ご注文はチョットした人生のやり直し?ですか?   作:IS提督

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第38話 気になる人

第38話 気になる人

 

18:03

 

財布は持った

腕時計も付けてる

携帯電話も大丈夫

 

時間の方も少し余裕があるな…

 

そんな事を考えながらココアの部屋のドアを開ける

 

コンコンコン...ガチャ...

 

正一「それじゃぁ、私達は先に行ってますね」

 

ココア「うん!

正ちゃん 気を付けてね!」

 

正一「えぇ、ココアさんも気を付けて下さい」

 

正一「では、行ってきます」

 

ーーーーーーーーーーーー

~1階BARにて~

 

タカヒロ「お出かけかい?」

 

正一「えぇ、と言っても待ち合わせの時間はもう少し先なんですけれどね」

 

タカヒロ「なら丁度いい

少し話さないかい?

正一君とはじっくりと話す事があまり無いからね」

 

正一「えぇ、勿論良いですよ」

 

タカヒロ「そうと決まれば飲み物を用意しなければね

何が良いかな?奢るよ

と言っても今はカクテル類しか無いんだけれどもね」

 

正一「そうですね...

では、シンデレラを貰いましょうかね」

 

そう言いながら俺はカウンター席に座るのだが

 

タカヒロ「....」

 

アレ?何でタカヒロさんは口を開けながら無言になってるんだ?

 

カッコ付けてながら席に着いたけど実は超シラケてるパティーン?

 

それとも、ノンアルカクテルの代表であるシンデレラを頼んだからか...ユーモアが無いって思われてるのかな?

 

頼む!この空気になった原因は後者の理由であってくれ!!

 

前者の理由はクソ恥ずかしすぎる!!!

 

正一「あ、あぁ...ド定番過ぎましたか?」

 

タカヒロ「いや、そう言う訳では無くてね…

まさか中学生がカクテルの名前を知っているとはね...」

 

後者の理由でよかった...

 

正一「まぁ、最近の中学生ってのはマセてるんですよ」

 

タカヒロ「そう言うものなのかね…」

 

正一「えぇ」

 

タカヒロ「...そう言えば正一君はリゼ君の父親の事は覚えているかい?」

 

タカヒロはカクテルを作りながら俺に話しかけて来た

 

正一「勿論覚えて居ますよ

...それがどうかしたんですか?」

 

タカヒロ「いやね、アイツは私の古くからの馴染みでね

アイツとは今もよく会って話をするんだよ」

 

コトッ

 

そう言うとタカヒロは俺の目の前にグラスを置いた

 

タカヒロ「お待たせしました

シンデレラです」

 

正一「ありがとうございます」

 

そう言い 口を湿らせる程度に1口飲む

 

正一「それで、リゼさんの父親がどうかしたんですか?」

 

タカヒロ「彼がね 君の事を大層気に入って居てね」

 

正一「はぁ...」

 

タカヒロ「正一君の事を自分の軍に欲しいとも言っていたよ」

 

正一「軍の件に付いては丁重にお断りしたハズなんですけれどもね」

 

タカヒロ「その話も聞いたよ」

 

タカヒロ「...それでね

彼は1つ面白い話をしたんだ」

 

正一「面白い話?」

 

タカヒロ「君の事を150年前に存在した兵士と瓜二つだと

...いや その兵士その者だと言って来たんだよ」

 

正一「...」

 

タカヒロ「何か心当たりはないかい?」

 

正一「...」

 

いやいやいや?!

心当たりは無いかって?

バリバリ有りますよ!

 

えぇ!そうですよ!それは私はの事ですよ!

 

ってか どうやって調べたん?!

一応『その』情報は国家機密のハズなんだけど!?

 

おーけー、落ち着け 俺

まだ慌てる段階じゃない...

 

何で『その』情報を手々座が掴んだのかは分からないけれど

 

150年前の人間その物なんて常識的に考えて有り得ないしな

 

よし、ならば...

 

正一「...さぁ?」

 

必殺 とぼける

 

不確定で有り得ない様な事にはコレが1番有効だ

 

タカヒロ「ふむ...そうか」

 

正一「そんな非科学的な事を言う何て リゼさんの父親もお茶目ですね」

 

タカヒロ「確かに 他の人からしたら この事は非科学的だろうけれども

私からしたら ティッピーの事も有るから 不思議と納得してしまうのだよ」

 

正一「...」

 

ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーー

ーーー

ーー

 

ノーーン!!?

 

ティッピーの存在を忘れてたー!!

 

そうだよ!

普通じゃ考えれない事もティッピーの存在があるだけで ありとあらゆる事が現実味を帯びて来ちゃうじゃん!!

 

いや待て!

 

まだ落ち着け!

 

たまたま、色々な事が重なって居ただけで まだ『普通の中学生』を貫き通せるハズ!

 

正一「...さぁ それはソレ、これはコレですよ

何たって 私は『普通の中学生』なんですから」

 

タカヒロ「果たして本当に普通の中学生なのだろうか

私は そうは思えないのだがね…」

 

正一「...何を仰りたいのか解りかねますが...」

 

アレ?

煙にまこうとしたのに 何か余計不穏な空気になっちゃった?

 

タカヒロ「...これを見て欲しいのだけれども」

 

そう言うとタカヒロは1枚の紙をカウンターに置く

 

タカヒロ「コレは正一君達がリゼ君の家が経営する射撃場に行った時の 君のデータだよ」

 

正一「...」

 

タカヒロ「ココを見て欲しい」

 

そう言うと同時にタカヒロは紙のある1部に指を指した

 

タカヒロ「総合評価『s+』コレはどう言う意味の評価か分かるかい?」

 

正一「...分からないですね」

 

タカヒロ「s+ は軍隊の中でもトップクラスの射撃精度があると言う事だよ

誰よりも銃器に触れ 誰よりも戦場を歩いた人間でさえここまでの評価を出すのは難しい」

 

正一「戦場...」

 

タカヒロ「私も久しぶりに こんな評価を見たよ」

 

正一「...」

 

タカヒロ「本当に君は何者なんだい?」

 

はぁ...もう...

