制室へと続く通路、そこを一人進む織斑千冬の姿。

 

表面上は平然としているが、その心中は伺い知れない。

 

「……更識か」

 

「あの話、本当なんですか織斑先生」

 

すると、通路の影から溶け出す様に姿を表した生徒が一人。

 

手にした扇子には「疑惑」と書かれており、口元を隠している。

 

「どの話だ」

 

「恍けないで下さい、戦績の奮わない男子の片方を研究所送りにする提案の事です」

 

「なるほど、お前も代表だったな。ならばお前が聞いた通りだ」

 

彼女の名前は更識楯無、学園の生徒会長にして最強の生徒、そしてロシアの代表操縦者。

 

それ故に知らされたのか、或いは彼女の家業である対暗部用暗部である更識の仕事故か。

 

どちらにせよ、叢真の後がない事を知る一人であった。

 

「理由としては、学業との両立が難しい方の男子をISに専念させるという建前で、IS委員会直属の研究所でISに携わせるとなっていますが…これ、人体実験も含めての話ですよね?」

 

一度パチンと扇子を閉じ、織斑千冬を見つめる更識。

 

「さてな、私にはお前が言った研究所でIS研究に従事する、としか聞かされていない」

 

「だとしても、彼を引き渡して良いのですか?これではIS学園が掲げるどの国からも干渉を受けないという前提が崩れてしまうじゃないですか」

 

「そのIS学園上層部が、IS委員会がそれを考えているのだ…私にはどうにも出来ん」

 

「ご冗談を。ブリュンヒルデであり、かの篠ノ之 束博士の親友…その言葉ならどうとでもなるのでは?」

 

「まだまだ青いな更識…そんな簡単に行くなら私は雨宮に苦行を強いていない…」

 

世界最強で、天災の親友ならある程度自由が効くだろうという生徒会長の言葉に、肩を竦めて否定する織斑千冬。

 

その態度に訝しげな顔になる生徒会長だが、何かに思い当たったのか目を見開く。

 

「まさか…織斑君も…?」

 

「IS委員会としてはどちらでも良い、だが出来るだけ私と束の機嫌を損ねたくない…だからこんな遠回しな事をしているのだろう」

 

織斑千冬とて好きで叢真を生贄にしたい訳では無かった。

 

だが、IS委員会は二人居る男性操縦者を有効活用したかった。

 

本音を言えば両方研究所に送って研究したいのだろう、だがそれでは織斑千冬、そして篠ノ之束の機嫌を損ねかねない。

 

ならばどうするか。

 

あれこれ理由を付けて、学園でISの戦績が劣る方を、その戦績を理由に学園から離れさせ、研究所へ入れる。

 

建前として、学業との両立が厳しいと判断した男子をIS研究に従事させるという理由で。

 

研究所に入れるのは早い方が良い。

 

その為に、本来なら戦績にならない試合外の破損まで戦績に反映させた、織斑千冬に命じて。

 

「私もな、所詮人の子だ…束ほどの力も無い。こちらを立てればあちらが立たず…教師として情けない話だ」

 

だが出来るだけの支援は陰ながらしてきた。

 

3組に助力を願うのも許したし、神通達代表候補生が手を貸しやすい様に許可も出した。

 

ジェガンを専用機にする提案もIS委員会にゴリ押した。

 

今回のタッグでも、少しでも勝率の足しになる様に、問題児とは言え優秀なIS操縦者であるボーデヴィッヒをタッグにさせた。

 

織斑千冬なりの、支援のつもりだった。

 

だが、その殆どに叢真は気づけていない、織斑千冬が気づかせないようにしているのもあるが、懐疑心が育ってしまった叢真は、そういう目で織斑千冬を見れなくなっていた。

 

それが、更なる悲劇を生む事に、織斑千冬も、生徒会長も、気づいて居なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリーナの中、2対2で向き合う叢真・ボーデヴィッヒ組と織斑・デュノア組。

 

だが小声で連携を確認し合う織斑組とは異なり、叢真側は会話どころか険悪なムードすら漂っていた。

 

その原因はボーデヴィッヒにある事は言うまでもない。

 

「いきなり当たるとはなぁ、叢真」

 

「あぁ…そうだな…」

 

相変わらず気安い態度の織斑だが、叢真の返事は硬い。

 

むしろ、敵意すら滲ませている。

 

