宮永咲が結婚したいと頑張るお話   作:通天閣スパイス

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※誤字修正。

※某掲示板ネタ、及びキャラ崩壊注意








三話

【速報】魔王、結婚

 

 

 1 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:Tjdwz92wq

 

 先月1日、プロ麻雀選手の宮永咲(27)が熱烈な交際を行っているとの記事が週刊誌に掲載。本日のランクマッチ戦終了後の取材にて宮永プロはその事実を認め、先日入籍したことを発表した。相手は一般の男性で、宮永プロとは幼い頃からの幼馴染みだったとのこと。

 宮永プロの友人である阪急の愛宕プロは、「寝耳に水の話。おかしい。こんなことは許されない」と慌てた様子でインタビューに答えた。他にも多数の驚きの声があちこちから上がっており、暫くはこのニュースが麻雀界を騒がしそうだ。

 

 ソースはヤッホー

 

 

 2 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:kfsIR2t1f

 

 え、なんですかこれは(驚愕)

 

 

 3 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:jhYngW9qm

 

 すごいな魔王、どうやったんだ?

 

 

 4 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:g28XkgasY

 

 おかしい……こんなことは許されない……

 

 

 5 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:jgYrKfgqu

 

 >>4

 すこやんオッスオッス

 

 

 6 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:Jt3sagjir

 

 魔王さん結婚ですか。何故だろう、あわあわの時とかとは違って普通に喜ばしく感じる

 

 

 7 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:jhfsufsOf

 

 まああわあわは下手なアイドルより人気だったからな、妬むのはしゃーない

 魔王さんは逆に相手の人を心配するレベル

 

 

 8 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:kfwaUqjxi

 

 相手一般人って大丈夫か? 家族麻雀とかやったら死んじゃわない?

 

 いや割りと真面目な話

 

 

 9 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:kgq3kaYgq

 

 >>8

 魔王だって手加減くらいできるから(震え声)

 

 

 10 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:luTwkfgbq

 

 >>9

 お前それ去年のプロアマ混合戦見ても同じこと言えんの?

 

 

 11 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:qgdiTabIq

 

 あれは……いやな事件だったね……

 

 

 12 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:Akwhq3qkr

 

 大会前のインタビューで天狗になってたインハイチャンピオンが、魔王との試合中に涙目になってたのがかわいいと思いました(コナミ)

 

 というか魔王の結婚相手ってどんな奴なんだろうか

 

 

 13 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:awjQjdjeb

 

 そらお前、ガンジーも裸足で逃げ出すくらいの聖人やろ。魔王の試合中の暴虐っぷりを見て結婚すると言えるのは普通じゃ無理

 

 

 14 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:whduTje4q

 

 旦那も同じくらいの畜生である可能性

 

 

 15 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:uqJ7jqywc

 

 むしろドMなんじゃね? 魔王に既に調教されてるとか

 

 

 16 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:nhaNRvuWy

 

 夫「うほぉぉぉぉぉ点数搾り取られるの気持ちいいよぉぉぉぉぉーーーーl!」

 

 

 17 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:yQjss0str

 

 真面目に祝福する空気かと思ったらこれだよ

 

 

 18 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:fkktdxbkh

 

 魔王でさえ結婚したというのに、お前らときたら……

 

 

 19 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:skotQkiEf

 

 >>18

 すこやん「あ?」

 

 

 20 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:kjjvYq7kq

 

 え? 牌のお姉さん(39)?

 

 

 21 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:ihRqh3qhw

 

 >>20

 なんでや! はやりん関係ないやろ!

 

 

 22 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:tdgjEhysk

 

 33-4

 

 

 23 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:xhqbuuaRt

 

 >>22

 なんでや! 阪神ホンマに関係ないやろ!

