それじゃあ小説スタート
「ねぇ…クマー君だっけ…突然固まってどうしたの…?」
目の前で不自然に固まったクマーに対してフローラは疑問をぶつける、最初は真似をしてたが…数分も固まっているのだ、流石の彼女も疑問に思ったらしい。
『…え?』『ん〜……ああ、気にしないで、うんうん!』『この世界には同じ顔か3人いるって言うし…同名の人だっているよね♪』
質問を投げかけられ硬直から抜け出した彼は一転してヘラヘラとそう語る、そのテンションの差を不思議に感じた彼女は
「へぇ、フローラって名前の人がクマー君の知り合いにもいるの?」
不思議に…不思議に…は感じていない様子だった。
『…え?』『……』『ああ、知り合いって訳じゃないよ、ただ聞いた事ある名前だっただけさ♪』
「へぇ〜…奇遇な事もあるんだね!」
『うんうん、全くだよね♪』
と、少しずれた会話をしていると、フローラはふと思う。
(そういえば…クマー君の種族は何だろう…魔力は全然感じないし…悪魔や魔法使いはない…この付近にいたし…鬼じゃなく人間かな?)
と、魔法使いであるフローラはクマーには魔力が全く感じれない事に気付きそう考える、するとその一瞬の思考の間に気付いたのか、クマーが話しかけてくる。
『……ん?』『どうかしたのかい?フローラちゃん』『ああ、僕がこんな所で何してたか気になったのかな?』『それはね、このジャ〇プを買いに来たんだよ!』
と、懐からジャ〇プを取り出すとフローラに見せつける。
「…何それ?面白そうだね、ジャンプって言うんだ、面白そう!!」
『違う違う、ジャ〇プだよ!』『とても面白いよ!』『……』『って、あれ?魔法使いの所ではジャ〇プは出回ってないのかな…?』
「…え?あ、う〜ん……どうなんだろう…私いつも家に引きこもってるからなぁ…」
『へ〜…ニートなんだ!』『なら知らなくても仕方ないね!』『そうだ!今週の分はまだ見てないから…先週分のジャ〇プなら貸してあげるよ!』
「え、本当に!?やったー!ありがとうクマー君!」
『いやいや、気にしないでよ♪』『ジャ〇プファンの僕としては…ジャ〇プファンが増えてくれる事が嬉しいからね!』
といい、フローラに先月分のジャンプを手渡す
「やったーー!」
嬉しそうにはしゃぐフローラを見てクマーは軽く頷く。
『それじゃあ…僕はこれから用事があるから…またね〜♪』
「え?あ、うん!またね!!」
ジャ〇プを渡したら仕事を終えたとばかりに、クマーはすぐさま後ろを向くとあっという間にフローラから離れていく。
「ジャ〇プかぁ…楽しみだなぁ…早く家に帰って読もう!」
と言い、転移魔法を使いすぐさま家に帰るフローラ
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「zzz…」
家に戻るとソファーで寝ている弟子が最初に目に入る。
「あ、また寝てる…全く…まぁいいや…ジャ〇プ読むし…起こすのは後ででいいか…」
軽く跳ねるとドスッと音を立てソファーならぬ弟子の上に思い切り座る。
「グフッ…ちょっ、師匠…重……グフォッ」
フローラは尻の下の男から何か声が聞こえた気がしたが、何か女の子に言ってはいけないことを言おうとした様に聞こえたので重力魔法を使い、自分を重くし弟子を気絶させる事にする。
「よし…これで静かにジャ〇プが読める!」
そしてフローラは、気絶した弟子を軽く一瞥するとすぐさまジャ〇プの方を開き見始めたのだった
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一方、クマーの方はというと…
『えっと…?あれ?』
バタッ
「……ふわぁ…暇だなぁ」
グフッ
死んでいた…いや、正確には死にかけていた
『…あ、あれ?僕の体が変な所にあるなぁ…気のせいかな…』
「……あれ?まだ生きてんのか…?」
