インフィニット・ストラトス 迫害されし者達   作:NO!

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第8話

「では、授業を始める前に……その前に私は織斑千冬、このクラスを受け持ち、教鞭を執る教師だ――判らない所があったら教えてやる」

 

 あれから少し経った後、クラスの担任である千冬がクラスの生徒達に言う。千冬の言葉に一夏とマイクを除いた女子生徒達は少し喜び、大半以上は困惑していた。

 何故なら、彼女達は教鞭を執るのが、憧れていた人、織斑千冬であるのと、その千冬に教えられるのは喜びしかなかった。

 逆に大半の女子生徒達が困惑しているのは、彼女達は少し前、一夏と刀奈の関係を気にしていた――それはどういう関係か――それとも、恋愛関係かを気にしていた。

 彼女達には判らない――否、彼女達は判らないだろう――それを知るのは本人達であり、本人達から訊けば良いだろう。が、そんな二人を、刀奈ではなく一夏の事を気にしている女子生徒が居た。

 一番前の窓側に座っている女子生徒である。彼女は寂しそうに一夏を見つめるが「一夏……」と呟いた後、直ぐに目を逸らした。

 

「私の自己紹介はこれでいいだろうがクラス代表の事も教えなければならない」

 

 千冬は更に言葉を述べる。この教室には教鞭者の千冬と真耶、生徒でもある一夏や女子生徒達は驚きと困惑の表情を浮かべ、マイクは無言で千冬を見ていた。

 クラス代表……その前に、この学園では他の学校とは違い、入学式の後に授業があった。が、千冬の『クラス代表』と言う言葉に生徒達は驚いていた。

 それは、このクラスの中から一人、代表者を選び、選ばれた者は行事や学事に参加しなければならなかった――言わばクラスの責任者でもあり、学級委員長の様な物だった。

 千冬の言葉に生徒達は困惑する中、千冬は「静まれ!」と一喝して黙らせる。女子生徒はビクッと震えるが千冬は気にもせずに言葉を続ける。

 

「クラス代表の選び方だがお前達に任せる――と言ってもお前達が誰か一人推薦すれば良い、勿論、推薦された者達は辞退出来ない」

「はい、私は織斑君を立候補します!」

「私はクライバー君よ!」

 

 千冬の言葉を皮切りに、女子達の半分は手を上げて立候補し始める。それは一夏とマイクの二人だけであった。

 と言っても、 彼女等が二人を推薦する理由としては、二人が珍しいのと、二人の実力が如何なる物なのかを気にもしていた。

 片や好奇心と、片や敵意を向ける様な行動でもあったが単に、彼等の実力と、やりたくないだけの我儘なのかもしれない。

周りが自分達を立候補していく中、当の本人達である一夏は困惑し、マイクは冷静なのか落ち着いていた。

  この二人は相棒同士なのだが片や困惑、片や冷静と言った、何ともバランスがアンバランスかは判断出来ない。

 ――納得出来ませぬわ!? ――。刹那、一人の女子生徒が名乗りを上げ、周りがその生徒を見た。

 美しくも、腰まで伸びる長い金色の髪に青いカチューシャを付け、紺碧色の瞳に白く透き通った様な肌にドレスを模した様な制服を着ている外国の女子生徒。

 しかし、彼女の表情は険しく、瞳には怒りが籠っている。

 

「何故、私が男の下で働かなければならないですの!?」

 

 少女は怒りを露わにする。理由としては彼女はISが誕生し、それが原因で女尊男卑と言う愚かな風潮が生まれ、その風潮に染まっていたのだ。

 が、少女が怒りを露わにしているのはそれが理由であるのと、男である一夏とマイクがクラス代表である事が気に入らないのである。

 逆に一夏は少女の言葉に首を傾げ、マイクは少女を無言で見ていたが少女は言葉を続ける。

 

「それにクラス代表になるのは力があり、智勇に富み、専用機を与えられた者の身がなれる物! それを只の男だけと言う人になって欲しくありません! クラス代表になるのなら、このセシリア・オルコット、私しかおりませんわ!」

 

 少女――セシリアは高らかに宣言する。その言葉には彼女自身の絶対的な自信が見てとれる。

 が、逆にまた、彼女を一夏は哀れみの目で見つめ、マイクは目を細めて見ており、女子生徒達は片や疑いと、片やセシリアの言葉に賛同している者達もいた。

 しかし、第三者でもあり、教師でもある千冬は険しい表情を浮かべながら腕を組み、真耶は少し困惑していた。

 誰も言わない中、一夏はセシリアに訊ねる。

 

