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それでは今回もよろしくお願いします。
授業を全て終えると、帰りのホームルームをぶっちぎって駅へと自転車を走らせる。頬を切る風は、少しずつ冬の気配を身に纏い、その冷たさが火照った頭の中を冷ましてくれていた。
サプライズというわけではないが、海未には連絡せずに行く事にした。別に『今から告白しに行くぜ!』みたいな事を言うのが恥ずかしい訳ではない。
まあ、学校か家に行けば会えるだろう。
「♪♪♪」
「海未ちゃん、今日すごいね……」
「練習なのに、投げキッス連発してるにゃ」
「ぐぬぬ……にこだって!にっこにっこに~♪」
「うっみうっみう~♪」
「パクられた!?」
「海未ちゃん、どんないい事があったんやろうね?」
「チカ」
「あはは……ことりちゃん。言わない方がいいのかな?」
「どうしよっか?でも、海未ちゃん可愛い♪」
「何かあったの?まあ、テンション高いのはいいけど、少し浮かれすぎじゃない?」
「べ、べ、べべ別に何もありませんよ?ふふっ」
「怪しすぎにゃ……」
「私、気になります!」
「……ま、まあ、そうですね……大事なチームメイトに秘密を作るのも、アレですし……実は……」
「「「「えぇ~~~~!!」」」」
にこと花陽と凛と真姫が驚きの声を上げています。
普段の私を見ている分、そのリアクションは仕方ないかもしれません。
「いや~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!」
絵里が学校中に響き渡るような叫び声を上げています。あれ、おかしいですね。絵里は知っているものとばかり思っていましたが。
「う、海未ちゃんにか、かか、彼氏ぃ!?」
「雪が降るにゃ!!」
「もうじき冬だから別におかしくないわよ」
「てゆーかアンタ!先輩のにこを差し置いて……じゃなくて!アンタはスクールアイドルでしょうがぁ!!」
「にこちゃん……」
「今、本音が……」
「ごめんなさい、にこ……」
私はにこに頭を下げる。確かに浮かれすぎかもしれませんし、スクールアイドルとしてはまずいのかもしれません。
「ま、別にいいけど……恋人がいちゃいけないなんて決まりはないし」
「はい?」
「ただし!ステージの上ではキチンとアイドルとして振る舞う事!観客皆のアイドルでいなさい!」
「エリチ、どんまい」
「AFTER STORYでもっと目立つチカ……サンシャインの方でも……」
「エリチ、それは禁止やよ」
「はい」
絵里は一体どうしたのでしょう?悩みでもあるのでしょうか?後で話でも聞いた方が……。
考えていると、花陽がおずおずと尋ねてくる。
「あ、あの、どっちから告白したの?」
「気になるにゃー!」
「えーと……」
最初は八幡からだと思っていたのですが、それは誤解で……
「私から……という事になりますね」
告白の日の事を思い出し、顔が熱くなるのを感じていると、花陽と凛も顔を真っ赤にしていた。
「すごい……」
「積極的にゃ……」
「ねえ、今二人は恋人同士って事でいいの?」
「え?はい……」
「いや、私もよくわからないんだけど……付き合ってとかはなかったの?」
「……え?」
真姫の言わんとしている事がわからず、首を傾げる。
すると、彼女は指で髪を弄りながら、少し恥ずかしそうに言った。
「いや、今の状態って、お互いが好き同士って確認しただけじゃない?」
「…………」
…………あれ?
「チカ」
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