お正月企画三題噺シリーズ   作:ルシエド

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お題:『ルシエド』『お尻』『君の名は』
原作:君の名は。、この素晴らしい世界に祝福を!、金色のガッシュ!!、ワイルドアームズ2

 金色のガッシュベルとこのすばのめぐみ'sのケツが入れ替わるだけのヤマもオチもないお話です。


第九回:尻の名は。

 かつてガッシュ・ベルと共に戦った少女、大海恵はここ数日の奇妙な現象で、ある一つの事実に気が付いていた。

 冒険者サトウカズマの仲間の一人、めぐみんはここ数日の奇妙な現象から、聡明な頭脳によってある一つの事実に気が付いていた。

 

「これってもしかして」

「これってもしかして」

 

「私のお尻が」

「私のケツが」

 

「「 入れ替わってるー!? 」」

 

 自分の尻が、見知らぬ誰かのものと入れ替わっていることに。

 

 

 

 

 

 とりあえず大海恵は、マネージャーと近場のコンビニの店長に頼み、人払いをしてからケツに付いていたバーコードをコンビニのレジで読み込んで見ることにした。

 相当に頭が煮えた行動だ。彼女がどのくらいテンパっているのかが見て取れる。

 だが、大正解だった。

 

「うわっ、めっちゃ長文出て来る……」

 

 コンビニのレジでめぐみんのケツに付いているバーコードを読み取ると個人情報が全て開示される。これってトリビアになりませんか?

 

「めぐみん……わっ、変な名前」

 

 毎日起きている間六時間前後、ケツが見知らぬ誰かのものと入れ替わっている。

 何という恐怖か。クトゥルフ神話より怖い。ケツァトゥグァ降臨以上の恐怖だ。

 男と入れ替わっていたら更に恐怖は増していただろうが、入れ替わった相手が女の子だったということで、恵もちょっと一安心。

 

「これは……尋常な事件じゃないわ!」

 

 恵はこの異常事態に、冷静な判断力を放棄した。

 ウンコティンティンと言わされるだけで死ぬほど追い詰められた清純派のアイドルが、こんな逃れようもない下ネタ災害に精神的耐性があるわけがない。

 ケツの等価交換などもってのほかだ。

 

「もうちょっとでケツが入れ替わる時間……そうだわ!」

 

 そして恵は、コンビニにあった商品を買い取り、煮えた頭で現状の情報を出来る限り記したメモをケツに貼った。

 白いケツが、まるでホワイトボードのようだった。

 

 

 

 

 

 ホワイトボードになっためぐみんのケツが本人の下に帰還する。

 

「いやもう本当になんなんでしょうかこれ。ケツが爆裂する以上にありえないですよこれ」

 

 めぐみんはケツに貼られたメモから情報を得る。

 足りない情報も多かったが、そこは紅魔族特有の高い知力での推測で埋め、大海恵以上に正確にこの現状を理解していた。

 

(とりあえず、害は無さそうですね)

 

 そう判断し、放置を決め込んで数日が経過。

 異世界の年が近い同性とのガールズトークはそこそこ楽しかったが、こうも元に戻る気配が無いと少し不安になってくる。

 

 もしや一生ケツを交換しながら行きていかなければならないのか。

 他のギャグキャラならいい。

 サトウケツマさんでも、ケツルギキョウヤさんでも、笑い話にはなる。

 しかし正統派美少女である自分にそんなニッチな属性が付いていいものなのか。

 それは世界の損失ではないのか。

 そんな思考がぐるぐると脳内を巡ってしまう。

 

(仲間に相談……)

 

 仲間に頼るべきか、そう考えるめぐみん。

 

(いえ、そんなことしたらあのクズマのことです。

 "え? お前紅魔族から肛魔族になったの?"くらいは言われそうですね……)

 

 だが仲間への信頼度のあまりの低さに、その選択肢を投げ捨ててしまう。

 

(ケツがこうなった直前、感じた大きな力。

 魔力というには何か違くて、神の力と言うには神聖さが足りない……

 けれど、神と言われれば信じざるをえない規模の力。あれは、一体)

 

 あれが黒幕の力だったのかもしれない、とめぐみんは推測する。

 オーソドックスな話だが、この手の呪いは術者を倒せば解除される。

 ならば黒幕を探し出し、一刻も早く倒すのが先決だ。

 敵がどれだけ強くても、先生で爆裂魔法を当てれば倒せるという自身が、彼女にはあった。

 

 仲間を盾に使ってきても、生きているなら神様だって殺してみせる。

 それがめぐみん。ゾフィスみたいなカス爆発とは違うのだ。

 

(背に腹は……背にケツは代えられません。ゆんゆんも誘って、他の方にも助力を……)

 

 今の仲間に発覚する前に、ケツを取り戻さなければならない。

 

 そう奮起して、めぐみんが屋敷の外に出ようとした、まさにその瞬間。

 

「セイクリッド・ブレイクスペル!」

 

 アクアの解呪呪文が、力任せに『ケツ交換の呪術式』を吹き飛ばした。

 

「え?」

 

「安心してめぐみん! なんかよく分かんない呪いがかかってたから、吹っ飛ばしておいたわ!」

 

「……」

 

「多分魔王軍が私の力を恐れて、めぐみんを操る呪いをかけてたんだと思うの!

 でもね、私のこのくもりなきまなこからは隠れられないってわけよ!

 あ、お礼はたっかーいお酒でいいわよ? 今日の晩御飯の時、楽しみにしてるからね!」

 

 そう言って、世界一神聖で世界一不思議なパワーが有るチンパンジーは、自室に向かって走り抜けていった。

 

「……力だけ見れば、神様とかそういうのの類にも見えるんですけどねえ……」

 

 この順序立てない、無茶苦茶でお約束破りな結末が自分達らしいのかもしれない、だなんて苦笑するめぐみんは思ってしまう。

 

 自分達のケツが交換される(まじな)いがどこからかけられたのか、誰がかけたのか、それは少しだけ気になったが……今は考えなくてもいいことだと、彼女はそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あらルシエド、また外界か平行世界に何かして遊んでたの?」

 

「あんた何も考えずに適当にやると大体酷いんだから、考えてから行動しなさい」

 

「ほら、行きましょう」

 

「私達が待ってた最後の剣の英雄が……

 アシュレー・ウィンチェスターが、そろそろ来るかもしれないんだから」

 

 

 

 

 

 

 




 バーコードバトラーにおいて限定条件下で最強の存在と化すめぐみん

『ルシエド』→黒幕
『お尻』→ギミック
『君の名は』→ギミック

 CMキャッチコピーは「全国を包み込んだ感動」じゃあれですし「全国を包み込んだケツ」とかそういう感じで

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