第49.5話
「美味しかった〜」
声を発するのと同時にココアは少し膨れた腹を擦る。
「ココアさん、お行儀が悪いですよ」
腹を擦るココアにチノが注意する。
「別に、そこまで気を張る必要性はココでは要らないぞ」
少し、神経質と言えるまでのチノの注意に、リゼは少し笑いながらもチノに言う。
「ですが...」
「チノ君、リゼの言う通りココでは余り気を張らないでリラックスをして欲しい。...それに、料理人からしたらココア君のような反応の方が、一般的に上品と言われている反応よりも嬉しいと私は思うな。」
チノの気の張り具合を見て単純に料理を楽しみきれていないと判断した手々座の言葉にチノは少しの間を開け、...解かりました。と返事をした。
しかし、気を張らず楽にして欲しいと言われたが、チノからすれば、他の人と会う時は何時もこの様な気の張り方でしか他の人と接した事が無い為、どの様に振舞えば良いのか分からなかった。
「チノちゃんは固すぎるんだよ!」
そんなチノを見兼ね、ココアがチノに声を掛けた。
「...ココアさんは緊張感が無さすぎです。」
呆れながらチノが返事をする。
「え〜?!そんな事無いよ!私だってちゃんと"トッポ"は守ってるよ!」
ートッポ?ー
その場に居た全員が全員顔を見合わせた後に首を傾げた。
場の熱が一瞬んで引いていく感覚が正一には感じ取れた。
「えっと...?何で皆んな首を傾げてるの?」
今、この不思議な空間を創り出した張本人で有るココアもワンテンポ遅れて首を傾げた。
トッポ...?英語で書くとToppo...。
....もしかして。
正一が周りを見ると、他の皆も気付いたので在ろう。複雑な顔つきになって居た。
...きっと自分も皆と同じ様な顔をしているのだろうか?正一はそう思いながらココアに確認すべく口を開く。
「ココアさん...もしかして...」
「もしかして、ココアさんが言いたいのって....」
「TPO...なんじゃないか?」
正一が言った後、チノ、リゼの順に言葉を紡いだ。
「...トッポじゃ無いの?」
「...............,」
再び周囲を沈黙が襲う。先程の沈黙のような不思議な目線がココアを襲うのでは無く、アンポンタンな事を言ったココアを憐れむ目線が、この沈黙の中でココアに襲いかかって居る。
「うそ...」
「....」
ボソッと呟くココア。それに対して正一達は何も喋らない。
「うぁぁァァァ?!恥ずかしいよぉ!!TPOってそのまま読むのぉ!?」
「ハハハハハ!!」
沈黙の後、顔を耳まで真っ赤に染めながら、ココアが叫ぶ。一瞬叫んだココアの大きな声に驚いたのか肩をビクッと震わせた手々座だったが、大きな笑い声を上げ、それに釣られる形で正一達も笑い出した。
続く