今日は委員会があり、部活は休みだ。その為、遥はつまらなそうに一人で帰っていた。
冬香は生徒会をやっているが、遥は部活だけだ。そもそも、遥に委員会というものは向いていない。
道端に落ちていた小石を蹴りながら歩いていると、少年が大柄の男に囲まれているのを見つけた。体格的に高校生か、中学三年生と言ったところだろう。この並盛でカツアゲとはあの男が黙っていない。かと言って別に見捨てるわけではない。遥はその逆である。
「おい。てめぇら何やってんだ?」
「何だよ。文句あんのか?」
いかにも不良やってますという顔をした男が遥のそばに寄って来た。
「おい待て!そいつは、銀髪の髪に、いつも背負っている竹刀。間違いねえ……。そいつ九条遥だ!」
「マジかよ!こいつがあの雲雀恭弥とタイマン張れる女子!」
男達は顔を青くしてそそくさと逃げていった。その場に残ったのは遥とカツアゲされかけた少年だった。
「見ただけで逃げるとかよっわ」
男達の言う通り、遥は雲雀とタイマンが張れるだろう。一度では無い。何度も二人は戦った事があるが、学校でやったら学校が潰れるのは目に見えている。そこは冬香がルールを決めた。一カ月に一回。冬香が付きそうという条件付きだ。
「あ、あの。助けてくれてありがとうございました」
「ん?別に礼を言われるような事はしてないよ。名前は?」
「沢田綱吉って言います」
沢田綱吉……。どこかで聞いたような。と遥は頭を抱える。そして、あっ!と声を上げた。
「笹川が言ってた奴か」
「笹川……。お、お兄さんが!?」
綱吉が笹川の事をお兄さんと言った事にスルーする遥。
「笹川が言っていたのはもっと強そうな奴だったはずなんだけどな」
笹川は極限な男と言っていた。遥は綱吉の事を強い奴なんだろうなと思っていたが、その反対。大柄の男にカツアゲされかけていたのだ。笹川があれほどいうのだから互角に渡り合える男がいると期待していたのだが、その期待は消え去った。
「期待はずれかーんじゃあな。もう絡まれんじゃねぇぞ」
遥は興味を無くすと、家路に戻った。その時の綱吉はというと……。
「助けられたのに何か怖かった……。でも、誰かに似ていたんだよなーえーっと、銀髪。って、まさか獄寺君?まさか!」
「一人で何ぶつぶつ言ってんだ?」
綱吉はひとりごとを言っていると、家の塀を歩いていた黒服の赤ん坊が綱吉に話しかけた。
「り、リボーン!」
名前を知っている事から知り合いなんだろう。
すると、リボーンといった赤ん坊がいきなり綱吉にキックをした。何とも理不尽である。
「いきなりなにするんだよ!」
「さっさと家に帰るぞ。ママンがケーキを焼いたらしいからな」
綱吉の頬にはリボーンにキックされた場所が腫れていた。そうとう痛かったのか綱吉はすりすりと頬をさすっていた。
この少年がこれからの未来に関わっていくとは誰も知らないだろう。