捻くれた少年と真っ直ぐな少女   作:ローリング・ビートル

28 / 106
 感想・評価・お気に入り登録・誤字脱字報告ありがとうございます!

 それでは今回もよろしくお願いします。


第27話

「「!?」」

 突然現れた二人分の人影に驚き、俺と園田は風を切るようなスピードで距離をとる。

 真っ先に声を上げたのは園田だった。

「なっ……い、一体どうしたのですか!?二人して……」

 落ち着いて目を向けると、突然現れた二人組の正体は、高坂さんと南さんだとわかった。

 二人は何故か俺達より焦った顔をして、かなり息を荒くしていた。はっきり言って、少し怖い。

「ど、どうしたはこっちのセリフだよ!!二人共こんな所で……!」

「海未ちゃぁん……!」

「お、落ち着いてください!」

「…………」

 何やら変な誤解をされている気が……

「こんな所でキスするなんて!!」

「海未ちゃぁん……!」

「キ、キス!?」

 園田の目が大きく見開かれ、頬が紅く染まり出す。

 ほらやっぱりこの子誤解してるじゃないですか!

 俺は慌てて状況を説明しようとする。

「なあ、別に……」

「比企谷君!」

「はいぃ!」

 いきなり高坂さんの顔が近くに来て、言葉が引っ込んでしまった。パーソナルスペースに簡単に侵入しないでくれると助かるのだが。こんな時、長年のぼっち生活の弊害を感じ、やはりぼっちでいるのが一番楽だと確信してしまう。

 俺がたじろいでいると、園田が高坂の腕をとる。

「ご、誤解ですよ、穂乃果!」

 そのまま園田は高坂さんを俺から10メートルぐらい引き離す。……ちょっと遠すぎやしませんかねぇ。地味に心を抉られた気分だ。

「あの……」

「?」

 南さんがおずおずと声をかけてくる。

「海未ちゃんと……付き合ってるの?」

「「いや、そんな、わけない」ありません」

 南さんのあり得ない質問に、俺と園田は同時に首を振り、キッパリと否定する。

「でも、なんで休日に一緒に運動してるの?」

「「ただのトレーニングだが」ですが」

「「…………」」

 高坂さんと南さんは揃って怪訝そうな目を向けてくる。しかし、他に説明しようがない。

「でも、この前のデートは……」

「「デートじゃない」ありません」

「「…………」」

 二人はまだ怪訝そうな目のままだ。

 しかし、それに構わず園田は口を開く。

「まったく……私がこのような破廉恥な男と……」

「いや、半分くらいはお前が原因だからな」

「ほう、あまり無礼な事を言うようなら、今日のお昼ご飯のおかずが減ることになりますが」

「お前、それはさすがに許容範囲を超えてるぞ。誰がこの前、道場や廊下の雑巾がけを手伝ったと思ってる」

「その後、着替えの最中に入ってきたのは誰ですか?」

「ぐっ……いや、その後現代文の宿題の間違い直してやっただろ」

「むむっ……わ、私は数学を教えてあげましたよ」

「「…………よし」」

「じゃあ家まで競争しますか。貴方が勝てば、今日のところは私の負けを認めましょう」

「しゃあねえ。やるか……」

「では穂乃果、ことり。午後の練習で会いましょう」

 園田は二人に軽く手を挙げ、勢いよく駆けだした。

 俺も一応、二人に会釈してからスタートする。何か忘れている気がするが、今はそれどころではなさそうだ。アイツ……もうあんな所に……フライングじゃねえのかよ。

 俺は既に小さくなった園田の背中に追いつくべく、歩幅を少し大きくした。

 

 公園にいる方々

『……もう付き合っちゃえばいいじゃん!!』

「チカ」




 読んでくれた方々、ありがとうございます!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。