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それでは今回もよろしくお願いします。
「海未ちゃ~ん!早く行こ!」
「穂乃果、そんなに急がなくとも!」
「も~、海未ちゃんの為でもあるんだよ?」
「どういう意味ですか?」
「早く行けば、その分長く比企谷君に会え……痛い!痛いよ、海未ちゃん!ぐりぐりしないで~!」
「あはは、二人共……もう見えてきたよ」
「あ、本当だ!わぁ、大きいね」
「千葉県内有数の進学校らしいですよ」
新学期が始まってから、早一ヶ月。私達は、八幡の通う総武高校へと向かっています。八幡の監視役として一人で向かう予定だったのですが、どこから聞きつけたのか、穂乃果とことりもついていくと言い出してしまいました。でも、知らない学校なので、心強い気もします。さっきみたいに変な事を言わなければ。
八幡の方はというと、なんと準備をさぼるどころか、実行委員会に参加しています。まあ、ホームルームで眠っていて、強制的にやらされる羽目になったらしいので、あまり褒められたものではないかもしれませんが。
それでも、毎日しっかりと準備をしていると、小町の方から教えてもらいました。ただ、かなり疲れた声をしていたというのが心配ですが。
こちらもライブだけではなく、穂乃果やことりと共に、生徒会に入ったので、そちらの仕事もあり、中々声を聞くタイミングがありませんでした。しかし、あの男……たまには自分から電話ぐらいすればいいのに。いえ、声を聞きたいとかではなく!ああ、もう!
「ことりちゃん……海未ちゃんが……」
「こ、怖いよぅ……」
校舎の中は祭りの賑わいで溢れていて、行き交う人の笑顔がそれに華を添える。
「うん、ウチもこんな文化祭やろう!」
「さ、さすがにこの規模は……」
「大丈夫だよ!会長特権で文化祭の予算を……」
「そのような特権はありません!悪代官みたいな事を言わないでください!」
「うぅ……」
「それに、大事なのは音ノ木坂らしさでしょう?」
「……うん!そうだよね!よーし、頑張って私達らしいイベントにしよう!その為に……」
「「?」」
「今日は思いきり楽しもう!!」
「うんっ!」
「まったく……ふふっ」
目的が変わっている気もしますが、親友の笑顔にただ頷くしかありませんでした。まあ、これが私達らしいですね。
しばらく校内の催しを、一つ一つ楽しみながら歩いていると、見覚えのある男子生徒がいた。
カメラで祭りの風景を撮っているが、女子から不審者を見る目で見られている。まったく……そんなどんよりした雰囲気で撮られては、誰だって警戒してしまうでしょうに……。
私は彼に声をかける為、いつもより広い歩幅で駆けだした。
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