「一夏、あまり感情的にならないでね…見たところ、向こうは連携が取れてなさそうだから各個撃破しよう」

 

「あぁ…先ずは叢真だな」

 

作戦を話し合う二人、ただの事前確認の復唱なのだろうそれ。

 

叢真が未だ格下だと思っているが故の選択肢。

 

プライベート通信故に聞こえてはいない、だが叢真は訓練の成果か、二人が自分に狙いを定めているのを感じていた。

 

「弱い奴から先に…と言いたいのか織斑…」

 

「おい貴様、何度も言うが私の邪魔をするなよ!聞いているのか!」

 

ボーデヴィッヒがしつこく念押ししてくるが既に叢真は聞いていない。

 

目の前の、織斑を倒す事だけに集中してしまっているから。

 

「織斑ぁ…」

 

グツグツと煮え滾っていた焦りと勝利への執念が荒れ狂い溢れ出す。

 

試合開始、その合図と共に叢真は両手にバズーカを呼び出すと、織斑達に向かって我武者羅に連射し始めた。

 

「うおっ」

 

「一夏、落ち着いて回避して!直撃しなければ大丈夫だから!」

 

片側6発、合計12発のハイパー・バズーカの連射。

 

それを織斑達は大きく回避行動と取りながら避けていく。

 

なにせ相手は爆発を撒き散らすバズーカだ、散弾の可能性もあるので回避も大きくなる。

 

会場の観客の大多数は破れかぶれの攻撃だと思った、だが一部の生徒はその狙いを読み取った。

 

「っ、しまった、一夏っ!」

 

「おぁあああああッ!!」

 

デュノアが気付いて一夏を呼ぶが遅い、既にバズーカを捨てた叢真が、両手にビームライフルを呼び出して突撃していた。

 

「織斑ぁぁぁッ!!」

 

「くっ、叢真ぁっ!」

 

ビームライフルの直撃をなんとか紙一重で避ける織斑だが、数発が機体を掠める。

 

「一夏っ!くっ」

 

デュノアが援護しようとするが、その瞬間半身だけをデュノア側に向け、右手のビームライフルで牽制。

 

その間も左手のビームライフルと頭部バルカンで織斑を追い詰めて行く叢真。

 

この展開に沸き立つ観客と、一人置いていかれた存在…ボーデヴィッヒ。

 

「おのれ…おのれ雨宮…!あくまで私の言うことを無視するか…私の“邪魔”をするか!」

 

織斑とデュノアを相手に互角の…否、連携させずに織斑を追い詰める叢真に、怒りを燃やすボーデヴィッヒ。

 

その役目は…織斑一夏を叩き潰すのは自分なのだ、それを奪わせて溜まるかと、怒り狂う彼女。

 

その怒りの矛先は…織斑一夏(獲物)を奪おうとする存在…叢真へと向いた。

 

「私の邪魔を……するなぁっ!!」

 

「何ッ!?」

 

レーゲンの肩に装備された大型レールカノン。

 

その標的になったのは、叢真のスタークジェガン。

 

放たれた弾丸は、織斑とデュノアを相手に善戦していたスタークジェガンの背部…バックパックユニットに命中する。

 

「ぐッ、…血迷ったかボーデヴィッヒィ!!」

 

「うるさい!邪魔をする貴様が悪いんだ!」

 

血反吐を吐くような叫びを上げる叢真と、既に正気とは思えない状態のボーデヴィッヒ。

 

「なんだ、仲間割れか…!?」

 

「チャンスだよ、一夏!」

 

連携させないように戦っていた叢真に隙きが生まれた事で、織斑とデュノアが体制を立て直してしまった。

 

「ぐぅッ!」

 

「私の邪魔をぉ!さっさと落ちろッ!!」

 

推進力が半減したスタークジェガンで、ボーデヴィッヒからの猛攻を避けながら反撃する叢真。

 

いつしか2対1と1の戦いは、3対1の状態へと移り、会場が騒然となる。

 

「ちょっと、こんなの試合じゃないじゃない!」

 

「卑怯だぞバカヤロー!」

 

3組生徒が立ち上がりヤジを飛ばすが、試合は止まる様子を見せない。

 

その間に、叢真は3人からの攻撃に晒され、徐々に追い詰められていく。

 

「――ッ、織斑ぁぁぁッ!!」

 

その叫びは、織斑一夏へ向けられた物か、それとも織斑千冬へ向けられた物なのか、本人にも分からない。

 

