それでは今回もよろしくお願いします。
ハロウィンイベント翌日の朝。
祝日の為、月曜日が休みになるという素晴らしい幸運。この素晴らしい休日に祝福を!と言わんばかりの気分で、俺は二度寝をする…………つもりだった。
「…………」
「すぅ……すぅ……」
目の前に自分の恋人の寝顔が現れる前までは……。
「……う、海未?」
「すぅ……すぅ……」
小さく呼びかけてみるが、海未は規則正しい寝息を立てるだけで、起きる気配はない。
ジャージ姿で無防備に眠る彼女。
上着からは少しだけ浅い胸の谷間が覗いている。
長い睫毛も、陶器のように滑らかで新雪のように白い肌も、薄紅色の形のいい唇も、見ているだけで胸が高鳴る。
いや、別に変な事を考えているわけじゃないよ?ハチマン、ウソ、ツカナイ。
でも……だからこそだ。
だからこそ、何もしないというのは失礼じゃなかろうか?無防備に眠っている彼女に申し訳ないんじゃなかろうか?
今、俺の胸の中で約1480人くらいが『行け!』と言った気がする。
……よし、GO AHEAD!
俺は意を決して海未の方へ……
「おはようございます」
海未は片目を開き、人差し指を俺の唇に当てた。
「…………」
「まったく、貴方は朝から破廉恥な人ですね」
「……何の話でしょうか?っ……」
海未に唇を塞がれ、先の言葉は継げなくなる。
互いの感触を確かめ合うように動いてから離れ、そこには温もりが残る。
ぼんやりした朝焼けを受け止めるカーテンに目をやった後、彼女を見つめると、ぱっちりした瞳が優しくこちらを見据えていた。
「もう少し……一緒に眠っていたいですね」
「……てか、いつからいたんだ?」
「秘密ですよ」
「そうか」
「ふふっ、それより寒いです。こっちに来てくっついてください」
「……破廉恥なのは禁止じゃないのか?」
「これは違います。純粋に暖をとりたいだけです。出来れば貴方の温もりで」
「暖をとってる間に変な気分になるかもな」
「かもしれませんね。それは私も一緒です」
「そうなったら、どうするんだ?」
「その時は貴方が責任をとってくれるのでしょう?」
「……どうだろうな」
「拒否権があるとでも?」
「……きっと、ないんだろうな。まあ、あれだ……善処する」
「どのように?」
「……結婚する」
「ふふっ、それはとても素敵ですね。貴方となら……」
「…………」
「もう、自分から言って照れないでください」
「ああ。そういや、髪……綺麗、だな」
「い、いきなりどうしたのですか?」
「なんつーか、初めて会った時から……綺麗だと思ってた……」
「もう……からかっているのですか?」
「……いや、違う。ちょっといいか?」
海未の髪をさらさらと優しく撫でる。彼女は微笑みと共に目を細め、その緩慢な動きを受け入れてくれていた。そして、仕返しと言わんばかりに、俺の髪を優しく撫でてくる。
そんな風に二人してじゃれ合いながら、取り留めのない会話をしている内に陽は昇りきり、昼に近い時間になってしまった。
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