ガルパン転生   作:グラン(団長)

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ハンバァァァァグ


3話

戦車道全国大会第1回戦、大洗女子学園の対戦相手校はサンダース大付属に決まった。

西住さんクジ運ねーなと思ったのは俺だけじゃないはず。ちよ姉のとこはまぁいいとして、去年の優勝校のプラウダもいるし、借りに勝てたとしても決勝で当たることになるのは十中八九黒森峰だろう。

 

「これやばいんじゃね?実際のとこ戦車道なんて数が多い方が断然有利だぜ?」

 

「あんたがそれ言うか。……ま、どこが相手だろうと勝つ以外に道はないんだから、頑張るしかないって。あんたもコーチなんだから弱気なこと言ってないで作戦でも立てといてね」

 

「無茶言いやがる」

 

全国大会の1、2回戦の参加車両上限は10両。サンダースは金持ちだから余裕で10両なんて出してくるだろうが、うちはたったの5両。

フラッグ戦ってことが唯一の救いだなぁ。俺が出場できりゃ単騎特攻かましてワンパンなんだけどなぁ。

 

「まぁ、いろいろ考えてみるわ」

 

 

 

 

 

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「ごめんなさい、1回戦から強豪校と当たっちゃって……」

 

「いやしゃーないって、クジなんてどうにかしようとしてどうにかなるもんじゃないんだから西住さんが責任感じることないっしょ」

 

「そうですよ、西住殿はなにも悪くありませんよ」

 

さて、出場校の組合せも終わり現在俺はアンコウチームのみんなとスウィートゥを食べに来ている。誘ってくれたら断れないよね?まぁ同時に俺の財布も軽くなるんですけどね!

しかしね、ここね、女の子しかしないのよね、何が言いたいかと言うとね、視線がね、痛いのよ。

だって戦車道の競技者なんて9割9分女性なんだから当たり前なんだけどね。暇だったからついてくるなんて馬鹿なことした昔の俺を殴りたい。

 

「サンダースって強豪校なんだよね?大丈夫なのかな……」

 

「サンダースは沢山の戦車を保有していますからね、台数は上限の10両、つまりウチの倍の数で来るはずです」

 

なんで秋山さん嬉しそうなの?おバカなの?

 

「それって大変なことなんじゃ」

 

「普通に考えたらこちらに勝ち目はないな」

 

うん、冷泉さんの言う通り。だけどもうちょっとオブラートに包んで欲しかった、みんな暗い顔しちゃってるから。

 

「杏仁殿……」

 

秋山さんが空気にいたたまれなくなって子犬みたいな顔でこっち見てくる。つられるようにした全員もこちらに顔を向けるから困る。いや、冷泉さんは向いてねーや、ケーキに集中してる。

 

「……まぁ、ばか正直に真正面から行ったら勝ち目はないだろうけどね、そこは戦術でなんとかできると思うよ。戦う前から負けることなんて考えてたら勝てる試合も負けちゃうよ、ほら、ケーキ食べて元気出そう!」

 

慣れない発破はなんとか効果があったらしい。幾分か明るい表情になってくれてよかった、つーか冷泉さん早すぎね?次のケーキ選び始めてるんだが?

 

「相手の使ってくる車両がわかりゃ大分楽なんだがなぁ」

 

ぼやいた所でなにがわかるわけでもない、とりあえず今は目の前のショートケーキにパンツァーフォーする。

 

「あら?副隊長?」

 

と思ってフォークをイチゴにファイヤしたら横から声をかけられたらしい。

そこには西住さんとそっくりな髪型の女の子と、綺麗な銀髪の女の子がいた。つーか見たことあんな、国際強化選手かなんかだったような、どことなく似てるから西住さんのお姉さんかな?

銀髪の子もどっかで見た気がするんだよなぁ。

 

「いえ、元、だったわね」

 

煽りスキル高いなー。銀髪の子は俺は目に入ってないのか、気づいた様子もなくみんなを煽ってる。

と、仮想西住姉がこちらをジッと見ていることに気がついた。すごい、なにかを思い出そうとするかのようになにか喋るわけでもなくジッと見ている。

と、思い出したのか、ハッという顔をして口を開いた。

 

「あぁ、思い出した。確か角谷選手、だったか?」

 

「えぇ、そうですけど、そちらは見たところ西住さんのお姉さんですか?」

 

「はい、西住まほと言います」

 

「これはご丁寧に、角谷杏仁と言います」

 

いい人だった。

 

「……こっちには杏仁さんだっているんだから!あんた達になんか負けないんだから!」

 

「あんにんさん?誰だそれ……は……」

 

なんだか俺の名前が上がったらしい。なにかなぁと思って銀髪ちゃんの方を向いたら、俺を見ながら固まっていた。

状況が飲み込めないので武部さん達に視線を送るが、急に固まった銀髪ちゃんを怪訝な顔で見ていてた。いや、だから冷泉さんはそろそろケーキ止まれ、3個目行きそうじゃねーか。

仕方ない。

 

「あのぉ、俺の顔になんか変です?」

 

「……か、か、か、角谷さん!?」

 

「はい角谷です!」

 

