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それでは今回もよろしくお願いします。
「海未ちゃん、大丈夫?」
「ええ……」
気遣いの言葉をかけてくれることりに何とか笑顔を返し、飛び立っていく飛行機に目を向ける。
飛行機に乗るのは割と楽しみなのですが、やはり不安はあります。やはりもう一度八幡に電話を……いえ、いけません園田海未。最近、彼への甘えが度を超えている気がします。あんなに励ましてもらったではありませんか。
それに……帰ったら、彼との遊園地や水族館やフルマラソンが待っています!
おっといけない。つい頬が緩んでしまいましたね。
「…………!?」
不意に視線を感じ、振り向く。
だが行き交う人波の中にそれらしい人影は見当たりませんでした。
ラブライブ優勝の影響もあり、街で声をかけられる事も増えましたから、その所為かもしれません。ステージの上での注目はクセになってしまいましたが、それ以外では慣れないですね。
私は意識を遠い異国の地に向けた。
「あ、危ねえ……」
「間一髪だったな、さすがは我が娘……」
「いや、見すぎですから……」
「し、仕方ないだろう……私服姿の海未は可愛いだろう?な?」
「……それはそうですけど」
俺と海未の父親は、柱の陰で安堵の息を漏らす。たまに向けられる冷たい眼差しはきっと気のせいだろう。
別に俺達は見送りに来たわけではない。
その証拠に、隣には二つの大きなスーツケース。
そう、俺達は今からアメリカに行く……。
事の発端は、先日の海未の父親からの電話だ。
「比企谷君、アメリカに行かないか?」
「はい?」
「アメリカに行かないか?」
「いや、行きませんけど……」
「ま、待ってくれ。話を聞いてくれ。君も心配だろう?海未がアメリカに行くなんて……」
「…………」
心配じゃないといえば嘘になる。なんならついて行ってやりたいくらいだ。
「そうだろう?ついて行きたいだろう!?」
「いや、心読まないでくださいよ……」
「安心してくれ。二人分のチケットは既に手配してある」
「安心する要素が見当たらないんですけど……つーか、奥さんと行けばいいんじゃないですか?」
「ふむ……妻には反対されたのだ。過保護すぎると……」
「はあ……」
まあ、当然だろう。海未自身も反対するだろう。
「……今回は諦めた方が……」
「比企谷君」
「?」
「海未と見るニューヨークの夜景は……綺麗だろうなぁ」
「…………」
俺は決して下心でここまで来たんじゃない。そう、全てはμ'sの……海未の安心安全な旅を願っての事で……。
「ほな二人共、見つからんようにね♪」
「「…………」」
こうして、九人+二人の賑やかな旅が始まりを告げた。
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