 

 

 24 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:wlTwfk3qn

 

 アラフォー集団に飛び火させるのはやめてさしあげろ

 

 

 25 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:qkduRjqkf

 

 なんで麻雀プロって結婚できないやつ多いんだろうね

 

 

 26 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:Qkdubsk1h

 

 照さんとか妹に先越されてどういう気持ちなんだろうな

 

 

 27 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:lajtwjfi2

 

 >>26

 そらテノヒラクルー(物理)やろ……

 

 

 28 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:rahGFDHtw

 

 テルーとスレ民の手首はもうボロッボロ

 

 

 29 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:kgeUgfs2j

 

 魔王「嫁に出る喜びは、正直あった」

 

 

 30 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:hDhyejlrW

 

 おうチックやめーや

 

 

 31 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:kYjw3sj7f

 

 というか幼馴染みってことに誰か突っ込めよと

 

 ・俺TUEEE

 ・幼馴染みと結婚

 ・タイトル賞金ガッポガッポ

 

 これは魔王さんぐうの音もでない勝ち組になりましたなぁ……

 

 

 32 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:kGQHjave7

 

 >>31

 すこやんとはどこで差がついたんでしょうねぇ……

 

 

 33 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:iyqhfkHaa

 

 池田「どう考えても幼馴染みだろ」

 

 

 34 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:kaYQ3qjfr

 

 >>33

 ファッキューイッケ

 

 

 35 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:kaYQGFKra

 

 もうなんもかんも新井とちゃちゃのんが悪い

 

 

 36 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:jqmaqYwbr

 

 魔王「(独身が好きだから)辛いです……」

 

 

 37 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:ahwRjqkgj

 

 ファッキューサッキ

 

 

 38 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:Qjfjg5aw2

 

 魔王と25番という選手を同列に扱うのはやめろ     やめろ

 

 

 39 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:qjThw8e0t

 

 で、これマジ話なの?

 

 

 40 名前:名無し:20XX/05/0X(金)ID:djqhjwbrW

 

 残念ながら夢オチ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――ハッ!?」

 

 

 

 ガバリ、と。意識が覚醒したと同時に、いつの間にか机に伏していた上体を慌てて起こした。

 キョロキョロと周囲に目を走らせると、教室には既に私以外の姿はなかった。壁に掛けられた時計の針は既に三時を回り、授業時間が過ぎ去っているという事実を表している。窓の外からは時々掛け声のようなものが外から聞こえてきて、部活も既に活動を始めているらしいというのが分かった。

 

 どうやら、授業中に居眠りしてそのまま寝過ごしてしまったらしい。机にははっきりと涎の跡が付いていて、口にも何か濡れた感触を感じている。誰か起こしてくれてもいいだろうに、薄情なクラスメイト達は私を放って各々の用事へとさっさと向かってしまったようだ。

 とはいえ、ここでクラスメイトを恨むのは筋違いというものであろう。幸い何か用事があったわけでもないし、私はさっさと気分を切り替えると、出しっぱなしになっていた勉強道具を片付け始めた。

 

 

 

「……部活、かぁ」

 

 

 

 ふと。教科書を鞄に詰め込みながら、思い出したように呟く。

 誰に説明するというわけではないが、私は麻雀部だ。正確には今は何処にも所属していない帰宅部で、そろそろ麻雀部に誘われる予定……である。京ちゃんに連れられて入部するのが私の知る流れであり、未来であるはずなのだ。

 にも関わらず、京ちゃんは未だに私を誘うことはない。時折何か言いたげに視線をやってくるものの、麻雀部の『ま』の字も口にしなかった。私の知っている通りならそろそろ誘われてもいいはずなのに、だ。

 

 さて、これはどういうことなのだろう。別に以前経験した筋道をそっくりそのまま通れると思っていたわけではないが、まさかこの段階で躓きかけるとは思ってもいなかった。

 私の目的のためには、出来れば麻雀部に所属する方が望ましい。別にそこで何がやりたいというわけではない、ただ京ちゃんがいるという一点が理由のおおよそを占める。しばらくは未来を予測出来る範囲にしたいとか、私が入らないと麻雀部が大会にも出れないとか、仲の良かった友達と先輩との交友はやっぱり持っておきたいとか、そういえばお姉ちゃんとの確執はどうなってるんだろうとか、他にも理由は色々とあるけれど。正直私としては、京ちゃんと結婚するためという方がウエイトが大きい。

