当たり前の後ろ ~テワタサナイーヌ物語~   作:吉川すずめ

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伏せ!

「かーかん、すき」

 日向(ひなた)がテワタサナイーヌに抱きついた。

 年末になると、日向が発する言葉の数が増えてきた。

 日向が最初にはっきりと発語したのは「にく」だった。

 生後7か月後くらいには「にく」と言って、肉をねだっていた。

 通常の発達からすると、かなり早い言葉の覚え方だ。

「お母さんもよ」

 テワタサナイーヌが日向を抱きしめた。

(妊娠したばっかりの頃は、ここから悪夢に入っていったんだっけ)

 まだ育児に自信は持てないが、悪夢のように日向に憎悪を抱くことはなかった。

 日向は、すくすく育ち、身長が90センチを超えている。

 黙っていれば、3歳児くらいに見える。

 日向は、いつも山口が作ったテワタサナイーヌの縫いぐるみを脇に抱えている。

 寝るときも一緒のお気に入りだ。

 着ている服も山口が縫い上げたワンピースが多い。

 シンプルなものが多いが、中にはスモッキングの刺繍を施した手の込んだものもある。

 

【挿絵表示】

 

 離乳食も済み、なんでも好き嫌いなく食べる。

 特に肉が好きなのは、さすが犬の血だ。

 歯もすでに永久歯に生え変わった。

 生え変わったあとの永久歯は、全部で42本もある。

 ヒトの歯と違い、肉を引き裂くのに適した犬の歯に近い。

 日向は、今のところテワタサナイーヌのようにマズルが伸びる現象は起きていない。

 

