それでは今回もよろしくお願いします。
「「!?」」
突然現れた二人分の人影に驚き、俺と園田は風を切るようなスピードで距離をとる。
真っ先に声を上げたのは園田だった。
「なっ……い、一体どうしたのですか!?二人して……」
落ち着いて目を向けると、突然現れた二人組の正体は、高坂さんと南さんだとわかった。
二人は何故か俺達より焦った顔をして、かなり息を荒くしていた。はっきり言って、少し怖い。
「ど、どうしたはこっちのセリフだよ!!二人共こんな所で……!」
「海未ちゃぁん……!」
「お、落ち着いてください!」
「…………」
何やら変な誤解をされている気が……
「こんな所でキスするなんて!!」
「海未ちゃぁん……!」
「キ、キス!?」
園田の目が大きく見開かれ、頬が紅く染まり出す。
ほらやっぱりこの子誤解してるじゃないですか!
俺は慌てて状況を説明しようとする。
「なあ、別に……」
「比企谷君!」
「はいぃ!」
いきなり高坂さんの顔が近くに来て、言葉が引っ込んでしまった。パーソナルスペースに簡単に侵入しないでくれると助かるのだが。こんな時、長年のぼっち生活の弊害を感じ、やはりぼっちでいるのが一番楽だと確信してしまう。
俺がたじろいでいると、園田が高坂の腕をとる。
「ご、誤解ですよ、穂乃果!」
そのまま園田は高坂さんを俺から10メートルぐらい引き離す。……ちょっと遠すぎやしませんかねぇ。地味に心を抉られた気分だ。
「あの……」
「?」
南さんがおずおずと声をかけてくる。
「海未ちゃんと……付き合ってるの?」
「「いや、そんな、わけない」ありません」
南さんのあり得ない質問に、俺と園田は同時に首を振り、キッパリと否定する。
「でも、なんで休日に一緒に運動してるの?」
「「ただのトレーニングだが」ですが」
「「…………」」
高坂さんと南さんは揃って怪訝そうな目を向けてくる。しかし、他に説明しようがない。
「でも、この前のデートは……」
「「デートじゃない」ありません」
「「…………」」
二人はまだ怪訝そうな目のままだ。
しかし、それに構わず園田は口を開く。
「まったく……私がこのような破廉恥な男と……」
「いや、半分くらいはお前が原因だからな」
「ほう、あまり無礼な事を言うようなら、今日のお昼ご飯のおかずが減ることになりますが」
「お前、それはさすがに許容範囲を超えてるぞ。誰がこの前、道場や廊下の雑巾がけを手伝ったと思ってる」
「その後、着替えの最中に入ってきたのは誰ですか?」
「ぐっ……いや、その後現代文の宿題の間違い直してやっただろ」
「むむっ……わ、私は数学を教えてあげましたよ」
「「…………よし」」
「じゃあ家まで競争しますか。貴方が勝てば、今日のところは私の負けを認めましょう」
「しゃあねえ。やるか……」
「では穂乃果、ことり。午後の練習で会いましょう」
園田は二人に軽く手を挙げ、勢いよく駆けだした。
俺も一応、二人に会釈してからスタートする。何か忘れている気がするが、今はそれどころではなさそうだ。アイツ……もうあんな所に……フライングじゃねえのかよ。
俺は既に小さくなった園田の背中に追いつくべく、歩幅を少し大きくした。
公園にいる方々
『……もう付き合っちゃえばいいじゃん!!』
「チカ」
読んでくれた方々、ありがとうございます!