DU:ゼロからなおす異世界生活   作:東雲雄輔

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一期一会という言葉があります。それはリゼロの世界においてはかなり重要なファクターです。何故なら、運命を変えるには一人ではできないのです。


第14話:(ドリル+ロリータ)+(双子+メイド)

 

 

 

 

 

くうっ・・・くっ・・・ハアーッ・・・ハアーッ・・・ハアーッ!

 

 

 

オ オレは何回死ぬんだ!?

 

 

次は、ど・・・・・・どこから・・・・・・

 

 

い・・・いつ『襲って』くるんだ!?

 

 

オレは!

 

 

オレは・・・ッ!

 

 

 

 

 

「オレのそばに近寄るなああ──────────ッ!《ガバッ!》・・・ゼエ・・・ゼエ・・・ハア・・・ハア・・・」

 

 

 

 

 

あ、危ねえ・・・もうちょっとでジョジョ史上最凶のスタンド鎮魂歌《レクイエム》に止めを刺されるところだったぜ。

 

いや、実は俺はもう既にゴー●ドエクスペリエンスレクイエムの手にかかっているのでは?

 

だから、何度も何度も死んでは生き返ってを繰り返している・・・――――――ヤベエ!結構辻褄があっている!もしそうだとしたら俺がディアボ□の大冒険をやらされているのも合点が行く。

 

 

 

 

 

「―――つーかよ、ここ・・・どこだ?」

 

 

 

 

 

周りを見回してみると目についたのはあまりにも広い間取りと高い天井、そして自分が寝かされているベッドを含む豪華な内装。

 

まるで王宮に招かれた上等な貴族に客室としてあてがわれたような寝室である。

 

 

 

 

 

「確か・・・俺は異世界に来て、フェルトに会って・・・それからエミリアと出会って。何度もループを繰り返してことの元凶である『バイツァダスト』をぶっ飛ばした。エルザも倒した――――んだよな?」

 

 

 

 

 

何度もループを繰り返していたせいでその辺が疑心暗鬼になっている。少なくともバイツァダストは発動してもいないし、俺も死んじゃあいない―――貧血で倒れただけだ。

 

貧血で倒れたからここに運び込まれただけ・・・のはず!・・・かも!・・・May be。

 

 

 

 

 

「―――誰もいないのかよ・・・グレート。腹も減ってきたってのによ《シャッ》」

 

 

 

 

 

たぶん、俺があまりにも目を覚まさないから放置されていたんだろうけど。寝起きで見知らぬ場所に一人放置されたら不安にもなるぜ。

 

俺は何気なく窓のカーテンをずらして外を眺めてみるが、そこには広大な庭・・・というか『敷地』!圧倒的『敷地』!が広がっていた。広すぎてどこが屋敷の入り口なんだかもよくわからねえ。

 

 

 

 

 

「《ガチャッ》―――広っ!・・・何だ、これ!?廊下の奥の方が遠すぎて霞んで見えるぜ」

 

 

 

 

 

扉を開けて廊下に出てみたが、周りは人っ子一人もいない。壁と天井と廊下が延々と奥の方まで続いていた。

 

 

 

 

 

ぺたぺたぺたぺたぺたぺた・・・

 

 

「こんなに広い屋敷建ててちゃんと管理しきれんのかよ・・・―――なんかさっきから同じところをぐるぐる歩かされてるみたいになってっぞ・・・いや、というか」

 

 

 

 

 

『みたい』じゃない―――同じところを歩かされているんだ。さっきから歩けど歩けど通りすぎる壁にかかってる絵が変わっていない。

 

 

―――間違いなく何者かの『攻撃』を受けている。『ジェイルハウスロック』とかそういう『一定の場所から出られなくなる攻撃』を。

 

 

 

 

 

「これも『魔法』ってヤツなのか・・・やれやれ、目覚めて早々ねちっこい歓迎だぜ。魔法は専門外だから俺にはどうしようないぜ」

 

 

 

 

 

承太郎さん!無敵の『スタープラチナ』で何とかしてくださいよォーーーーッッ!