 今日は、年末の恒例となった山口のおごりで焼肉の日だ。

「にく! にく!」

 エプロンをかけた日向が焼き網を前に興奮している。

「かんぱーい!」

「ぱーい」

 大人はビール(ただし山口はウーロン茶)、日向はジュースで乾杯した。

 日向は、目の前に肉を置くと生でも食べてしまうので、焼く前の肉は少し遠ざけておく。

「ビールおいしいねー、お母さん」

「そうね、特におごりだとなおさらね」

 テワタサナイーヌと弥生はご機嫌だ。

「ねー」

 日向も二人の会話に割り込もうと頑張っている。

「すいませーん。カルビ、塩で5人前ください」

「サンチュおかわりー」

「タン塩くださーい」

「生ビールおかわり」

 テワタサナイーヌが立て続けに注文を出す。

「かーりー」

 日向もジュースのグラスを持ち上げてテワタサナイーヌの真似をする。

「いや、あなた、まだ入ってるじゃない」

 テワタサナイーヌが制した。

「かーりー!」

 日向が怒った。

「怒ったってダメよ。全部飲んでからね」

「ぶー」

「はい、お肉」

 テワタサナイーヌが焼けた肉を日向の前の皿に載せた。

「にく!」

 さっきまで怒っていた日向が満面の笑みを浮かべた。

 日向は、ひたすら肉を食べ続ける。

 日向が食べる肉は、山口が焼いて皿に提供する。

 山口は、ほとんど自分で肉を食べられない。

 それでも家族がおいしそうに食べてくれるのが嬉しい。

「せーの」

「ごちそうさまでした!」

「さまー」

 テワタサナイーヌの合図で全員が手を合わせてごちそうさまをした。

「今年もおいしかったねー。お父さんありがとう」

 テワタサナイーヌが山口の腕に絡み付いた。

「ありとー」

 日向が反対側の手を取って振り回す。

「歩きにくいです」

 そう言いながら山口は嬉しそうだった。

「かーかん」

 日向がテワタサナイーヌの首を指差した。

「なーに? これのこと?」

 テワタサナイーヌが首輪をくるくる回して見せた。

「んー、んー」

 日向は、テワタサナイーヌの首輪と自分の首を交互に指差した。

「え、首輪が欲しいの?」

 テワタサナイーヌが小首を傾げた。

「テワさん、かわいい!」

 大輔が喜んだ。

「毎度ありがと」

 テワタサナイーヌは、大輔ににっこり微笑んだ。

「首輪かあ……首輪を欲しがるとは思わなかったな。アクセサリーだと思ってるのかな?」

 テワタサナイーヌが弥生の顔を見た。

「お母さんがつけてるかわいいネックレスっていう感覚なのかしらね。そうだったら、欲しがっても無理ないかな」

 弥生が日向の頭を撫でた。

「んー」

 日向は、弥生を見ながら自分の首を指差した。

「うーん、首輪は難しいな。私は、自分の意思で着けてもらってるけど、日向に首輪をかけると児童虐待みたいに見えちゃうよ」

 テワタサナイーヌが苦笑した。

「チョーカーならいいんじゃない?」

 弥生が首輪の代替を思い付いた。

「そうだね、代わりとしてはいいかもしれない。でも、それを外せなくなると保育所や学校に行くようになったとき都合が悪くない?」

 テワタサナイーヌは、将来のことを考えた。

「そっか。やっぱりTPOを自分で考えられるようになってからじゃないとダメね」

 弥生が結論を出した。

「自分の当たり前が世間でも当たり前とは限らないってことがわかってからね」

 テワタサナイーヌが日向の犬耳を摘まんだ。

「やーん」

 日向が頭を振って嫌がった。

 

「あら、留守番電話」

 帰宅した弥生が自宅の電話に留守番メッセージを知らせるボタンの点滅に気づいた。

 弥生がメッセージを再生した。

「…… がちゃん ツーツーツー」

 メッセージにはなにも録音されていなかった。

「何の用だったのかしら?」

 弥生が首を傾げた。

「用があるなら録音すればいいのに」

 テワタサナイーヌが口を尖らせた。

「声を残したくない人もいるんです」

 山口が着替えながら二人を見た。

「やましいところがある人ね」

 テワタサナイーヌが指を鳴らした。

「そうです。だから、オレオレ詐欺を防ぐのにも留守番電話が強力な対策になるんです」

 山口は安物のティーバッグで紅茶を淹れ、一口すすった。

「そっか、電話に出なければいいのね!」

 テワタサナイーヌが元気に返した。

「はい、そうです。オレオレ詐欺の電話は、家の固定電話にかかってきます。ですから、固定電話をいつも留守番電話にしておいて、必ず相手の声を聞いてから受話器を取るようにすれば、親心スイッチのオンオフも必要なくなります。詐欺犯人は、自分の声が記録されるのを嫌がります。留守番電話にしておけば、たいていの場合は、さっきのように無言で切るか、それより前の留守を知らせる音声が再生されている間に電話を切ってしまいます」

「なるほど。電話が鳴ると、つい待たせたら失礼だと思って急いで出たくなっちゃうけど、待った方がいいのね。そうすれば、鬱陶しいセールスの電話にも付き合わなくて済むわよね」

 弥生が話を発展させた。

「最近では、電話に出る前に、通話を録音するということを自動で相手に伝える機能が付いた電話機も市販されています。そういう電話機に替えれば、オレオレ詐欺は、ほぼ完全に防げます。警察から提供されたオレオレ詐欺などに使われた電話番号からの着信を自動的に拒否してくれる機能が付いた装置も売られていますね」

 山口が紅茶を飲みながら説明した。

「お父さんもそろそろ必要なんじゃないの?」

 テワタサナイーヌがからかうように言った。

「なんて失礼なことを!」

 山口が笑った。

「あはは。ごめんなさーい」

 テワタサナイーヌが日向を抱いて2階に逃げて行った。

「ごめんあさーい」

 日向が山口に手を振った。

 

──翌日

 山口宅の電話が鳴った。

「はい、山口です」

 弥生が電話に出た。

「おそれいります。わたくし、丸越デパート審査部の速水と申します。突然のお電話で申し訳ありません」

(丸越?取り引きないけど何かしら?)