『いやいや…この状態で生きてるなんて言えるのか分からないけど…死にかけてるのは確かだよ…だってほら、今にもめのまえがまっくらになりそうだし…頭なんかクラクラしてきたからね♪』
何処から声を出しているのか、首だけでヘラヘラと話しながら彼はそう言う。
「……そうは見えねぇけど…あれだな、兄貴より気持ち悪いな…まぁ、身体の方が動き出したりしても嫌だし…とどめ指しとくか…」
そう語る身長が低い見るからに子供なのだが、顔から首に向けてタトゥーの似合わない男をヘラヘラと見るが、クマーは内心焦っていた、彼が自分を殺したのは確かなのだが、何をされたのかが全く分からなかったこともあるが、何よりトドメを刺されると、とある場所に意識が飛ばされ、ある女の人に会わなければいけない。いや、クマーにとっては女の子に会う為なら身投げだろうとするだろう、それはどんな女の人であろうと可愛ければ当然だ、クマーにとって、非リアにとっては女の子に会えるだけでとても喜ばしいからだ。ならば何故厄介だと思うか?それは…その場所の女の人が例外を超えた例外だからである。いや、別に容姿が悪いとか、悪魔を超えた化物で全身が崩れてるとかそんなわけでは決して無い、寧ろこの世の全員を合わせてもトップレベルで魅力的に見えると言っても過言ではない…ならば何故会いたくないのかと言うと…
『ちょ、ちょっと待ってよ!僕を突然殺そうとするなんて、君は殺人鬼でもあるまいし…そんなことはやめなよ!』
「あ〜…まぁ、殺人鬼…ん〜…間違っちゃいねぇけど…」
『…え?殺人鬼なの?』
「まぁな…だとしたらどうするんだ?」
タトゥーの男はクマーを興味深そうに見る
『…僕が改心させてあげるよ、ほら!もう人を殺さないでくれると誓ってくれ!』
「あ〜…改心させてくれるのは嬉しいが……って、改心させるんじゃねぇのかよ!?それじゃただ誓っただけじゃねぇか…誰が誓うかよ」
『いやいや、ほら、誓うだけでも結構約束になって心の隅とか脳の奥底に引っかかったりするじゃないか、騙されたと思って誓ってみなよ!』
「いや、誓わねぇよ…」
『なーんだ…じゃあ仕方ない…実力行使といこうかな…』
突然声音が変わるクマーにタトゥーの子供は慌てて構える
(……何焦ってんだ俺…こんな首だけの男に何かが出来るわけ…ん?首……?しまった…身体の方の意識が抜けちまってた!)
グササササッ
慌ててタトゥーの男が体のほうを見る。すると突然身体の至る所に刺さる訳ではなく、身体を動けなくすることに重点が置かれた様に『何かが』数本飛んできてタトゥー男の動きを止める。タトゥーは驚く。先程まで地面に突っ伏していた身体が起き上がっていたのだ、いや、それだけなら驚かないが、何と、首まで丁寧に身体に接合され、男は立ち上がっていた。
(え?はっ?首…!?いつの間に……と言うかこの螺子…まずい、動けねぇ!)
先程まで首があった方向から首が消えている事にも気付く、しかし首と身体の距離はそこまで離れていない、視線には殆ど一緒にいれる様に見ていたのだ、なのに目の前の男はいつの間にか首が元に戻っていた。まるで斬られたこと自体無かったことにしたかの様に
「なんだそりゃ…なんてイリュージョンだ?確かに…治癒魔法はあるが…そんな速度で回復する魔法なんてしらねぇぞ…しかも、ご丁寧に傷跡まで綺麗になくなってやがる…何をした、元から斬れてなかった…とかか?」
しかし全身タトゥーの男もすぐに持ち直す、その様は戦うことに慣れたプロだとすぐに分からせるだろう。
『…ん?イリュージョン?いやいや……そんな訳ないだろ?最初から斬られてないなんて…さっきまで首だけで話してたのが良い証拠じゃないか…ほら、あれだよ…君の斬った後があまりにも綺麗に斬れてたから…首と身体がピタッとくっついたんだよ……良くあるだろ?あまりにもいい刃物だと…繊維を傷つけないからそのまま置けばぴたっとっつくって話がさ♪』
と、男はペラペラと話し始める。
(いや、そんな訳が…血だってあんなに噴き出してたんだぞ…普通に出血多量で…………血?)