「ねぇ、オルコット……さんは、クラス代表になりたいの?」

「当たり前ですわ! 大体ISは女性にか扱えませんわ! それを男である貴方方が扱う等気に入りません! それに私は学びに来たのです! 遊びに来たのではありませんわ!?」

 

 セシリアはそう指摘した。が、その発言は正論にも近いが一部、差別用語な発言もあった。

 ――男である貴方方が扱う等気に入りません! ――。その言葉は男性を侮辱し、迫害にも近い。その言葉を聞いた一夏は少し不快な思いをし、それが全ての男性を侮辱した様にも思えた。

 それにISを作っているのは女性だけでなく、男性もそうだ。整備とかは設計とかは男性達も関わっているのだ。

 それなのに彼女は、セシリアはそれを知らないでいる事に怒りが沸いて来る。一夏は反論しょうとした刹那、マイクが不意に呟いた。

 ――貴様はISは女性にか扱えない、と思っているのか? ――。

 

「はっ? 何ですの?」

 

 セシリアはマイクに訊ねるが、マイクはセシリアとは顔を合わせず、背を向けたまま座っていた。

 が、マイクは静かに怒っており、そして言葉を返す。

 

「オルコット、貴様は一つ勘違いをしている」

「は、勘違いですの?」

「オルコット、ISは女性だけしか扱えないだと? 否、それは違うな? それはもう過去の話しだ――それに今は俺と一夏は男性――それに此所はIS学園――本来は女子校だが俺達がいる時点でもう違う――ここはもう、女子校ではない……それにISを作ったのは女性だが男性だって関わっている」

 

 マイクの言葉にセシリアは何故か不貞腐れてた。否、彼女はマイクの言葉に反論しょうとしたがマイクの言葉は正論にも近かった。それだけではなく、マイクはセシリアに指摘した。

 

「オルコット、貴様の発言は男性を侮辱している――名誉毀損にも近く、訴えられたらお前は立場を悪くするだけだ……まあ、お前の事だから気にもしないだろうな――それに周りを見ろ」

 

 マイクの言葉にセシリアは「周りですの?」と言った後、周りを見た。せしりあは瞠目した。周りにいる女子、即ちクラスの大半がセシリアに怒りを露にしている。

 大半の女子は女尊男卑に染まってはいないのと、男性を侮辱した様な発言とも言える事を口にしたセシリアに怒っていた。彼女達はISを作っているのは女性だけでなく男性も関わっている。

 彼女達はそれを理解したがセシリアは少したじろいだ。そして、そんなセシリアにとどめを刺す様な発言をマイクはした。

 

「オルコット、言葉は凶器だ――一度口にしたら取り戻せないのと、撤回も出来ない――それだけは覚えとけ」

 

 マイクはそう言うと俯いた――が、セシリアはマイクの言葉に肩を震わせると、そしてこう言った。

 

「け、決闘ですわ!! よくも私に恥をかかせましたわね! 貴方方に引導を渡してやりますわよ!!」

 

 セシリアは高らかに宣言した。それは単なる八つ当たりにも近かった。が、セシリアの言葉に一夏は「えっ俺も?」と驚き、マイクは無言でセシリアに背を向けたまま何も言わなかった。

 しかし、それを聞いた千冬は呆れを通り越して、更に呆れたが仕方なく溜め息を吐いた。誰が悪いのかは判らないが大抵はセシリアとマイクであり、一夏は蚊帳の外であるが巻き込まれたに過ぎない。

 そしてクラス代表の件もあり、千冬はその事も訊いた。

 

「他に自分を推薦する者はいないか?」

 

 千冬は静かに訊ねた。が、誰も訊ねなかった――一分経っても誰もいなかった。

 これには千冬も頭を抱えたが千冬はある事を考える。

 もしかしたら一夏、マイク、セシリア――この三人による日本、ドイツ、イギリスの三つ巴戦争になるかも知れない。

 が、それは仕方ないとして片付けるしか無いが千冬は高らかに宣言した。

 

 

 

 

 ――ではこうしょう! 織斑、クライバー、オルコットによるクラス代表戦を行う!! ――と。

 

 

 

 

 

 




 次回、一夏と千冬、放課後でのほんの一時の、三年ぶりの姉弟とのやり取り。

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