 山口家では、中島屋デパートとの取り引きはあったが、丸越デパートとの取り引きはなかった。

「本日、あなた名義のカードを使用して買い物をしようとした人物がおりまして、弊社で不審な取り引きとしてピックアップされました。不審な取り引きとしてピックアップされますと、あなた様のあらゆるカード類での取り引きが止められることになります。これは、銀行のキャッシュカードも含まれますので、のちほど銀行協会からもご連絡が行くと思います。よろしくお願いします」

 電話の相手は、一方的に話すと電話を切った。

(ようやくうちにも来た)

 弥生は、これがキャッシュカードを騙し取るオレオレ詐欺だと見抜いていた。

「お父さん、来たわよ。カード預かり」

 弥生は、ミシンに向かって日向のワンピースを縫っている山口を呼んだ。

「来ましたか。どうしてくれましょうね」

 山口が楽しそうに答えた。

「騙された振りをする?」

「今日は、やることもなくて暇なので遊んでみますか」

 山口と弥生は、詐欺犯人を騙して捕まえることにした。

「早苗さん」

 山口は、2階に上がり日向と遊んでいたテワタサナイーヌを呼んだ。

「じーじ!」

 日向が山口に走り寄ってきた。

 山口が日向を抱き上げる。

「なーに?」

 テワタサナイーヌが小首を傾げた。

「テワさん、めっちゃかわいい!」

 キッチンからカウンター越しに大輔が騒いだ。

「うちにカード預かり詐欺の電話が来ました。騙された振りの現場設定をしようと思います」

 山口が日向の頬をつつきながら説明した。

「わっ、面白そう! やるやる。大輔くん、現場設定だよ!」

 テワタサナイーヌが目を輝かせた。

「早苗さん、現場設定用のキャッシュカードがありましたよね」

「あるある。都市銀全部揃ってる」

「では、それを貸してください。私は、弥生さんと中で対応しますから、早苗さんと大輔さんは、外張りをしてもらっていいですか」

「オッケー」

 任務分担が決まった。

 弥生が被害者役。

 山口は、家の中で待機して、現れた犯人を中から逮捕する。

 テワタサナイーヌと大輔は、家の外で待機して犯人の接近を見張り、万一、犯人が逃げようとしたときは、外から逮捕する。

 日向は、特に任務はない。

 1階の電話が鳴った。

「はい」

 弥生が電話に出た。

「こちらは、全国銀行協会の信用調査部です。先ほど、丸越デパートから通報があり、山口様のカードが不正に使用された疑いがあるとのことでした。このような場合、すべてのカード類を止める決まりとなっております。山口様のキャッシュカードも止める必要があります。その手続きを行うため、二、三確認をさせてください」

 電話の相手は、非常に丁寧な口調で趣旨を説明した。

「あ、はい、そうなんですね」

 弥生は、笑い出しそうなのを必死にこらえて、気弱そうに答えた。

「まず、山口様の口座を確認します。お持ちの口座の銀行名と残高を教えてください」

(きたきた)

 弥生がニコニコしている。

「えーと、銀行の口座ですか。うちの口座は、四菱銀行ですよ。残高はー…… いくらだったかしら? たしかー、200万くらいだったと思いますけど……」

 弥生のとぼけた演技が続く。

「ありがとうございます。四菱銀行で残高200万円ですね。次に、ご本人様確認のため、ご住所とキャッシュカードに設定している四桁の数字の暗証番号を言ってください」

(そうこなくちゃ)

 弥生が山口を見て楽しそうに微笑んだ。

「あ、本人確認なんですね。わかりました。住所は、千葉県…… 暗証番号は、5533です」

「ありがとうございます。ご本人様の確認が取れました。それでは、大至急山口様のカードを止めて口座を保護する必要がありますので、これから銀行協会の者をそちらに派遣いたします。その者にキャッシュカードをお渡しください。それで口座とカードは保護されます」

