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それでは今回もよろしくお願いします。
「そ、それは……その……八幡は、気づいているのですか?」
「ぬぅ……貴様は前振りの大事さをわかっておらんな!」
「何度も同じ事言わせんな。はやく言えよ」
「そ、そんな……いつから……知っていたのですか?」
「ぐぬぬ、貴様はいつからそんなにつれない奴になったのだ?」
「初めて出会った時からだよ」
「えっ?な、何を……私達の出会いなど……最低なものだったじゃないですか!」
「これはやはり、違うクラスになった事で生まれる溝なのだな……哀れなものよ……」
「そうだな。でも、俺はそれでよかったと思ってる」
「っ…!…………た、確かにそうかもしれません。あの出会いがなければ、貴方ともこうして一緒にいなかったわけですし……その……八幡は私の事を……」
「八幡よ!見損なったぞ!貴様は我の事が嫌いなのか!?」
「好きに決まってるだろ」
「え、ええ!?いや、その……聞いたのは私ですが、そ、そんな、はっきりと……」
「いや、そんなはっきり言われても……こいつ頭おかしいんじゃねえの?」
「いや、お前にはこう言ってやった方が効果的だからな(嫌がらせの意味で)」
「そ、それは……いえ、私も覚悟を決めます。だから……こういった事は、目を見て言いたいので……入ってきてください」
扉が内側からノックされる。おそらく着替え終わったから入ってこい、という合図だろう。
「悪いが、立て込んでるから切るわ。じゃあな」
材木座の返事を待たずに、さっさと通話を終える。ようやく自分の部屋に戻れる。
俺は過去の失敗から学ぶ男なので、キチンとノックをして、中にいる海未に確認を取った。
「おーい、もういいのか?」
「は、は、はい……!」
どうしたのだろうか?たかがジャージを見せるだけだというのに、何を緊張しているのか……。
とりあえず、扉を開ける。
「…………」
ジャージは以前着ていた物が冬用になったような見た目で、そこまでの目新しさはないが、似合っているのは間違いない。
正直照れくさいが、ここは素直に褒めておこう。てか、こいつは何でこんなに顔真っ赤なんだよ……。余計に言いづらいだろうが。
「……に、似合ってるんじゃないか?」
「……す」
海未は伏し目がちになり、何か呟いたが、声が小さすぎて聞き取れない。
「悪ぃ。よく聞こえないんだけど……」
「……好きです!」
「……は?」
今、こいつ何て言った?
頭の中に靄がかかったような感覚がやってきて、何も考えられないでいると、海未が急に距離を詰めてきて……
「…………っ」
「…………」
左の頬に、何やら柔らかな温もりが触れた。
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