 極端な話をすれば、もし京ちゃんと結婚出来るのなら麻雀プロになれなくたっていい。あの寂しい独り身生活をもう一度味わいたくはないし、専業主婦として京ちゃんとの家庭を持てるのならそれはそれで幸せなことだ。接点減らして泥棒猫にかっさらわれるよりは遥かにマシである。

 

 ああ、いったい何がいけないというのだろう。京ちゃんには積極的にアピールするようにしているし、化粧やファッションにも手を出してみている。自分で言うのもなんだが、この前の日曜にわざわざ長野市内まで買い物に行ったくらいの気の入りようだ。

 女性としての魅力とかあれこれは、間違いなく今の方が気を使っているはずなのに。何故だろうか、以前と比べて京ちゃんとの距離が逆に広がりつつあるような感じがする。

 

 

 

「んー……。いっそ、自分から入部しちゃおうかなぁ……」

 

 

 

 どうせなら前回と同じように京ちゃんに誘われる形で入りたかったが、もうそんな我が儘を言っていられる余裕はないかもしれない。大会の申し込み期間諸々を考えれば、時間的なリミットだって無いわけではないのだ。

 京ちゃんとの大事な接点が一つ減ってしまうのは確かに痛いが、それに拘って大魚を逃すのはもう勘弁である。方法や過程なぞ、ぶっちゃけ結婚できればどうでもよかろうなのだ、ということだ。

 

 ……そういえば、さっきまで見ていた夢はいったいどんなものだったか。正直あまり覚えてはいないが、確か私と京ちゃんが結婚するようなものだったと思う。

 もしそれが、正夢になったのなら――。彼と結婚した未来をふと妄想して、思わずうへへと表情が弛んでしまった。

 

 

 

「……うふふ。田園調布に家買ってー、ペットにカピパラ飼ってー、子供は三人でー、カイエン買って乗り回したりとかぁー」

 

「いや、カイエンなんて買ってどうするんですか。プリウスとかのワゴンで十分ですよ、十分」

 

「えー? でもさ、やっぱりデートとかはそれなりの車で連れていってもらいたいしー」

 

「結婚して子供生まれたらそんなのどうでもよくなりますし。買い物とか、そういう日常的なものに使える方が後々助かりますって」

 

「え、買い物とか、ぶっちゃけコンビニと通販だけで事足りるんじゃ――」

 

 

 

 そこまで口にして、ふと。我に帰ると同時に、自分は今誰と話しているのだろうか、と疑問に思った。

 チラリ、とその声の方向に視線を向けてみる。私以外には誰もいなかったはずの教室に、いつの間にか一人の少女が入り込んでいて。桃色の髪をツインテールにした、どこぞのグラビアアイドルよりも遥かに大きい胸の膨らみを持った彼女――原村和が入り口の近くで佇んでいるのに気がついて、驚きのあまりに変な奇声をあげてしまった。

 あわわ、と予想外の事態に慌てる私とは正反対に、和ちゃんは落ち着いた様子を見せている。呆れたような表情を浮かべた彼女は、まずは落ち着けと私を諭して。「咲さん」と、彼女が知らないはずの私の名前を口にした。

 

 

 

「驚きましたか? ……ああ、誰かに名前を聞いた、とかではありませんよ。ちなみにちゃんと初対面です――この時期では、ですがね」

 

 

 

 驚きを隠せない私に、和ちゃんは普段通りののんびりとした顔で言葉を続けた。その様子はまるで私の知る――未来の(・・・)原村和にそっくりで、記憶に僅かに残る、知り合う前の彼女の雰囲気とは然程似ていないように思える。

 いったいどういうことなのだろうかと、突然の事態にフリーズした頭をなんとか再起動させた私は、彼女の言葉の意味を考えて。数秒ほどの後、私の頭が答えを弾き出すよりも早く、彼女はそれを口にした。

 

 

 

「……分かりませんか。つまりですね、私も未来の記憶があるんですよ」

 

「え……」

 

「しらばっくれないでください、貴女も同じでしょう? ねぇ――世界ランク第二位の全日本チャンピオン、恵比寿の宮永咲さん?」

 

 

 

 ニコリ、と。有無を言わさぬ迫力と共に、彼女は私に微笑んだ。

 

 ……え? 記憶、ある? 誰が?