 

 

・・・いや、やめよう。他力本願な精神はこの俺の異世界生活では全くもって役に立たないことは立証されているんだぜ。どうにか自分でやりぬくしかねえ。

 

 

 

 

 

「一番手っ取り早いのは壁でもぶっ壊して横道に抜けることだが・・・それは最終手段。俺の直感によると『俺が最初に出てきた扉が怪しい』って言っているんだぜい《ガチャッ》」

 

 

 

 

 

扉を開けてみるとそこには俺が最初に出てきたのとは全く異なる景色が広がっていた。豪華な内装と白い清潔なベッドはどこにもなく。

 

白と黒のチェック柄の床。左右に並んだ本棚と無数の本の数々。中央には申し訳程度に設置されたテーブルと椅子。そして・・・――――

 

 

 

 

 

「・・・なんて、心の底から腹の立つ奴なのかしら」

 

 

 

 

 

豪勢な浮き世離れした雰囲気をまとったドリルのようなツインテールの髪型の金髪ロリ。

 

―――すげえっ!まさかこの目で本物の『ドリルツインテール』を拝める日が来ようとは!お嬢様然とした二次元のキャラにしかなせない髪型だと思っていたから無性に感動しているぜ!

 

 

 

 

 

「―――《パン、パンッ》」

 

「何をいきなり手を合わして拝んでいるのかしら!?何だかわからないけどすごく腹立たしいのよ」

 

「ハッ・・・―――すまねえ!ついこの感動を口では表しきれなくてよ。何だかよくわからないけど・・・―――嬉しくて《ぐすっ》」

 

「何でベティと会っただけでお前がそこまで感動しているのかしら。ていうか書庫の中で泣かないで欲しいかしら。床が汚れるのよ」

 

 

 

 

 

信じられるか・・・この金髪ドリルツインテールの高飛車幼女。中の人が『新井さん』なんだぜ。禁書シリーズ御用達しのツインテールのHENTAI『白い黒子』と同じ人なんだぜ。

 

 

―――『新井さん』と『ツインテールロリっ娘』ッ!この世にこれほど相性のいいものがあるだろうかッ!?

 

 

ヤベエ!マジで俺感動してるよ!

 

 

 

 

 

「なあ、お願いがあるんだけどさ」

 

「いきなり『お願い』だなんて厚かましいヤツなのかしら」

 

「一度でいいから『風紀委員《ジャッジメント》ですの!』って言ってもらっていいか?」

 

「お前は・・・ベティに喧嘩を売っているのかしら」

 

「違う!純粋にRESPECTしているだけだ!この禁書目録をオマージュしたかのような大量の書物に囲まれている新井ボイスのツインドリルのロリに、俺はっ――――感動しているっ!」

 

「・・・ベティーを本気で尊敬しているお前の態度が却って感に触るのよ。書架への不法侵入といい、お仕置きされても仕方ないと思わないかしら?」

 

 

 

 

 

むっすーとした表情で俺を睨んでくるドリルロリータ略して『ドリータ』。

 

年齢は10才前後。お伽噺に出てきそうなファンシーなコスチューム。華美な模様に彩られフリルであしらったドレス。

 

最大の特徴は見事なドリル状に巻かれたツインテール。髪の色も白に近い金髪――――――本当に絵本から出てきた王女様みてえだな。

 

 

 

 

 

「なあ、さっきの無限ループはお前がやってたのか?」

 

「・・・ベティの仕業と言われればそうなのよ。お前さえ大人しくしてくれればベティもこんな屈辱を受けずにすんだものを」

 

「人を勝手にループの中に閉じ込めておいてそりゃあねえだろ。子供の頃、スーパーマ●オ64でクッ●との最終決戦に挑む前の無限階段の恐怖を思い出したぞ」

 

「例えがよくわからないのよ」

 

 

 

 

 

当時リアルタイムでプレイしていた世代の子供達ならきっとわかってくれるだろう。スター70枚を持たずに横着しようとするとあの魔の無限階段の餌食となるんだぜぇ。

 

 

 

 

 

「なあ、この屋敷に連れてきたのはエミリア・・・なんだよな?会っていろいろお礼がしたいんだけどよぉ~。ここから出してくれねえか?第一、あんな寝室に閉じ込められるなんて窮屈だしよぉ」

 

「何でベティがそんなことしなくちゃならないのかしら?あの娘のせいでベティはこんなにも不快な思いをさせられてるのよ。お前に会ったせいでベティはこれから一週間は気分が晴れないのよ」

 

「俺は害獣か何かか!?せめて人間扱いして!そこは人間扱いして!俺、一応エミリアの恩人って立ち位置なんだからよぉ!」

 

 

 

 

 

