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それでは今回もよろしくお願いします。
「こ、こんにちは……」
「……おう」
「元気、でしたか?」
「まあ、ぼちぼちな……そっちは?」
「元気……ですよ?あの……」
「ああ、返事……だよな」
「ま、待ってください!まだ心の準備が……だ、だから……」
「わ、わかった……つーか、俺も……」
「……優柔不断」
「いや、お前だって……」
「いいですか?貴方は私のし、下着を見たのですよ?」
「……は?」
「胸も触りましたよね?」
「いや、事故だっての……」
「裸も何回か見ましたよね」
「…………」
「それに……キスだって」
「ん?今何か言ったか?」
「ここで難聴主人公を気取る気ですか?消し飛ばしますよ?」
「ごめんなさい」
「え?ご、ごめんなさいって……まさか……」
「あ、いや、そうじゃなくて……」
「ほっ……つ、つまり!!私が言いたいのは……あ、貴方に拒否権など……ない、です」
「悪い。今のは後半がマジで聞こえなかった」
「どうでもいいのです!よくはないですが!」
「どっちなんだよ……」
「要するに私が言いたいのは、首を洗って待っていろという事です」
「物騒すぎる……」
「ふふっ、でも貴方に会って少し安心しました。相変わらずで」
「それは俺の長年のぼっち生活を揶揄してんのか?」
「かもしれませんね。それより、いいのですか?」
「何がだ?」
「今は班行動の時間では?」
「あ、ああ……」
「それに、また何か抱え込んでいませんか?」
「いや、別に……」
「顔を見てれば何となくですが、わかりますよ」
「嫌な特技だな」
「誰でもわかるわけではありませんよ」
「…………」
「ほら、さっさと行く!」
「ああ、わかった……じゃあ、またな」
「ええ、また…………まったく…………ふぅ、やっぱり……こうでないといけませんよね。私達は……」
『お前ら、さっさと付き合っちゃえよ……』
ちょっとの会話でしたが、心が軽くなりました。
私は伝えるべき事は伝えた。それで十分ではありませんか。
穂乃果が気遣わしげに声をかけてくる。さっきまで申し訳ない事に、二人の存在を忘れてしまっていた。
「海未ちゃん、あれでよかったの?」
「あはは、でも海未ちゃんらしいかも……」
ことりにも苦笑いされてしまいました。まあ、仕方ありませんね。それでもこれでいい。
「いいのですよ。さ、切り替えて、京都旅行を楽しみましょう。何なら、新曲のインスピレーションを得るぐらいの気持ちで!」
二人にいつまでも心配をかけているわけにもいかない。
私はいつもより勢いよく一歩前に踏み出した。
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