 犯人が流れるように嘘八百の説明をした。

(だめ、耐えられない)

 弥生は、吹き出しそうになるのを必死に耐えた。

「えっ、これからですか?」

「はい。すでにそちら周辺を巡回している三浦という職員がおります。三浦に向かわせますので、ご自宅でお待ちください」

「あ、はい、わかりました」

 弥生は、電話を切り山口に向かって親指を立てた。

「ばっちり。取りに来るって」

 弥生がウインクをした。

「早苗さん、大輔さん、外張りをお願いします」

 山口が2階で待機していたテワタサナイーヌと大輔に声をかけた。

「うまくいったのね。楽しくなってきた」

 テワタサナイーヌが大輔とともに、日向を連れて外に出ていった。

「三浦っていう人が来るそうよ」

 弥生が山口に伝えた。

「わかりました」

 山口が手にぴったりとフィットする革の手袋をしながら答えた。

 捕物には、革の手袋がいい。

 待つこと約1時間。

 山口のスマホが鳴った。

「はい」

「あ、私。受け子みつけた。電話しながらうちを探してる」

「了解」

 テワタサナイーヌが受け子を見つけた。

 テワタサナイーヌは、山口の家の近くにいて、家族で遊んでいるように振る舞っている。

 テワタサナイーヌの耳には、骨伝導のイヤホンマイクが仕込まれている。

 山口とテワタサナイーヌのスマホは、通話状態のまま、相互に会話ができるようにしてある。

「受け子は、だぼだぼの紺色スーツ。茶色いビジネスバッグを持ってる。頭は、今どきの高校生みたいな感じ」

 テワタサナイーヌから受け子の風体が知らされた。

「入るよ」

「了解。切ります」

 山口が通話を切った。

 

ピンポーン

 

 インターホンが鳴った。

 弥生と山口がインターホンのモニタを確認する。

 テワタサナイーヌから知らされた服装の若い男が落ち着きなく門の前に立っている。

「はーい」

 弥生が応答した。

「全国銀行協会の者です」

 受け子が答えた。

「あ、はい、お待ちください」

 弥生が答えてインターホンを切った。

 山口は、玄関に出るドアの陰に立って、姿が見えないように待機した。

 テワタサナイーヌは、外の少し離れたところから玄関の様子を窺っている。

 弥生は、ニセのキャシュカードを持ってドアを開けた。

「こんにちは。ぼく、全国銀行協会の三浦といいます」

 受け子は、首から提げたネームプレートを見せながら名乗った。

(あらまあ、こんな小道具まで作って熱心だこと)

 ネームプレートには、全国銀行協会のロゴと三浦の架空の役職と名前が印刷されていた。

 ただ、顔写真は刷り込まれていない。

(写真までは無理だったのね)

 弥生が同情した。

「あ、三浦さんですね。わざわざありがとうございます」

「山口さんの口座を保護するんで、四菱銀行のキャッシュカードを預かります。持ち帰って、すぐにカードを止めますんで」

 受け子が慣れない敬語を使いながら、たどたどしく言った。

(まだ高校生くらいね)

「あ、はい、じゃあこれ。よろしくお願いしますね」

 弥生がニセのキャッシュカードを受け子に渡した。

「はい、たしかに預かりました」

 受け子がキャッシュカードをビジネスバッグにしまった。

「警察です。詐欺未遂の現行犯で逮捕する」

 ドアの陰から姿を現した山口が警察手帳を見せながら受け子に迫った。

「えっ!」

 受け子の顔がひきつった。

 

「あっ、日向待って!」

 外で遊んでいたテワタサナイーヌの手を振り切って、日向が山口の家の門に向かって走った。

 テワタサナイーヌと大輔が後を追った。

 

「くそっ」

 受け子は、一言発すると同時に踵を返して荒々しく玄関を開け外に逃げ出した。

「待て!」

 山口が追った。

 受け子は、ビジネスバッグも放り投げて全力疾走で逃げる。

「あっ、日向!」

 弥生が叫んだ。

 

