捻くれた少年と真っ直ぐな少女   作:ローリング・ビートル

50 / 106

 感想・評価・お気に入り登録・誤字脱字報告ありがとうございます!

 それでは今回もよろしくお願いします。


第49話

 

「海未ちゃ~ん!早く行こ!」

「穂乃果、そんなに急がなくとも!」

「も~、海未ちゃんの為でもあるんだよ?」

「どういう意味ですか?」

「早く行けば、その分長く比企谷君に会え……痛い!痛いよ、海未ちゃん!ぐりぐりしないで~!」

「あはは、二人共……もう見えてきたよ」

「あ、本当だ!わぁ、大きいね」

「千葉県内有数の進学校らしいですよ」

 新学期が始まってから、早一ヶ月。私達は、八幡の通う総武高校へと向かっています。八幡の監視役として一人で向かう予定だったのですが、どこから聞きつけたのか、穂乃果とことりもついていくと言い出してしまいました。でも、知らない学校なので、心強い気もします。さっきみたいに変な事を言わなければ。

 八幡の方はというと、なんと準備をさぼるどころか、実行委員会に参加しています。まあ、ホームルームで眠っていて、強制的にやらされる羽目になったらしいので、あまり褒められたものではないかもしれませんが。

 それでも、毎日しっかりと準備をしていると、小町の方から教えてもらいました。ただ、かなり疲れた声をしていたというのが心配ですが。

 こちらもライブだけではなく、穂乃果やことりと共に、生徒会に入ったので、そちらの仕事もあり、中々声を聞くタイミングがありませんでした。しかし、あの男……たまには自分から電話ぐらいすればいいのに。いえ、声を聞きたいとかではなく!ああ、もう!

「ことりちゃん……海未ちゃんが……」

「こ、怖いよぅ……」

 

 校舎の中は祭りの賑わいで溢れていて、行き交う人の笑顔がそれに華を添える。

「うん、ウチもこんな文化祭やろう!」

「さ、さすがにこの規模は……」

「大丈夫だよ!会長特権で文化祭の予算を……」

「そのような特権はありません!悪代官みたいな事を言わないでください!」

「うぅ……」

「それに、大事なのは音ノ木坂らしさでしょう?」

「……うん!そうだよね!よーし、頑張って私達らしいイベントにしよう!その為に……」

「「?」」

「今日は思いきり楽しもう!!」

「うんっ!」

「まったく……ふふっ」

 目的が変わっている気もしますが、親友の笑顔にただ頷くしかありませんでした。まあ、これが私達らしいですね。

 

 しばらく校内の催しを、一つ一つ楽しみながら歩いていると、見覚えのある男子生徒がいた。

 カメラで祭りの風景を撮っているが、女子から不審者を見る目で見られている。まったく……そんなどんよりした雰囲気で撮られては、誰だって警戒してしまうでしょうに……。

 私は彼に声をかける為、いつもより広い歩幅で駆けだした。





 読んでくれた方々、ありがとうございます!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。