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それでは今回もよろしくお願いします。
「「え!?」」
穂乃果とことりが驚愕の表情を浮かべ、こちらを見ています。その手からはトランプの束が落ち、テーブルの上で混ざり合い、ババ抜きの途中だというのに、訳がわからなくなってしまいました。しかし、この二人は何故こんなに強いでしょう?ババ抜きなど運でしかないはずなのに。も、もしかしたら……私の知らない必勝法があるというのでしょうか……。
「もう!海未ちゃん、ババ抜きなんてどうでもいいんだよ!どうせ勝てないんだし!」
「そうだよ、どうせ勝てないよ?」
いつの間にか、穂乃果とことりが詰め寄ってきて、かなり失礼な事を言う。
「あ、貴方達……いくら何でも言いすぎでは……」
「だから、どうでもいいの!」
「そうだよ!だって……だって……」
「はい……?」
二人が俯き、部屋が静まり返る。
雨粒が窓を叩く音がやけに強調され、修学旅行だというのに、部屋に閉じ込められている不運が少しだけ身に染みた。
溜息をつくと、二人がばっと顔を上げる。
「「今さら比企谷君が好きって気づいたの!?」」
「え?あ、な、何をいきなり……!」
「だって今!」
「私達が聞いたら……す、好きだって気づきましたって!」
「は、はい……」
そう……今さっき……
『ねえ、二人共。修学旅行では、女子ってコイバナをしなきゃいけないらしいよ』
『あはは、絶対じゃないような……』
『それより、今度こそ私が一番に上がってみせます』
『そんな事言って~、海未ちゃんがこの中で一番関係あるじゃん!』
『この前も比企谷君を待ってたもんね』
『それは……た、確かに、この前、好きだと気づいたのですが……まだ特に何もありません。さあ、続きを!』
『『え?』』
という感じです。
「はあ……二人にばれたのは不味かったかもしれません」
「いや、もうバレてるから。隠せてると思ってるの海未ちゃんだけだから」
「あはは……」
私はどうやら、自分が思っている以上に隠し事が下手なようです。
でも、今は本人にバレていなければそれで構いません。あの捻くれた鈍い男に……。
「ま、まあ、そういう事ですので、何というか、その……スクールアイドルという身でありながら、大変申し訳ないのですが、やはり、自分の気持ちに嘘は……」
「作戦会議だよ、海未ちゃん!」
「はい、ごめんなさ……は?」
今、穂乃果が私の予想と全く違う言葉を口にしたような……。
「せっかく修学旅行に来てるんだから、こう、素敵なお土産を買って帰らなきゃ!ことりちゃんはデートの時の服装を考えて!」
「うん、任せて!」
「え、ええ?」
何故か私より積極的な幼なじみに、私は不安やらちょっとした心強さやらで、何ともいえない笑みが零れてしまいました。
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