だが各部のスラスターとバックパックの辛うじて生きているブースターで加速し、織斑を狙う叢真。

 

「させないよっ!」

 

そこへ、灰色の鱗殻を盾にして割り込むデュノア。

 

普通なら対応出来ずに足止めされるだろうデュノアのカットイン。

 

だが叢真は、まるで分かっていたかのように…否、分かっていたのだ、デュノアなら必ず織斑を守ろうとする事を。

 

瞬時にジェガンのシールドを呼び出し、それを蹴りながら後方へ宙返りするように回避する叢真。

 

「くっ、こんな物で…なっ!」

 

シールドを弾いて追撃しようとしたデュノアの目に飛び込んできたのは、空中で宙返りしながら肩の3連装ミサイルを放つスタークジェガンの姿。

 

至近距離の3発のミサイル、避けるには速度が足りない、故に防御するしか無い。

 

灰色の鱗殻でなんとか防御するデュノアだが、その盾部分は弾け飛び、余波でかなりのダメージを受ける。

 

当然距離が近い叢真も爆風のダメージを受けるが、それを右手に呼び出して装備したシールドで防御。

 

そして爆風が晴れない内に、シールドのグレネードをデュノアが居る場所へ放つ。

 

それに気づいたデュノアが大きく距離を取る、距離を取らさせる。

 

邪魔を排除した叢真が織斑へ向かおうとするが、今度はレーゲンのワイヤーブレードが叢真を捕らえようと襲い掛かってくる。

 

「ちぃぃッ!」

 

「捕らえたぞ!散々邪魔をしてくれたなぁっ!」

 

「こっちの台詞だボーデヴィッヒ!」

 

右手ごとシールドを絡め取られ、プラズマ手刀の餌食にしようと近づいてくるボーデヴィッヒ。

 

残った左肩の3連装ミサイルを放とうとするが、それをレーゲンのAIC…アクティブ・イナーシャル・キャンセラーで動きを止められてしまう。

 

「先ずは邪魔な貴様からだ!」

 

「やらせるかぁッ!!」

 

叫びながらもボーデヴィッヒの死角、右手のシールドで隠された右側スカート部分に装備されたグレネードが放たれる。

 

「な…ぐあっ!?」

 

死角からのグレネードに咄嗟に左腕を盾にして防ぐボーデヴィッヒ。

 

だがこれで左手は破損して使えなくなり、また咄嗟に目を瞑った為にAICが解ける。

 

「おぁぁぁッ!」

 

その一瞬の隙を付いて、左手の追加装甲に内蔵されたビームサーベルを取り出し、切り上げる。

 

本体にはヒットしなかったが、レーゲンの大型レールカノンを溶断して破壊。

 

「お、おのれぇっ!」

 

「どけぇッ!!」

 

レーゲンを蹴り飛ばし、残った3連装ミサイルを全て放つと、そのミサイルが散弾を撒き散らす。

 

「くっ!」

 

「うわっ!」

 

AICで散弾をなんとか直撃コースのだけ止めるボーデヴィッヒと、隙きを伺っていたデュノアが慌てて回避するが、手にした武装を一部破損してしまう。

 

「織斑ぁぁ!」

 

残ったコンテナをパージした事により、高機動型ジェガンへと変化するスタークジェガン。

 

だがボーデヴィッヒの砲撃で破損したバックパックの推力は本来の半分も出ていない。

 

それでも性能で勝る織斑の白式に追いすがり、斬りかかる。

 

それを避けて距離を取る織斑、援護しようとするデュノア、武装の大半が破壊されたが残ったワイヤーブレードで叢真を狙うボーデヴィッヒ。

 

既に3対1の状況になってから、5分以上経過しているが、叢真は耐えるどころか果敢に攻めて相手にダメージを与えている。

 

その動きに、その戦い方に、手に汗を握る観客達。

 

今押しているのはどちから、と聞かれれば一部を除いた大多数がこう答えるだろう。

 

雨宮叢真、と。

 

「織斑ぁッ!!」

 

「叢真ぁっ!!」

 

ビームサーベルで斬りかかる叢真と、迎え撃とうと零落白夜を発動した雪片弐型で迎え撃つ。

 

ビームサーベルもエネルギー兵器、雪片弐型に触れたら消失してしまう。

 

それを分かっていてビームサーベルで斬りかかり…わざと自分でエネルギーを消す。

 

「なっ!?」

 