 

 

 

「あ、あはは。何言ってるか分からないけど、冗談にしてはちょっと痛い――」

 

「……あれ? そういえば咲さん、プロ五年目の人気投票って――」

 

「いやあ和ちゃんも未来の記憶あるんだね親友の私としても嬉しいよ! 仲良くしようね和ちゃん!」

 

 

 

 ボソリ、と呟かれた彼女の言葉を耳にした瞬間、即座に彼女の手を取って力強く握手をした。

 最初はしらばっくれる方がいいかと思ったけど、やっぱり親友に嘘を吐くのは良くない。彼女も逆行しているのだというし、ここは仲良くしておくべきだろう。

 いや、別に彼女が言いかけた何かとかは関係ないけど。ないけど。

 

 

 

「そうですね、仲良くしましょう。私達は親友ですもんね」

 

 

 

 彼女の方も、笑みを優しいものに変えて私の手を握り返してきた。

 

 正直色々とビックリしたし、和ちゃんも逆行してきたとか衝撃の新事実にも程があるけど、とりあえず今は置いておこう。難しいことを考えるのは後にして、今は私の親友との再会を喜ぶべきだ。

 気持ちが落ち着いて冷静になってくると、和ちゃんと久しぶりに会ったことへの喜びが沸き出してくる。彼女の方は知らないが、私の主観ではここ数年、仕事以外で彼女と顔を会わせたことはなかった。お互いにそれなりに大人な社会人だったからしょうがないと言えばしょうがないのだけれど、それでもどこか寂しい気持ちは捨てきれなかったのだ。

 

 和ちゃん。私のとっても大切な、高校時代からの親友。私が再び麻雀をやろうと決意したのは、彼女のお蔭であるところも大きい。私にとっての彼女は、ある意味で言えば人生の恩人でもあった。

 部活でも、大会でも、卒業した後も。中学以降に最も親しかった――色々と助けられたのは、京ちゃんを除けば彼女である。真面目な話として、私の彼女への友情は本物だ。きっと何があっても、私は彼女の親友で居続ける。

 だから私は、久しぶりに心からの笑みを浮かべていて。目の前の親友の言葉にも、穏やかな口調で相づちを打った。

 

 

 

「……咲さん」

 

「んー?」

 

「まあ、色々と言いたいことはあると思うのですが。……とりあえずそれは置いといてですね」

 

「んー」

 

「実は、頼みたいことがありまして。貴女を親友と見込んでです」

 

「頼み事? いいよ、和ちゃん。何でも聞いちゃう」

 

「……いいんですか?」

 

「いいよ。だって親友だもん」

 

 

 

 えへへ、と。はにかんだ笑みを私が向けると、彼女は嬉しそうに、そして少し恥ずかしそうに「ありがとう」と呟いて。その頼み事を話すべく、彼女は口を開き――

 

 

 

 

 

 

 

「――須賀君へのアプローチの協力してください」

 

「あはは寝言は寝て言ってよ」

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

「……」

 

 

 

 即答であった。考える間もない、即答だった。

 

 雰囲気が、一瞬にして険悪なものへと変わる。笑みは貼り付けたようなうすら寒いものに雰囲気が変わり、握手として握られていた手にはどちらも余計な力を意図的に込めて行く。

 ギギギ、と私の手を握り潰さんとばかりに握り締めながら、彼女は私に冷ややかな視線を向けた。

 

 

 

「……何でもする、って言いましたよね? 親友に嘘を吐くんですか?」

 

