訳あり女子生徒   作:海野

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 聖戦を聞いていたら書きたくなってきたので書きました。


第十六話 雷の戦い

 晴戦の次は雷。

 外は雨の雷が鳴っていた。まさに雷の戦いに相応しい天候だった。恐らく、チェルベッロはこの日に合わせて雷の戦いを選んだのだろう。

 ヴァリアーの雷の守護者はレヴィ・ア・タン。彼の実力は本物、ボスへの忠誠心が高い男だ。それに対し、ツナの守護者はまだ子供。このリング戦の事を理解していないようだ。

 今回のステージは屋上だ。床に六角形の形をした導体が張り巡り、六角形の角と中央に避雷針が設置されていた。

 

「結果が見えてるんじゃないか?」

「いいや、まだ分からないよ」

 

 試合が開始したのと同時に避雷針に雷が落ち、電流が何倍にも増幅して床に駆け巡った。レヴィは避けたが、ランボに直撃した。

 誰もが立ち上がらないと思ったが、ランボは起き上がったのだ。

 

「冬花、もしかして知ってたのか?」

「これくらいは調べるよ。彼の皮膚は普通の人間とは異なる。幼少の頃から繰り返し雷撃を受ける事で稀に起こる体質変異。変異した事によって、電気を通しやすくなり、雷撃を受けても地面へ抜ける為、脳や内臓にダメージがいかないんだよ」

「すげぇな……だけど、それだけじゃあ勝機はない」

 

 遥の言う通りだ。雷は防げるが、レヴィの直接攻撃だけは避けられない。

 傷だらけになったランボは痛みからボヴィーノの兵器、十年バズーカを取り出し、自分に向けて撃った。煙の中から十年後のランボが現れた。

 ランボは避雷針を無視して、雷を呼び、頭の二本の角に纏わせた。そして、レヴィに突進した。

 レヴィの背中の七本の傘が突進してきたランボを囲むように散らばり、開いた。傘に雷が落ち、その電撃がランボを襲った。

 ランボはしゃがみこみ、痛いと言う。

 レヴィはランボを追いこむように左肩に閉じた傘を投げた。傘はランボの肩に刺さり、あまりの痛さからまた自分に向けて十年バズーカを撃った。

 

「この威圧感……ただ者じゃねぇぞ」

 

 そう言った遥の顔が引きつる。

 煙の中から現れたのは、二十年後のランボだった。

 ランボは落ちていたリングを拾い上げた。

 レヴィはまた傘を開いた。そして、十年後のランボを襲った電撃が二十年後のランボに直撃した。

 

「エレットゥリコ・リバース!」

 

 受けた電撃を地面へ放電した。

 ランボは地面に落ちていた自分の角を見つけ、それを頭にセットした。

 十年前のランボがやった技よりも高度なものをレヴィにぶつけた。あと少しで押し切れるところで十年バズーカの効力が切れ、ランボはレヴィの傘の電気を受けた。

 ランボは動かなかった。

 レヴィは動かないランボにとどめを刺そうとした時、周りの避雷針が全て倒れた。レヴィはそれを避ける為、ランボにはとどめを刺せなかった。

 

「避雷針の曲がり方、あれは熱によるものだね。あの炎は……」

「六道骸と戦ったのとは明らかに違う。この短期間でここまでやるとはなぁ」

 

 二人は感心し、死ぬ気になったツナを見た。

 

「いくら大事だって言われても、ボンゴレリングとか、次期のボスの座だとか、そんなものの為に俺は戦えない」

 

 ツナの額の炎が消えていった。

 

「でも、友達が、仲間が傷つくのは嫌なんだ!」

 

 そう言ったツナに炎が襲った。

 給水タンクの上にザンザスがいた。

 ツナが最初、ザンザスと対面した時、恐怖で尻もちをついていた。だが、今は違った。ツナの目が変わっていた。

 ザンザスは手に炎を纏わす。それをチェルベッロの一人が止めようとした。すると、ザンザスはその炎をチェルベッロに向けて放った。だが、その炎はチェルベッロには当たっていたなかった。

 

「氷の壁!?」

 

 ザンザスとチェルベッロの間に氷の壁ができていたのだ。これのお陰でチェルベッロに炎は当たらなかったのだ。そして、その氷を作りだしたのは冬花だった。

 

「チェルベッロの言う通り、ここで手をあげたら争奪戦の意味がなくなります」

 

 冬花は顔を険しくするのではなく、笑顔で言った。その笑顔に周りの者は顔を青くした。

 少し間が開いてからチェルベッロはツナの大空のリングを没収した。

 フィールドの中に入ったらその者は失格。ルールを破った者のリングは没収というのがルールとなっている。そして今回はツナはランボを助けるためにフィールド内には入っていないが、フィールドの破損は試合の妨害をしたことになっている。これでツナ達は大空のリングと雷のリングを失う事になった。

 

「明日の対戦は、嵐の守護者の対決です」

 

 ザンザスに攻撃を当てられそうになったチェルベッロが冬花にお礼を言ってからチェルベッロとヴァリアーは去っていった。

 冬花は氷に手を当て、氷を溶かしてからツナ達の下へとよった。

 

「遥」

「分かってるって」

 

 遥は手に黄色の炎を纏わせ、ランボの額に当てた。すると、ランボの傷が少しずつ治っていき、ランボの顔が和らいだ。

 

「これは応急処置だ。早く病院に連れて言った方が良い」

「あ、ありがとうございます」

 

 ツナ達はランボを抱えて走っていった。

 リボーンと家光は二人を見た。

 

「さっきのは何だ?」

「ノーコメントで」

 

 遥はすれ違いざま、家光に耳打ちした。

 

「九代目は今回の件を悔いていた。最悪な場合もある。イタリアに急いだ方が良いぞ」

 

 遥と冬花は九代目には恩があり、二人が忠誠を誓う者だ。今すぐにもイタリアに行きたいが、今回のリング戦には必ず立ち会わなくてはならない。これが九代目の命令だ。背く訳にわいかない。

 気付いたらもう雨は止んでいた。




 戦闘シーンはやっぱり難しい……。

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