捻くれた少年と真っ直ぐな少女   作:ローリング・ビートル

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 それでは今回もよろしくお願いします。


第61話

 

「こ、こんにちは……」

「……おう」

「元気、でしたか?」

「まあ、ぼちぼちな……そっちは?」

「元気……ですよ?あの……」

「ああ、返事……だよな」

「ま、待ってください!まだ心の準備が……だ、だから……」

「わ、わかった……つーか、俺も……」

「……優柔不断」

「いや、お前だって……」

「いいですか?貴方は私のし、下着を見たのですよ?」

「……は?」

「胸も触りましたよね?」

「いや、事故だっての……」

「裸も何回か見ましたよね」

「…………」

「それに……キスだって」

「ん?今何か言ったか?」

「ここで難聴主人公を気取る気ですか?消し飛ばしますよ?」

「ごめんなさい」

「え?ご、ごめんなさいって……まさか……」

「あ、いや、そうじゃなくて……」

「ほっ……つ、つまり!!私が言いたいのは……あ、貴方に拒否権など……ない、です」

「悪い。今のは後半がマジで聞こえなかった」

「どうでもいいのです!よくはないですが!」

「どっちなんだよ……」

「要するに私が言いたいのは、首を洗って待っていろという事です」

「物騒すぎる……」

「ふふっ、でも貴方に会って少し安心しました。相変わらずで」

「それは俺の長年のぼっち生活を揶揄してんのか?」

「かもしれませんね。それより、いいのですか?」

「何がだ?」

「今は班行動の時間では?」

「あ、ああ……」

「それに、また何か抱え込んでいませんか?」

「いや、別に……」

「顔を見てれば何となくですが、わかりますよ」

「嫌な特技だな」

「誰でもわかるわけではありませんよ」

「…………」

「ほら、さっさと行く!」

「ああ、わかった……じゃあ、またな」

「ええ、また…………まったく…………ふぅ、やっぱり……こうでないといけませんよね。私達は……」

 

『お前ら、さっさと付き合っちゃえよ……』

 

 ちょっとの会話でしたが、心が軽くなりました。

 私は伝えるべき事は伝えた。それで十分ではありませんか。

 穂乃果が気遣わしげに声をかけてくる。さっきまで申し訳ない事に、二人の存在を忘れてしまっていた。

「海未ちゃん、あれでよかったの?」

「あはは、でも海未ちゃんらしいかも……」

 ことりにも苦笑いされてしまいました。まあ、仕方ありませんね。それでもこれでいい。

「いいのですよ。さ、切り替えて、京都旅行を楽しみましょう。何なら、新曲のインスピレーションを得るぐらいの気持ちで!」

 二人にいつまでも心配をかけているわけにもいかない。

 私はいつもより勢いよく一歩前に踏み出した。





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