我ながら恩着せがましいことを言っている気はするが、流石に害獣扱いされれば反論したくもなる。しかし、目の前のドリータは俺のその言葉に反応することなく淡々と本を読み耽っている。

 

 

 

 

 

「ベティにとってあの娘がどうなろうと知ったことではないのよ。お前があの娘を助けたところでベティにとっては関係ないかしら」

 

「オイオイ・・・仮にもお前を住まわせている屋敷の主だろ。そんな不敬な言葉は思ってても口にしない方がいいんだぜ」

 

「お前は何か勘違いしているようなのよ。このロズワール邸の当主はあの娘ではないのよ。従ってベティにとって何ら不利益はないかしら」

 

「・・・ロズワール?エミリアの親父さんか」

 

「お前っ・・・本当に何も知らないやつかしら。ロズワールも、あの娘に勝手を許すからこんなわけのわかんない奴と会う羽目に。あとでとっちめてやるのよ」

 

 

 

 

 

何かよくわからんがこの屋敷の人間関係も一枚岩というわけではないらしい。それにこの異世界ファンタジーにおいてもこの目の前のドリータの雰囲気は今まで出会った住人の中でも一際変わっている。

 

 

というか、コイツ・・・さっきからエミリアとこの屋敷の主人を下に見ている―――いや、人間そのものを見下したような態度。

 

 

 

 

 

「お前・・・もしかして妖精とか精霊の一種なんてことぁねえよなぁ?さっきのエグい無限回廊トラップを使えるところといい・・・かなりの高位の魔法使いなのは間違いないだろうけどよぉ」

 

「どうやら思っていたほど馬鹿ではないみたいなのよ《パタンッ》」

 

「お前ほど頭が良くないことは自覚してるぜ。俺はあんまり本を読むことは得意じゃねえからな」

 

「ふ~~~~ん?《コツコツコツ…》」

 

 

 

 

ベティと名乗る少女は本を閉じてつかつかとこちらに歩み寄って来た――――――なんかすんげぇイヤな予感がする。

 

 

 

 

 

「お、おい・・・俺をここから出してくれるのか?」

 

「お前には一度身の程と言うものを思い知らせてやるかしら《とんっ》」

 

「はあ?」

 

「一応、死なないように加減はしてやるけど。この書庫の中ではあまりに調子に乗らないことかしら」

 

 

ドグンッ! バギュォオオオオオンッッ

 

 

「っ・・・るぅおおおおおおおおおおっ!?」

 

 

 

 

少女の手が俺に触れた瞬間、全身の血流が逆流するかのような不快感を覚え、同時に全身が熱く灼け爛れるような激しい痛みが襲った。

 

 

 

 

 

 

ドタッ!

 

 

「―――っ・・・い・・・今のは何だ・・・吸血鬼でもねえのに、全身に波紋疾走《オーバードライブ》が走ったぜ」

 

「・・・呆れた。まだ減らず口が叩けるのかしら。話には聞いていたけど本当に頑丈なのよ―――ちょっと体のマナを徴収しただけだから暫くすれば元に戻るのよ」

 

「“マナ”・・・だと・・・それを使いこなせれば・・・お、俺にも波紋戦士になれる可能性が―――っ!」

 

「ないかしら。“マナ”とお前の言う“波紋”というのは多分別物かしら」

 

「チクショウッ!カエルを殴り付けて『メメタァ』って音を鳴らすのが夢だったのに!」

 

「勝手にやっていればいいかしら。それよりも・・・いい加減、鬱陶しいからとっとと消えるのよ!《スッ》」

 

 

ゴォウッッ!!!

 

 

「ボールを相手のゴールにシュウゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーッッ!!」

 

 

バタンッッ!!

 

 

 

 

 

少女が俺に手をかざした瞬間、凄まじい局所的な暴風が発生し、俺は突風のようなものに扉の外に吹っ飛ばされてそのまま意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「《ガバッ!》―――超☆エキサイティン!!」

 

 

 

 

 

目が覚めたときには最初に起きたときと同じベッドの中にいた。誰かがぶっとばされた俺を寝かしつけてくれたらしい。

 

 

 

 

 

「グレート。さっき起きたばかりだってのに・・・ベッドの中にまた逆戻りかよ。とんでもねえところに来ちまったな」

 

 

「レム、レム。お客様がお目覚めになられたわ」

「姉様、姉様。お客様がお目覚めになられました」

 

