捻くれた少年と真っ直ぐな少女   作:ローリング・ビートル

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第67話

 授業を全て終えると、帰りのホームルームをぶっちぎって駅へと自転車を走らせる。頬を切る風は、少しずつ冬の気配を身に纏い、その冷たさが火照った頭の中を冷ましてくれていた。

 サプライズというわけではないが、海未には連絡せずに行く事にした。別に『今から告白しに行くぜ!』みたいな事を言うのが恥ずかしい訳ではない。

 まあ、学校か家に行けば会えるだろう。

 

「♪♪♪」

「海未ちゃん、今日すごいね……」

「練習なのに、投げキッス連発してるにゃ」

「ぐぬぬ……にこだって!にっこにっこに~♪」

「うっみうっみう~♪」

「パクられた!?」

「海未ちゃん、どんないい事があったんやろうね?」

「チカ」

「あはは……ことりちゃん。言わない方がいいのかな?」

「どうしよっか?でも、海未ちゃん可愛い♪」

「何かあったの?まあ、テンション高いのはいいけど、少し浮かれすぎじゃない?」

「べ、べ、べべ別に何もありませんよ?ふふっ」

「怪しすぎにゃ……」

「私、気になります!」

「……ま、まあ、そうですね……大事なチームメイトに秘密を作るのも、アレですし……実は……」

 

「「「「えぇ~~~~!!」」」」

 にこと花陽と凛と真姫が驚きの声を上げています。

 普段の私を見ている分、そのリアクションは仕方ないかもしれません。

「いや~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!」

 絵里が学校中に響き渡るような叫び声を上げています。あれ、おかしいですね。絵里は知っているものとばかり思っていましたが。

「う、海未ちゃんにか、かか、彼氏ぃ!?」

「雪が降るにゃ!!」

「もうじき冬だから別におかしくないわよ」

「てゆーかアンタ!先輩のにこを差し置いて……じゃなくて!アンタはスクールアイドルでしょうがぁ!!」

「にこちゃん……」

「今、本音が……」

「ごめんなさい、にこ……」

 私はにこに頭を下げる。確かに浮かれすぎかもしれませんし、スクールアイドルとしてはまずいのかもしれません。

 

「ま、別にいいけど……恋人がいちゃいけないなんて決まりはないし」

「はい?」

「ただし!ステージの上ではキチンとアイドルとして振る舞う事!観客皆のアイドルでいなさい!」

「エリチ、どんまい」

「AFTER STORYでもっと目立つチカ……サンシャインの方でも……」

「エリチ、それは禁止やよ」

「はい」

 絵里は一体どうしたのでしょう?悩みでもあるのでしょうか?後で話でも聞いた方が……。

 考えていると、花陽がおずおずと尋ねてくる。

「あ、あの、どっちから告白したの?」

「気になるにゃー!」

「えーと……」

 最初は八幡からだと思っていたのですが、それは誤解で……

「私から……という事になりますね」

 告白の日の事を思い出し、顔が熱くなるのを感じていると、花陽と凛も顔を真っ赤にしていた。

「すごい……」

「積極的にゃ……」

「ねえ、今二人は恋人同士って事でいいの?」

「え?はい……」

「いや、私もよくわからないんだけど……付き合ってとかはなかったの?」

「……え?」

 真姫の言わんとしている事がわからず、首を傾げる。

 すると、彼女は指で髪を弄りながら、少し恥ずかしそうに言った。

「いや、今の状態って、お互いが好き同士って確認しただけじゃない?」

「…………」

 …………あれ?

「チカ」





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