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それでは今回もよろしくお願いします。
「あわわわわ……」
ここ最近の自分の行動を思い出して、思わず震えてしまう。周りに誰かいたら、自分の精神状態を心配されている事でしょう。
改めて思い返すと、夢の中にいたのかと思える……私とした事が……立て続けになんて破廉恥な真似を……。
いけません。もっと自分を戒めないと。
しかし、そんなことを考えながらも、鏡に映った自分の顔はニヤニヤと笑っているのだから、自戒も反省も何もあったものではない。
「ふぅ……今日は練習に行く前に道場で精神統一でも……あれ?八幡からメールが……」
珍しく彼の方からメールが来ていたので、慌てて開くと、短い文が表示された。
『応援してる』
その日の練習。
「♪~~~」
「海未ちゃん、機嫌良さそうやね」
「はい!もちろんです!」
あのメールのお陰で、自然と力が漲ります。
「まあ、彼氏ともラブラブみたいだしね~」
「に、にこ!からかわないでください!」
ニヤニヤしているにこに言い返すと、絵里がいつもの大人びた笑みを向けてきた。
「まあ、でも浮かれすぎは禁物よ、海未。今から節度ある付き合いを心がけていかないと、再来年は浪人生になってるかもしれないわよ」
「た、確かに……」
さすがは絵里です。後輩の将来の事までしっかり考えてくれるなんて……やはりこういうストイックな人間こそが仕事と恋愛をしっかりと両立させられるのでしょう。私も見習わねばなりませんね。
「エリチ……」
「チカ」
何故か希が絵里の肩を残念そうな顔で叩くのを見ていると、真姫が譜面を持ってこちらまで来た。
「海未。ラブソングの歌詞の方はどう?」
先日、μ’s初のラブソングを制作する事になり、私は歌詞を幾つか書きました。以前の私なら恥ずかしさで一行も書けなかったでしょうが、今回はやけにすらすらと言葉を紡ぐ事ができました。
「もちろん出来てますよ」
「え、ほんと!?見せて見せて!!」
「まだこれから歌に合わせて削ったりしなければならないのですが……」
「どれどれ……」
真っ先に声を上げたのは花陽でした。
「わあ……」
「すっごくいい!すっごくいいよ、海未ちゃん!」
「衣装のイメージが湧いてきた!」
「そ、そうですか?」
「いい歌詞やね」
皆からの好評価にほっと胸を撫で下ろす。そこで、別のページに書いてあるものを思い出しました。
「ありがとうございます……もう一つあるんですよ?」
「嘘っ!?アンタすごいじゃない!!」
「見たいにゃ~!」
「どんな歌詞だろう?楽しみだなぁ……」
皆の反応に、ついつい得意気になってしまいます。私も少しだけ目立ちたがり屋になったのかもしれません。
「こっちはこのままでもいけます!後は真姫が曲をつけるだけです」
「へえ、じゃあ見せてもらおうじゃない」
「皆、集まって~!」
『あっま……』
何故か皆、胸を押さえて蹲っています。
「な、何、これ……」
「胸焼けするくらい甘々な言葉しか入ってないわね……」
「てゆーか、これ……彼氏宛のラブレターじゃない」
「こんなの、認められないわ……チカ……」
こうして『cutie,lovely,dearly』はお蔵入りとなった。
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