 

「・・・マナを吸いとったって言ってたけど。ひとまず体にこれといった異常はねえな。強いて言うならだいぶ疲れてるような気がするけどよぉ―――くっそ、あのドリータ。今度、会ったらただじゃあおかねえ」

 

 

「聞いた、レム?今、お客様が外道な発言をしたわよ」

「聞きました、姉様。今、お客様が鬼畜な発言をなさいました」

 

 

「・・・今、何時だ?丸一日寝てたってことはねえと思うがよ」

 

 

「今は陽日7時になるわ、お客様」

「今は陽日7時になります、お客様」

 

 

「そうか。7時か・・・危うく日朝のスーパーヒーロータイムを見逃すところだったぜ。それが終わったら感謝の正拳突きとラジオJOJO体操の時間だぜ――――俺の学ランはどこだ?」

 

 

「お客様のぼろ切れのような衣服は見苦しいため洗濯中だわ、お客様」

「お客様のお召し物は血みどろで見るに耐えなかったためお手入れの真っ最中です、お客様」

 

 

「―――ってえ!スルーももう限界なんだぜっ!!お前ら、さっきから何を横でボロクソに俺のことをディスってやがんだ!」

 

 

 

 

 

必死に意識の外に追いやっていたが、俺は耐えきれずにヘッド脇でずっと寄り添うように立っている二人のメイドに顔を向けた。

 

 

―――双子だった。美少女の双子だった。美少女でメイドで双子だった。

 

 

手を繋いで立つ双子はまるで鏡写しのように左右対称に見えるくらいに身長から服装、髪型、ポージングに至るまで見事にお互いの姿をそれぞれ生き写していた。

 

鏡写しのような双子の違いを分けているのは髪型と髪の色くらいなものだ―――片方は淡い桃色の髪。もう片方は淡い水色の髪。桃色の髪の娘は前髪で左目を、水色の髪の娘は前髪で右目を隠していた。

 

小柄な体格といい、その幼さを残しつつも可愛らしい顔立ちはメイド服が非常に似合っており掛け値なしに可愛かった。

 

 

 

 

 

「グレートっ!これ、なんてエロゲだよ」

 

 

「大変ですわ。今、お客様の頭の中で卑猥な辱めを受けています―――姉様が」

「大変だわ。今、お客様の頭の中で恥辱の限りを受けているのよ―――レムが」

 

 

「発想が飛躍しすぎだろっ!・・・ってか、明らかにこの世界に存在しないエロゲの意味を正しく理解しているのはどういうことだよっ!?」

 

 

「お許しになって、お客様。レムだけは見逃して―――汚すなら姉様だけにしてください」

「やめてちょうだい、お客様。ラムは見逃して―――凌辱するならレムだけになさい」

 

 

「―――グレートっ・・・この一連のやり取りだけでお前ら双子のキャラが大体わかっちまったぜ。髪の色は綺麗な赤と青のくせに腹の中は姉妹揃って真っ黒だぜ、こりゃあ」

 

 

 

 

 

そもそもこのメイド姉妹は何しにこの部屋に来たんだ?気絶させられた俺の様子を見に来てくれたのか・・・いや、この二人のことだから仕事サボって俺の部屋でダベっていただけかもしれねえな。

 

 

 

 

 

コンコンッ

 

 

「ん?」

 

 

「――――ノックしてもしもーし。昨日はよく眠れたかしら、アキラ」

 

 

 

 

 

開いていた扉から顔を覗かせていたのは可憐な私服姿で髪を束ねておさげにした優雅に微笑むエミリアであった。

 

 

 

 

 

「・・・ば、バカな。その台詞は、まさかっ・・・戦闘潮流の―――ジョセフ・ジョースター!きさま!見ているかッ!」

 

 

「何を言っているのか、よくわからないのだけれど・・・目覚めたばかりなのに相変わらず絶好調みたいね。アキラ」

 

 

「俺は嬉しいぞ。エミリア!俺がちょっと目を話たすきにいつのまにか立派なジョジョラーになりやがってよぉ。これで俺が教えることは何もない―――免許皆伝だぜ、エミリア」

 

 

「あなたに弟子入りした覚えもないし、その・・・ジョジョラー?・・・っていうのにもなったつもりはないのだけど。とにかく元気になってくれてよかったわ」

 

 

 

 

 

