捻くれた少年と真っ直ぐな少女   作:ローリング・ビートル

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第70話

 

「あ、来た!こっちこっち~!」

 海未と一緒にファミレスまで行くと、μ’sメンバーと3人組が既に飲み物片手に談笑していた。今、手を振ってきたのは、3人組の中のショートカットだ。

「じゃあ、俺はここで……」

「逃がしませんよ」

 首筋をガシッと掴まれる。こいつの握力は徐々に強くなってきていて、そろそろスネークバイトを習得するんじゃなかろうか。

「いや、ほら……女子だけの方が話しやすいし?俺、邪魔する気はないんで……」

「お待たせしました」

 海未は俺の言う事など意にも介さず、空いてる場所に座り、隣に俺を座らせる。

 俺がいるテーブルに同じ学年と思われる女子達が集まり、それ以外は背後のテーブルに集まっていた。絢瀬さんは何故か突っ伏していた。

 まず話しかけてきたのは高坂さんだ。

「海未ちゃん、比企谷君。大丈夫だった?」

「ええ、何とか」

「よかった。お母さん、許してくれたんだ」

 南さんもほっと胸を撫で下ろす。本当に心配してくれていたようだ。

「比企谷君も千葉から来て頑張ったもんね。ボッチなのに」

「そうだよ。ボッチなのに勇気を出して」

「ボッチだけど頑張った!」

「ああ、ボッチだけど頑張ったよ。お前ら後で話がある」

 こいつら、ほぼ初対面なのに何で知ってんだよ。

「まさかあそこでキスするとは思わんかったね」

「だ、大胆にゃ~」

「あうぅ……」

「ま、海未はしばらく質問攻めでしょうね」

「当たり前よ!もう……このスーパーアイドルにこを差し置いて……」

「絵里……元気をだして。絵里……元気をだして。あなたはまだやれるわ。あなたはかしこい、可愛い、エリーチカなのよ」

 全員の言葉を聞き、俺と海未は萎縮してしまう。

 申し訳ないやら照れるやら、とにかく色んな感情が混ざりすぎて、言葉が見つからない。

 しかし、考えている途中で、別の声が聞こえてきた。

「あら、あなた達は……」

 振り返ると、そこには……

「ア、A-RISE!?」

 矢澤さんが真っ先に反応する。

 そう、そこにいたのは、全国のスクールアイドルの頂点に立つ3人組グループ・A-RISEだった。なんというか、立っているだけなのにオーラが違うというか

「ぴゃああ、ま、まさか、こんな所で出くわすなんて……」

 慌てるこちらとは対称的に、綺羅ツバサは優雅に微笑む。

「この前はどうも。今日はお友達も一緒みたいね。そちらの男の子は誰かの恋人?」

「はい、私のです」

「え?」

 ちょっと待て。今のやり取り、あっという間すぎてついて行けなかったぞ。

 





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