男は先程まで辺りに1面に溢れていた血液が消えている事に気付く、それも匂いまでさっぱり消えている。
(…はぁ?綺麗に吹いたってだけでも匂いは消えねぇだろ…まるで…完全に無かったことに…)
そうタトゥー男が思ったと同時に
『おっと…手が滑った』
タトゥー男の頭に綺麗に螺子が突き刺さる。同時にタトゥー男の意識も刈り取られる。
『やれやれ…君も運が悪いね』『…こんな時間にたまたまこんな所を歩いてた僕にたまたま出会い、それを標的にしてしまうなんて…』『僕が弱そうだから殺せると思った?』『僕が脆そうだからすぐ死ぬと思った?』『僕が臆病そうだから、失敗しても肉弾戦で殺せると?』『…甘ェよ…』
シーン…タトゥー男が死んだ後しか残っていない為、静寂な空間だけが残る
『…おっと……順番を間違えたか…僕とした事が、話す前に殺しちゃうなんて…ジャ〇プファンとしてあるまじき行為だよね♪』
スッ……とタトゥー男に手を翳す
『…『大嘘憑き(オールフィクション)』…君の絶命を無かったことにした…』
頭の螺子が消え、タトゥー男が生き返る、だが、意識が戻らない事にクマーは気付き嘆息する
『…やれやれ、殺そうとしてきた相手を改心させると言っておきながら…自己紹介さえ出来なかったなんて』『……』『また勝てなかったぜ』
クマーはやる気を完全に無くし踵を返すとタトゥー男の事などもう忘れたと言わんばかりに歩いていく。が、そこで何かを思い出しタトゥー男の方を見て指を向けると
『おっと…忘れてた…『大嘘憑き(オールフィクション)』…僕と君が出会った間の記憶を無かったことにした』『……』『それじゃあね♪』
今度は完全に…タトゥー男の前から居なくなる。
タトゥー男の意識が復活したのはそれから数十分後だったが、何故気絶したのか、何が起きたのかについては全く覚えていなかったらしい。
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「やれやれ…甘くなったものだねクマー君」
教室の様な場所で教卓に座り一人呟く赤い制服を着た少女
「それにしても…僕も暇なんだから死んで会いに来てくれても良いのに…釣れないなぁ…ん?」
彼女は途中まで一人で話していたが、突然何かに気付き何処かを見る
「ああ、見に来てたのか…」
と言うと教卓から降りあらぬ方向を見て話し始める
「やぁ、このつまらない小説をここまで読んでくれた皆さん…よろしくね♪僕の名前はアジムナー…まぁ、この世界の神様って奴だね…まぁ其の辺は1話を見てれば分かるだろう。それ以外についても小説が進むにつれて説明していくし……楽しみにしててくれ。それじゃあ今回はこんな所で」
と彼女が言うとまるでモヤがかかったかの様に教室が断片的になっていく。
クマーが言っていたのは彼女の事だ…クマーが会いたくない理由は……彼女が魅力的過ぎるが故に…惹かれてしまうから……と言う理由だった。まぁ、多少違う感情もあるが…大半はそういった理由である。
「ああ、そうだ、一つ忘れてたよ……たまにこうやって小説の途中に顔を出すから……その時はよろしくね♪」
と言うセリフと共に教室は消えてしまう。
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「ふんふん…あ〜……面白かった!」
と、一転して場面はフローラに変わる。どうやらジャ〇プを読み終わった様だ。
「よし…じゃあそろそろ……起きて弟子!!」
弟子の上からどき、弟子の頬を叩く
「……あれー?」
弟子が起きない事に気付く。
「やりすぎちゃった……まぁいっか、弟子だし!」
師匠らしからぬ事を言い弟子から離れ冷蔵庫の方に歩いて行きその中からクッキーを取り出すと机に置き食べ始める。
「美味しー……♪あれ、そういえば……」
ジャ〇プを見て今日出会ったクマーの事を思い出したフローラは慌てて立ち上がる
「動物園に行ってない!!」
「…んぁっ!?…な、なんだ!?……まあいいか…グー」
弟子が起きたがすぐ寝始めた事にも、もはや突っ込む気が起きず、弟子から目を離しフローラは落ち込む。
「…明日クマー君探して…今度こそ連れて行ってもらお!」
故に彼女は…自分の最初の目的を忘れ、クマー探しを始めたのだ。
まぁ、後書きは苦手だからあまり長々しく書かず…
今回も何とかかけたぜ…それじゃあ次は次話とかで…またね〜♪
修正 追加 2018 2/25 2:25
??)あ、そうだ!クマー君はナイフの男に殺された時に何も見えなかったと言っていたが、正確には彼自身には何もされてないよ……首が切れた瞬間はね♪