捻くれた少年と真っ直ぐな少女   作:ローリング・ビートル

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第85話

 

「海未ちゃん」

「はい?」

 一人でストレッチをしていると、ニヤニヤした希が隣に腰かけてきました。私は直感で答えづらい事を聞かれると思いましたが、ひとまずストレッチを続けました。

「海未ちゃん、最近……えっちぃよね」

「っ!?」

 さすがにそのような事を言われるとは思ってもみなかったので、咽せてしまいました。

「けほっ、けほっ、な、な、何を……?」

「最近、ストレッチひとつとっても、艶めかしいというかね……うん」

「一人で納得しないでください!」

「それに最近お胸の方も……」

「ひゃあっ!」

 いきなり胸を鷲掴みにされてしまいました。

「…………将来に期待やね」

「その不自然な間はなんですか!」

「まあ、それはおいといて♪」

 重大な話の気がするのですが、まあいいでしょう。八幡だって、本音では慎ましい胸の方が好きなはずです……多分。

「比企谷君とはどこまで進んだん?」

「気になるにゃ~!」

「り、凛まで!そんなこと言えるわけが……」

「「じぃ~~~~~」」

 二人はやたら至近距離で見つめてきます。

 しかし、そんなことで動じる私ではありません。

 それに、進んだと言われましても……

『私は……貴方のものです』

『今日はたくさん、したいです』

『ずっと……大事にしてくださいね』

「あわわわわわわわ……」

「海未ちゃん?」

「どうしたん?」

 今さらながら、私はなんと大胆なことを……こ、これでは八幡ではなく、私が破廉恥になってしまうではないですか!

「海未ちゃん、どうしたん?」

「なんでいきなり腕立て伏せを始めるの!?」

「べ、べ、別に何でもありません!さあ、希も凛もやるのです!500回!!」

「ご、500……」

「いきなり理不尽だにゃ~~!!」

「いいからやるのです!でないと私は……私は……」

「海未ちゃん、海未ちゃん」

「何ですか!?」

「電話きとるよ?愛しの彼から」

「え?」

「じゃあ、凛が出て驚かせよ~っと!」

「っ!」

「わっ!」

「速いにゃ!動きが見えなかったにゃ……」

「も、もしもし、八幡?今、練習中ですので……え?頑張れって言いたかった?もう……ふふっ……そ、そのぐらいのことで……え、好き?もう……馬鹿ですね。ふふっ」

「「…………」」

「もう切る?あと少し……いえ、何でもありません。八幡も部活頑張ってください……大好き……え?何でもありません。それでは」

「「…………」」

「さて、二人共。ダンスの練習を始めましょう!さあ、一刻もはやく!!」

「「お、おー……」」

 あれ?そういえば何の話をしていたのでしょう?

 いえ、今はラブライブに集中しなければいけませんね。

 私はポカンとしている二人を急かして、全体練習に加わった。





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