捻くれた少年と真っ直ぐな少女   作:ローリング・ビートル

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第35話

 

「あ、来た!おーい!」

 待ち合わせ場所に着くと、俺達に気づいた高坂さんが手をぶんぶん振ってくる。こちらが元気を貰えそうなくらいの元気一杯だが、多分あんな凄まじいエネルギーを受け取ったら消化不良を起こすので、遠慮しておこう。

「うす」

「こんにちは」

「むむっ!」

 戸塚を知らない二人に紹介……と思っていたら、高坂さんが戸塚をジロリと見て目を細めた。

 上から下までジロジロ見られた戸塚がたじろいでいると、急に海未に顔を近づけ、何かを言っている。

「海未ちゃん!あ、あの子すっごい可愛いよ!のんびりしてたら比企谷君とられちゃうよ!」

「ほ、穂乃果!?何を言っているのですか!」

「僕……男の子なんだけど……」

 まあ、これは予想の範囲内だ。

 俺達は軽い自己紹介を済ませる。

「そっかぁ、男の子なんだぁ」

「あはは……」

「う~ん、メイド服とか似合いそうだよね」

「え、遠慮しておきます……」

 頼む、南さん。もう少し押してくれ。

 戸塚のメイド服姿を拝むべく、念を飛ばしていると、肩をちょいちょいと肩を叩かれる。

「……お、おはようございます。八幡」

「ああ、おはよ……う……」

 朝の挨拶が途中でつかえる。

 海未の私服は、普段の彼女のイメージからはかけ離れた丈の短い、薄い青色のワンピースだった。すらりと伸びた白い脚が眩しく、男女問わず二度見してしまう美しさがある。

「ど、どうかしましたか?」

「いや、何でも……」

「ねえ、比企谷君どう!?海未ちゃん今日すっごい可愛いでしょ!」

「あ、え、ああ……そうだと思う」

「あ、ありがとうございます……」

 やばい……。

 これまでこいつと一緒にいて、リトさんばりのラッキースケベ展開が何度もあったが、今日はもうそのフラグ立ちまくりじゃねーか。海未の奴……何考えてやがる。いや、確かに……可愛いのは間違いない。

 ……あまり見ないでおこう。

 

 まずいです……。

 八幡があまりこっちを見ません。

 い、いえ、気を引きたいとかではなく!

 今日は穂乃果とことりがいますし、二人共、そこそこ肌が露出しています。なので、八幡が二人に破廉恥な真似をしないようにしているのです。それだけです!

 な、何としてでも私に視線を向けさせておかないと。

 

「ねえねえ、ことりちゃん!戸塚君!あの二人……すごくいい感じだよね!」

「う、うん……」

「そ、そうかもね」

 二人の微妙な距離感は、一人の能天気な少女を除いて、見ている者にもどかしさを覚えさせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええもん、見つけた♪」

「チカ」





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