日本に帰国して遥と冬花は骸の事以外にも、シモンについて調べていた。シモンで検索に引っ掛かるのは至門中学のだった。これも何かの関係があると思い、遥達はその中学校をマークした。
五日後、遥達の耳にある情報が入った。
「ヴァリアーがもう来たのか」
「九代目が心配だけど、私達にはやる事があるからね」
二人は黒の衣装に身を包み、闇に溶け込むように夜の街をかけて行った。
その頃、ツナ達の前にヴァリアーが現れた。ヴァリアーのボスと思わしき男が手をあげようとすると、それを止めに入ったのがツナの父であり、門外顧問のトップ、沢田家光だった。
ボンゴレの次期後継者はツナだった。だが、それを九代目が拒んだのだ。
ボンゴレのボスが持つ証し、ボンゴレリングを二つに分け、それをボンゴレのボスが、もう半分を門外顧問のトップが持つ事になっている。つまり、両者が同じ者を指さなければボスとして認められない。そこで九代目はボスが書いた事を示す死炎印付きの勅命をおくったのだ。
「つまり、こーいうこった……同じ種類のリングを持つ者同士の一対一のガチンコ勝負だ」
すると、九代目直属のチェルベッロ機関という女二人が現れた。今回のリング戦の審判を務めると言い、チェルベッロは九代目の死炎印付きの勅命を見せた。
「待て、異議ありだ。チェルベッロ機関なんて聞いた事がない。そんな連中にジャッジを任せられるか」
「異議は認められません。我々は九代目に仕えているのであり、貴方の力が及ぶ存在では無い」
「その通りです」
チェルベッロが言った後にどこからか声が聞こえた。ツナ達はその声の主を探そうとするが姿が見当たらない。
「ここだって」
二人の声の主はツナ達の目の前にいた。その事に家光もヴァリアーもチェルベッロも気がつかなかった。
二人は深くフードを被り、顔は見えなかった。すると、二人はフードを取った。その顔はツナ達が良く知る人物だった。
「九条先輩、一宮先輩!」
「すまねぇな。今回はそっちで来たわけじゃねぇんだ。沢田達はともかく、アンタらなら知ってるだろ?“オンブラ”って」
オンブラという言葉を聞き、家光やヴァリアー達は驚いていた。
「オンブラはボンゴレ創立時代からボンゴレを陰から支える謎の人物。その存在はボス以外知らない……都市伝説のようなものと思っていたが、本当なのか?」
「はい。この九代目の死炎印の付いた勅命がその証拠です」
冬花は懐から勅命を取り出し、それをツナ達に見せた。九代目の死炎印を表す死ぬ気の炎が灯っていた。
「我々オンブラは九代目の命により、ボンゴレ次期ボス候補沢田綱吉様の身の周りを守る任務に就いていました。今回のリング争奪戦も想定内。今回、我々は中立という立場につかせていただきます」
「そう言うこった。これは九代目の命だ。アンタらの言う事はきかねぇし、外野から口出しはしねぇから安心してくれ。でも、関係ねぇ奴をやろうってなら容赦はしねぇぞ」
遥のその一言に殺気が混じり、ツナは尻もちをつき、家光やヴァリアーにも冷や汗が流れた。この女は本当にやるつもりだと。
冬花はため息を吐いた。
「ということですから、チェルベッロのお二人も余計な事はしないでくださいね。この人を怒らせたら私、止められませんから」
遥を止められるとしたら三日月ぐらいだろなと冬花は心の中で付けたした。
チェルベッロは最後、明日の対戦の場所と時間を伝えてから立ち去って行った。。遥達もフードをまた深く被りなおし、去っていった。
オンブラはイタリア語で影といいます。
最初は英語にしようか悩みました。英語はシャドウで格好いいなと思っていましたが、やはり、リボーンなのでイタリア語にしました。今ではオンブラもまぁいいかなと満足しています(笑)