「……限度ってものがあるでしょ? 京ちゃん以外になら幾らでも協力してあげるってば」

 

「……私達、親友ですよね?」

 

「うん、親友だよ? ……でもさ、和ちゃんって確か他の人と結婚したよね? じゃあ別に京ちゃんじゃなくていいじゃん」

 

「そいつとの結婚生活はもう懲り懲りだから今のうちに優良物件予約しておきたいんですけど分かりませんか? ……ああ、ごめんなさい、そういえば独身でしたね。結婚生活のことなんて貴女には分かりませんよね、ふふ」

 

「……は?」

 

「……あ?」

 

 

 

 ギロリ、と相手を睨み付ける。多分私も彼女も少女としてはアウトな表情になっているだろうが、今はそんなことは知ったこっちゃない。不良のメンチの切り合いのように、視線を激しくぶつけ合わせた。

 

 

 

「弁護士なんでしょ? 何が不満だったの、性生活? ひょっとして下半身で男を選ぶタイプ?」

 

「そういう発想が最初に出てくるそっちこそブーメランですけど気づいてないんですか? 貴女には分からないでしょうけど、人間って結婚するまでは猫被ってるものなんですよ。分かります? 最初は優しかった彼が、だんだん横暴で暴力的になってきた私の気持ちが」

 

「え、和ちゃんが男選び失敗したってだけの話じゃないの? 収入だけで男を選ぶのはやっぱりねー」

 

「うふふ、好きな人寝取られた人の言葉は一味違いますね。合コンに行っても話の輪にすら入れない人が何か言ってますよ」

 

「……和ちゃん。私達ってさ、親友だったよね?」

 

「え、友情? 何それ私の幸せな未来より大事なんですか?」

 

「……」

 

「……」

 

 

 

 無言で、お互いの胸ぐらを掴み合う。最早私も彼女も笑みは消え、感情の消えた無表情で相手と相対していた。

 

 ……思うに。私達は、きっといつか戦う運命だったのかもしれない。

 私はたけのこ派で、和ちゃんはきのこ派。私は赤いきつね派で、和ちゃんは緑のたぬき派。私はジャンプ派で、午後の紅茶派で、オオノ君派。和ちゃんはサンデー派で、リプトン派で、サクライ君派。争いの種は、思い返せば至る所に転がっていた。

 最早、言葉を交わす時は過ぎた。――後は拳で語り合おう。

 

 

 

「……和ちゃん。麻雀部、今開いてる?」

 

「……ああ、分かりました。いいでしょう、乗ってあげますよ。優希と須賀君が待ってるはずです」

 

「25000で30000返し。ウマなしオカなしトビあり赤なし」

 

「ええ、構いません。半荘で?」

 

「半荘一回。……大丈夫、それだけあったらボコボコにしてあげられるから。一緒に麻雀を楽しもうよ」

 

「そんなオカルトありえません。安心してください、私はちゃんと須賀君を幸せにしてあげますから」

 

「……あは、あはは」

 

「……うふ、うふふ」

 

 

 

 どちらからとなく、お互いに手を離して。端から見れば仲良く笑いあって、私達は教室を後にした。

 

 そういえば、前回は麻雀部で最初に打った時はプラスマイナス0に収めることを狙ってやっていたような気がするけど。今そのようなことをやる気なぞ、正直欠片も持っていなかった。

 

 

 

 ――全力で、ゴッ倒す。

 

 

 

 

 




ベイスターズ来年ワンチャンあるで記念更新。あ、今更ですが楽天日本一おめでとうございます。


Q.お前ホモかよぉ!

A.え、なんですかそれは(真顔) ぶっちゃけ別人です。いやマジで

Q.修羅場ですか?

A.こんな感じでよろしいでしょうかねぇ

Q.次の更新はよ

A.き、北のサムライが復活するまでには……

Q.嫁はきっとわた、池田っていう美人で麻雀の強い人だと思うし!

A.池田ァ!

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