俺の言っている言葉の意味がわからずとも律儀に一つ一つ丁寧な切り返しをしてくれるあたりがなんともエミリアらしい。

 

―――正直、言ってよぉ。こうして無事に生きてる姿を見れてようやく安心できたぜ。俺が気絶してる間に運命様から決められた死の未来に襲われないとも限らねえからよ。

 

 

 

 

 

「聞いてください、エミリア様。あの方に酷い辱めを受けました―――姉様が」

「聞いてちょうだい、エミリア様。あの方に監禁凌辱されたのよ―――レムが」

 

「ラムもレムも、アキラは病み上がりなんだからあんまりからかわないの」

 

「はーい、エミリア様。姉様も反省していますわ」

「はーい、エミリア様。レムも反省したと思うわ」

 

 

「やれやれ・・・このメイド姉妹、つくづくいい性格しているぜ―――何にせよ、お前が無事だったのなら何よりだぜぇ。俺が気絶している間に何もなくてよかった。もし俺の知らないところで死なれでもしたら寝覚めがくそ悪くなるところだったぜ」

 

 

「《きょとん》・・・変なこと言うのね。あなた」

 

 

 

 

 

エミリアは俺の言葉がよっぽど意外だったのか目をぱちくりさせて驚いている―――いつもお姉様然とした雰囲気だが、そんな顔をされると年相応の幼さが強調されてグッとくるぜ!

 

 

 

 

 

「会ったばかりのわたしのためにそこまで考えてるなんて・・・アキラって本当におバカさんなのね。すごいバカ。自分が倒れたことよりも他人の心配をするなんて信じられないくらいのバカだわ」

 

 

「正当な評価です、エミリア様。さらにそこに『グズ』と『ウスノロ』を付け加えれば完璧です」

「正しい評価だわ、エミリア様。あとそこに『穀潰し』と『甲斐性なし』が加われば完璧だわ」

 

 

「うるせえよっ!しつこく何回もバカバカ言ってんじゃねえよ―――そして、そこのメイド双子!さらっと余計なシスターズノイズを付け足してんじゃねえ!」

 

 

 

 

 

俺が人の心配をするのがそんなに意外かっつーの。まあ、エミリアは俺が10回以上あの悪夢のデスルーラを繰り返したことは知らねえから・・・俺が運命を乗り越えたことに対する安堵を理解できねえのも無理はねえ。

 

 

 

 

 

「アキラ、もう体の調子は大丈夫なの?どこかおかしなところとかない?ベアトリスに悪戯されて倒れたって聞いたんだけど・・・」

 

「あれを悪戯なんて可愛い言葉で片付けねぇでくれよ。軽くトラウマなんだからよぉ・・・あれに比べたら腸狩りのチャンネーと死の社交ダンスを踊っていた方がまだましだぜ」

 

「それだけ冗談が言えればもう心配ないわね」

 

「あるよ、バカっ!」

 

 

 

 

 

さらっと流されてしまった―――訂正。どうもこのエルフのお嬢様は俺の言葉をまともに取り合ってくれない傾向にある。

 

 

 

 

 

「元気が確認できたんならよぉ~・・・そろそろ俺の服を返してくれねえか?流石にこの病人服みたいな格好じゃあ外も出歩けねえ」

 

 

「はいはい。本当にアキラってば落ち着きがないんだから。ラム、レム、アキラの服を持ってきてあげて頂戴」

 

 

「わかりました、エミリア様。直ちにあのセンスの欠片もない意匠のこらした黒服をお持ちします」

「わかったわ、エミリア様。すぐにあの持ち主の正気を疑いたくなるような血濡れでボロボロで小汚い黒服をお持ちします」

 

 

「オイ、双子っ、コルァアア!大事な一張羅を台無しにしてまでお前らの主人のために頑張った俺の偉業をちったぁ評価しやがれっ!特に姉の方!後でテメエら姉妹揃って毒消し草口に突っ込んでやっからな!」

 

 

「コラ、アキラ。ケンカしないの。アキラは二人よりも年上のお兄さんでしょ」

 

 

「だから、お前は俺のお袋みたいな態度をいい加減やめろっ!その前にこの双子の毒舌メイドを更正させる努力をしろっ!」

 

 

 

 

 

 




旭君はボケるよりもツッコミキャラかもしれない。というかリゼロの世界においてはツッコミキャラに相当するキャラが極端に少なすぎる。

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