二人の男女の刺客を倒した後、フゥ太が来て別れを告げてきた。走り去っていくフゥ太を追いかけるツナは森に進んで行った時、新たな刺客がやってきた。その刺客の名は、“六道骸”と言った。
おかしかった。
六道骸は、ボンゴレ十代目をあぶり出すために並盛喧嘩ランキングを使って生徒達を襲ってきた。そして、生徒達にはランキングの順位を表すために順位と同じ数だけ歯を抜いて行った。その結果、見事ボンゴレ十代目を見つけたのだ。六道骸は頭が冴えていると見ていいだろう。
ツナ達が敵地に乗り込んだ時、六道骸は次々に刺客を送り込んでいた。それはツナを殺す為でも無い。戦力を落とすためだ。だが、それは失敗に終わり、次に出す手立てが無くなったから自分が出てきた……それはありえない。手の込んだ作戦を立てた六道骸がこのような事をするのか。否、六道骸は何かを隠している。
冬花は六道骸との戦いの時にそう考えていた。
「冬花!早く作戦を考えてくれ!」
「分かってる!」
珍しく冬花は感情的になっていた。
本当にこれでいいのか。この男は本当に六道骸なのか……当てにもならない自分の勘がそうじゃないと告げていた。自慢ではないが、自分の勘は当たる方だ。だが、今は意味も無い勘に頼ってはいられない。
「こんなでかい鉄球じゃあ刀が折れるって……」
六道骸の持つ鉄球は人が抑えられる大きさじゃない。それも、遥の持つ刀なら尚更だ。出す手が無くなっていたその時だった。
「何やってんだー!」
ツナだった。
リボーンは最後の死ぬ気弾をツナに当てた。
鉄球が遥に襲いかかって来た時、ツナが遥の目の前に立ち、鉄球を素手で止めたのだ。
「復・活!死ぬ気でお前を倒す!」
ツナの額には橙色の炎が灯った。
死ぬ気になったツナは六道骸を攻めていった。だが、相手が最も得意としていたのは肉弾戦、ツナは最後下敷きになってしまったのだ。
ツナと六度骸の戦いを見ていた時、冬花はある事に気付いた。
「遥、この人……六道骸じゃない」
「そんなこと言ってる場合じゃねぇだろ!沢田が……って、今何て言った?」
「だから、この人は六道骸じゃないよって」
「はぁ?お前、何言ってんだよ!」
遥と冬花が言い合っている時、ツナは立ち上がった。そして、二人は最後の一撃を繰り出した。六道骸の拳は届かず、ツナの一撃が六道骸を倒した。
「で、冬花よ。こいつが六道骸じゃないってどういう事だ?」
「この人は鉄球を人に当てる時、目を瞑っていた。それは沢田君の時も同じ。それってさ、本心を隠しているんじゃないのかなって思った」
「……完敗だ。ボンゴレ以外にも俺の心を見抜く奴がいるとな」
男の本当の名はランチアと言った。ランチアは五年前に六道骸に操られ、自分のファミリーを殺し、何人ものの人を殺してきたと言った。
ランチアが真実を話し、六道骸の本当の目的を言おうとしたその時、ツナに襲いかかって来た毒針をランチアが身代わりになって受けた。
ランチアは最後に涙を流しながら目を閉じた。