 日向が、山口の家の門の前で止まった。

 玄関から受け子が走ってくる。

「日向!」

 テワタサナイーヌも声を上げた。

 日向は、自分を呼んだテワタサナイーヌの方を振り返った。

 

 受け子は、日向の直前に迫った。

 このままだと日向が受け子に突き飛ばされる。

「日向!」

 テワタサナイーヌ、弥生、大輔が叫んだ。

 

「伏せ!!」

 

 山口が叫んだ。

 その声に日向が反応した。

 その場ですっと四つん這いになり背中を丸くした。

 次の瞬間、全力で走ってきた受け子は、足元で丸くなっている日向に足を取られた。

 日向で足は止まったが、身体は走っているときの勢いのまま前に進もうとする。

 受け子は、走ってきた勢いで前に飛んで道路に叩きつけられた。

「ぎゃっ!」

 倒れ込んだ勢いで顔を道路にしたたかに打ち付けた受け子が悲鳴を上げた。

「ぐぇ!」

 受け子が声にならない息を漏らした。

 追ってきた山口の膝が受け子の背中に勢い良く当てられたのだ。

 受け子は、鼻血を流し、呼吸ができず、泣きながら悶絶している。

 突進してくる人を真正面から止めるのは難しく危険を伴う。

 そのようなときは、突進してくる人の足元で小さくなり、足をひっかけるといい。

 思わず前に飛び出して転ぶことになる。

「早苗さん、110番。弥生さん、傷の手当の用意を」

 山口が指示を飛ばす。

「さあ、起きなさい」

 山口は、うつ伏せになっている受け子の襟首を掴み、ひょいっと起こして座らせた。

「手を後ろに回せ」

 受け子が両手を後ろに回した。

 山口は、ポケットの中からタイラップを2本出した。

 はじめの一本を右手親指に回して締めた。

 次の一本を右手親指についている環に通し、左手親指を締めた。

 これで簡易の両手錠になる。

「立ちなさい」

 山口は、座っている受け子を回すようにしながら上に引き上げて立たせた。

「傷の手当をしましょう」

 そう言って受け子を家の中に入れた。

 

「座りなさい」

 受け子を1階のリビングに通して椅子に座らせた。

 受け子は、震えながら泣きじゃくっている。

「どうもしません。傷の手当をするだけです」

 山口が笑顔で受け子に言った。

 弥生が血を拭き取り、鼻に脱脂綿を詰めた。

 そして、あちこちについた擦り傷の傷口についた石や土などを洗い流した。

「ごめんなさい、ごめんなさい」

 受け子は、泣きながら謝った。

「あなたいくつなの?」

 弥生が傷の手当をしながら訊いた。

「14です」

 受け子がしゃくり上げながら答えた。

「まだ中学生じゃない!」

 弥生が驚いた。

「誰に誘われたんですか」

 山口が優しく問いかけた。

「先輩す」

「そうですか。やっぱり先輩に誘われて断れなかったんですね」

「はい」

 中学生にとって同じ学校の先輩は絶対だ。

 逆らうことなどできない。

 その関係で受け子にリクルートされる少年が後を絶たない。

 間もなく地元警察署のパトカーが到着した。

「今回、受け子になってしまいましたが、これで君の人生は終わりじゃない。悪かったのは、君がやった行いだ。行いを改めさえすれば、君は悪い人じゃない。審判が終わったらうちに来なさい。歓迎しますよ」

 山口は笑顔で受け子を送り出した。

「すいませんでした」

 受け子は、山口に深々と頭を下げ、パトカーに乗せられ連行されて行った。

「立ち直ってくれるといいですね」

 山口が遠ざかるパトカーを見送りながら弥生に言った。

「そうですね」

 弥生がしみじみと答えた。

 

「今回もお手柄は、日向ですね」

 山口が日向を抱き上げてほめた。

「きゃー」

 日向は、わけもわからず喜んだ。




 この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

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