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それでは今回もよろしくお願いします。
「「ええ~~~~~!?」」
「し、静かに!」
予想どおりといえば予想どおりの二人のリアクションを慌てて制する。しかし、その瞳に宿る驚愕の色は、少しも揺らぐ事はありませんでした。
そして、穂乃果とことりは、さらに顔を近づけてくる。くすぐったいような気持ちになっていると、声を潜めて話し出した。
「海未ちゃん、本当に……告白、しちゃったの?」
「ええ、しました」
「その……ほっぺに、キスも……したの?」
「……しました」
私が認めると、二人は『キャ~ッ!』と色めき立ったような声を小さく上げる。
「海未ちゃん!可愛いよ、海未ちゃん!」
「ちょ、穂乃果!?いきなり抱きつかないでください!」
「可愛い♪」
「ことりまで!?もう、一体何だと言うのですか!」
何とか二人から逃れると、穂乃果が何かを思いついたように、手を叩いた。
「じゃあ、京都で返事を貰うっていうのはどうかな!?」
「…………ええっ!?」
「偶然の再会を果たして、二人は……」
「…………」
「あはは……」
穂乃果のいきなりすぎる提案に、ことりも苦笑いをしています。さすがに、ここでというのは……いや、悪くないかもですが……。
つい頭の中に、京都の夜景を二人で並んで歩く姿が浮かんでしまう。いつもは、デートの話をしている同級生を見て、破廉恥だと思っていましたが、今は……少しだけ、ほんの少しだけ興味があります。し、しかし、上手くいくとは……。
「う、海未ちゃん?笑うか、落ち込むかどちらかにしてよ~!」
「こ、恐いよぅ……」
「八幡……」
「どした?」
「戸部君達、あまり上手くいってないみたいだね……」
「……確かに」
俺の行動の意図を察している戸塚から言われ、現状に改めて納得する。
奉仕部の依頼として、戸部のアプローチをさりげなく手伝ってはいるのだが、あまり上手くはいっていない気がする……避けられているとかじゃなく。こう、上手くいったと思ったところで邪魔が入る……どうやら別の思惑も動いているらしい。
つっても、今さらか……海老名さんの為にそれとなく動いている奴は、今回に関しては限られている。
この後の事について思案していると、背中に誰かぶつかってきた。
慌てて振り返り、頭を下げる。
「「あ、すいません!」」
一瞬、新幹線の中で夢でも見ているのかと思った。
そして、向こうのポカンと口を開いた間の抜けた表情を見ると、同じ事を考えているような気がした。
数秒後、示し合わせたように、同時に口を開く。
「……海未」
「……八幡?」
1週間ぶりに聞く声。1週間ぶりに見る姿。
そこにいるのは、今一番会いづらくて、それでも一番会いたい人だった。
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