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それでは今回もよろしくお願いします。
夏休み最終日の夜……。
「こんばんは」
「……どした?」
「夏休みももう終わりですが、しっかり宿題は済ませましたか?」
「ああ、8月に入る前に終わったよ。面倒な事は真っ先に終わらせるタイプなんでな」
「トレーニングはさぼっていませんか?あまりゲームばかりしていてはいけませんよ」
「トレーニングを終わらせてゲームやってるから大丈夫だよ。てか、お前は俺の母ちゃんか」
「貴方のお母さんに頼まれていますからね。この前も電話で……」
「ちょっと待て。え、何?何でいつの間にそんな仲良くなってんの?母ちゃん、変な事言ってないよな?」
「さ、さ、さあ?」
「おい、誤魔化すならちゃんと誤魔化してくれ。不安で朝が起きれなくなんだろうが」
「新学期早々、遅刻などさせませんよ。安心してください。貴方の好きな女性の傾向を聞かされただけです」
「養ってくれる人」
「PVの方は見てくれましたか?」
「いきなり話をぶった切りやがったな……ああ、見た」
「その、どうでしたか?」
「……よかったと思う」
「え、えっと……その……」
「…………あの時の水着、似合ってた」
「そ、そうですかそうですか。それはよかった……」
「…………」
「…………」
「「……えーと……っ!」」
「…………」
「…………」
「そ、そういや、今度のライブはいつなんだ?」
「あ、ライブですか?そうですね……来月末に学校の体育館を借りてみるのもいいのでは、なんて話をしているところです」
「そっか……まあ、応援しとくわ。自宅から」
「……来てくれないのですか?」
「いや、女子校の中だから入れないだろ」
「チケットさえあれば大丈夫ですよ。穂乃果もお父さんを誘うと言ってました」
「それは家族だからだろ。さすがに知り合いってだけじゃ……」
「……来て……くれないのですか?」
「……わかった。行くからそのテンション止めてくんない?罪悪感がハンパなくて、普通に怒られた方が安心しちゃうから」
「ふふっ、では最高のパフォーマンスを見せてあげます」
「……楽しみにしとく」
「そ、それと……」
「?」
「貴方の学校ではもうじき文化祭があるそうですね」
「いや、そんな行事はない。あったとしても、俺は関係ない」
「はあ……まあそう言うと思ってましたけど……」
「ああ」
「自信満々に頷いているのが電話越しにわかりますね。じゃあ、仕方ありません。貴方がきちんと学校行事に参加できているか、確認しに行きましょう」
「ああ、うちの学校は他校の生徒は……」
「小町から既に話は聞いています。嘘は通じませんよ」
「あ、ああ……了解」
「その……よければ少しくらい一緒に……」
「どうした?急にボソボソと……」
「いえ、何でもありません。では、夜分遅くに失礼しました」
「……おう、それじゃあ」
出会って約4ヶ月の二人の間に、まだ温い夏の夜風が通り過ぎた。
そして、その風は再び巡り、今度は小さな秋の予感を運んできた。
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