「斬り合う訳がないだろうがッ!」

 

肩透かしを食らった織斑は態勢が崩れ、一瞬の隙きを晒す。

 

その隙きを逃さず、雪片弐型を持つ右手を全力で掴む。

 

「この距離なら無視出来る威力じゃないだろう!」

 

「ぐわああああああっ!?」

 

右手を押さえ付けたまま、頭部のバルカン・ポッドを撃ち続ける叢真。

 

牽制や迎撃の為の兵装だが、至近距離ならばシールドエネルギーをゴリゴリと減らす武器になる。

 

「一夏っ!」

 

「させるかッ!」

 

デュノアが助けようと飛び込んでくる方へ、残っていた右手のシールドを投げつける。

 

そして最後のスカートアーマーのグレネードを放ち、シールドごと爆散させて目眩ましに。

 

「止めだ…ッ!――ぐあっ!?」

 

そして空いた右手にビームサーベルを持って織斑へ突き刺そうとした瞬間、織斑の右手を掴んでいた左手が吹き飛んだ。

 

「私を忘れるなよ…!散々邪魔をしおって…!」

 

レーゲンのワイヤーブレードの一撃だった。

 

これにより織斑は自由になり、叢真を蹴り飛ばして離脱する。

 

「ぐ…糞…が…ッ」

 

今までの攻防で無論叢真もノーダメージではない。

 

バイザーは砕け、左手は使用不可能、両足の装甲はひび割れ、バックパックも煙を噴いている。

 

どう見ても満身創痍であり、アナハイム社製の特性である装甲防御が無ければシールドエネルギーも切れていただろう。

 

そんな状態で、3機の専用機相手に善戦してきた叢真。

 

だが、もう武器も無く動くことも儘ならない。

 

だがそれでも。

 

「織斑ぁぁぁぁぁ…ッ!」

 

それでも叢真の瞳は織斑を睨み、気迫を…殺意にすら感じるオーラを漂わせている。

 

そのオーラに気圧されたのか、後退りする織斑。

 

「一夏、怯んじゃダメだよ!」

 

「で、でもよシャル…なんか叢真の様子がおかしいって言うか、そもそもなんで試合続いてるんだよ…」

 

既に会場はブーイングの嵐だ。

 

どう見ても2対2ではない上に、率先してボーデヴィッヒが邪魔者排除の為と、織斑側に協力している様に見える。

 

これは、叢真が予想以上に強敵だった為に、目的優先でボーデヴィッヒが行動した結果である。

 

先ずは最大の敵であった叢真を落とし、それから本来の2対1で織斑を倒すという目的。

 

だがそれも難しいだろう、レールカノンは叢真に斬り落とされ、ワイヤーブレードも一部を喪失している。

 

最大の武器のAICがあるとは言え、苦戦は免れないだろう。

 

それに対して、織斑はシールドエネルギーを削られ、零落白夜は放てて一回。

 

デュノアは灰色の鱗殻のシールド喪失に一部武器を消失。

 

全員がかなりのダメージを受けていた、3対1という状況下でありながら。

 

「お前だけは…お前だけはぁぁぁぁッ!!」

 

「っ、叢真ぁぁっ!!」

 

もう飛ぶことも出来ない状態で、それでも敵意を漲らせて右腕を向ける叢真。

 

それに対して織斑も覚悟を決めて斬りかかり、放たれた右腕のグレネードを切り払い、そのまま叢真を斬りつける。

 

「ぐ…ぎ…ぁ……ぁ…」

 

終にシールドエネルギーが尽き、機能停止になるスタークジェガン。

 

そしてゆっくりと右手を伸ばしたまま、地面に倒れ伏す叢真。

 

巻き起こるのは、3組生徒の悲鳴と、一組や一部の生徒を除いた大ブーイングの渦。

 

「畜生…なんなんだよ、まるで俺達ヒール役じゃないか…」

 

「一夏!まだラウラが残ってるよ!」

 

「その通りだ、やっと邪魔な奴が退場したからな。貴様は、私が叩きのめす!」

 

プラズマ手刀と残ったワイヤーブレードを展開するボーデヴィッヒと、身構える織斑達。

 

そんな彼らの声も届かない叢真は、一人暗い闇の中に意識を落としていくのだった。

 

 

 




織斑先生なりに支援はしていた模様

なお全て裏目で主人公ハードモード

皆人間だからね、シカタナイネ!

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