ビックリしたぁ、いきなり大声で名前呼ばれたから思わず返事しちゃいました。

……あれ?なんかすごいデジャヴ感じる、前もこんなことあったような。……確か、中学の大会の後で、表彰終わって帰ろうとしたときに、銀髪の子が……。

 

「あぁ!あの時の!……確か、逸見……エリカ、さんだよね?」

 

「は、はい!お久しぶりです!」

 

そうだそうだ、思い出した。確かあの時のメチャクチャテンション高くてビビった思い出がある。

そうか~、あの時の子がこんな煽りスキルを身につけて、成長って早いなぁ。

 

「え?杏仁さん逸見さんと知り合いなの?」

 

「うん、前に1回声をかけてもらったことがあってね」

 

「あ、あの時はすいませんでした」

 

「いやいや、いいって。褒められて嬉しかったしね」

 

「あの、……角谷さんは本当に大洗女子のコーチをなさっているのですか?」

 

「うん、姉が生徒会長でね。それの手伝いでやらせてもらってるよ」

 

「そう、ですか」

 

俺がコーチをやっていると言ったら逸見さんは少し居心地が悪そうにしながら、モジモジしだした。可愛いなこの子、あれだな、俺が大洗女子教えてるのにさっきまで散々煽ったからばつが悪いんだな。

俺に対する逸見さんの態度と、あまりの変わりようにみんな驚いてただ見ている。いや、一人だけ違うけどもういいや。あ、それ美味しそう。

 

「角谷さんが教えているなら、す、少しは警戒する必要がありそうね。……あの、か、角谷さん。も、もし、よろしければ、私も、ご、御指導とか、お願い、できませんか?」

 

恥ずかしがりながらも、涙目の上目使いでそんなこと言われたら返事は決まったようなものだ。

 

「機会があったら是非、当たるとしたら決勝だろうけど、その時はお互い頑張ろう」

 

「は、はい!」

 

と、ここでようやくみんなが復活した。

 

「ちょ!ちょっと待って!あんたさっきと態度変わりすぎだし!杏仁君はうちらのコーチだし!御指導とかダメだし!」

 

「な!?なんでよ!そ、それにあ、杏仁君、とか、馴れ馴れしすぎじゃない?もっと敬意を払いなさいよ!」

 

「名前呼んで赤くなってんじゃないわよ!うぶか!」

 

「は、はぁー?う、うぶじゃないわよ!」

 

「ふ、二人とも、お店だからシー!シー!」

 

西住さんが懸命に止めようとするも二人が止まる気配はない。さっきまでとはうって変わって武部さんが逸見さんを攻めるターンのようだ。逸見さん顔赤くなってて可愛い。

ふと、気になって西住まほさんを見てみたら、二人の間でおろおろしてる西住さんを見てホッコリしてた。シスコンかな?

 

「杏仁君~」

 

西住からヘルプが来たので止めましょう、止めますとも!だって小動物感すごいんだもん。

ちなみに五十鈴さんは二人を見てニコニコしながらアラアラ言ってただけで、秋山さんは騒がしいのが楽しいのかすごい幸せそうな顔してフワフワしてた。冷泉さんは言うに及ばず、ちなみに今4個目。

 

「まぁまぁ、二人とも落ち着いて……」

 

 

 

 

 

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あの後、なんとか二人を落ち着かせることができた。

逸見さんと西住まほさんとはお互いに連絡先を交換した。逸見さんが「き、聞きたいこととか、あったら、……連絡してもいいですか?」って上目使いで聞いてきたのはクリティカルヒットした。

西住まほさんの方は表向きの理由は、戦車道について相談をしたいから、しかし、実際は違う。俺にはわかる、だって「……戦車道のことだけでは疲れるかもしれない、世間話もたまにはいいと思う。……例えば、学校でのみほの様子とか、戦車道をしている時のみほの様子とか、……etc.」隠すの下手すぎかよ可愛いな。

 

「ぶー」

 

「よくわからんけどごめんね?」

 

「おやおや、ようやく愚弟にも春が来たのかなぁ?」

 

連絡先交換したら武部さんが拗ねたのは予想外だった。

みんな微笑ましい目で見てるけどどうすりゃいいかわかんなくて困ってしまった。

 

「武部殿ー、杏仁殿が困ってしまってますよぉ?」

 

「ふふふ、自称恋愛の達人の武部さんも、拗ねることがあるんですねぇ」

 

五十鈴さん結構武部さんのことバカにするの好きだよね?

 

「さおり!あんまり杏仁さんに迷惑かけるな!」

 

「まこはケーキ奢ってもらったからって態度変わりすぎだし!黒森峰の副隊長か!」

 

男気見せてケーキ代全額出したら冷泉さんになつかれた。バイト代が一瞬で溶けたけど後悔はしていない。

 

「しかし、いちゃつくのもほどほどにしてね~。コーチとしてサンダース戦に向けてしっかり仕事してもらわなきゃだしさ」

 

「へいへい、まぁ、帰っていろいろ調べてみるよ」

 

さぁて、いい思いもしたし、仕事しますか。

JKの悲しむ顔も見たくないし。

 

 




ハンバァァァァグ

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