捻くれた少年と真っ直ぐな少女   作:ローリング・ビートル

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第47話

 

 夏休み最終日の夜……。

「こんばんは」

「……どした?」

「夏休みももう終わりですが、しっかり宿題は済ませましたか?」

「ああ、8月に入る前に終わったよ。面倒な事は真っ先に終わらせるタイプなんでな」

「トレーニングはさぼっていませんか?あまりゲームばかりしていてはいけませんよ」

「トレーニングを終わらせてゲームやってるから大丈夫だよ。てか、お前は俺の母ちゃんか」

「貴方のお母さんに頼まれていますからね。この前も電話で……」

「ちょっと待て。え、何?何でいつの間にそんな仲良くなってんの?母ちゃん、変な事言ってないよな?」

「さ、さ、さあ?」

「おい、誤魔化すならちゃんと誤魔化してくれ。不安で朝が起きれなくなんだろうが」

「新学期早々、遅刻などさせませんよ。安心してください。貴方の好きな女性の傾向を聞かされただけです」

「養ってくれる人」

「PVの方は見てくれましたか?」

「いきなり話をぶった切りやがったな……ああ、見た」

「その、どうでしたか?」

「……よかったと思う」

「え、えっと……その……」

「…………あの時の水着、似合ってた」

「そ、そうですかそうですか。それはよかった……」

「…………」

「…………」

「「……えーと……っ!」」

「…………」

「…………」

「そ、そういや、今度のライブはいつなんだ?」

「あ、ライブですか?そうですね……来月末に学校の体育館を借りてみるのもいいのでは、なんて話をしているところです」

「そっか……まあ、応援しとくわ。自宅から」

「……来てくれないのですか?」

「いや、女子校の中だから入れないだろ」

「チケットさえあれば大丈夫ですよ。穂乃果もお父さんを誘うと言ってました」

「それは家族だからだろ。さすがに知り合いってだけじゃ……」

「……来て……くれないのですか?」

「……わかった。行くからそのテンション止めてくんない?罪悪感がハンパなくて、普通に怒られた方が安心しちゃうから」

「ふふっ、では最高のパフォーマンスを見せてあげます」

「……楽しみにしとく」

「そ、それと……」

「?」

「貴方の学校ではもうじき文化祭があるそうですね」

「いや、そんな行事はない。あったとしても、俺は関係ない」

「はあ……まあそう言うと思ってましたけど……」

「ああ」

「自信満々に頷いているのが電話越しにわかりますね。じゃあ、仕方ありません。貴方がきちんと学校行事に参加できているか、確認しに行きましょう」

「ああ、うちの学校は他校の生徒は……」

「小町から既に話は聞いています。嘘は通じませんよ」

「あ、ああ……了解」

「その……よければ少しくらい一緒に……」

「どうした?急にボソボソと……」

「いえ、何でもありません。では、夜分遅くに失礼しました」

「……おう、それじゃあ」

 出会って約4ヶ月の二人の間に、まだ温い夏の夜風が通り過ぎた。

 そして、その風は再び巡り、今度は小さな秋の予感を運んできた。





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