何故にリゼの親父にしろ タカヒロにしろ俺の過去や正体について知りたがるんだ?

 

もし仮に本当に俺の正体を知ったら何をするんだよ?...

 

そこも含めて聞いて見るか...

 

正一「...では、もしも仮に」

 

タカヒロ「ん?」

 

正一「もしも仮に 百歩譲って私が リゼさんの父親が言う 150年前に存在した兵士だとしましょう」

 

タカヒロ「...」

 

不意にタカヒロが俺から目線を外した

 

正一「もしも仮に そうだとして、タカヒロさん達は私の過去を知ってどうする気ですか?」

 

タカヒロ「それは...」

 

正一「危険人物だと見なして私を殺しますか?」

 

俺がそう言うと更にタカヒロの目が泳ぐ

 

正一「...さっきから何処を見ているんですか?

私の目を見て答えて下さい」

 

タカヒロ「いや、それは...」

 

正一「俺の目を見て答えろ」

 

そう言うとタカヒロは覚悟を決めたのか 俺に目を合わせてからゆっくりと口を開いた

 

タカヒロ「それはn...」

 

ガタッ!!

 

タカヒロ「?!」

 

タカヒロが口を開いた直後

緊迫した空気の中に不意に物音がした

 

その正体を探るべく俺とタカヒロは反射的に音源へ目を向ける

 

タカヒロ「チノ!?

親父!?」

 

チノ「お父さん...

一体何のお話をしていたんですか?」

 

正一「...」

 

タカヒロ「あ、いや、これはだな…」

 

チノ「し、正一さんを殺すってどう言う事ですか?!」

 

タカヒロ「そ、そういうことではなくてだな…」

 

チノ「~〜~〜~!!」

 

タカヒロ「~〜~〜~〜...」

 

...取り敢えず一旦、チノとタカヒロの言い争いを止めないと話が進まないな

 

正一「...親か女か仁義をとるか、仁義抱きましょ男の世界」

 

タカヒロ「?」

 

チノ「?」

 

正一「...昔 流行った映画の名言ですよ」

 

正一「BARで酒を飲む時は陽気な話は似合わない

...ですよね マスター?」

 

俺はそう言うとタカヒロに向かって僅かだがアイコンタクトを向ける

 

タカヒロもそのアイコンタクトを受け取ったのか 微かにではあるが返答を返す

 

タカヒロ「あぁ...そうだね」

 

正一「だから私とマスターでシリアスな展開のある映画を再現して居たんですよ」

 

チノ「...その映画の名前はなんですか?」

 

正一「...『過去の貴方は仁義に乾杯』

って言うc級映画ですよ」

 

正一「と言っても その映画に出てくる名言も 元は色々なA級映画の名言を丸パクリしてるんですけれどもね」

 

チノ「...」

 

正一「まぁチノちゃんも そんな辛気臭い顔しないで下さいよ

 

どうです?チノちゃんも少し飲みません?

あぁ、勿論ノンアルコールですけれどもね」

 

チノ「...では 少し頂きます」

 

そう言いチノは俺の席の隣に座った

 

俺は席に着いたチノに自分のカクテルを渡す

 

正一「にしても、そんなに私達の演技に迫力が合ったとは...

驚きですね マスター」

 

タカヒロ「あぁ、コレなら映画に出演出来るかもしれないね」

 

正一「えぇ、コレなら最優秀賞も授与させそうですね」

 

...流石に、無理...有るよね?

ってか 絶対に有るよね?!

 

チノ「...今度 映画のオーディションに行ってみてはどうでしょうか?」

 

ウェーイ!!

マジか! マジですか!!

 

流石に無理ある展開でしょ!?

 

幾ら何でも...ねぇ…

 

まぁ、いいや

取り敢えず チノやタカヒロに疑われて居る状況じゃ ココには長居は無用だな

 

そう考えると同時に 俺は腕時計を確認する動作を入れる

 

正一「...っと マスター」

 

タカヒロ「ん?」

 

正一「そろそろ私達は 時間なのでコレで...」

 

タカヒロ「もうそんな時間か...

正一君もチノも気を付けて行って来るんですよ」

 

正一「えぇ、それでは」

 

チノ「行って来ます」

 

タカヒロ「あぁ、気を付けて」

 

正一「...」

 

ガチャ...バタン

 

 

ーーーーーーーーーーーー

タカヒロ視点↓

ーーーーーーーーーーーー

ガチャ...バタン

 

タカヒロ「フゥ...」

 

タカヒロ「ウッ!」

 

タカヒロ「~〜っ!~〜~っっ!!」

 

タカヒロ「ハァ...ハァ...ハァ...」

 

彼は一体何なんだ?!

 

アイツが言って居たように目が恐ろしかった...

 

ただ 恐ろしい訳では無い

 

恐ろしい目をしていたと言っても一般人でも解る目では無い

 

...一般人でも解る目と言うものは例えるなら『殺人鬼』

 

しかし、彼の目はその様な目では無い

 

ではどの様な目かと言うと...『無』

 

彼の目は人間を見るような目をしていなかった...

 

...いや、彼の目には"何も写って無い"

 

もし仮に写って居たとするならば

それは只の的だろう...

 

もしも、仮に俺が現役軍人だったのなら あまりの恐ろしさ故に 彼を即座に撃ち殺して居ただろう...

 

あの様な危険人物が表を歩いているとは....

 

世も末だな…


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