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それでは今回もよろしくお願いします。
朝っぱらからドタバタしてしまったが、落ち着いてからは、特に何をするでもなく、何故か俺の部屋で、お互い適当な場所に座り、読書に耽っていた。部屋は穏やかな静寂で満ちていて、時折聞こえるページを繰る音がやけに強調された。
そして、最後のページを閉じて顔を上げると、海未も読み終えたのか、顔を上げ、こちらを振り向いた。つーかそこ、俺の机なんですけど……。
「ふぅ……何故かここだと集中できますね」
「そりゃどうも」
「そういえば、貴方もそろそろ修学旅行では?」
「ああ…………そうだっけ?」
「何故私に聞くのですか……」
「いや、俺ぐらいになると、修学旅行ですらどうでもよくなる時があるんだよ」
「……聞いてるだけで、こう……胸が、いえ、ごめんなさい」
「おい、涙を拭うな」
「それはさておき、行き先は何処ですか?」
「さておくのかよ……確か、京都とか言ってたような気がする」
「京都ですか。いいですね。中学の修学旅行で行ったきりなので、私もその内行きたいです」
「なら、代わりに……」
「どれだけ後ろ向きなのですか、それに一緒に行った方が……っ」
「…………」
「みゅ、μ'sのメンバーと一緒に行く方が、気を遣わずに済む……といいますか……はい……そういう事です!」
「そ、そうか……」
今、何か押し切られたような気がするが……。
「あ、思い出しました!八幡、新しいジャージを買ったのですが、その……似合うかどうか、見ていただいてもいいですか?」
「……いきなりだな。てか、何故俺に……」
「貴方の意見を聞きたいだけです。さ、着替えますので、部屋を出てください」
「へいへい」
いきなり部屋を追い出され、仕方なしに扉に寄りかかり、携帯を弄る。
すると、珍しく着信が来た。
材木座か。
正直面倒くさいが、無視しても面倒くさい。どちらにしろ面倒くさいから、暇つぶしに出るとしよう。
「八幡……この前文化祭に行った時に思ったのですが……あ、貴方の周りには魅力的な女の子が多いのですね。だ、誰か……す、す、好きな人はいるの……ですか?」
「喜ぶがいい!貴様の相棒だぞ、八幡!」
「そんな奴はいない」
「そ、そうですか。いないのですね……よかった。い、いえ、これは貴方の破廉恥な行為の被害に遭う方がいなくてよかったというだけで……」
「くっ、いきなり冷たいではないか。我の用件も聞かずに……」
「いや、お前の考えてる事とかお見通しだ。さっさと本当の事を言え」
「……………………え?」
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